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Amazon.co.jp ・本 (276ページ) / ISBN・EAN: 9784488024987
感想・レビュー・書評
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許すことで自分も解放される。三作読んだ感想としては、テーマは許すこと、で、その許せない工程、許すに至った工程をいろんな本で書いているんだと思う。許すこと、笑うこと。当たり前のことを当たり前にすること。感謝すること。一人一人の人物像を丁寧に書くことで、どうすれば絶対に許せないような人を許せるのかを浮かび上がらせている。
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最初、読み始めは世界に入っていくのが難しいが半ばから引き込まれ、文章の比喩表現や背景の緻密さに翻訳では拒否反応を起こす言葉でもすんなり入って、です。ます。と乱暴に終わると感じる翻訳本と違い柔らかな文章になっていて読了後は満足度が高い。
兄妹のケンカが国をも破滅に至り、300年後にやっと終止符を打つ。最初は仲の良い兄妹だったのに、お互いの齟齬で悪に支配され仲が悪く、悪に支配されたのも理解されず寂しかったのと支配欲に負けたため。わかりあう事が出来なかった無念さが心に響く。
まだまだ読み進めていきたいけど物語に入っていくのに時間がかかってしまう。 -
82:「夜の写本師」「魔道師の月」に続く第三話、ということで、大地の魔法に長けた九人きょうだいによる壮大な兄弟喧嘩の顛末が描かれます。タイトルが示す通り、前作のキーアイテムが今回も重要な役割を果たしますよ! 怒涛の描写に心地よく酔える、重厚なファンタジー。
時系列的には「月」のあと、「写本師」の前。歴史ものを読んでる楽しみも味わえるのが、同一世界ものの醍醐味ですね。「写本師」と比べて、登場人物たちが生き生きと描かれているのが、読んでいてとても楽しかったです。 -
うぇぇ。
壮絶な兄弟ゲンカの話と言ってしまえばそれまで。
「千年の闇クロニクル」を読んだ時と同じような感覚を覚える。(東か北あたりの)ヨーロッパの神話を読んでいるような壮大な物語。
さっそく続刊「オーリエラントの魔道士たち」も予約しました。
今後も乾石智子さん、要チェックです! -
とても、よかった~~~。
表紙のなごやかなイメージとは裏腹に内容はなかなか痛々しい。
三百年前のイザーカトきょうだいの争い。
再び目覚めたリンターは少し、早く目覚め、人としての時間でその心をはぐくんだ一番下のデイサンダーを連れ、ナハティとの決着をつけるべく
不動山への旅を始める。
最初の盛り上がりは、イリアの登場部分。
いやーすっかり騙されてたな。
あの術が発動するシーンは、捕まっちゃったぞーという心配が前にあったもんですっきりした。
合間、イリアとネアリイとの恋話が入りこんで、思わず頬がゆるむ部分もあり。
が、が!!!
いやー怒涛のラストはすごかった。
カサンドラの死にざまとか、ネアリイの最期とか、もう
これでもかってぐらいの心臓、痛いシーンだらけで、苦しい、苦しい。
だが、、その苦しみ具合の表し方が、また美しいんだなあ。
最も輝かしいものが砕け散っていく、というふうに。
全く、この豊穣極まりない文章!それを目にするだけで、なんだか嬉しい。
解説で、なんだが具体的な状況は分からないけれど、すごい、というような
ことが書かれていたが、ホント、その通り!
ただ、そこから受けるイメージの豊富さだけは分かる。
いやーホント、読むだけで幸せになれるわあ。
ナハティのもとへの旅という横軸、今と昔、という時間の縦軸、
それが上手にからまって、それに、人と魔術師の心のありようの違い、とか、ナハティの孤独、とか、さらに、あの、例の、闇の存在、そゆーのが
どんどん詰め込まれて、読みどころ満載の作品になっている。
その後の彼らの話もきっといつか誰かの歌物語になっていそう。
うーん、やっぱ乾石さん、すごすぎだー。 -
馴染んだ翻訳物を読んでる感覚だった。これからも乾石さん 追いかけるだろう。
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血の繋がりというものがやっかいという人間関係の難しさを凝縮したファンタジー。
兄弟とか姉妹とかこじれると難しいよねと思いつつ、大塚家具に重ねてしまった。(^ ^) -
歴史に名を轟かせたコンスル帝国も、内乱や疫病、隣国の侵攻によって衰退し、いまや見る影もない。霧岬はそんな帝国の最北西に位置する。三百年ほど前、魔道師イザーカト九きょうだいのひとりリンターが空からふってきて、地の底に達する穴をうがち、ゴルツ山を隆起させたのだという。霧岬の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを姉に拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日ゴルツ山に登ったデイスは、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。金の透かし彫りに、“太陽の石”と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ…。だが、それがゴルツ山に眠る魔道師を目覚めさせることになろうとは。『夜の写本師』『魔道師の月』で話題沸騰の著者の第三長編。
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魔導士イザーカト9兄弟の壮絶な兄弟喧嘩の話し。レイサンダーの太陽の石が何世代か後にこんなになってると、そういうことか。骨肉の争いて怖い以上に醜く悲しい。
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シリーズ3作目。2作目の約800年後。乾石さんの書く文章はほんと濃厚!もっと風景描写や会話が多くてもいいのになー、と思いつつも、力強い文章にぐいぐい引っ張られて物語に入り込めました。今回は9人兄弟の魔道師の物語。仲良かったはずが、いつの間にか憎しみが生まれ、姉弟で殺し合うことに。リンターの目の中で輝くラピスラズリの欠片。デイサンダーを守る太陽の石。ネアリイの悪意は太古の闇から。大地と火の力、植物と生命の力。300年を経て復活する魔道師。前作からの繋がりは覚えておらずわかりませんでしたが、充分楽しめました。
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間を一つ抜かしてシリーズ三作目。一話完結だったので抜かしても特に問題は無し!
こちらもダークなファンタジーでしたが、一作目が全編通して暗かったのに比べて和める場面もあり、文章も構造も読みやすくなったように感じました。会話文もこっちの方が良かったな。
解説にもあったけれど、何が起こっているのか具体的にはよくわからないけれど妙に美しくて、あまり文句が言えない詩的な描写が面白い(ほんとは読んでて情景が浮かんだらもっと良いんだけど!)。
…また何だか表面的な感想になってしまった。笑
自分の考え方や気持ちに引き込んで読めるかと言うと少し違いますが、これはシリーズ追ってみたいな。 -
図書館で。シリーズ3作目ですが相変わらず面白い。とは言え彼女がまさかあそこで…。びっくりしました。それにしても9人兄弟か。うるさそう。特に下の二人。まだ人間になりかけのようなのが大きな力を持っていると周りが苦労しますな。お姉さんもそりゃあイヤになるでしょう。とは言え同じ血を分けた姉妹・兄弟に対して手加減なし状態だ。あそこまですることないとは思うけど。
私はてっきりカサンドラが彼女だと思ってたんだけどなあ…切ない。
お宝の上に眠る竜ってファンタジーではおなじみの光景ですがなんとなく寝心地悪そうですよねえ。趣味が悪いなあとは思うけど巨万の財宝を手にしても食べ物が無いのは辛そうだな。
一巻ごとにお話がきっちり終了するのは読んでいてありがたいです。
という訳で続きも楽しみ。 -
「夜の写本師」「魔導師の月」に続くシリーズものの第三弾。前作「魔導師の月」と関連の強い物語です。
300年前に起こった、国中を巻き込んだ魔導師きょうだいたちの戦い。痛み分けに終わった壮絶な「きょうだい喧嘩」が、300年の時を経て決着へと再び動き出します。
主人公は、魔導師九人きょうだいの末っ子。
圧倒的な世界観とそれを表現する筆致で構築された物語には毎度のごとく身体ごと飲み込まれるような気分です。
ストーリーは、骨肉の争いであったり魔導師同士が互いを滅ぼし合う暗いものなのですが、それが展開される世界がとても美しく描かれているし、主人公が末っ子で大人の事情を解せずに実に子供っぽく明るいという対比がすごい。
しかし、核心部分の全容が最後までなかなか分からなかったり、文章が突然大昔の話に遡ったりするので、入りにくいと感じる人もいるかも。
血の繋がった九人の兄弟姉妹の物語であり、かつてはその絆の強さを讃えられ、今は敵味方に分かれいがみ合うようになってしまった彼ら彼女らの、人間部分の感情が時折垣間見えるにつけ、ほっとするような、けれどそれがもう元に戻らないと知ってやるせないような気持にさせられます。
特に今は冷酷非道できょうだい共通の敵となってしまったナハティが、かつては下の子たちの面倒を看て、誰よりも一家を必死に支えてきたこと。
結束の強さで支え合ってきたきょうだいたちだけど、お互いに見えなかった部分があったがために生まれた不幸。
途中出て来た黒い化け物はなんだったの?というのと、最後の戦いがあまり好きになれなかったので、☆4つです。
前作でもあまり決戦シーンが好きじゃなかったので、そこは相性が悪いのかもしれません。 -
歴史に名を轟かせたコンスル帝国も、内乱や疫病、隣国の侵攻によって衰退し、いまや見る影もない。霧岬はそんな帝国の最北西に位置する。三百年程前、魔道師イザーカト九きょうだいのひとりリンターが空から降ってきて、地の底に達する穴をうがち、ゴルツ山を隆起させたのだという。霧岬の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを姉に拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日ゴルツ山に登ったデイスは、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。金の透かし彫りに、〈太陽の石〉と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ……。だが、それがゴルツ山に眠る魔道師を目覚めさせることになろうとは。
夜の写本師、魔道師の月に続く第三作。らしい。乾石さんの本はディアスから2冊目。ディアスは神話感あったけれど、これはまっとうな魔法と冒険のファンタジー。内容は魔道師のきょうだいたちの悲しくも盛大なきょうだいげんか。乾石さんの本は、説明のない単語や現象を、文章で納得させられてしまうのがすごいところ。実際の現象はなんだかわからないけれどそれがどんなことを登場人物や世界に影響を及ぼすのかを圧倒的な文章力で伝えてしまえるところがすごい。
ただ単純に少年の冒険譚、成長話、魔法大好きっ子たちが大喜びのファンタジーとしてもよくできてて、好物な一冊だった。 -
きょうだいの絆は、愛だけが結ぶものではないようだ
著者プロフィール
乾石智子の作品
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