平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 915
レビュー : 225
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025281

感想・レビュー・書評

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  • 私が初めてアルバイトをしたのは本屋さんだった。以来、本に携わる仕事につきたいと思いながらも叶わずにいる。この本の主人公は中堅(より少し下)出版社の新米営業さん。自社の本を売るために奮闘して、それが売り上げに繋がった時の喜びはひとしおだろうなぁと出版社の営業に対する憧れ(実際は大変だろうが…)も強くなった。ちょっとした謎解きも面白く、少し泣ける話もあり。悪者がいない、不幸にならない所も良かった。本に関係する話で不幸になったりするのは切ないもんね。

    それにしても、最近の書店事情は厳しい。私が初めてアルバイトをした本屋も閉店し、駅前の小さいながらも品揃えが抜群だった本屋も閉店。この本の中にも町の小さな本屋さんが出てくる。私も子供の頃通った小さい本屋があった。お父さんから図書券を貰う度、それを握りしめてルパンシリーズを買いに行ったものだ。大型書店も良いが、家の近所で気軽に立ち寄れる本屋さんが閉店してしまうのは本当に切ない。人々の書籍離れもあり、インターネットで注文や読む事もできる便利な世の中で、このまま本屋さんがどんどんなくなってしまうのかなぁ。

  • 通院のためにひっつかんだ第2弾。
    本関連続きなので、この辺で当たり障りのない?推理小説を挟むか迷って、やはり開いてしまった。
    気になるから。
    個人書店の本(早川義夫さんの)の記憶が新しいので、本屋さんってたいへんだよね、の気持ちのまま、今度は出版社の営業さん視線での本。

    旧担当者の吉野さん人気に凹みながらも書店をまわる入社3年目営業マンの井辻くん。
    営業先で出会うささやかなミステリに「あれ?」と足をとめ、鮮やかに解決。
    明林書房の本をプッシュしてくれているのに、井辻くんに急につめたくなった店主の謎。「平台がおまちかね」
    素敵な品揃えの本棚をつくる、営業のマドンナ的存在の女性店員から突然笑顔がなくなった。「マドンナの憂鬱な棚」
    新人賞受賞者の失踪事件。「贈呈式で会いましょう」
    仙台の個人書店が閉店。この書店前に佇む青年とは?「絵本の神様」
    とある書店で各出版者の営業がポップを競うことになる。飾りつけられた台の上で本の山が移動する。「ときめきのポップスター」

    解決は鮮やかなのに、女性を誘うことを考えたり、愛称で呼ぶことを思ったりしただけではにかんでしまう、井辻くん。
    そして「なんて罪作りな男だろう。いや、お客さんである女子高生さんにちょっかいを出すことからして許せない。心温まるやさしい読み口の本を紹介するなんて、ほとんど犯罪だ。」なんて憤ることもある。
    そんな井辻くんに絡んでくる他出版社の営業さん方がまた個性派、曲者揃い。本屋さんで営業さんを探してしまいそう。
    謎はちょっと切ないものもあるけれど、最後は笑顔になれる。ホカホカするミステリ。

    本屋さんが舞台なだけに数々の本が登場し、それがまた懐かしかったり、読んでみたくなったり。
    ずっと迷ってた「ななつのこ」シリーズ、やはり読もうかな。
    ジョン・ダニングの続編かあ。気になるけどなあ。

    「少ないお客さんを奪い合ってどちらが潰れるのではなく、お客さんをなんとして増やして、両方とも生き残っていこうって。きれいごとや理想論じゃないです。小さいところが潰れて大きいところだけ残っても、その大きいところはもっと大きなところ相手に、いずれ立ち行かなくなります。そして残るのは大きな街の大きなチェーン店のみ。本屋は、そこに足を運ぶ人たちだけのものになる。それはあんまりじゃないですか」
    チビちゃんたちがお小遣いを握って走って行ける、そんな本屋さんたちがんばれ!

  • 謎が難しすぎて、いやいやそのヒントだけでは絶対わからんやろ!と突っ込みたくなりますが、ひつじくんならぬ井辻くんはなんとも鮮やかに謎を解いてくれます。ライバルかつ仲間である他出版社の営業さんも強烈。本好き、本屋好きにはたまらない舞台裏描写がいっぱいで、本屋さんに行くのが楽しみになります。

  • 出版社の営業という、わかるようなわからないような仕事でありつつ本好きな人がうっとりしちゃうようなお仕事世界のおはなし。

    出版社の営業。
    本が好きな人って、欲しい本の在庫がなくても取り寄せて買ったりするからあまり営業の必要ないんじゃない?って思っていたときもある。

    でも、街の本屋さんが次々に姿を消し、売れ筋商品ばかりを大量に陳列している本屋さんが増えてきている今、営業さん頑張れよって思う。
    まだ知られていない面白い本を、ガンガン本屋さんに売り込んでって。

    去年の集英社の夏の100冊。
    イメージキャラクターは今を時めくAKBだったのに、売り上げは芳しくなかったらしい。
    でも、次男が働いている道東の本屋では突出して売れたらしい。
    集英社の営業さんがそう言っていたと、次男から聞いた。
    そんな田舎にも営業さんって行くんだと、その時思った。

    さて、肝心の本書だが、ミステリとしての謎は弱いように思った。
    思った通りの展開で、意外性はあまりない。
    文章ももう少し推敲して、指示代名詞や会話の主体がわかりやすい文章を心がけてほしいと思う。

    けれど、読んで楽しいんだよね。
    この本がこんなふうに使われている、とか、うんうんわかる、とか、この本読んでみたい、とか。
    私も本に関わる仕事をしたかったぜ!

    特に四話目の「絵本の神さま」
    紹介されていた絵本は全部うちにある。
    学校の授業で絵本の勉強もしたけれど、今うちにある絵本のほとんどは自分が母になってから買ったもの。
    当時近所にあった本屋さんが、ロングセラーの絵本のほかに、新しくて面白い絵本もたくさん置いていてくれたから。

    本屋さんに「この本はどうですか?」と本を紹介したり、フェアの提案をしたりして、本屋さんと私たち読者をつないでくれる。
    地方の本屋さんに、他店の情報や業界の裏話など、生の情報を伝えてくれる。
    そんな目立たなくて手間のかかる仕事を、主人公井辻君のような営業さんが日々こなしてくれているんだなあ。

    私たち読者が直接接することはないけれど、営業さん、これからもいい本をたくさんよろしくお願いします。

  • このシリーズがあるのは知っていたけれど、成風堂シリーズを読み終わってから…と思っていたら「ようこそ授賞式の夕べに」で井辻くんが絡みまくっているではありませんかΣ(-∀-;)読むの中断して急いで図書館へ井辻シリーズを借りに行きましたよ(;^_^A でも借りてきて良かった!井辻くんの好青年ぶりと謎解きに、すっかりハマった(^o^)そして今では真柴さんと同じく「ひつじくん」と呼んでいます♪

  • 出版社勤務に憧れる(*´`)♡

  • 面白かった!!!
    出版社営業のお話。
    シューカツ中ということで【働く】に対して過敏になっているんだけど、営業の仕事ってこんなかんじなんだなって。
    面白そうな本もたくさん紹介されてて。本への愛が溢れ出している良書。続きも楽しみ。またひとり、いい作家さんに出会えちゃった〜。しあわせ!
    作家という仕事の大変さも垣間見えたんだけど、負けずにふんばって心躍る作品をどんどんだしてほしいなぁ。なんて、図書館専門のわたしに言えたことじゃないけれども。




    *・*・*・

    始めての東北出張で得たものは多い。いつまでも忘れないように。絵本は、智紀にとっても神さまからの贈り物になりそうだ。

  • 大崎梢さんの書店と出版業界を舞台にしたライトなミステリー短編集。収録作5篇はいずれも心に優しくて楽しく読める。中でも「贈呈式で会いましょう」は一生縁のないであろう贈呈式の様子と、単に新人作家のお披露目だけではない裏側が興味深い。「絵本の神様」には思わず泣かされてしまった。

  • なんだか最近同じような設定、同じような印象の本が続いてる気がする…。
    狙ってるつもりは全くないのだが。

    書店に関わる職業といえど、書店員ではなく出版社の営業担当。
    本を売るにあたってあまり光が当たらない仕事内容を垣間見られるのに加えて
    主人公の井辻くんがこれまた杉下右京張り(笑)の洞察力を発揮し、
    事件といえるトラブルから、小さいけれど当事者にとっては深刻な謎まで
    自信なさげに控えめに(爆)解決していくのが読みどころ。
    右京さん、『ビブリア古書堂』の栞子さん、『サンドリヨン』の酉乃さん、そして井辻くん。
    この類い稀なる洞察力を備えた面々の共通項は何か、と考えたところ
    並外れた観察力と、人の話に真摯に耳を傾ける傾聴の姿勢と、
    事象に対する探求心と想像力を少なからず持ってるということに行きついた。
    そして、この種の洞察力を備えているということは
    そもそも人間関係を築くことにおいて外せない要素。
    そういうことを鑑みると、今は頼りないかもしれない井辻くんも
    将来間違いなく優秀な営業マンに育つに違いない。

    『ときめきのポップスター』で真柴さんの謎がちょっとだけ解けたが
    吉野さんとか秋沢さんとかまだまだ謎めいた人たちがいっぱい。
    続きを読むのが楽しみである。
    余談だが真柴さん、井辻くんを『ひつじくん』と呼ぶのはやめてあげていただきたい。
    そもそも人の名前を間違えて呼ぶのは失礼だろう。
    とついつい余計なところが気になったりムカついたりするのがあたしの悪い癖(爆)。

    カテゴリは迷った末『お仕事小説』にした。
    謎解きはあるけど、読後感が殺伐としてないところがいい。

  • 営業の立場から見た本屋さんのstory。
    本屋さんに、出版社サイドの営業さんがどのように関わっているのか改めて知らされた感じ。
    書店員をめぐるエピソードーや、本の紹介を書いたポップの話など興味深かった。
    良い本を紹介してくださいね、と応援したくなってくる。

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著者プロフィール

大崎 梢(おおさき こずえ) 
東京都生まれ、神奈川県在住。10年以上の書店員経験がある。2006年、書店で起こる小さな謎を描いた連作短編集『配達あかずきん』でデビューし、以降「成風堂書店事件メモ」としてシリーズ化、代表作となる。ほか、「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」、「天才探偵Sen」のシリーズがある。
原宿を舞台にエリート出版社員が原宿系ファッション誌担当となるコメディお仕事小説、『プリティが多すぎる』が2018年10月ドラマ化される。カンヌでワールドプレミア開催&アジア各国で同時期放送が決まり、新たな代表作となった。

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