ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)

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  • 東京創元社
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感想 : 323
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025298

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第2弾。
    ビストロ〈パ・マル〉のスタッフの人柄がよく分かる話が多くて、ますますこのシリーズのファンになった。
    この店が実際に存在したら、一人でも気楽に行けそうな気がする。

    普段は無口で頑固な三舟シェフの、料理人としてのプライドがカッコいいし、料理を食べる人のことを第一に考える姿勢も素敵。そして完璧に見えて実はそうでもない隙のあるところや、若かりし頃のフランスでの修行時代の話からシェフの人となりも分かって、前より一層魅力的に思えた。
    だから他のスタッフや大勢の常連客に慕われていて、店が居心地のいい場所になっているのだろう。
    それにしてもスタッフ唯一の女性、ソムリエ・金子さんの読みの鋭さにはいつも感心する。

    『ブーランジュリーのメロンパン』も好き。若きパン職人の女性の、突然の失踪の謎にうるっとなった。お洒落な本格的フランスパンもいいけれど、昔ながらのおかずパンも馴染みがあっていいよね〜。
    そしてシェフ特製のブイヤベース!これは読んでいるだけでもお腹か鳴る!

    パ・マル。
    日本語で言うなら「悪くない」という、どちらかと言えばマイナスに受け止められるこの言葉でとても温かい気持ちになれたのは、三舟シェフの人徳のお陰かもね。

  • 昨日骨折しました。安静を強いられたのがまさに怪我の功名。一気に読むことができました。落ち込んだ心と痛む身体にこの物語は沁み入ります。

  • せつないお話が多い今回。
    錆びるスキレットと逃亡猫。
    似非ベジタリアンのお嬢さんたち。
    かき氷の彼女。
    もちろんニヤリとするお話もあるんだけど、今回はタイトルにもなってるのにヴァン・ショーが出てこない~!
    だからほっこりしないんだわーと悶々。
    最後の最後にヴァン・ショーでようやくホッと一息つけた。
    最後の2編がパ・マルのお話でないのがちょっと残念だったけど。

    「おまえが嘲笑ったのは、あのふたりの客じゃない。料理人としての自分自身だ。」
    やっぱりパ・マルの常連になりたいなー!

  • フランス料理展「ビストロ・パ・マル」を舞台にシェフ三舟が活躍(?)するシリーズ第二弾。
    このシリーズ、一つの章が長くないので軽く読めて読みやすい。今回もほんのり温かい気持ちになれる話が多かった。人の気持ちのすれ違いや、ちょっとした誤解をシェフ三舟が優しく解決する。その三舟といったら長髪無精髭の少し取っつきにくいタイプ…そんなギャップがまた良い。
    パン屋さんの話は少し泣けたし、最後のヴァン・ショーの話も良かったなぁ。このシリーズ、是非続いて欲しい。

  • 三舟シェフのかっこよさ、痺れる
    口数は少なく無愛想だし、何を考えているのかわからないのに、洞察力はすごい

    素晴らしい料理の腕前を持ちながらも、ひけらかすことなく、教えを請うものには遠慮なくそのコツを教える

    「料理人にはなんでもできる。前の客の残り物を使うことも、古い材料を使うことも、安いだけで危険な材料も使うことができる。多少の腕があれば、それを客にわからせないことなんて、簡単だ。だが、だからこそ、それをしてはいけないことなんじゃないか」

    ニュースを賑わせる産地偽装の問題や使い回しの問題などが浮かんだ
    要は、プロとしての矜持なのだ

    このシリーズで初めて出会った近藤史恵さん、ミステリーといっても、そう深刻でなくおしゃれで素敵なお話を書かれるなと思った

    ピストロ・パ・マルで野趣溢れるブイヤベースとヴァン・ショーを注文したい

  • フレンチレストラン「パ・マル」を舞台にした短編集の第2弾。1作目が非常に面白く、期待をして読んだけど、前作とは違い、今回はシェフ・三船の過去の体験談も含まれており、前作とはちょっと違ったテイスト。面白さでは、1作目に劣るが、三船がヴァン・ショーにこだわる理由も明かされ、2作目は2作目で読みごたえがあった。「パ・マル」のギャルソンの「僕」のその後とかも読みたいし、ぜひ続編を書いて欲しい。

  • まずお腹がすきました(笑)
    今回は時間待ちの為に購入して、1時間ほどで読んでしまいましたが、とにかく出てくる料理がおいしそう。近所に似たようなビストロがあるのですが、行きたくなりました(ここはランチでも予約でいっぱいになってしまうのです)

    タイトルのヴァン・ショー。私も好きです。今はアルコールが駄目なので、今回の話を読んで鍋で沸かせば飲めるか、と納得。これを飲むとクリスマスって感じがしますもんねぇ。あったかアツアツはいつの季節だっておいしいものです。
    こういう小さな事件を解決していく物語は疲れた体と心を癒してくれます。
    全部終わったら、近所のビストロへオマールエビのコースを食べに行くのだ!
    それまでガンバ!

  • 今回も面白かった!
    ホットワインが美味しい季節ですね♪
    フランスのこともたくさん知れて、ビストロやフランスに行きたくなってきたな〜

  • フレンチレストランが舞台。
    おいしそうな料理が次々に出てくるのでお腹が減って困る(笑)。気楽に入れるフランス料理店が近所に欲しいなぁ。
    シェフが料理の腕だけでなく観察眼に優れており探偵のようなのも魅力だわ。

  • 「タルト・タタンの夢」の続編です。
    レストラン「パ・マル」を舞台にした日常系ミステリ短編集。
    前作は少し重い感じがしたけれど、今作は少し軽めに感じました。
    さりとて軽いだけでなく、人生のほろ苦さもちりばめられていて。
    ヴァン・ショーを飲んだあとのように、少し渋いながらも、心(のどこか)はほっこり温まるような、そんな感じの読後感でした。

    おいしそうな料理の描写は相変わらずで、おなかがきゅぅと鳴ります。
    近所にこんな素敵なレストランがないのは、ある意味幸いか。もしあったら、常連さんになりそうな勢いです。(お財布がもちません!)


    舞台も、今作はレストランから少し広がった感もあり。語り部が給仕係の高築くんだけでなくなったところが、新鮮味なのかも。(シェフの若かりし頃の話なんて、確かに高築くんが知る由もないですよね)

    特に印象に残ったのは
    「錆びないスキレット」
    「ブーランジュリーのメロンパン」
    「氷姫」
    「ヴァン・ショーをあなたに」かな。
    寡黙で口調もぞんざいな三舟シェフが、猫をうっかり餌付けしちゃったりして(それを志村さんに怒られてしゅんとしてる姿が)かわいらしい一面も。
    終わり2編は、三舟シェフのフランス時代が舞台。
    寡黙ゆえ謎に満ちたシェフの人となりが作者の手によって徐々に明らかになってきました。

    これからも続きが出るなら読みたいです。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『はらぺこ <美味>時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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