アリス殺し (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社
3.54
  • (123)
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  • (68)
  • (21)
本棚登録 : 2155
レビュー : 283
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025465

作品紹介・あらすじ

複数の人間が夢で共有する〈不思議の国〉で次々起きる異様な殺人と、現実世界で起きる不審死。驚愕の真相にあなたも必ず騙される。鬼才が贈る本格ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 複数の人間が夢で共有する〈不思議の国〉で次々起きる異様な殺人と、現実世界で起きる不審死。驚愕の真相にあなたも必ず騙される。鬼才が贈る本格ミステリ。

    ・レビュー

    これ評価★4か★5で迷ったなぁ。まあ4.8くらいだと思っていただければ。個人的にはラストシーンと読者が忘れがちな序盤からの細かな伏線を評価して★5に落ち着けたいと思う。
    さてこれから読む人は注意点がいくつか。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』『スナーク狩り』の知識が基本的な物語の理解に必要になる。もっとも、最低限必要なのは一部の設定とキャうラクターとエピソード。解らない固有名詞出てきたらWikipediaで調べるってやり方でも十分に理解できる。スルーして読み進めちゃうのはあんまり勧められないかな。できれば読む前に三作品のWikipediaに目を通しておくといいのかもしれない。感覚的には『鏡の』の知識が多く必要だったかな『スナーク狩り』に関しても作中では説明がなくてやや不親切だから調べておくのがいい、こちらはアリス好きでも知らない人が多いと思うし。
    中身に関して。この作品は、好きな人と読むこと自体が耐えられない人とで分かれそう。一つは原典に当たるルイス・キャロルのアリスシリーズの言葉遊びとか、会話のナンセンス節が肌に合わない人は、この作品も同じように無理だと思う。そう思う程には原典を踏襲しているというか、オマージュが非常に上手い。不思議の国の住人たちの性格や口調、言動もオマージュしつつ、それでいて連続殺人事件という背景に合わせたオリジナリティを持っている。もう一つ合わないとしたら、結末だろうと思う。結末に関してはあまり書くことはできないが、嫌いな人は嫌いだろう。個人的には大好きな終わり方だった。あとは、アリスに興味がなく、単にこのミスなどを観てミステリ目的で読んでみたという人はアリス系の知識がないかもしれない上にいちいちアリスを絡めてきて下手をするとSFともとれる設定でどこがミステリなんだろうと思うかもしれない。正直なところ、このミスは当然商業目的でもあるのであまり本格を期待すべきじゃない……と思う。でも僕は個人的にはこれはしっかりミステリであるとは思う。未読だけれど『生ける屍の死』のようにあえて現実世界にはありえない設定下でロジックを組むのはルールだと思って受け流してしまうのがいいのではないか。
    その特殊な設定なのだけれど、読者は現実世界と不思議の国を交互に読んでいく。登場人物は現実世界と不思議の国で相互リンクしている。不思議の国で死んだものに対応する現実世界の人間が死ぬ。これが最初なかなか戸惑うところだけれど、50ページくらい読めば慣れるとは思う。慣れれば面白い。前述の苦手ポイントをクリアした人なら(笑)
    絶対騙されると謳ったミステリである以上、当然トリックが仕込まれている。ところがミステリ好きなら違和感はミスでなく伏線であると勘が働くので正直気づく人は気づく。レビューを読んで見ると、気づいたつもりだったけど騙されたという人が多かった気がするから、騙されたくなければ油断せずに読み進めるといい。最初に書いたけれど、読み終える頃にはすっかり忘れてしまっている伏線がすごく多い。二度読むと、一度目にはミスリードにひっかかっていたということがよく分かる作品。ただし一度目に読み終えた時にはミスリードをミスリードと気づいていないからそんなに沢山伏線があったとは思わないようで、評価を下げている。一度目で納得したことは作者に「真の目的とは別の論点で納得させられた」ことであると思ったほうがいい部分がいくつかある。亜理やアリス、井森やビルの発言なんかは特に遠回しだから煙に巻かれる。気になった人は二度読んでみてもいいかもしれない。詳しいネタバレレビューを書いてる方のブログなんかでも確認できるかもしれない。
    順調に騙された人は終盤感心すると思う。清々しいほどに騙される人は多いかもしれない。トリックを全部見切った人も別の視点で驚くかもしれない。そして全てを看破したとしても設定が設定だけにそこそこ楽しめるんじゃないかなと感じた。エンターテイメント性というか実験的にミステリを変わったやり方でやってみたという雰囲気があって楽しく読むことができた。
    ダークファンタジー的な雰囲気のある二つの世界の平行殺人事件、アリス好きは一読の価値あり。

  • 独特な世界観で起こる殺人事件。
    頭のおかしい登場人物達の会話には苦労しながらも、楽しく読めました。
    "絶対に騙される"というキャッチコピーに「ほぅ、随分と強気だなそこまで言うなら…」という感じで読んだのですが、いつの間にか夢中になって読んでいて、最終的に見事に騙され本気で悔しかったのを覚えてます。今まで読んだ中で一番「騙されたぁぁぁぁ!!」っとなった本なのでオススメです。ぜひ騙されて悔しんでください。

  • 主に会話文で進められる、ミステリーの様なファンタジーの様なホラーの様なSFの様な話。
    不思議の国での会話は見事に本家を踏襲していて、混乱するしたまに苛立ちもしながら、読み手までが不思議の世界に引きずり込まれた感覚になる。
    グロ描写は苦手なのだけれど読み進める事が出来たのは会話の軽妙さに加えて、それをされているキャラクター達が意外と淡々としているせいかもしれない。どこかファンタジックで作り物というか虚構っぽいのであまり生々しさを感じなかった。

    似た様な会話が繰り返される中で伏線の見落としがないように割と注意して読んでたつもりだったのに、しっかり騙された。終わり方は賛否両論有りそうだけれど、このしてやられた感が爽快だったのでミステリーとして満足出来る。

  • 「不思議の国のアリス」をモチーフにした、奇想天外なミステリ。雰囲気や馬鹿馬鹿しい会話の応酬が「不思議の国のアリス」ファンにはもうたまりません! でもオリジナリティもしっかりとあります。そして本格ミステリ度もかなり高いぞ。
    「不思議の国のアリス」ファンからすれば、不思議の国で起こった事件の犯人はすぐに分かってしまうなあ。あの勘違いは原典でもあったことだし。だけど、そんなのは全然問題じゃない! ラストの展開にはひたすら愕然。慌てて伏線を拾いまくりました。
    不思議の国での凶器も面白いなあ。まさかあんなものやこんなものを使っちゃうだなんて! 事件の数々や犯人の末路は実に凄惨なのだけれど、なんせ不思議の国なので。どことなくユーモラスです。

  • 不思議の国の住人たちとの会話に何度も笑わせて貰った!
    ミステリーとして読んでいても面白く多少強引な感じもするが全体的に良く纏まっていたと思う。小林泰三らしいブッ飛んだ感じも健在でラスト少しグロテスクになって行くが其処がまた良いです!
    「不思議の国」と「地球」の二つで起きている殺人事件や其れに関するルール等は中々面白かったです。すんなり読めるしお勧めです。

  • 現実と夢が繋がっているという設定が面白くて、結末が気になるので一気に読めました。
    言葉の選び方も不思議の国のアリスっぽくて、不思議の国の雰囲気が好きな自分的には楽しめた。
    また会話の回りくどさのせいか、あまり推理する気になれなくて、誰が誰なのか数人勘違いしていました。不思議の国らしい会話も真実から背けるのに一役買っているのかも。
    ただ死ぬシーンの書き方が細かくてグロい。特に最後のは痛そうで読んでられなかった。この作者の本は初めて読みますが、ミステリーよりグロを書きたいのかなって印象を持ちました。

  • こんな小説読んだことない。
    このオチは確かに分からんわ。
    ていうか本当にアリス死ぬんだね。

    この世界が夢か現実か
    どっちがどっちで
    誰が誰なのか
    設定が斬新でおもろすぎる。

  • ムカシ読んだ「ダークグリーン」っていう漫画を思い出しつつ読む。懐かしい。

    「不思議の国のアリス」のあの世界と現代?の大学とが微妙に混じりありながら話が進む。
    奇天烈でイライラヒヤヒヤするワンダーランドの会話がたまらない。会話のテンポ、内容がハマリすぎてニヤニヤしてしまう。
    「ただの毛玉」とか。

    「わたしはどちらも殺していない」
    「どうしてそう言い切れる?」
    「だから、理由がないでしょ」
    「理由は君がシリアルキラーだから」
    「だから、その根拠は?」
    「**と**を続けて殺しているから」
    「殺してないって言ってるでしょ」
    「どうしてそう言い切れる」
    「だから、理由がないでしょ」
    「理由は君がシリアルキラーだから」

    事件の犯人も気になるけれど、誰が誰なのかが更に気になる。その混沌さがじんわりと面白い。
    ただ、グロテスクなシーンが多すぎる。
    ここまで描く必要があるのかなあ。

  • [内容]
    複数の人間が夢で共有する〈不思議の国〉で次々起きる異様な殺人と、現実世界で起きる不審死。驚愕の真相にあなたも必ず騙される。鬼才が贈る本格ミステリ。

    --
    表紙とあらすじ買いしたもの。
    予想以上にグロい。普通に色々と詳しく描写してくれるので想像力が豊かな人は結構ウッと来るかもしれない。
    ちょっとホラーチックなミステリだけど、不思議の国のアリスモチーフも手伝って、夢の世界と現実でのリンクの仕方とか、随所の会話が面白い。急展開が後半に待っていて思わず一気に読んでしまった。面白い。

  • 「不思議の国」の住人が順に殺されていく。容疑者は「アリス」――「不思議の国」で殺された人間が「現実世界」でも次々と死んでゆく・・・。二つの世界がリンクしつつ、物語は意外な方向へ。

    ほぼ会話で物語が進む。『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を読んでないと少しわかりづらいかもしれない。
    ラストに近づくにつれてどんどん現れてくる残虐な描写が書きたくて、この物語が出来ているのではないかと思える程だが、『不思議の国のアリス』の世界の奇妙さ・不条理さが物語の隅々まで行き渡っている。

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門を受賞。『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他の著書に『人獣細工』『肉食屋敷』『家に棲むもの』『脳髄工場』『忌憶』『臓物大博覧会』『人造救世主』など多数。

「2016年 『失われた過去と未来の犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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