クララ殺し (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 804
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025502

作品紹介・あらすじ

大学院生・井森はある夜、緑豊かな牧草地の世界に迷い込む。夢の中では間抜けな蜥蜴・ビルになってしまう井森は、そこで車椅子の美少女・クララと「おじいさん」と呼ばれる男に遭遇する。翌朝大学に向かった井森は車椅子の少女・露天くららに出会う。彼女は何者かに脅されているため、大学教授のおじ・ドロッセルマイヤー教授に助けを求めてやって来たという。彼女のために脅迫犯捜しに乗り出した井森だが……『アリス殺し』の姉妹編登場!

感想・レビュー・書評

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  • 『アリス殺し』での世界観を知っていたので衝撃は少なかったが、2つの世界で立て続けに起こる事件で一気に読んだ。相変わらずのグロテスクとねじれた倫理観でやりきれないが、ビル/井森とホフマン宇宙人達とのとぼけたやりとりは楽しかった。

  • '21年7月10日、読了。「アリス」に続き、小林泰三さんの作品、5冊目。

    僕には、「アリス」よりはこちらの方が、楽しめました。種本「くるみ割り人形〜」他は、読んでませんでしたが。

    冒頭のビルの「迷子」っぷりなんか、かなり笑えました!少し、心配にも…。
    あと、全体的には「アリス」同様、popに世界が表現されていると感じましたが、登場人物たちの底辺にうごめく「ある感情」を感じられて、その辺は前作「アリス」よりも、僕には重かったかな。

    仕掛けが幾重にもなっていて、アタマがかなりこんがらがりましたが、まあそれも楽しみながら、読み進みました。

    表紙を開いて、主要登場人物をチラッとチェックすると、そこになんと!「新藤礼都」が!好きなキャラなので、俄然やる気(?)が!そして、なんと!途中から「徳さん」まで登場!まあ、小林さん以外でも、よく作家さんが使う手法ですが…お馴染みキャラ登場は、楽しいものですね。

    でもこれって…「小林作品を読むのが本作が初」なんて方なら、どうなんだろ?「これ誰?」とかなってロクに説明もないから、「?」ってなって、疎外感(←大袈裟?)を感じたりしないかな?僕も「記憶破断者」のある女性に「???」となったのを、思い出しました。まあ、その感じが「この人の他の作品も!」って繋がっていく動機にも、なるんだろうけど。

    さあ、次は何を読もうか…

    • まーちゃんさん
      111108さん、こんばんは。いつも「いいね」、ありがとうございます。

      小林泰三さんの小説、5作目なので…詳しくはわかりませんが、他作にも...
      111108さん、こんばんは。いつも「いいね」、ありがとうございます。

      小林泰三さんの小説、5作目なので…詳しくはわかりませんが、他作にも登場します。

      例えば、というか…あまり知りませんが、中山七里さんとかも、よく使う手法?ですよね。知ってれば、楽しめるんだろうけど。

      僕の感想が、111108さん他、キッカケになってくれたら…嬉しいです。僕も、そうやってキッカケをもらってます。

      ありがとうございます。
      2021/07/10
    • 111108さん
      なるほど‥中山七里さんは未読ですが、わかります。なんか嬉しい気持ちになりますよね。

      「徳さん」は好きなキャラだったので他作で会えたら嬉しい...
      なるほど‥中山七里さんは未読ですが、わかります。なんか嬉しい気持ちになりますよね。

      「徳さん」は好きなキャラだったので他作で会えたら嬉しいです!
      ありがとうございます♪
      2021/07/11
    • まーちゃんさん
      こんにちは。
      「徳さん」が出てきて、重要な役割をはたす…僕が読んだ中では、「記憶破断者」がそうでした。未読でしたら、是非!
      こんにちは。
      「徳さん」が出てきて、重要な役割をはたす…僕が読んだ中では、「記憶破断者」がそうでした。未読でしたら、是非!
      2021/07/11
  • 前作に比べて馴染みづらい題材ではあったけど、面白かった。初っ端から「え!?なんで井森がいるの?」って思ったけどラストまで読んで納得。なるほど、そういうことか。

    正直今回は井森がちょっとあほっぽかったのでそれもトリックの一部かと思っていたけど、トリックとか関係なくただ3回殺されただけだった。

  • アリス殺しに比べグロさはなくあっさり読める作品に感じた。
    ホフマンの作品にあまり馴染みがなかったのでそれぞれの人物ぞが掴みにくかったけど最後にホフマン作品の簡単なあらすじがあったおかげでモヤモヤせず読了することが出来た。

  • 終わりのほうはもはや誰が誰だから全くわからない
    だからといってもう一回読む気はしない

  • 前作のお陰で免疫付いてるとは言え、相変わらず世界観が力技だし、その中で常識は通じないし、登場人物の会話は捻くれ過ぎていて混乱するし。
    なのに散りばめられたミスリードが上手くて、真相を把握したいが為に頁を繰る手が止まらなくなる。
    作品内のルールに則ってカチリとピースが嵌まるので、ファンタジックなのに反則感があまりないのが凄い。

    少し読み進めればすぐに「別の物語」だと分かるけど、今回はタイトルとあの最初の登場の仕方がもう狡過ぎる。
    私は元ネタを知っているから登場人物の名前や関係も入り易かったけれど、「アリス」よりも認知度低い物語なので読んだ事なかったら混乱しそう…。

    前作よりグロ度は控えめ。
    連載中らしい三作目「ドロシィ殺し」がどんな物語になるのか、今から楽しみ。

  • 小林泰三さん大好き人間の感想なのであまり当てにしないでください。

    前作の『アリス殺し』に続き、アーヴァタールと自身の相関関係がぐちゃぐちゃで読んでてほんとに飽きません。

    最後、
    「スナークは」
    「ブージャムだった」
    世界ががらりと変わった。

    この『アリス殺し』から続くフレーズが出てきた時、鳥肌がすごかったです。このゾワゾワ感を味わうために読書してると言っても過言ではない。

  • 前作『アリス殺し』ほどの新鮮さはないが、しかし続編としてもミステリとしても良くできている。読みやすさも評価できる。ホフマン作品を知っていれば、さらに楽しめるのかもしれない。

  • 大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向うでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが……。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム!

    初見で車椅子のクララ、おじいさん、山脈とくればアルプスの少女だろうと思いこんだけど、関係なかった。ハイジとか出てくるかと思ったのに。
    クルミ割り人形の方だったか、ホフマン宇宙なんて言い出すから何かと思ったけど、作者縛りなら納得。ただ不思議の国よりもさらに原作を知らないせいでネタはさっぱりだった。
    とはいえ、前作では相棒的な位置だった井森/ビルが今回は主役。不思議の国から迷いでるなんて有りなのか。
    前回同様今回もアーヴァタールによるミスリードが鍵だった。ただ前作ほどの驚きはさすがにない感じ。
    不思議の国の住人だからこその、あの理不尽でまどろっこしい会話劇なのだと思っていたが、ホフマン宇宙も十分にカオスだった。ドロッセルマイヤー達が簡単に相手の体をバラしたり頭をイジったり出来る時点で何でも有りな気もする。
    井森は完全に巻き込まれただけで三度も殺されるなんて理不尽すぎる。
    スキュデリが本当に頼もしくて良かった。ビルの扱いもとても上手いし。ああやって上手く窘めてくれれば、ビルの事も可愛らしく感じられる。
    ラストで前作と同じ会話が発生したけど、すでにリセット後なわけだし、ビル不在の状況で亜理はいったいいつ合い言葉を知ったのだろう?それとも流れが違うから今度はアリスを助けるじゃなくビルを助ける流れにするのかな?

  • アリス殺しの続編!ハイジのクララかと思いきや、全然違いました。車椅子で登場したからてっきりそうかと(笑)
    今作は途中で、誰が誰のアーヴァタールかちょっと混乱しました。意図的に作り上げられた偽者には全く気がつかなかったです。

    ビルは相変わらずなキャラで笑ってしまいましたが、井森の印象も変わりました。今回は抜けすぎ!そんなに頼りなかったっけ⁈と笑いました。

    最後に、「スナークは」「ブージャムだった」が出てきたので、また不思議の国に戻ってさらに飛ばされてくれないかな…と思ってます。

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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