屍人荘の殺人

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 301
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025557

感想・レビュー・書評

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  • なるほど、確かにこういう形でクローズド・サークルということの本質を知らされた気がする。読み終えた段階ではどことなく違和感があったけども、その違和感の正体を最後の解説の部分での指摘を受け、あぁそうかそうかと。だけども、個人的には本筋じゃないの方の事件についても決着はつけて欲しかったと気もする。でもそこまでやると、複雑すぎるんかなぁ。

    個人的には最初の調査報告書は必要なのかどうかっていうところなんだけどもねぇ。それが本編とさほど関係ないというか、単なるクローズド・サークルを成立させるための枠組みに過ぎないというところが、ちょっと違和感から不満につながる気がしている。ただ、それもミスリードを誘う筆者のねらいなんだろう。そういう意味でまんまとやられたんだな(笑)

    全体としては読みやすかったし、面白かった。

  •  第27回鮎川哲也賞受賞。つまり、デビュー作であるが、年末3大ランキングを全制覇。評判はずっと気になっていた本作を、ようやく手に取ったわけである。これから読む予定がある方は、以下の文章には目を通さない方がいいだろう。

     本格ミステリのトリックは出尽くしたとは、よく聞く話である。作中のある人物たちも、そのような会話を交わす。曰く、現代の本格ミステリは、それらの組み合わせである。本作もまた、組み合わせの産物には違いない。

     「雪の山荘」的なシチュエーションであるが、クローズド・サークルを形成する手段がすごい。「雪の山荘」と、○○○。どちらもありきたりなモチーフなのに、組み合わせるだけでこんなに斬新に感じられるとは。そう、組み合わせは無限大。このアイデアだけで、本作の成功は決まったようなものである。

     と、思い出した。本格ミステリと○○○の組み合わせならば、あの伝説的作品があるではないか。もちろん、作品名は明かせない。著者の今村昌弘さんが、その作品を知っているかは不明だが、両作品には、共通する精神がある。

     ○○○が出てくるという非現実の世界であっても、ルールが厳密に設定され、なおかつそのルールを逸脱していなければ、本格ミステリとして十分に成立する。実にフェアだ。しかも、両作品ともデビュー作なんだよなあ。

     このような、一見奇をてらった設定だからこそ、成立し得るトリック。ひねりすぎても納得性が薄れてしまう。なるほどなあと読者に思わせる程度に、この設定を活用している。少々意地悪く言うと、この真相はびっくり仰天というほどではなかった。しかし、さじ加減が抜群にうまい。老獪ですらある。

     もっとも、バランスがよすぎる点に、不満を感じる向きもあるだろう。僕自身、知らずに読んだら、新人の作品とは思わなかったかもしれない。読者とは勝手なもので、新人の作品には、完成度よりも勢いを求めがちである。

     本作は、『ミステリが読みたい!』だけは、なぜかランク外であった。投票者が本作を外した気持ちは、わからなくもないかな。

  • 「このミステリーがすごい!」、「本格ミステリ・ベスト10」、「週刊文春ミステリーベスト10」、何れも一位を獲得した第27回鮎川哲也賞受賞作。
    映画研究会の夏合宿で起こる連続殺人。奇抜なクローズド・サークルに唖然とさせられましたし、それを活かした謎解きも巧妙。力むことなく読者に読み易い工夫を凝らしているところも好印象で、三冠も納得の怪作だと思います。

  • Twitterで話題になっていたので推理もの好きのとしては要チェック!と、久々にハードカバーで買いました。
    まさかの展開の感想は恐らくみなが感じているのと同じで、それを違和感なく本格推理ものに仕上げているのがさすがでした。
    ワクワクする舞台設定、さりげない伏線、思わせぶりなミスリード、意外性がありつつもフェアなトリック、業を背負った名探偵…推理ものに必要な要素がきっちり詰まっている良作です!

    語り口はとってもライト。
    あと個人的に最近○○○ものにもハマっているのでタイムリーでした。

    読む前に奥付を見たときに右ページの参考文献を目にしてしまったことだけは後悔(笑)。
    前情報なしで驚きたかった!

  • 中盤から一気に引き込まれた。
    突飛なアイデアによる環境設定とフーダニット・ハウダニット・ホワイダニットを全て繋いでいく推理過程の切れ味が凄い。

  • とにかく面白いです。一気に読み切ってしまいました。
    宣伝文句にもあるように、ネタバレする前に読んだ方が良いと思います。
    (ただ、仮にネタバレを食らってから読んだとしても面白いと思います)

    何を書いてもネタバレになりそうですので、人に勧めたり感想を書いたりしにくいです……なのでブクログのコメントもこのへんで……

  • 鮎川哲也賞受賞作品とあるからにはある程度のレベルに達しているはず、との期待はまずまず裏切らない出来。しかし、クローズドサークルの原因にアレを持ち込むとは、あと1歩でバカミスになる危険もあった。
    班目機関、陰謀、細菌テロという大げさな道具立てもただただアレを引っ張りだしてくるためであり、密室状態での連続殺人のハウダニットを際立たせるためだった。
    その試みは成功している。
    その代わり、ホワイダニット及びフーダニットは相対的に弱い。この動機?この人間関係でここまでする?
    語り手の葉村が震災被害者であるという設定も生かし切れていない。
    名探偵剣崎比留子は、二階堂黎子そのもので、目新しさがない。
    と、色々欠点はあるもののアレの怖さに失笑しながらも、先の展開を楽しみにして読んだのだから、ミステリ作家スタートに十分合格だ。
    しかし…アレ、ねえ…笑

  • 鮎川哲也賞受賞作。
    クローズドサークルといえば、嵐の山荘や絶海の孤島を舞台にしがちだが、この著者は独自のアイデアで「外部との遮断」を創り出している。まずそれが素晴らしい。その状況にトリックを絡めているのも良いし、フーダニットのミステリとしても巧く出来ている。「受賞の言葉」で、本格ミステリに傾倒していなかったと書いてあるが、それが謙遜で無くてこれだけ書けるのなら、もう才能と言うしかないだろう。これは傑作。星4つ半にしたくなる位だった。
    一つ不満を言えば、今作は一人称文体で、記述者が自分の事を「俺」と表記しているが、丁寧な話し方や純朴な感じが「俺」では合わないと思った。ここは「僕」じゃないか?
    いづれにしても、今後大化けしそうな予感のするデビュー作だった。次作が大いに楽しみ。

  • これこそ本格の面白さ。設定は少々奇抜なもののフェアだしロジカルにまとまっていて目立つ齟齬は見当たらない。
    前評判のせいで期待が大きくなりすぎたがさほど裏切られなかった。そちらよりネタバレ気味のツイートのせいで綺麗にミスリードに引っかかった。

  • すごく人気だし、王様のブランチでの特集で「得体の知れない生物に取り囲まれて、、、!」みたいな煽りだったからもしやゾンビとか?と思ったら本当にゾンビだった。勝手に予想した自分のせいだけど、なーんだ!その程度か!と勝手に落胆してしまった。
    それと、わざとだと思うけど語り口調が古めかしくて、最近の作品??と不思議になる。典型的なミステリ口調というかなんというか。ただ、登場人物の名前が特徴を捉えていて非常にわかりやすく、覚えるのと楽チンでそれがありがたかった。
    犯行トリックとか結構すぐ気づいちゃったし、斑目機関のことが全然わからなくてあっさり終わってもったいないなーと。多分期待し過ぎたせい!

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