屍人荘の殺人

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 2523
レビュー : 395
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025557

感想・レビュー・書評

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  • クローズドサークル好き、新本格好きとして手に取らずにはいられなかった。

    これは、面白い。
    典型的なクローズドサークルに、
    ○○○を組み合わせることがとにかく新しい。
    周囲と連絡がとれない、脱出できないだけでも恐怖なのに…もしかしたらこれ、最も恐ろしいクローズドサークルなのでは。

    設定も事件も犯人の動機もちゃんと本格。
    キャラクターはありきたりだが、謎解きがしっかりしている。
    ○○○を上手く使ったトリック。
    特に最初のは………と、これ以上書くのはやめとこう。

    欲を言えば後日談がもう少しほしかった。
    シリーズ化されるといいなぁ。

    面白さ100点。

  • 神紅学園ミステリー愛好会の明智と葉村、探偵少女の剣崎は同学園演劇部、映画研究部とそのOBのメンバーは、紫湛荘で行う合宿に同行する。
    夜の肝試し中に大量のゾンビに襲われ、メンバー4人が行方不明になる(明智も葉村の目の前でゾンビに襲われた)。そのゾンビは格好から推察するに、近くで行われていたザベアロックフェスの参加者で、生物兵器に感染したようであった。
    残されたメンバーは、紫湛荘に立て籠もることを決意し、外部からの侵入を防ぐバリケードを作り、夜を過ごしたが、映画研究部長の進藤が部屋で喰いちぎられた状態になって発見される。進藤の部屋の外から「ごちそうさま」と書かれた紙が差し込まれていたことから、現場は二重の密室であったことが判明する。すなわち、人間は密室が突破できるが、喰いちぎる方法で殺害できず、逆にゾンビは殺害できるが、密室を突破できないという侵入方法と殺害方法の2つの条件をクリアしなければならない密室殺人なのであった。
    次に神紅大学OBの立浪、七宮が殺害される。立浪は部屋から運び出され、エレベーターで発見され、部屋に閉じこもっていた七宮は毒殺されていた。
    進藤の部屋を捜索していた剣崎は、布団の両面に血痕が存在しているのに気づき、彼が恋人でゾンビに噛まれてしまった星川を皆に隠して匿っていたと知る。彼の看病も虚しく、ゾンビとなった星川に殺されたのであった。それを知った犯人は、扉に紙を差し込むことで、犯人像の撹乱に利用したのである。すなわち、第1と第2、3の事件では犯人の意図通りに人が殺されたものの、犯人が異なっていたのであった。
    犯行を行った映画研究部1年の静原は、昨年の合宿でOBの七宮らに手を出されたのち、自殺した遠藤の恨みを晴らすために犯行に踏み切ったという。周りがゾンビに囲まれるという非常事態に直面したが、偶然を悪魔的な閃きで利用し、目的を達成したのであった。

    情報統制により電波が繋がらず、周りがゾンビに覆われて封鎖された宿というクローズドサークルが舞台であり、タイトルからも分かるように本格派のミステリーとなっている。第27回鮎川哲也賞受賞作で本格ミステリーの安定感がある。
    エキセントリックな性格の明智先輩、謎に包まれた剣崎比留子という美少女など個性的な登場人物と一人称で描かれる冷静な主人公葉村のおかげで、時には笑みを浮かべながら、時には客観的に情景を思い浮かべながら、すらすらと読み切ることができる作品である。
    登場人物が多いものの、途中で整理するシーンがあり、読者に優しい。また、あらゆる可能性を剣崎が一つずつ潰していくという論理的な推理がなされており、読者に理解しやすいような工夫がされているといえよう。
    犯行について一言。単独犯の連続殺人であるが、第1と第2、3の犯行は殺害した者が異なるというのはおもしろい。ゾンビという得体の知れない存在が可能性を膨らませる役割を果たしているのであろう。
    バイオテロの詳細は明かされていないが、エピローグで葉村と剣崎が続きを仄めかしていることから、今後彼らが解明に挑んでいくと思われ、次の作品を心待ちにしたい。

  • こんなクローズドサークルありかよ!でも、面白い!
    現実に存在するわけないのに現実に在るような。とても新しい。ネタバレとか事前情報を入れないで読んだ方がいい。
    所詮ミステリはファンタジーってことを思わせるトリックとストーリーだった。一部の人にはとても響きそう。
    「好き!」と思った人物がいたのに活躍乏しいので、もっと頑張って欲しかった。

  • やばい。面白すぎる!
    確かにネタバレ・予備知識なしで、読んだ方が面白い。これはめちゃくちゃ良い設定。
    クローズドサークルの典型的な構成にまさかのエッセンスを加えて、最高のトリックで、howとwhyで最高の提示ができている。whoも最高の構成。
    ミステリーに素晴らしいガジェットを加えた最高傑作間違いなしだな。もう使えないけど。

  • 『Why done it?
    犯人は何故、犯行に及んだのか』

    内容は敢えてふれずに。。。とにかく面白かった!
    本屋大賞ノミネートの中で、私のイチオシ作品です。

  • 「このミス」1位を始め、デビュー作が前代未聞の三冠、という華々しいキャッチとともに各書店でドバーンと推し出されていたので手に取ってみたが…。
    どこかラノベっぽさがある書き出しに少し萎え気味のところに、まず以てディテールが甘い。
    関西の私大生たちが多数登場するという設定の物語でありながら、なんで全員揃いも揃って標準語?
    もちろん大学には全国から人が集まりはするが、私大で、これだけの人数がいながら地元出身が1人もいないというのはありえなく、関西の大学に通った経験がある身としては、そういう細かくも重要なところを蔑ろにする人なのかな、という疑念がまずここから膨らんだ。
    1つ粗さが気になると止まらなくなるもので、大学生がビジネスホテルに泊まり慣れてるわけねーだろとか、今時ラジカセってなんやねんとか、震災って一言で言うけどどの震災やねんとか、とにかくツッコミどころが目についてしまう。
    肝心のプロット、トリックについても、クローズドサークルものとゾンビものを組み合わせたところが評価されているようだけど、それが有機的かつ効果的な化学反応を起こしているとは到底私には思えないし、それぞれの描写は極めて類型的かつ凡庸な完成度で、バイオテロに関しては何も回収されていない。
    登場人物たちの行動心理も共感できない箇所がとても多い。
    なぜ生命が脅かされている極限状況でラノベめいた妄想が生まれるのか? SOSを求めるより先に時間を割いて真相披瀝の演説があるのか?

    この1年間に発表された新人のミステリーがそれほど不作だったのか、こうして注目新人を作り出さなければいけないほど出版界が危機に瀕しているのか…。

  • 明智が好き

  • 驚天動地、本当に見たことないミステリーでした!クローズド・サークルを作り上げた驚きの設定、そして悪夢のように連鎖する出来事、もう見事でした!奇抜な設定なのに、謎解きは実に理にかなった美しいもので、恍惚とする収束です。あとこの作品、読者にすごく親切ですね!

  • 普段は「どうせ考えても犯人もトリックも分からないし」とミステリはあまり読まないのですが、評判がとても良かったので読んでみました。
    面白かったです!
    ミステリとこれを掛け合わせるとは!!
    気に入っていたキャラが途中退場してしまい、最後までもしかしたら戻って来てくれるかもと期待していたのですが…。

  • 評価が分かれている作品なのであまり期待せずに読んだが、なかなか楽しめた。
    よくあるクローズドサークルと思っていたらその閉じ方があまりに斬新。斬新過ぎて冷める読者もいるかと思う。
    しかしこの荒唐無稽状況を利用した殺人という意味では楽しめたし、そのロジックも面白かった。
    ここで語られるのはその連続殺人についてのみ、荒唐無稽部分やその後についてを一切切り捨ててしまう(ついでに言えば如何にもな探偵キャラのあの人すら)潔さも、これはこれで良いような気がする。
    しかしデビュー作でこんな作品を出してしまうと第二作はどうするつもりなんだろうと余計な心配も。この路線で行くのか、はたまた所謂本格路線に行くのか、そんなところも気になる。

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著者プロフィール

今村 昌弘(いまむら まさひろ)
1985年、長崎県生まれ。岡山大学医学部保健学科卒業後、放射線技師として勤務。29歳で退職し、執筆活動に専念。2017年『屍人荘の殺人』で鮎川哲也賞、本格ミステリ大賞、を受賞。ほか、SRの会年間ベスト第1位、「このミステリーがすごい!2018」第1位、「2018 週刊文春ミステリーベスト10」第1位、「2018 本格ミステリ・ベスト10」第1位、第15回本屋大賞第3位、「キノベス!2018」第2位ときわめて高い評価を受けた。
『屍人荘の殺人』は他にも、2017年度エアミステリ研究会ランキング第1位、名古屋大学生協による南部書籍大賞、福井県のみそ店「米五」の社員が選ぶ「味噌屋大賞」などにも選ばれている。

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