屍人荘の殺人

著者 :
  • 東京創元社
3.65
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本棚登録 : 6893
感想 : 967
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025557

作品紹介・あらすじ

神紅大学ミステリ愛好会に所属する葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究会の夏合宿に興味を抱き、同じ大学に在席する美貌の探偵、剣崎比留子と共に紫静荘を訪ねた。“曰く”など気にする風もない部員たちは、肝試しと称し神社に赴くが、想像を絶する異常事態に遭遇し紫静荘に立て籠もることを余儀なくされる。緊張と混乱が続くなか一夜明けると、部員の一人が惨殺死体となって発見される。それは連続殺人の序章に過ぎなかった――。究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?! 奇想と本格が見事に融合する選考員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • テンポが早くドキドキが付いて回り続ける臨場感溢れるゾンビパニック物と、終始暗い色味でゆっくりと物語を踏み締め進んでいくハラハラのクローズドサークルの融合。相反する要素が重なった時どんな化学反応が起きるのか楽しみ楽しみ。

    結論、トリック含めこの二つの融合じゃないと出来上がらない、素材を全く無駄にしていない素晴らしい構築だった。畳み掛けの後半戦となる、ゾンビ物お約束、 バリケード崩壊からの屋上避難に心拍数が跳ね上がる。さらにミステリーお約束のトリックの解明からの犯人特定が重なるのだ、血圧が心配になる。

    しかし、犯人の動機含め、「顔を合わせるトリック」の為だけにチョロ出しされてた災害のくだりと変なプライドをいきなり発揮させる主人公よ。
    それ故に犯行の全貌が明るみに出てしまったんだぞ!これは腑に落ちない。

    そしてホームズの悲劇を忘れてはいけない。ワトソンとは生還と対立どちらでの再会になるのか楽しみにしていた。読者は皆楽しみにしていたと思う。結果は... 言わせないで欲しい。悲しい結末に嘆いているのではなく、なんかオマケみたいな扱いで悲しくなってしまった。

    そもそもの始まりである斑目機関のとてつもない研究についても触れてくれない。色々モヤモヤが残されている。続編を読むとまた色々な事がわかって面白いのだろうか。期待を込めて次を楽しみにしよう!

  • R3.5.8 読了。

     ミステリーとパニックホラーが混じった作品。ミステリー部分は面白かった。パニックホラー感をもっと出してほしかったなあ。

  • 良いです!

    「絶対読みます!」と息巻いた『自由研究には向かない殺人』が読めていないな〜と思いながらなんとなく眺めていたautumn522akiさんの本棚で★5だったので読んでみました

    良い!そして新しい!
    このクローズドサークルには賛否あるようですが自分は賛です!圧倒的賛です!
    そしてミステリー好きを代表して(勝手に代表すな)認めます、この作品は紛うことなき本格ミステリです

    そして本格ミステリというのも時代とともに変化していいと思うんですよね
    わかりやすく言うとプロ野球の投手でいえばオーバースローで剛速球をびしばし投げ込むのを本格派と称しましたが、今の近代野球ではストレート一本で打者を抑えるのは難しいですのでストレートで勝負するのはもちろんですがそこに多彩な変化球が加わわっても本格派と言われるような
    (出た!わかりやすく言うとと前置きしといてわかりやすくないやつ)

    ま、厳密に言うと本格派ミステリと言うよりは本格派ミステリのパロディという臭いもしてますが…

    それにしても出尽くした!と言われて久しいミステリー界ですがなかなかどうして新しい発想を持った作家さんたちがまだまだ楽しませてくれそうです

    • kuma0504さん
      そうか、夢の161キロを投げる大谷がスプリットなどの変化球を使い分けるという現代。恐ろしい時代になったものだ。
      そうか、夢の161キロを投げる大谷がスプリットなどの変化球を使い分けるという現代。恐ろしい時代になったものだ。
      2022/04/16
    • ひまわりめろんさん
      autumn522akiさん
      こんにちは

      本作はこの設定でちゃんとしてるwってのが肝だと思うんですよね
      もういたれりつくせりと言っていいく...
      autumn522akiさん
      こんにちは

      本作はこの設定でちゃんとしてるwってのが肝だと思うんですよね
      もういたれりつくせりと言っていいくらい
      とても面白かったです
      出会いをありがとうございました

      これからも熱のこもったレビュー楽しみにしていますよ!
      2022/04/16
    • ひまわりめろんさん
      kuma0504さん
      こんにちは

      そうなんですよ!ミステリーも新しいそしてそら恐ろしい時代に突入したってことを伝えたかったんですよ!(後付...
      kuma0504さん
      こんにちは

      そうなんですよ!ミステリーも新しいそしてそら恐ろしい時代に突入したってことを伝えたかったんですよ!(後付け感がひどい)
      そして佐々木朗希のようなミステリーの登場を待ちましょう!(どんなミステリーやねん)
      2022/04/16
  • 単純にミステリものだと思っていたら、違うジャンルとのコラボだったので驚いた。
    まさか現代日本でこれをやるか。
    そして二重の密室状態で起こる殺人。
    ”内側”と”外側”の両方でハラハラした。というか、正直”外側”が気になって推理に集中できなかった。怖い!!
    色んな意味でどうなってしまうのか気になって一気に読み終わった。

    キャラクターが良くて、主人公たちの掛け合いがシリアスの中でも和ませてくれた。
    それなのに…しかも最後…
    犯人の狂気もすごかった。

  • おいおい、この作者。天才かよ。
    誰も考えつかねえぞ!こんな推理小説のコンセプト!

    正統派フランス料理のフルコースを食べようとしたら、「超こってりの中華料理食べ放題もご一緒にどうぞ!」って言われて、とりあえず一緒に食べ始めたらどっちもすっげえ旨かったってな感じ。もう腹一杯で、超満足w。

    もちろん、この本がデビュー作ってことだから荒さはちょっとあるよね。例えば、この事態は何で起こったのかの説明が少なすぎるとか、犯人の目星はかなり早い段階でついちゃうとか、でもそんなことどうでも良いでしょってくらい、あらゆる批判をぶっ飛ばす面白さ。

    小説は、面白けりゃそれが正義。

    典型的密室殺人事件が発生して、この人の推理で事件は解決するんだろっていう探偵役の人がいきなりそれって、まさにテロリストにハイジャックされた旅客機を救出する特殊部隊の超頼りがいのあるスティーブン・セガール演じる隊長が一番最初に〇〇しちゃう映画『エグゼクティブデシジョン』状態。まさに予想の斜め上をいくストーリー。
    さらに数々の難事件を既に解決してきた超美少女の探偵少女がその場にすでに居合わせているとか。おい、ちょっと待て、ライトノベルかっていうの!

    ・・・でも面白い。こりゃ賞は総なめするし、ベストセラーになるし、シリーズ化はされるし、映画になるのも納得。

    まあ、この小説が忠実に映像化されたらかなり面白い映画になるとは思う。ちょっと期待。この小説の映像化はアニメよりも実写が正解だよ。実写を忠実にできるならね。

    本書はミステリーファン必読の一冊(最初にこの本からスタートじゃなくてある程度本格ミステリーを読んだ後に!)になることは将来的に間違いないと思うし、模倣作品も出てくると思う。異なるジャンルを掛け合わせるごった煮状態小説が(笑)。
    でも、そういうの望むところです。読書好き冥利に尽きるね。

    とりあえず、本書の続編の『魔眼の匣の殺人』は必ず読もうっと。

  • 密室モノ×まさかの展開が素晴らしい化学反応を起こしている作品でした。

    王道のクローズド・サークルと思いきや、「自分が読んでるのってミステリ作品だったよな…?」と思わず疑ってしまうような、度肝を抜かれる展開が待っています。
    そして物語のピークはそこじゃないんです。奇抜なだけの作品ではなく、そんな展開・状況だからこそ可能なトリックには思わず舌を巻きました。

    物語もテンポ良く進み、登場人物もそこまで多くないのでとにかく読みやすい。それでいてSF要素を最大限に生かした骨太なトリック。魅力的なヒロインの比留子さんにも注目です!

    万人にオススメできる、新しいタイプのミステリ小説だと思いました。魔眼の匣の殺人も絶対読みます!

  • 大学時代の恩師が「前情報なしで映画を観てきたらめちゃめちゃおもしろかった!」と言っていたため、わくわくしながら原作を読んでみました。(映画も観たい…)

    本書の語り手は、謎に首をつっこみたがる先輩・明智に振り回されるワトソン役の後輩・葉村。
    美しき探偵少女・比留子に取引をもちかけられ、大学の映研の夏合宿に参加することになった3人は、山奥のペンションに向かったのだが…

    今風の登場人物たちと古典的な王道ミステリの小気味よいブレンドに気持ちが高まってきたところに、思いがけない大事件によってペンションに閉じ込められ、さらにその中でメンバーの1人が遺体となって発見され…。
    もう途中から「うわぁ、なにこれなにこれ!」と物語の勢いにひっぱられて一気に読了。
    著者の奇想が生み出したクローズドサークル、そしてその舞台を最大限に活かして展開するトリックに、うなってしまいました。

    著者は本作がデビュー作とのこと。
    この先もどんなアイディアで読者を驚かせてくれるのか、とても楽しみです。

  • 青春物本格ミステリらしい序盤のコメディータッチのやり取りや登場人物に面白くなりそうだなーと思っていたら、好物のゾンビ物になってよりテンションが上がった。ネタバレ見てなくてよかった。
    「人はゾンビに対してそれぞれのエゴや心象を投影する」というテーマがあり、ゾンビ物であることがただのびっくりさせるための飛び道具ではなく、しっかりホワイダニットや物語の展開と絡んでいるのも好み。
    まさかの退場をしたホームズ、明智さんが舞い戻ってきて、本命ホームズだった比留子さんが、ワトソン葉村くんを助けるシーン、切なくも象徴的で好きだった。

  • 「今年の生贄は誰だ」
    差出人不明の一枚の脅迫状から始まった大学の映画研究部の夏合宿。
    曰く付きの魔の合宿は、「ゾンビ」による襲撃という想像を絶する非常事態に遭遇しパニックを起こすわ、次々に合宿参加メンバーが謎の死を遂げるわ、で久々に王道のミステリを読んだ気がする。

    ゾンビとの生死をかけた戦いをしつつ、事件の謎解きもしていく生き残りのメンバー。
    そんな恐怖の最中に思うことは、この世で一番怖いのは人間の憎悪だということ。
    心の奥底に潜む醜い部分をさらけ出した時の人間はゾンビの恐怖をも越える。
    ラストの、大切な人との別れがとても悲しい。
    そしてミステリ愛好会の残された二人の続編にも期待したい。

  • “「さっき私はゾンビを復讐の啓示だと言いましたね。それはなぜか?───ゾンビは二回殺せるからですよ。人間としての死と、ゾンビとしての死。私は沙和さんの直接の仇である立浪だけは、二度殺さなければ気が収まらなかったんです。だって立浪は二人の──沙和さんとそのお腹にいた赤ちゃん、二人分の命を奪ったんですから」”(p296)



    王道のクローズドサークルかと思いきや、ゾンビ⁉︎
    最初は登場人物が多くて覚えづらかったけど、途中で比留子さんが説明してくれてからは名前を聞いた瞬間イメージが湧くようになったwwwꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)
    「そして誰もいなくなった」が好きな人におすすめ!かなぁ、、

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著者プロフィール

1985年長崎県生まれ。岡山大学卒。2017年『屍人荘の殺人』で第27回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。同作は『このミステリーがすごい!』、〈週刊文春〉ミステリーベスト10、『本格ミステリ・ベスト10』で第1位を獲得し、第18回本格ミステリ大賞[小説部門]を受賞、第15回本屋大賞第3位に選出。映画化、コミカライズもされた。シリーズ第2弾『魔眼の匣の殺人』も各ミステリランキングベスト3に連続ランクイン。2021年、テレビドラマ『ネメシス』に脚本協力として参加。いま最も注目される期待の俊英。

「2021年 『兇人邸の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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