- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488025649
作品紹介・あらすじ
日常では理系の大学院生、しかし夢の中では間抜けな〈蜥蜴のビル〉となって不可思議な世界を渡り歩いている井森建。彼はある日の夢の中で、ピーター・パンという無邪気な少年とウェンディという優しい少女、そして妖精ティンカー・ベルに拾われる。彼らに連れられてやってきたのは、海賊や妖精をカジュアル感覚で殺して回るピーター・パンによって修羅の国と化した〈ネヴァーランド〉という場所だった……『アリス殺し』シリーズ第四弾!
感想・レビュー・書評
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トカゲのビルが今回流れ着いた先はピーター・パンのネヴァーランド。登場時食べられそうなのはお約束。今回の被害者はティンカー・ベル。犯人探しの過程で探偵役のピーターパンが息をするように暴力を振るい、敵も味方も殺害するので現実世界での井森参加の同窓会でも死体がどんどん転がる。ピーター・パンのこの性格原作準拠なのに驚き。ディズニー仕事し過ぎだろう。誰が誰のアーヴァタールなのか?がこのシリーズの肝なので注意はしていたんだけどこう繋げるか、とにやり。設定に慣れたはずなのに違和感流し読みしてしまった。ラストに井森が自分の境遇を打破するきっかけを匂わせているけどどんな展開だったのだろう。「ドロシィ殺し」での予想通り作者逝去で展開は闇の中。悲しい。
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クララ…が合わずに離れていたけど、今回のは面白かった。グロさと非道な世界観、嫌いじゃない。
動機やアリバイなどの推理も面白いが、結局誰が誰のアバターかってところが1番面白い謎。
最後はある意味勧善懲悪で良かった。
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裏切らない面白さ。
「アリス殺し」「クララ殺し」「ドロシィ殺し」大好きな3作の続編です。
誰が誰のアーヴァータールかを推理しながら用心深く読み進めました。
が、そこかぁ!思わずとツッコミをいれてしまいました。
人を殺す事を何とも思わない純粋無垢なピーター。
強力な独裁者である彼に、従わない訳には行かない迷子達。
ピーターに思いを寄せるウエンディとティンカーベルとタイガーリリィ。
ピーターにかなわない海賊達。
残虐な行為をした「報い」は、いつものようにさらに残虐な手口で返ってきます。
描写のグロテスク感も、ミステリ感も満載で、とても好きなシリーズです。 -
このシリーズの醍醐味は「誰が誰のアーヴァタールなのか」と、夢世界のビルと登場人物との噛み合わない受け答え。今回はネヴァーランドで起きたティンカーベル殺人事件。基本的に地球での名前は犯人には当てはまらない鉄則…
ピーターパンの話、実はあんまり詳しく知らなかったけど、最後の解説見たら元祖ってちょっと悲しげな物語なんだな、と思った。 -
シリーズ4作目。作者は亡くなられてしまい、続編が出ず残念。
シリーズの狂言回しである大学生井森くんと、アバターのトカゲのビルが、ピーター・パンの世界に迷い込む。
ピーター・パンがとにかくヤバい大量殺人鬼として、ネヴァーランドで大活躍すると、現実世界でも人がどんどん死んでいく。
コミカルなのだが結構グロい小説。
ピーター・パンとビルの間の抜けたやり取りがイライラしてしまうので、道中はかなり辛い。
ミステリ的な仕掛けは突然の伏線が露骨で、シリーズの流れから推察はつくが、独特の味を楽しむ小説かも。ここまでの3作が合わないかたは多分合わない。 -
蜥蜴のビルにイライラさせられたのは遠い昔。今は可愛くって仕方ない。寧ろ、ピーターパンより賢いのでは?!
今回は奇妙奇天烈な会話は少なめで、ビルが割とマジメで大人しめ。グロさも鳴りを潜め、ムカムカ具合もそこそこだけど、安心して読めるものも悪くない。
しかし、ピーター…ね。引っ掛かりは覚えてたけど、今回もやられた。-
小林泰三さんのご冥福をお祈り申し上げます…。
ビルは永久に不滅です。
今はどの世界を渡り歩いていることやら…。小林泰三さんのご冥福をお祈り申し上げます…。
ビルは永久に不滅です。
今はどの世界を渡り歩いていることやら…。2021/09/04
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メルヘン殺しシリーズの第4弾。今回もピーターパンを読む前にこの本に手を出してしまった。
舞台がネバーランド(孤島)なので、地球での舞台である旅館も雪に閉ざされてしまう。けっこう残酷…無邪気であるが故の残酷さを感じる。解説を読むと、原作のピーターパンもダークな要素がある感じなのかな?犯人の最期(最期と言っていいのか)がかなり凄惨なので、苦手な人は要注意。
作者の小林さんが亡くなったため、メルヘン殺しシリーズはこれがラスト。解説を読んだところ、続編の設定もほぼ固まっていたそう。続編のタイトルを見ただけでも絶対面白いだろうなと思える。続きを読みたいけど、メルヘン殺しシリーズは小林さんにしか書けない作品だと思うので叶わぬ願い…。面白い作品を世に生み出してくださり、本当にありがとうございました。