風ヶ丘五十円玉祭りの謎

著者 :
  • 東京創元社
3.50
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本棚登録 : 581
感想 : 102
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027315

作品紹介・あらすじ

縁日のおつりが、どの店でも五十円玉ばかり!? 天才・裏染天馬とその妹が、学内外の不可思議な出来事の謎を解く。平成のエラリー・クイーンが挑む、“日常の謎”連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 裏染天馬シリーズ、第3作目

    相変わらず、学校内に住んでいる天馬君のもとに、持ち込まれる様々な謎。
    学食の食器をめぐる不可思議な出来事
    吹奏楽部内でのトラブル、お祭りの屋台のお釣りにまつわる謎、その他天馬君の妹の華麗な謎解きを加えた
    全五編+「おまけ」つきの痛快推理短編集。

    おなじみの登場人物たちとサブキャラクターまで登場して、個性際立つような構成になっていて面白かった。

    物語的にも個性的だなぁと思うような作品もあったりして…個人的にちょっとドキドキしてしまったり…(笑)

    好きなのは
    ・「もう一色選べる丼」
    学食の外に放置されたどんぶりの謎を解く推理の先に見えてくる、甘酸っぱい青春を感じて良かった…

    ・「針宮理恵子のサードインパクト」
    ‘’体育館の殺人‘’’での不良娘の印象がガラリと変わって微笑ましく可愛くて…好みの作品!

    ・「おまけ」
    世界一居心地の悪いサウナ…
    テンポ良い会話がどんどん続いていって
    最後の一言に…笑った…!


    • Manideさん
      チーニャさん、シリーズ読み進めてますね。

      グリコはやっぱり最高のようなので、読んでみたいですが、、、

      こっちのシリーズは微妙そうですね。...
      チーニャさん、シリーズ読み進めてますね。

      グリコはやっぱり最高のようなので、読んでみたいですが、、、

      こっちのシリーズは微妙そうですね。
      キャラが好きならすごい評価高くなるんですかね。

      参考にさせていただき、やはり、グリコだけに狙いを定めて、楽しみにしたいと思います(^^)

      2024/03/16
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      Manideさん、こんばんは〜♪
      このシリーズ4作すべて読んでみて、
      裏染天馬くんキャラ好きなので
      私的にはこのシリーズも良かったんです…
      ...
      Manideさん、こんばんは〜♪
      このシリーズ4作すべて読んでみて、
      裏染天馬くんキャラ好きなので
      私的にはこのシリーズも良かったんです…
      よね…

      でも青崎有吾さんの作品を比べてしまうと
      「地雷グリコ」は最高でした〜

      なので…Manideさんにも、是非…
      グリコはお薦めしたいですね〜(*^^)v♪
      2024/03/16
  •  だんだんと、その癖のあるキャラクターも気にならなくなってきた、風ヶ丘高校二年『裏染天馬』シリーズ第三弾は、日常の謎解きに挑む短編集となっており、おそらく最後のおまけを除いて、ちょうど時系列順になっていると思われる並びも、ファンには嬉しいところ。


    「もう一色選べる丼」
     シリーズ第一弾『体育館の殺人』の後の話で、学食ならではの、「袴田柚乃」達の楽しいエピソードに反し、真相は思いの外ビターな結末で、これを解明した天馬は勿論凄いとは思うが、それ以上に、その張本人のこの思考回路の複雑さは、何もそこまでしなくても、もう少し何らかの方法があったでしょうよと思わせた、そのトリックありきの話の組み立て方に違和感があった。

    「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」
     シリーズ第二弾『水族館の殺人』の10日後の話で、女性の好みも似ている裏染兄妹は印象的だったものの、事件の真相としては、トリックも含めて、ちょっと弱いかと思わせる中、ここでも物語が気になって、私が学生の頃と今とでは違うのだろうが、「こんなこと考える学生いるか?」と思ってしまった。それとも、その幼児性を皮肉っているのか。

    「針宮理恵子のサードインパクト」
     本書の中でもダントツに好きな話で、早乙女の為に何とかしてやりたい針宮の気持ちは、自分がどんな人間かを客観的に分かっているからこそ、余計にあれこれ考えすぎてしまう、そんな不器用さが歯がゆくて自己嫌悪に陥る中、ついにはプライドもかなぐり捨てて、「あたしはあいつに、何もしてやれないから……」と天馬にお願いし、結局見事に解決したのは彼だが、そもそも彼にお願いしなければ、早乙女も、いつまでも悲しみに暮れていたのかもしれないと思うと、寧ろ早乙女を救ったのは針宮なのではないかと思い、その彼女の努力に見合った結末は、とても清々しく微笑ましいものがあり、論理的推理としても、何気ない伏線と手がかりの巧妙さに加え、部屋の中を一瞬見ただけで全てを悟った、天馬のさり気ない探偵としての凄さも注目である。

    「天使たちの残暑見舞い」
     過去に発生した人間消失の謎に挑む天馬たちであったが、読み手にとっては、時系列順というのが分かっているからこそ、推測しやすくなってしまったことに申し訳ないと思いつつも、如何にもなミスリードは、いくら何でも分かりやすかったです。

    「その花瓶にご注意を」
     緋天学園中等部で、あの人の娘「姫毬(ひめまり)」をワトスンに、天馬の妹「鏡華」が挑む、音もしなかったのに突然割れている状態で現れた花瓶の謎は、その論理的推理の面白さの良さはあったけれども、その動機の凄さに、またしても物語としての違和感を覚えて・・まあ、100%確実に中学生はこういうことをしませんということは無いとしても、ここまで来ると、ちょっと心配してしまうんだけど、それとは別に凄いなと思ったのは、次回作の伏線があったこと。

    「世界一居心地の悪いサウナ」
     おまけとして収録してあるが、今後の事もあるので何も書けず、タイトルから想像してみると分かるかも。

  • 裏染天馬シリーズの短編集。5編+おまけのうち1篇は、天馬の妹の鏡華が探偵役を務める。この鏡華が変態なんだよなあ、面白いけど。長編のように人は死なないし、展開も短編だけにすっきりしていて、長編より出来はいいんじゃないかなあ。3番目の短編に出てくる針宮理恵子が恋人のために奮闘し、裏染に事態の解決を頼むのだが、針宮さん、金髪だろうが、カツアゲをした前科があろうが、すごく男前で魅力的、惚れてしまうなあ。この針宮が裏染が見ているのが人間ではなく背後の物だということに気づいてぞっとするのが、なんか鋭い感じ。裏染はいろいろ抱えているんだろうね。他の短編の推理も切れていて魅力的だ。このシリーズの単行本の表紙は袴田柚乃なのかな、なんだかセクシーガールだねえ。

  • 2020/12/15読了
    #青崎有吾作品

    裏染天馬シリーズ第3弾。
    今回は日常の謎を扱った
    短編のスピンオフ的位置付け。
    ミステリより青春小説寄り。
    アニオタ主人公ならではの
    某アニメをオマージュした
    タイトルのつけ方も面白い。

  • 『体育館の殺人』『水族館の殺人』につづくシリーズ第三弾。今作は短編集だし学園ミステリーというのか…ミステリーと言ってもいいのか、ちょっと考えちゃうけれど、サクッと読めて、なんだか微笑ましい印象の読後感を味わえる作品でした!今回も裏染天馬くんの活躍が光ってました。一番よかったのは針宮さんの話…不器用でかわいい恋愛!2人には水族館デートをいっぱい楽しんでほしいなって思いました。裏染くんファミリーも面白いなぁ~妹もお父さんも、本人もやっぱキャラがいいっ(^^)。

  • 裏染天馬シリーズ3作目。
    趣が違うのはタイトルだけでなく、日常の謎系短編5編+オマケで構成。
    ミステリとしてはどれも小粒ですが、ファンサービスに溢れた一冊。青崎さんらしいロジカルさも健在。
    「体育館」直後のお話あり、「水族館」直後のお話あり、次の「館」の予告と思われる一文あり、なので、シリーズを読まれている方々におかれましては、幕間的一冊とスルーもしくは後回しになさいませんよう。

    一番楽しみだったのは表題作。
    かの名競作をもじったタイトルに興味をそそられ、発売前からわくわく。
    肝心の内容も、シチュエーションを変えれば本家の一作になりそうです。
    ただ、柚乃が言う通り、かなり「セコイ」!もっと幼ければまだしも、高校生で……。
    結末にも放っておいていいの?ともやもやしたけれど、考えてみれば警察に突き出すような犯罪でもないのか……。うーん。
    次に楽しみだった針宮さんのお話は、予想を遥かに超える可愛らしさにきゅんきゅん♪

    いつもより高校生らしい天馬の姿が見られたり、裏染ファミリーを少し知ることができた一冊でもありました。
    1話目で素直にカップルを羨ましがる天馬、5話目でさらに変態イメージがアップした鏡華、オマケでは、なんと裏染父が登場。
    「死ね死ね」言い合うところはいただけないけれど、良くも悪くも似た者(すぎる)父子に苦笑。
    天馬って……もしかして……裏染家ではまともな方なのかもしれない。

    そして。
    天馬の「一番目に会いたくない人物」は誰なんだろう?

  • 「針宮理恵子のサードインパクト」の冒頭
     いつだって、世の中は馬鹿げていた。怒鳴り声と冷たい視線と、空白だらけの卒業アルバム。それが中学時代の全てだった。高校でも似たようなものだと思っていて、だからあの男に呼び出されたとき、最初は訳がわからなかった。

    「体育館の殺人」「水族館の殺人」に続く裏染天馬シリーズ第三作。

    この作家のデビュー作「体育館の殺人」のレビューでは、学校内で生徒が殺されたにもかかわらず、誰も怖がらずに、楽しそうに犯人探しに躍起になっている書き方に、あまりにも現実感が薄いと酷評した私だが、この短編集では、殺人事件がなかったせいか、さほど違和感を覚えなかった。
    しかも文章が格段に上手くなっている。
    前作ではラノベのような表現ばかりだったが、軽い語り口は変わらないものの、この作品では風景描写も心理描写も適当な比喩を交え、読み手に深く伝わる表現が多くなった。
    キャラの仕立ても、刑事の娘が裏染天馬の妹と同じ中学校の同級生だったりと工夫を凝らし、興味深さを増している。
    そして、登場人物の個性も、デビュー時より際立って魅力的になっている。
    という風にかなり面白い短編集だったので、次は未読だった第二作「水族館の殺人」を読みたいという思いが俄然湧いて来たのである。
    ちなみに第四作は「図書館の殺人」になるようだ。

  • シリーズ本編と違い日常ミステリー短編集。軽いタッチだがキャラクターの魅力を損なうことなく読み応え充分。

  • 裏染天馬シリーズ3弾。タイトルからして日常の謎。丼が残ってたり、お釣りが50円玉だったり、花瓶が割れたりホントに日常の謎。
    前作までのガチガチのフーダニットではないので、キャラクターが幾分立っていて話もシンプルではあります。ロジカルな推理は顕在ですが、長編に比べると物足りないです。
    また、話がライトノベル的(というか百合風味)に振りすぎていて極端な印象。

  • いつものメンバーの連作短編集。
    とはいえ、最後の最後まで気を抜けない面白さ!
    このシリーズは順番通りじゃないと大変だぁ。

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著者プロフィール

★小説家/推理作家。“平成のエラリー・クイーン”の異名をとる、本格ミステリ界の若きエース! 代表作に『体育館の殺人』『図書館の殺人』『ノッキンオン・ロックドドア』など。

「2018年 『ネメシス ♯40』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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