ねじまき片想い (~おもちゃプランナー・宝子の冒険~)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027346

感想・レビュー・書評

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  • 玩具メーカーエースの片想い話

  • *おもちゃプランナー富田宝子、28歳。片想い中の西島のため、SP気分で彼に降りかかるトラブルを密かに解決していく。女子への応援賛歌がたっぷり詰まった栄養満点小説*
    乙女な可愛さ全開の、とってもキュートなお話でした!この片思いは誰にも気づかれていないと思い込んでる宝子、そんな宝子をやきもきと見守る会社の面々がもう素敵過ぎてツボ。対する西島のダメ男っぷりもいい。恋に猪突猛進過ぎて、事件を次々と解決する展開も面白かった。やや唐突過ぎる感はあるものの、ラストのふっきれた宝子もきらきらしていて良かった。さらっと読めて、楽しくなれる読後感です。

  • 玩具が大好きで玩具メーカーで開発を行っている内向的だけど片想いをパワーにしている女性の物語。探偵ものと恋愛が半々ぐらい。自己完結しちゃうからうまくいかないっていう部分はよく分かる。人の目とか型にはまった幸せじゃなくて、そのままでいいと思とて軽く楽しく生きてく姿にさわやかな読了感。

  • 面白かった。

  • 予想よりもとても良かった。
    人の感情の描写がとても素敵に描かれている、自分でうまく表現できなかった感情をとてもすんなりと描いていて、ああそうなんだよ〜と思えるところがたくさんあった。

    宝子というとても個性的な愛らしいキャラ。毎日全力で生きている。そしてまっすぐ。魅力的。
    自分の中がとても豊かで満たされているから他人に対し惜しみなく差し出せる。
    全てとはいわないけど、見習いたいポイント。

    ネジは自分で巻かなきゃだめ。となんども出てくるフレーズ。そうだよな〜って思ったり、そうなのだろうか、と思ったり、その時の心境によって変わるような言葉だった。
    最後がちょっとハッピーエンドすぎて軽く感じちゃったけど、気持ち良く読めたかな❤️

  • 浅草にある老舗おもちゃメーカー「ローレライ」でプランナーとして働く宝子。

    仕事上では敏腕プランナーとして、ヒット商品をいくつも開発している宝子だが、プライベートでは取引先のフリーデザイナー・西島に五年も片想い。

    宝子も自分に自信がないのか、この関係が壊れるのが怖いと告白する勇気もない。

    ここまで見ると、普通の恋愛小説にも見えるが、この宝子、自分の片想い以外のことなら行動力を発揮する。

    謎の貯水槽設置のため、西島の部屋からの眺めが悪くなったと聞けば、彼のために設置の理由を調べあげ、その裏に隠された事件を解決。

    西島の思い出の品が盗まれれば、その犯人を見つけ出し、交渉してしまう。

    その行動力、告白に使った方が楽じゃないか?と思ってしまうくらい。

    最後は宝子自身の成長も見えて、普通の恋愛小説はあまり好きじゃない私にも楽しく読めたけど。


    収録作品:スカイツリーを君と 三社祭でまちあわせ 花やしきでもう一度 花火大会で恋泥棒 あなたもカーニバル

  • ■ 2304.
    〈読破期間〉
    2023/4/2~2023/4/8

  • おもちゃプランナーとして才能を発揮するエースの宝子。

    宝子が長年片想いしている西島は何故か次々と災難に見舞われるが、そのたびに宝子がトラブルを解決していく。

    自宅から見えるスカイツリーを邪魔する貯水槽の正体。
    西島の彼女だという怪しげな女性。
    大事なイベントが台無しになった本当の犯人。
    かつての宝子のルームメイトの玲奈とお父さんが残したもの。

    西島の顔色ばかりうかがってきた宝子が、自分をいう芯をしっかり持って、あらためて西島に思いを伝えるまで。もどかしいねえ。

    目黒警部のところはいるのか謎だけど、
    これ読んで花やしきに行きたくなって行ったわ。

  • まずとくかく最初から最後まで宝子がとっても魅力的な女性だと思った。本当に!自分ではうじうじした性格で、経験もなくて、少女のまま取り残されてて、、ってコンプレックスいっぱいみたいだったけど、私は宝子みたいに1本自分だけでも信じられる素敵なものがあることがとっても羨ましいと思った。強いて言うならば、宝子がどうして最後の最後まで現在進行形で西島のことが好きなのかわからない。恋は盲目っていうけど、そんなに何年も1人のことを好きでいる宝子の純真さと少女の心を持ち続けているってことの象徴だったのかな、、。

  • 天才的なひらめきを持つ玩具プランナー宝子は28年間男性との関係を持つことなく、お姫様のように過ごしてきた。
    そんな宝子は西島というデザイナーにひたむきに片思いをしている。ひたむきすぎるほどに。
    なにかとトラブルに見舞われる彼を影から助け、彼の幸せを守ることが宝子の喜び。だが、それだけでいいのだろうか。

    いろんな所から玩具のアイデアをひらめく宝子の頭脳、そして散りばめられたミステリ要素、さらに主軸である宝子の恋愛の行方とその成長物語にすっかり取り込まれてページをめくる手が小躍りして止まらなかった。
    宝子を取り巻く人々もルームメイトのレズビアン・玲奈をはじめ、とても魅力的でそれぞれが素敵。

  • 宝子最後はそうなるか!うじうじして嫌だったけど最後は清々したようなしないような。

  • 1年にも満たない短い期間だったけど、墨田区に住んでた頃を思い出してこの世界にぐっと入り込めたし、あの辺、いい町だったよなあ、って改めて思った。私が住んでた部屋からも、ベランダに出るとスカイツリー見えた。さすがに船に乗って通勤しようと思ったことはなかったけど…。でも一度乗ればよかった。いやまだ遅くないか。
    めちゃくちゃ大変だけど自分に向いていてやりがいのあること。食っていけないけどやりたいこと。やりたかったけど諦めたこと。仕事って様々ですね。独特なおもちゃプランナーという仕事の話とピュアで(アラサーにしてはかなり)幼いラブストーリーに、ちょうどいいミステリー。個人的には目黒警部補と宝子さんがくっついてほしかったな。面白かったです。

  • おもちゃプランナーの宝子の片思い話だけでなくミステリーあり人間模様ありで、一気に読める。

  • 片想いのプロ、富田宝子が想いを寄せるデザイナーの西島のためにおもちゃ探偵として活躍する短編集。

    舞台はバンダイだけど名前はタカラトミー。笑
    柚木先生が描く女性はパワフルで読んでいて気持ちがいい。

    自分の心にねじを巻いてくれるのは自分だけ。

  • 「自分の心にねじを巻いてくれるのは自分だけ」

    このフレーズが心にストンと落ちてきました
    小さな感動の波がいくつも寄せては返す心地よさに浸りながら読みました
    登場人物がみんな優しい
    柚木麻子さんの描写にはいつも引き込まれてしまいます

    この本では、装丁も自分のツボにはまりました
    刺繍のモチーフがひとつひとつ可愛らしくて、見ているとわくわくしてきます

  • 単なる恋愛話しではなく、ちょっとした事件もあって面白かった。
    職場の人達もみんな良い人で楽しそう。
    宝子さんの一途な思い。ちょっと重いところ共感できる。
    ラストでいい関係になれそうなので良かった。

  • 柚木麻子さんの本、今のところ数冊読んだ時点ではハズレがないな〜〜、これも好き。軽快かつ丁寧な描写なんだけど、キャラクターは結構性格は拗らせてたりして笑、だめな人だなあとか、面倒な人だなあと呆れつつもまっすぐな気持ちの描写に愛おしくなってしまう。

    もちろんこんな才能豊かでは全然ないんだけど、わりとわたしも自分の生み出すエネルギーで走っていくところあるので、そこを共感したり、一方で内向的なところは自分とはまったく違うので、しょうがないなあもう、と思ってみたり。

    片思い、特に長期間の片思いは本当にエゴの塊で、その気持ちはとても良くわかる。良い影響と悪い影響ならもしかしたら悪い影響が大きいのかもしれない。けれど、好きだなって思う気持ちは、やっぱりきらきらしていて、それを大切にできる自分でいたいなあと、思えるお話でした。

  • 可愛いくて才能溢れる玩具プランナーのダサいクリエーター?への片思いか。。 ふーん。
    女性嗜好の同居人女性、片思いの彼に出来た年上の彼女、スリ集団の老婦人などなど、不思議なキャラクターが色々と物語を展開させ楽しめた。
    おもちゃも、アニメも、片思いも題材的には全く私の趣味じゃないけど、そこが本を読む楽しさかな。自分の知らない世界に連れて行ってくれる。

  • 女子のお仕事小説かと思いきや、片想い相手のために暴走し、事件を解決する探偵要素があって面白かった。

  • 浅草の玩具メーカー <ローレライ>で働く宝子は、後輩や先輩からも一目おかれる敏腕プランナー。
    そんな彼女は、フリーのグラフィックデザイナーの西島に5年間も片想いをしている。
    そんな片想いを続けていることは、同僚や、ルームシェアをしている玲奈には気づかれ、何の進展もないことに呆れられている。

    どうにか西島との関係を進展させたいと思っている宝子は、何かと理由をつけて、西島の世話を焼いていた。そして、西島の周りで起こることを解決していくうちに、探偵のようになっていき、遂には殺人事件を解決したり、西島の彼女のピンチを救ったり、西島の父との思い出の品を窃盗団から奪い返したりしていくようになる。

    そのようにしているうちに、西島が宝子の家にルームシェアすることになる。
    それをきっかけに、宝子・西島・玲奈の関係が少しずつ崩れていく。

    玲奈が家を出たことで、宝子と西島の二人だけの生活が始まった。しかし、二年間何の進展もなく、西島も宝子との生活が当たり前のようになってきてしまっていた。そんな状態に宝子自信も疑問を持ち始める。仕事でも、おもちゃのことなら誰にも負けないくらいのアイデアが出ていたのに、それもうまく出来なくなってしまった。

    玲奈を探すことにした宝子は、その旅で自分の気持ちに向き合って行く。
    数々の事件を解決する際に宝子が使ったセリフ、「自分の心にねじを巻いてくれるのは自分だけ!」。宝子自信もその言葉通り、自分の心にねじを巻き、気持ち新たに人生を進めはじめていく。

    浅草界隈の情景や、おもちゃ業界についても描かれている。
    ぽわんとしている宝子が西島のために探偵業をする場面は、行動的で楽しく読めた。
    自分自身と向き合っていくところは、重い感じもあるが、最後にスッキリした気持ちで前に進んでいく終わり方だったので、よかった。

    図書館スタッフ(東生駒):あおむし

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/835234

著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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