ねじまき片想い (~おもちゃプランナー・宝子の冒険~)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 236
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027346

作品紹介・あらすじ

おもちゃプランナー富田宝子、28歳。片想い中の西島のため、SP気分で彼に降りかかるトラブルを密かに解決していく。女子への応援賛歌がたっぷり詰まった栄養満点小説。

感想・レビュー・書評

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  • 天才おもちゃプランナーの宝子は、仕事相手のフリーグラフィックデザイナー・西島に片想い中である。
    5年におよぶ片想いは、なんの進展もないまま、今日も続いていた。

    そんなある日、西島をある困りごとが襲う。
    愛する西島を救うため、宝子はこっそりと、困りごとを解決するべく暗躍するのだが…。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    宝子を中心にした連作短編集。
    ちょっとした推理モノでもあるのですが、告白する勇気はないにも関わらず、西島のためにはものすごい行動力・観察力で暗躍する宝子の姿に、「いや行動力つかうの、そこじゃないだろ!!」と、なんだかモヤモヤしてしまいました。

    モヤモヤの背景には、宝子が恵まれすぎた環境にいるせいもあると思います。
    天才おもちゃプランナー、自分の楽しいと思えることを仕事にしている、職場の人間関係には恵まれ、後輩・先輩から守られる愛されキャラ、しかもそこそこの美人で、恋愛以外の方面には行動力がある…。
    なのにウジウジ悩んで、自分からは一歩も恋を動かそうとせず、待ち続ける宝子の姿は、応援したいという気持ちよりも、嫉妬心の方が勝ってしまうのです。

    推理に関してはほどほどにおもしろいので、宝子にイライラしながらも読み終えてしまったわけですが(苦笑)、「どんなに励ましても自分を卑下しつづける人って、こんなにもイライラするんだ…」と学びました。

    長らく日本では、一歩さがって生きる控えめさを美徳としてきました。
    その名残はいまでも残り、ほめ言葉を謙遜する、へりくだることは多々見受けられます。

    「わたしなんて、まだまだです」
    「わたしにはそんな力ないですよ、運がよかっただけです」

    自信満々すぎて傲慢な態度をとる人も嫌われますが、一方で自分を過大に卑下し、過小評価しすぎることは、他人をいらつかせるものだということも、知っておいたほうがよさそうです。
    もし人間関係に悩んだときは、自分を卑下しすぎていないかということも、考えてみてもいいかもしれませんね。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    宝子の恋は、本物の恋という感じがなく、“恋に恋する乙女”の姿そのものです。
    そして最終的に宝子は「自分で自分のネジをまいて、歩いていける人」という風に描かれていきます。
    でもこの物語を読み終えたとき、そんな宝子の生き方に憧れはありませんでした。

  • おもちゃ箱のようにイメージ豊かで、楽しかったです!
    タイトルでは内容を想像できなかったんだけど、これが~タイトルそのものの内容でした☆

    富田宝子は大手玩具メーカー、ローレライのデザイナー。
    28歳だがまだ少女のように可愛らしく、美大の頃のままのふわふわした服装。デザインの才能も、少女の気持ちを残しているのが成功の要因だった。
    外注デザイナーの西島に5年も片思いしていて、誰にも知られていないと思っているが、仕事仲間は皆知っていて、ひそかに応援している。
    ルームシェアしている親友の玲奈は叱咤激励するというか、いい加減にしろと遠慮なく言っていました。

    西島の前に出るとうじうじするばかりで本来の明るさも出せない宝子。
    西島の悩みを解決しようと陰で奔走して大活躍。恋には空回りしているのに、ついでに犯罪事件を解決してしまうことになります。
    この意外な展開が軽めだけど楽しくて、アイデアは豊かなだけに猪突猛進するところが可愛い。

    ‥でも若い頃の自分にちょっとだけ似ているところがあるので、いやここまでイタクはない、これは違うよなとたまに悩みながら読んだりして。
    仕事関係の人たちやお客の子供たちはいかにもいそうなリアルさもあるかと思えば、掏りの集団が出てきたり。
    刑事さんとの出会いがよかったので、こっちとくっつくほうが良かったのではという気も。
    いやページ数的に書ききれなかっただけで実はこの後、そうなったんじゃないかなぁ‥(笑)

    たまたま西島と同居する機会が出来たのに、まったく進展せず、宝子は才能まで鈍らせていくという展開。
    自分に自信を失っていきます。
    ルームシェアを解消した玲奈を追って、今度は彼女のためにも活躍する宝子。
    玲奈は、宝子は内面が豊かだから人に与えられる、その豊かさに惹かれたのだ、という言葉をくれました。
    掏り集団のボスのおばあさんが宝子のことを西島に、世界に二人といない宝と告げて背中を押す。

    宝子が自分らしさに気づいて、成長するのがすがすがしい。
    恋愛はちょっとどうなるか曖昧な感じでしたけど、きっちりまとめないのも風通しがいい?
    面白く読めました☆

  • 冒頭───

    スカイツリーが浅草の青空をひと突きしている。
    四月とは思えないほど激しい風がフェリーのガラス窓を強く打ったが、富田宝子の高まる期待は少しも損なわれない。もうすぐ、もうすぐあの建物が見える───。勝鬨橋をくぐってすぐの古びた五階建てマンション。その最上階。
    水上バスで通勤だなんて『ワーキング・ガール』のスタン島からフェリーでNYに通うメラニー・グリフィスみたいでちょっと素敵かも、と思っている。お気に入りのリバティプリントのワンピースが視界にお花畑を作っていた。レース編みのニット帽がずり落ちそうになり、慌てて頭を押さえる。

    浅草にある玩具メーカーの商品企画室に勤めるおもちゃプランナー宝子の恋とおもちゃへの憧れを描いた連作短編集。
    初出は2012年の「ミステリーズ!」に連載されたもの。
    柚木さん特有の乙女チックな少しねっとりした作品だ。
    「ミステリーズ!」に掲載されただけあって、多少推理物的な要素もあるが、それはお遊び程度のもの。
    柚木さんの描く若い男は、いつもヘタレ風が多い。
    この作品に登場する宝子の片想いの相手デザイナーの西島もその例に漏れない。
    さあ、ストーカー並みに想いを寄せる宝子の恋の行方はどうなる? というところが読みどころか。
    まあ、軽く読める小品でした。

  • 表現に 奥行がなく ちと読み応え不足。
    なんて、ナマイキ発言をしてみる。
    でも 宝子には好感をもてる。
    節々に 自分と同じではないか?と感じるところ大。

    ずっと一人かもしれないってすごく怖いよ。
    誰ともちゃんとつながれないまま、
    誰とも心をからませることもないまま、
    自分で自分の心のねじを巻いて

    私、年だけとっていくのかな。。。

    いや、正にワタシだ。
    そして、私は トシくっちゃってるよ。
    あぁ、イタタタ...(´д`|||)
    ガンバレ宝子 ガンバレワタシ

  • 冨田宝子28歳にして少女らしいファッションを貫いてる。
    可憐な容姿は、十代によく間違われる。
    毎朝40分の水上バスで通勤。
    それは、片想いのデザイナー西島の住むマンションが見えるから。
    玩具メーカーのプランナーの宝子はとても優秀。
    職場では西島への片想いは必死で隠し気付かれていないと思ってる。
    しかし、メンバーにはバレバレ…。
    5年もの片想いに会社の皆はヤキモキ…。


    仕事は出来るのに、想いは伝える事ができない宝子。
    片想い中の西島は次から次へと災難に見舞われる…。
    西島のマンションの前に突然貯水槽が設置され
    スカイツリーが見えなくなったと言ってたら、
    殺人事件を解決し、貯水槽をどかし。
    西島の恋人が、犯罪に手を染めそうになった時には、
    お祭りの騒ぎを利用して全力で阻止し。
    大切な思い出のテレフォンカードをすられてしまったら、
    スリに弟子入りし、取り戻す。
    西島の為に、密かにトラブルを解決していく。

    すごくテンポ良くって、面白くって、ちょっとミステリーだったり、
    どーなっちゃうの~ってワクワクしながら読んでた。
    ちょっと、漫画っぽかったかなぁ(笑)
    片想いでも、大好きな人がいるからこそ
    仕事も頑張れてたんだよね。

    玲奈が去って、西島との2年間もの月日には、えーーっどうして…。
    西島の駄目さ加減にも…ん~っ。
    その、淀みの様な生活が宝子のアイデアをも奪ってた。

    最後に、宝子は大切な事に気付けた。
    自分の気持ちにしっかり向き合えた。
    ねじが回転してお互いの歯車がかみ合わなければ、
    いくら、好きな相手と一緒でも、なんの意味もない。
    西島に言った宝子にスッキリした~。


    自分の心にネジを巻いてくれるのは自分だけ

  • 登場してくる人物がいろいろあり得ないタイミングで出てきたりなど、非現実的なところは多かったけど、一緒懸命に相手を想って尽くす姿に、忘れかけていた事を少し思い出しました。

    読んでると、同著書のアッコちゃんシリーズを思わせる部分がたくさんあります。

    サラサラと読めて面白かったです。

    「真摯な気持ちをバシッと伝える。略。あとは最低どんな人間も不快にさせない、清潔感と誠実さをこころがけること。」

  • *おもちゃプランナー富田宝子、28歳。片想い中の西島のため、SP気分で彼に降りかかるトラブルを密かに解決していく。女子への応援賛歌がたっぷり詰まった栄養満点小説*
    乙女な可愛さ全開の、とってもキュートなお話でした!この片思いは誰にも気づかれていないと思い込んでる宝子、そんな宝子をやきもきと見守る会社の面々がもう素敵過ぎてツボ。対する西島のダメ男っぷりもいい。恋に猪突猛進過ぎて、事件を次々と解決する展開も面白かった。やや唐突過ぎる感はあるものの、ラストのふっきれた宝子もきらきらしていて良かった。さらっと読めて、楽しくなれる読後感です。

  • 玩具が大好きで玩具メーカーで開発を行っている内向的だけど片想いをパワーにしている女性の物語。探偵ものと恋愛が半々ぐらい。自己完結しちゃうからうまくいかないっていう部分はよく分かる。人の目とか型にはまった幸せじゃなくて、そのままでいいと思とて軽く楽しく生きてく姿にさわやかな読了感。

  • 世界にはいろんな仕事があるんだなーと。
    それを垣間見れるのも柚木さんのお話の面白いところ。

    宝子と西島の関係にイライラしつつ読んだ。
    最後は、どうなんだろう。
    ファンタジックに終わった感じ。

  •  めっちゃ面白かったー。今までの柚木作品で一番好きかもしれん。アッコちゃんも好きだけど。
     アラサーでエースのおもちゃプランナーが報われない恋に心を奪われながら、事件を解決したり、おもちゃを開発したりする話。主人公の思い込みの激しさが押しつけがましくなくて読みやすい。ラストで自分を省みるところや、ルームメイトと再会するところはぐっときた。
     あと、細かい道具やブランドの固有名詞が多いのは柚木作品でよくあるけど、いつも選ぶのが上手いなーと思う。

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著者プロフィール

柚木麻子(ゆづき あさこ)
1981年、東京都生まれの小説家。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010念二同作を含む初の単行本『終点のあの子』を刊行。2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞小説部門受賞。2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、直木賞候補に。2017年『BUTTER』で直木賞候補。2019年、『マジカルグランマ』が第161回直木賞候補となる。

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