雪には雪のなりたい白さがある

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 209
感想 : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027377

作品紹介・あらすじ

港の見える丘公園、あけぼの子どもの森公園、石神井公園、航空記念公園。性別も世代も超えて、公園でしか出会えない人、公園でしか起きない奇跡を描く、あたたかで切ない、4つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • たとえ誰もが通うようなありきたりな公園でも、人によってはそこに独自の想いやドラマがあるのかもしれない。当たり前な風景も、いつかは遠い思い出になるかもしれない。今までは気づけなかったことも、小さなきっかけで気づけるかもしれない。ひとつひとつの表現が綺麗かつわかりやすく、読みやすかった。でもそのわかりやすさが物語の重みを軽くさせていたのかもしれない。

  • 源次郎さんのメッセージが胸に熱くささった。不覚にも涙。

    ムーミン谷の元夫婦も、最初はどっちも嫌な性格だと思っていたけど、最後にはなんだか他人とは思えなくなった。手をつなぎたいね。

    秋の妖精、かわいい。

    表題作がいまひとつ私には響かなかった。
    でも、あの頃悩んでいたあの子に響いただろうと思った。

  • 短篇4作品
    どれも心に響いた。
    忘れている事、忘れたい事
    人生には色々ある
    そのことをあらためて、この作者は教えてくれる

  • 「雨上がりに傘を差すように」
    雨の日にしか会えない老人。
    彼は彼女を妻と間違えて認識していた訳ではない、ただ同じ場所で似た顔の者が居たら懐かしく感じるただろうな。

    「体温計は嘘をつかない」
    とある夏の日の後悔の懺悔。
    互いに思う事を心の中にしまい込んでいたうえ、昔ながらの考えが何処かにあったからこそ起こってしまった事故なのだろうな。

    「メタセコイアを探してください」
    貴方に伝えたい本当の想い。
    何故こんなに色々とファンですら知らぬ様なプライベートな情報を知っているのかと思いきや、種明かしを聞くと簡単な話だったな。

    「雪には雪のなりたい白さがある」
    忘れていた約束の中の一言。
    想い出補正というのは確かにあるかもしれないが大切な事だからこそ、ずっと胸の内にあり忘れる事も出来ないままなんだろうな。

  • 自分がしたいことや、なりたいものが分からない時、
    誰もが少しだけ優しくなれる公園に立ち寄ってみる。

    たくさんの雪に埋もれてしまい、
    誰にも注目されずに消えてしまう白い雪。

    「目立つことはなくても際立つことはなくても、
    [...] 雪には雪のなりたい白さがある」(246 ページ)

    自分は何者か。
    それを手探りで探す人たちの物語り。

  • 恋愛小説が読みたいなぁと調べて借りた一冊。
    読みやすかったけど、恋愛小説ではなかったなぁ。
    元気が出るようなお話だった。
    最初の港の見える丘公園のお話が一番好きだった。


    ***
    港の見える丘公園・あけぼの子どもの森公園・石神井公園・航空記念公園、そこでしか起こりえない、四つのちいさな奇跡。公園には、あちこちにたくさんの人たちの思い出が隠れている。

  • 私は私のために降らなければいけない
    最後の一行にやられました

  • げみさんのイラストに惹かれて読みました。
    お互い関係のない四篇の、公園にまつわる短編集で、読みやすいけれど話によってちょっと中途半端。
    個人的には、第一話「雨上がりに傘を差すように」と第三話「メタセコイアを探してください」が好きかな。
    特に第三話は綺麗にまとまっていて良かった。
    表題作の第四話は、なんとなくファンタジーに傾いている、というか、あまりにもリアリティがないのが、なんで表題作?というくらい他の三話と毛色が違った気がします。

  • 描写が綺麗で自然で然り気無い魅力に満ちていた。すっぽりと入り込んでうっとりした。大学デビューが上手くいかなかった女子大生とおじいさん、五年ぶりに会う離婚した夫婦、歌えなくなった歌手と自称秋の妖精と鳥好きの男子高校生、中学生の頃に別れた彼との約束に縋る二十六歳、の四本立て。特に第二話の赤ちゃんだった子供を引き取った夫と靴のデザイナーだった妻の再会の「体温計は嘘をつかない」が、どちらが悪いとも言えない感じが印象的で胸の奥までスッと届くようだった。それぞれの話での各公園の様子もナチュラルな瑞々しさで良かった。

  • 最近文庫版の表紙を見て、読んでみたいと手にした本。

    そんなに激しい事件が起きるわけではないけれど、溶けた雪がじわりと地面に染み込むように心に残る。実際に存在する4つの公園を舞台にしたオムニバス。

    ふと出会い、関わって、そうして別れていったひととの想い出と、想い出が映し出され終わった後に来る本当のさよならを描いている。

    誰かとさよならをするということは意外とずっと心に残っているし、相手は深く心にいる。その時が地獄のようでも、もうこの関係はここまでとそう思えたら、ぱらりとその風景は剥がれ落ちて過去になるのだけれど…。

    この本に収められているお話のさよならは、本当の終わりと、大好きと、そのあと歩き出す一歩が、大切に描かれていて、閉じると好きな人に、ねえ、と声をかけたくなった。

    まだ寒くて、雪の心配をしなくちゃいけないうちに読み切ってしまいたかったので、お節句をすぎる前に読み終えられて、すごくよかった。

    いま愛している人は、いつかいなくなるのだろうか。そうなる前に、ねえ、とやっぱり声をかけに行こう。その人の好きな公園を、どこなのか教えてもらうのだ。

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著者プロフィール

1983年兵庫県生まれ。2007年に第14回電撃小説大賞銀賞を受賞し、『under 異界ノスタルジア』でデビュー。真っ直ぐで透明感のある文章、高い構成力が魅力の注目作家。他の著作に、「花魁さんと書道ガール」シリーズ、『雪には雪のなりたい白さがある』『フルーツパーラーにはない果物』『今日も君は、約束の旅に出る』『わたしたち、何者にもなれなかった』などがある。

「2021年 『パンダより恋が苦手な私たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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