戦場のコックたち

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 299
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027506

感想・レビュー・書評

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  • コック兵の視点からの戦場って設定ならではの優しさや、
    戦時下の日常の謎解き要素・伏線回収的楽しさがあるので
    苦手な身でも読みやすい。
    けど決して軽くはなくて、
    当時の空気感やリアリティをすごく感じられる話だった...。
    作者の文章のバランス感覚がすごい...。

    アメリカもドイツも占領国も、
    どこにいてもそこにいたのは確かに人間なんだと思わされる。

    ワインバーガーの価値観に安心させられた。
    オハラ、
    スパークが父の後を継いだ理由に、
    なぜだか涙が出そうになった。

  • 虚栄心?いや仲間内のちょっとしたノリで志願した青年は入営後自分が兵士に向いてないことを知りコック兵となるのだが…
    しかし送られた戦場での本業はもちろん戦闘であり虫を殺すように敵兵の眉間を射抜き敵国の市民の殺戮さえ当然に思う軍の思惑通りの兵器へとなって行く。
    今回ガチガチの精神論ありきの日本兵でなく敢えてアメリカ兵としたことでその戦争の持つ狂気へとはまり込んで行く様がより鮮明に映し出される反戦小説になったのではなかろうか。
    ミステリータッチの薄さも然りであくまでも本筋にあるのは戦場での淡々とした殺しあうだけの日常。
    これをモー娘世代の女性が描いたことに正直驚きを隠せない

  • 「ベルリンは晴れているか」が、
    とても良かったので、こちらも読んでみたが。
    すみません、流し読みしてしまい、
    じっくりと読みこむ事が出来ませんでした。
    だから、これといった感想も無く、
    図書館本なので返却をし、
    また、もう一度借りて読んでみようかとも思わず。
    今、読んでいる、時代背景が同じ
    「すべての見えない光」が素晴らしくて。
    つい比べてしまった。

  • タイトルから、もっとユーモラスな感じを想像していたが、これは戦争小説。
    自分が体験したことのないことを本で知るというのはこんな感じか。
    日本の戦争小説とは一味違う雰囲気。文化の違い。日本人作家が書いたというのがすごい。

  • 第二次世界大戦終盤、本物の冒険ができる、と甘い気持ちで志願した若いアメリカ兵が主人公。コックとして赴いた戦場で起こるいくつかの事件と、遭遇する厳しい戦争の現実を描いた長編。

    日本人作家による戦争ものは少なくないが、ほとんどは日本兵やその家族が中心の悲劇。だから、本作のようにアメリカ兵を主人公にしたものは珍しいなと思いながら読み進めた。
    戦場での緊迫した場面や、仲間を次々と失い憔悴していくコック兵の苦しみには胸が痛み、ページを追うごとに引き込まれる。
    ただ、あえてミステリー色を加えようと章ごとに挿入した事件と謎解きは、かえって全体の流れを妨げてしまった。欲張らず、ナチスによる迫害、戦争の悲惨さをアメリカ兵の視点からじっくり描くだけで十分なのでは。
    その分、コックという一風変わった設定をもう少し生かしてほしかった。

    それにしても、直木賞候補作だけあって、肩透かしだった『分かれ道ノストラダムス』より格段おもしろかった。

  • 第二次世界大戦末期、志願兵となって連合軍に従軍したティムとその周りで起こる戦場における日常の謎と、彼らや戦況の変化の物語。

    題材だけに覚悟はしてたけど戦地で育まれる友情や連帯感からの、仲間が減っていく描写は本当に辛い…。
    エピローグの戦争から帰って来て歳を取った彼らの姿がまた切ない。

    最後まで読めて良かったけど、再読は出来ないかも。
    それくらい心を絞られました。

  • 凄い! これはミステリというよりも、立派な戦争文学だ。
    圧倒的なリアリティをもつ戦場の描写は、1983年生まれとは思えぬ筆力だ。
    「戦争っていけないことなのですか?」などと戯けたことを言っている輩をはじめ、未読の人はとにかく読むべし。

  • 巻頭の地図を見た瞬間、映画『プライベート・ライアン』の凄惨なシーンが脳裏によみがえった。
    名前を覚えたそばから、次々と主人公 ティムの仲間が欠けていく。その容赦のなさに、背筋が寒くなる。
    地理、布陣、軍事用語…。読みこなす情報があまりにも多くて、ミステリーとして味わう余裕がなかったなぁ。
    終戦からどんなに長い年月を経ても、心の中の戦争に終わりはない。そんな不条理をまざまざと見せつけられるエピローグだった。

  • 300超のページ数に、さらに2段になって文章がレイアウトされていたので、なかなか手を出せずにいたのですが、読み始めてみると意外にも読みやすかったです。

    もう多くの人が訴えていることですが、戦争って悲惨ですね。
    今も世界のどこかで、誰かが、こんな風に前線にいるのでしょう。

  • 美味しいものを食べた日も、仲間と笑いあった日も、ちょっとした謎を友たちと共に解決した日も…そして友が壊れた日も…たくさんの命が呆気なく消えていく。あぁ、これが戦争かと改めて思い知らされた。幸せと思った瞬間さえ業火の手の内なのだ。本書は戦争の悲惨さの間に仲間たちとの友情や、彼らが生み出す美味しいもの、そして少しの謎解きが挟み込まれ、その度に安心するとパタパタと目前に息しない人たちが転がっていく。そのコントラストに胸が軋み、戦争の恐ろしさがさらに身に重くのしかかった。終盤ティムがレシピをひたすら読み上げる場面が素晴らしい。

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著者プロフィール

深緑野分(ふかみどり のわき)
1983年、神奈川県生まれ。神奈川県立海老名高等学校卒業。パート書店員を経て、専業作家に。2010年、短編「オーブランの少女」で第7回ミステリーズ!新人賞の佳作に入選、作家デビュー。同作は2013年に単行本で刊行。2016年、『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、第18回大藪春彦賞候補、第13回本屋大賞候補に。2017年、第66回神奈川文化賞未来賞(奨励賞)を受賞した。2018年、『ベルリンは晴れているか』で第160回直木賞ノミネート。

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