王とサーカス

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 519
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027513

感想・レビュー・書評

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  • 女性記者 太刀洗万智がネパールで遭遇する 「王族の殺害事件」フリーになった彼女に舞い込んだスクープ。
    そして 滞在するホテル「トーキョーロッジ」のちょっと気になる宿泊者たち・・・

    内容が本当に起きた事件をモチーフにしていたが、それに絡めた軍人の殺害事件はなかなか ミステリアスで面白かった。
    そこに住んでいる子供たちの無邪気さと図太さが、その場にいるかのように自然で残酷な現実として伝わってきた。

    私は八津田が言っていた「尊さは脆く、地獄は近い」
    ちょっと恐ろしさを感じるが、多かれ少なかれ人間の多面性には納得できた。

    純粋に面白かった。

  • 彼の作品を読むのは久しぶりだが、落ち着いた語り口で気持ちよく読んだ。視点人物がよいのだろう。共感できる。

    殺人事件の謎を解く、といった意味でのミステリとしては、それほど群を抜いたものではないと思う。しかし、トリックとかロジックとかいうところの外側にある部分で、一種のサプライズがあって、それが単なる意外性ということではなく、作品全体のテーマと絡み合っていて胸をうたれた。

    テーマ。この本で提示される問題は、きわめて古典的でありながら、実に現代的だ。読んでいる間は、主人公の思いに寄り添いながら共に考えていたし、本を閉じてからもいろいろと思いを巡らせた。それはマスメディアに係わることであると同時に、自己のアイデンティティの問題だからだろう。我が身を振り返り、周囲を見回し、うーんとうなっている自分がいる。

    この作者の作品は、「おもしろいけどやや軽い」って印象を持っていた。読んだ本の数を考えると、読まずに判断していたと言われても文句は言えない。もっと読んだつもりでいた。読んでみよう。

  • 人間が怖い。

  • 記者として何を伝えるか
    それよりも何を伝えないか

  • 最近の著者は絶好調だな、フィクションと分かっていながら沢木耕太郎のノンフィクションを読んでいるような気分にさせられた。だが、まさかあの「さよなら妖精」の登場人物の10年後を持ってくるとは、あのことで社会問題に目覚めて記者になったということだろうか、しかしこの作品ではマスコミの垂れ流す弊害も問題にしているのだから、この小説は深い。

  • 【要旨】二〇〇一年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。
    太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…。「この男は、わたしのために殺されたのか?あるいは―」疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?

    タイトル〚王とサーカス〛の意味するところが分からぬまま読み進め、序盤はネパールの旅行記のようなところから、この本はどこに向かうのかな?と思っていたところに王族殺害事件が勃発。
    報道の話しか?と思ったら徐々に犯人探しの形相を帯び、ああ、推理物か!と思っていたら最後全く違う顔を見せる。
    最後まで作者の思惑にどっぷり嵌って、『サーカス』の意味に納得。
    非常に面白い本だった!

  • 記者としてどういう想いで報じるのか、身近で起こっていない悲劇を知らせても、受取手はサーカスを見てるような見世物としかならない。立ち位置を変えると、親切な行いでも恨みを買うことがある。最後の別れ方は苦かった。

  • 新聞社での5年の記者経験でどれほどのキャリアを培えるものなのかわからないが、大刀洗万智のジャーナリストっぷりがなぜか鼻につく。
    中立した立場で物事をみなければならないというのもあるのだろうが、人間味というか、情熱みたいなものが感じられない。
    ラジェルワル准尉が語る「王とサーカス」や、サガルの一言一言の方が心に沁みた。

  • 実際にあったネパールでの王宮殺人事件を背景にしたミステリー小説。
    このミス1位なんだね。でもミステリーって言うより主人公の成長を描く青春小説みたいな造りだ。報道とは何か?事件記者の存在価値は?
    青春小説と言うには万智さんは歳取ってるけど。(ギリギリ28歳!)
    王族の殺人事件ではなくて取材したことのある軍人が殺害された謎を解き明かすミステリー。
    広場に上半身裸で放置されていたのは何故?背中に彫られたinformerの意味は?
    意味深な前振りの割には、犯人も動機も意外と身近なところにあり、こじんまりした話だな~、が第1印象。
    たんたんと話が進む割には読ませるけど、これが1位となると、う~む。
    海外部門1位と凄い温度差が有る様に思いますが。それとも本作は変化球勝負で1位なんでしょうか。

  • 私の無知のゆえだが、史実に基づいて書かれている事を物語中盤でようやく知った。そういう読み方をしてしまうと、最初に起こる非常にインパクトの強い王家の事件と、そののち主人公が体験する一連の出来事の間に関連がない訳ではない!と言われても、それは『風が吹けば桶屋が儲かる』的な繋がりに思えてしまって、些か拍子抜けした。淡々としながらも読ませる文章であることは間違いないと思うけれど、そういう意味で私には面白い作品ではなかった。

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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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