残照 (アリスの国の墓誌)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 52
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027605

作品紹介・あらすじ

アニメ、マスコミ関係者の集う、新宿ゴールデン街のバー『蟻巣』。ミステリ好きの客たちがあれやこれやと推理を語り明かした日々も今や昔、ついに閉店の日を迎える。鍵の返却までのわずかな時間、常連客たちは、チェシャ猫をなでながらパイプを燻らせていた、在りし日のマンガ家・那珂一兵の姿を思い出す。その一兵が遭遇した二つの事件を、別れの酒の肴に語り始め彼らがたどり着いた、衝撃の真相とは? 近江由布子、新谷知久、可能克郎と辻ミステリのオールスターキャストで贈る推理作家協会賞受賞シリーズ最終作。

感想・レビュー・書評

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  • 「深夜の博覧会」「アリスの国の殺人」に続く、那珂一兵シリーズ完結編。

    「アリスの国の殺人」から35年という設定なので那珂一兵は亡くなっていて、彼を偲んでスナック<蟻巣>が閉店する最後の夜を常連たちと語り合うという設定。

    一兵が戦地から帰国した直後、祖母が密室状態で先祖の墓石に押しつぶされて殺されるという事件。
    一兵の漫画作品がテレビ放送されることになった時、面倒なプロデューサーと姉が密室で無理心中した事件。

    この二つの事件を常連たち素人探偵がああでもないこうでもないと推理合戦を繰り広げる。


    事件の構図やトリックなどは楽しめた。
    ただ何しろ那珂一兵の家族関係というのが旧家の複雑さでドロドロしているし、特に二つ目の事件に関してはその凄惨さよりもその裏にある泥沼のような関係に辟易してしまった。
    相変わらずマンガ史、アニメ史など辻さんのこれまでを振り返るような語りが多い。その辺が好きな人ならその部分だけでも楽しめるのかも知れないが、個人的にはあまり入り込めなかった。

    「アリスの国の殺人」から35年という帯文句に惹かれて、前作の何かが伏線になっていてこの作品で新たな展開があるのかと思いきや、そこは全く関係なかったのも残念。
    ただスナック<蟻巣>が舞台だということと、那珂一兵が話に出るというだけのことだった。
    可能克郎が酔っては寝るという設定だけに「アリスの国~」の綿畑と何か関係があるのかと期待したのに、そっちも全く関係なかった。

    結局このシリーズでそれなりに楽しめたのは「深夜の博覧会」だけだったなぁ。

  • 業界の裏話が、実名匿名の登場人物によって展開。
    事情に詳しい人ならとても楽しめるのではないでしょうか。
    作者の以前の作品も、この世界もよく知らない私は
    ちょっと疎外感を感じてしまいました。

    物語の大半が現代の人たちの台詞によって進みます。
    これが分かりにくい原因と思えます。
    過去と現在の時間軸が明白で
    情景描写が多ければもう少し理解が深まったかも。

    なお、千鳥さんの死にまつわる話は理解しがたく、
    こねくり回した感はぬぐえません。
    最近の読書では珍しく共感できない作品でした。

  • 細かい設定がすき

  • アニメをあまり読まないせいで、少し、話が分かり難い所がある。
    昔の実在の漫画家が、登場しているので、何処までが、写実的なのか?と、思いつつ読んだ。

    亡くなった那珂氏の祖母の死が、墓に押しつぶされて焼死。
    そして、密室殺人も猟奇的。

    何度も、少し読んでは、又、読み出していたので、余計に、理解しがたい上に、小説は、那珂氏の幽霊的存在を作り上げて居り、その上に、時間の流れが、戦時中の話迄遡るので、分かり難かった。

    私が、途中で、本を読むのを休憩したからかも・・・

    デンスケの話が、登場した時に、丁度、北海道から「でんすけスイカ」が、送られて来て、笑ってしまった。

    つい、他の事で、本を途中で、置いてしまうと、再度、読み直すことになるのは、やはり、年齢のせいか?・・・食い意地のせいか????(笑)

    もう少し、わかり易い流れの本であって欲しかった。

  • う〜ん。
    いまひとつ入り込めなかったです。

  • 新宿ゴールデン街にあるバー『蟻巣』は、ミステリー好きの常連客がやってくる。そんな常連客たちによって真相が語られる、亡き漫画家に繋がるふたつの殺人事件。漫画好きの団塊の世代には、懐かしい漫画作品を思い出させるかも。

  • 熱心なファンではないが、若い頃から、ポテト&スーパーらの活躍に触れてきたので、こういう集大成ものはやはり感慨深い。

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著者プロフィール

1932年、名古屋市生まれ。名古屋大学文学部卒業後、NHKに入社。テレビ初期のディレクター、プロデューサーをつとめたのち、脚本家に転身。『鉄腕アトム』、『エイトマン』、『ジャングル大帝』、『サザエさん』、『巨人の星』、『デビルマン』など、1500本超のアニメ脚本を執筆した。また、推理小説作家としても活躍しており、『仮題・中学殺人事件』、『迷犬ルパンの名推理』、『あじあ号、吼えろ!』、『完全恋愛』(牧薩次名義)など多数の著作がある。現在、デジタルハリウッド大学教授。国際アニメ研究所所長。本格ミステリ作家クラブ会長。

「2009年 『『鉄腕アトム』から『電脳コイル』へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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