本バスめぐりん。

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 687
レビュー : 120
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027674

作品紹介・あらすじ

都会を走る移動図書館「本バスめぐりん」。乗り込むのは六十代後半の新人運転手・テルさんと、図書館司書・ウメちゃんの、年の差四十のでこぼこコンビだ。団地、公園、ビジネス街など巡回先には、利用者とふしぎな謎がめぐりんの到着を待ちかまえていて……。テルさんのとまどいとウメちゃんの元気、そしてたくさんの本を詰め込んで、本バスめぐりんは今日も走る。本屋、出版社などさまざまな「本の現場」を描く著者の次なる現場は、移動図書館! 本を愛するすべての人に贈る、ハートフル・ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 種川市の移動図書館は、本バス”めぐりん”と呼ばれている。
    司書のウメちゃんこと梅園奈緒子、運転手のテルさんこと照岡久志。
    2人が巡回する先々でちょっと不思議な出来事が起こり…

    本好き夫婦の我が家では、転勤先で図書館のお世話になること度々。
    以前、図書館からかなり離れたところに住んでいた時、一度だけ移動図書館を利用したことがある。
    しかし、2週間に一度の巡回日に返却しなければならないことはハードルが高すぎた。
    そして、バスに積まれている本の中から好みの本を探すのも難しくて。
    それっきり移動図書館を利用したことがなかったが…

    図書館利用者が減っている昨今、当然ながら移動図書館の利用者も減っている。
    だけど、図書館から離れたところに住んでいたり、図書館まで行けない人にとって、移動図書館は大切なものだ。
    いつまでもなくてはならないものだと思う!

    今度、本バスを見かけたら、のぞいてみたい!

  • 移動図書館。
    本を乗せて走るから「本バス」
    愛称は『めぐりん号』

    45年のサラリーマン生活を定年退職し、嘱託で働いた後、友の要請で急きょ、移動図書館の運転手を引き継ぐことになった、照岡久志(てるおか ひさし)、65歳、愛称『テルさん』
    相棒は、まだまだ駆け出しの司書、ショートカットで元気いっぱい、ともすれば元気余って空回りしてしまう、梅園菜緒子(うめぞの なおこ)、20代半ば、愛称『ウメちゃん』
    なかなかの名コンビ。

    「販売」の本屋さんと違って、図書館は借りたら必ず返しに来る。
    利用者さんも本も、戻って来る。
    そして、その本はまた別の人の元へ。
    バスも、本も、めぐる。
    そんな、「行ったきり」ではない、縁がぐるぐるつながるのが良いのかもしれない。

    『テルさん、ウメちゃん』
    リピーターは、やはり覚えられてしまいますね…
    同じ日に、一番目と三番目のステーションに現れる寺沢さんの悩みと、本の間に大事なものを挟んだまま返却してしまった大島さん。

    『気立てがよくて賢くて』
    かつて高級住宅街だった殿ケ丘は高齢化が進み、本バスの利用者が減ってきた。
    めぐりん号の出発点でもあるステーションなのだが、このままでは巡回が廃止になってしまうかもしれない。

    『ランチタイム・フェイバリット』
    利用者さん野庭悦司(のば えつし)、20代後半の爽やかイケメン。
    ウメちゃんが彼を気にかけているらしいことを、父のような気持ちで、これまた気にかかるテルさん。
    野庭さんは、めぐりん号に来て本を借りつつも、別の一点を見つめているような気がして…

    『道を照らす花』
    団地に引っ越してきてすぐに貸出カードをつくって本を借り始めた、宮本杏奈(みやもと あんな)ちゃん、中二(すごい美少女)は、お母さんがなくなってお父さんと二人暮らしらしい。
    彼女の今の心のよりどころは…

    『降っても晴れても』
    めぐりん号が市民祭りに参加するかもしれない。
    そんな時に降ってわいた、「本バスの運転手さんに対するクレーム」の匿名はがき。
    真相は?

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    会社勤め時代、管理職になってからは若者とはあまり会話しなかった、と、自分のコミュニケーション能力を反省するテルさん。
    更に、苦情のハガキで、見られていることに緊張し、背筋をただし…
    サラリーマン時代とは違う「人との対応」に自らをシフトしていくのだ。
    最近、男性の老後ものをいくつか読んだが、過酷なものが多かった。
    この、テルさんみたいに暮らせたらいいのではないかな?
    ちょっと、周りが善人ばかり集まり過ぎる感じもするけれど。

  • 定年後に移動図書館の運転手になったテルさんと、若くて元気な女性図書館司書のウメちゃんのコンビが各ステーションで起こる謎を解いていく(^-^)どの話も読んだ後ほのぼのとしてしまう(*^^*)「道を照らす花」では、杏奈ちゃんの大ファンになってしまって、うるうるした(;-;)あぁやっぱり本って良いな(*´-`)♪

  • ▼「いっぱい借りて、いっぱい買って、いっぱい読む、これですよ。私も買ってますから。本屋さん大好きですし」(p.122、「ランチタイム・フェイバリット」)

    移動図書館めぐりん号で本を借りるようになり、小説を読むようになった野庭さん。「時間ができたときに町の書店に入り、棚や平台を眺めるのが楽しみになった」と言う野庭さんに、司書のウメちゃんはすかさず本を買うようにすすめる。

    そのココロは、「気に入った本を買って手元に置いたり、贔屓する作家の新刊をいち早く購入することで、誰でも出版界に貢献できる。誰かが支えなくては、新しい本は作れなくなる。図書館の棚も痩せ細ってしまう」(p.121)からだ。

    私の読書は、主に「図書館で借りること」と「本屋で買うこと」で支えられている(それ以外に、人からまわってきたり、もらったりが時々)。図書館が近くになかった頃には買いまくっていたこともあるが、本の置き場に困り、片づけられず、「たしか買って持ってたはずの本」が探し出せなくなったりして、図書館にシフト気味。

    とはいえ、買わないようにしていても、本を結構買っている。確定申告のときに本の領収書をひっくりかえしていて思う。この頃は、読んだ本を人にまわしてしまうようにして(それが滞り気味ではあるが)、また時々買っている。

    ジャンルや造りや値段などによって本といっても様々なのだろうが、著者(作者)が、たとえば自身のブログなどで「図書館で借りて読みましたと言われるとガッカリ」とか「買えよ!」とか表明しているのを見ることがある。

    もちろん、本そして本をつくっていく環境に対してできる一つの貢献は「買い支える」ことなのは分かる。でも「図書館で借りて読んだ」ことにガッカリするのは、ちょっと待ってほしいと思う。

    私の場合は、図書館で借りて読み、また借りて読み、そしてやはり本を買うこともあるし、図書館で借りて読んで、よかったので「これが!」と人に勧めることもあるし、自分で買って読んだあと、図書館にないのに気づくと「これは図書館にあってほしい(他の人にも読む機会があってほしい)」と図書館へリクエストすることもあるし、図書館へリクエストして入るのを待っていたが、待ちきれずに買って読むこともある。

    「本を読むこと」「本を買うこと」「本を借りること」はぐるぐるとつながっていると思うから、ウメちゃんの「いっぱい借りて、いっぱい買って、いっぱい読む」は、うれしかった。

    大崎梢の小説は、本屋モノ、書店営業モノ、出版社モノなど本にまつわる話がかなりある。そっちもまた読みたいなあと思い出す。

    (2018/5/24了→6/6再読)

    大崎梢『本バスめぐりん。』
    https://amzn.to/2luqo6v

    過去ログ
    『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』
    http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-4802.html
    大崎梢『クローバー・レイン』
    http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-4505.html
    大崎梢『プリティが多すぎる』
    http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-4445.html
    大崎梢『背表紙は歌う』
    http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-3573.html
    大崎梢『平台がおまちかね』
    http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-357.html

  • 今度の舞台は、移動図書館。

    サラリーマンをリタイアしたテルさんと、元気溌剌な司書ウメちゃんが良いコンビです。
    テルさんの奥様の聡子さんがこれまた、とってもいい味出してます。

    小さな謎解きのコージーミステリーというのをはじめて知りました。

    バスがめぐる町の5つのお話、どれもふんわり優しくて、本が大好き!が溢れています。
    軽いタッチで短編なのであっという間に読み終わってしまいますが、あちこち深いなーと感じるとこもあって、こういう本はやっぱり好きです。

  • 定年退職した男性が、知り合いの紹介により、移動図書館の運転手となる。畑違いの仕事に最初は戸惑いを隠せなかったが、相方の女性司書とともに、移動図書館での仕事や利用者さんとの関わりや利用者さんに関わる謎を解いていく内に、思いやりある周囲の方々、司書に支えられ、仕事に誇りを持てるようになった姿が良い。定年間近に世代の違う人との関わりについて悩んだりしたが、エンジニア時代に培った対人スキルと、司書の心温まる一言、移動図書館の認知度を高めたいという思い、利用者さんとの本などの話で交流を深めるのが良い。

  • 本屋さんを舞台にした成風堂シリーズの著者の最新作は移動図書館!

    人生の酸いも甘いも噛み分けた?テルさんと、元気いっぱいの司書ウメちゃんのコンビが、移動図書館で体験する謎を解く!

    本を介して人と出会ったり、めぐりんに置かれた紙袋の謎や、「モモ」を見てなぜ女の子は泣いたのか・・。土地も違えば利用する人も違う移動図書館の醍醐味を味わえます。正に一期一会な物語です。

    また、テルさんは年齢を重ねただけではなく、サラリーマンの世界を体験しているからこそ、謎の裏に隠れた人間の心や苦しさ(失業したり、妊婦が会社で働くことの辛さ)を見れるのだろうな。違った世界に飛び込むのはとっても不安だけど、新しい価値観を持てるのが良いところ。色んな人がいるっていうことを知るのはだいじですね。

  • 図書館で借りたもの。
    3000冊の本を載せて種川市を走る移動図書館、愛称めぐりん。乗り込むのは、65歳の新人運転手テルさんと図書館司書のウメちゃん。2人と1台を待ち受けるのは、利用者と不思議な謎の数々で――?本でつながる想いをのせて、移動図書館は今日も走る!

    ちょっとしたミステリーで、さくさく読めて面白かった!
    これを読んで、地元の移動図書館はどうなんだろうと思った。
    図書館に通える距離に住んでいるから見たことないんだよね。
    結構来る人いるのかな。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    3000冊の本を載せて種川市を走る移動図書館、愛称めぐりん。乗り込むのは、65歳の新人運転手テルさんと図書館司書のウメちゃんだ。2人と1台を待ち受けるのは利用者とふしぎな謎の数々で?!本でつながる想いをのせて、移動図書館は今日も走る!

    いいなあ本バス。定年した後でこんな職に就けたら最高だな。本を求めている人のところへバスで行くなんて、そんな幸せな仕事があるなんて信じられない。でも我が住み処でも本バスあるんですよね。図書館のガレージに止まっていていつも羨望の眼差しで見ています。あー、こんなに本好きなんだから絶対向いていると思うんだよなあ。

    この本はミステリーと本バスの活動を融合させようとして上手いこと混ざらなかったという作品です。でも図書館小説として魅力全開アピールで物凄く好感を持ちました。図書館好き、本好きにはたまらない本なんじゃないかな。いい人ばかりが登場してほんわか。好きじゃない人が読んだら温いとか、ミステリーじゃないとか色々いいそうですが、そういうんはファンシーなカフェで、難癖つける純喫茶マニアみたいなものですよ。この表紙のような明るいふんわりした雰囲気を楽しもうではありませんか。

  • 移動図書館のおはなし。
    知人に頼まれて本バスの運転手を
    することになったテルさんは、
    やる気がそれほどなく人との関わりにも消極的で最初は少しイライラしたけれど、
    若干猪突猛進なところがある司書といいコンビで
    だんだん応援したくなった。
    本に関する小説を多く書かれている作者さんなので面白いだろうと手に取ってみたが
    利用者が高齢化、減少している地域に
    保育園の子どもたちを呼んだり、
    新しく団地に越してきた美少女を
    団地の利用者たちとみんなで見守ったり、
    設定に現実味があって面白かった。
    私の小学校に昔図書館バスが
    来ていたのを思い出した。
    私が本好きになったのにはあのバスも
    一役買っているよなぁ。

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著者プロフィール

大崎 梢(おおさき こずえ) 
東京都生まれ、神奈川県在住。10年以上の書店員経験がある。2006年、書店で起こる小さな謎を描いた連作短編集『配達あかずきん』でデビューし、以降「成風堂書店事件メモ」としてシリーズ化、代表作となる。ほか、「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」、「天才探偵Sen」のシリーズがある。
原宿を舞台にエリート出版社員が原宿系ファッション誌担当となるコメディお仕事小説、『プリティが多すぎる』が2018年10月ドラマ化される。カンヌでワールドプレミア開催&アジア各国で同時期放送が決まり、新たな代表作となった。

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