さよなら妖精【単行本新装版】

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 249
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027681

作品紹介・あらすじ

1991年4月、雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。米澤穂信、デビュー15周年記念刊行。初期の大きな、そして力強い一歩となった青春ミステリの金字塔を再び。巻末に特別書き下ろし掌編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 高校3年生の守屋と万智は、春の雨の日、雨宿りする外国人に傘を渡そうとしたところ、彼女が行く当てをなくして途方に暮れていると知り、旅館をしている友人宅を紹介する。マーヤと名乗るその少女は、17歳のユーゴスラヴィア人で、日本語が堪能で、2か月滞在する予定だと言う。彼女と触れ合うにつれ、彼らは自国の文化を再認識するとともに、最初はどこにあるのかもわからなかった国、ユーゴスラヴィアへの関心を深め、またその未来に不安をいだくのだった。

    激流の中にあっては微力であるとは知りつつも、自分の中の想いをかけたいともがく青年の姿を、異文化交流のユーモアも交えて描く。
    マーヤ、守屋、万智、いずる、文原、それぞれの人物設定が妙で安心して楽しめる。

    冒頭の部分がかなり硬い印象だったので、回想部分に入ってからは力が抜けて読みやすくなった。

    守屋と万智の関係がとっても微妙に描かれているが、私にはそれ以上のものは読み取れなかった。

    紛争地域のことは日本にいては報道を見聞きして想像するしかないのだが、友人を持つといっぺんに身近なものになる。
    タイトルの「妖精」はマーヤのことだったのか。読み終えて気づく。

  • 1991年4月、雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。米澤穂信、デビュー15周年記念刊行。初期の大きな、そして力強い一歩となった青春ミステリの金字塔を再び。

    タイトルで察してしまう結末ではあるが、ハッピーエンドではない。守屋に重ねて苦い後悔のような気持ちに襲われる。そして、太刀洗が守屋に対して抱えていた秘密と悲しみに、胸を衝かれる。彼女はこうして大人になっていったんだな、と「王とサーカス」を思い出しながら読みました。ユーゴのことは何も知らなくて、知ったからといって何ができるわけでもないけれど、それでも自分の手の届く範囲の世界だけで完結するより、何かを求め続ける人間でありたい。自分の国の未来を、もっと真剣に考えられる人でありたい。恵まれた平和な国だからこそ、もっと政治や社会に目を向けなければいけないんだろうな。

  •  この小説の時間よりも、さらに時は進んで行った。ユーゴスラビアは、もはやさらに解体が進んだ。
     そして、日本には、ピクシーやオシムがやってきた。

  • フリーのジャーナリストになった(先にそちらの本を読んでしまったので読む順番が逆になりました))大刀洗万智の登場する彼女の高校生時代のお話。主人公は別の男子高校生ですが、彼から見たその頃の大刀洗万智の印象が興味深く描かれています。
    しかし、お話のタイトルにもあるように今回は妖精と称される、マーヤとの出会いの物語。彼女は遠い東欧の国、ユーゴスラビアからやってきた少女。ある雨の日、守屋路行たちは傘も差さずに橋の上に佇む彼女を見つけます。この時、彼女は何故傘を差していなかったのか…
    そして彼女が日本に来た訳と遠い彼女の国の複雑な事情を知ります。自分には無いものを持つ彼女に惹かれ、ユーゴスラビアの情勢を調べ始める守屋ですが…その一帯では民族間での紛争が勃発しており、マーヤは突然姿を消します。国に帰ったのか…彼女はどこに帰ったのか…複数の国に分かれるユーゴスラビア情勢に、マーヤはどこの出身なのかを明かしていませんでした。マーヤの安否は果たして…
    ミステリー仕立ての内容で、大刀洗が鋭い洞察力で謎を解き明かすのですが、あまり表に出て来ないところもミソなのかと思いました。最後に載っているエピローグがよりマーヤの印象を強めています。

  • 1991年、高校3年になった頃、ユーゴスラヴィアから、やってきた少女を巡って、僕が、僕たちが考えたこと。
    太刀洗さんの若かりし頃も出てくる。
    ほんの少し甘酸っぱいけれど、基本苦くて現実の厳しさを思い知らされる話。
    正直なところユーゴスラヴィアが分裂して幾つになったのかを知らなかった。
    今は観光地になり得る程度には平和な国になっているところがあるのが幸いなのか、分裂したままというのが不幸なのか。
    そしてそれをまとめ上げていたチトーの有能さが調べるほどに際立つ。

  • いっかな興味わかず読了。

  • 米澤穂信さんの初読み本。
    なんか昭和な空気が漂うなぁと思ったら、米澤さんの高校時代が元になっているらしい。
    昭和の高校生は大人だったな。

  • 花冠の日を読みたくて読んだ。この後のことを考えると痛々しい。──王とサーカスを読んだ時にも、これ(文庫版)を再読することは無かったのだけれど、改めて読んでみるとあまりにも辛いし、推理能力は残酷だと思う。あと、勝手な話ではあるけれど、これが古典部シリーズで出ていなくて良かったと、なんとなく思ってしまった(もともと古典部シリーズとして書かれたものを別作品としたものだそうなので)。

  • 東欧史をやってきたものとしてはまさにどストライクな作品。勧められて読んだものなので、この偶然におどろいている。
    マーヤの話す言葉の一部わからないところがあったが、それを解説しないのはあえてなのか。

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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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