流浪の月

著者 :
  • 東京創元社
4.39
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本棚登録 : 1134
レビュー : 76
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028022

作品紹介・あらすじ

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人間を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • フォローさせていただいている方のレビューで知った作品。
    はじめましての作家さんでしたがすごく良かったです。

    カテゴライズできない、したくない二人の関係。
    でもふたりにとってはお互いが替わりのきかない存在。
    それが痛いほど伝わってきた。
    読み進めるほどにページをめくる手が止まらず、ふたりが最終的にどうなるか知りたくてたまらなかった。

    文章は読みやすく、比喩もストンと解った。

    凪良ゆうさんはデビュー10年以上の中堅の作家さん。
    BL作品を精力的に書かれてきたそうだ。

  • 溺れた。

    凪良さんの言葉選び、表現力に感服。

    何度も美しい言葉の波に溺れ、二人の、狂おしいほど伝わるもどかしい思いに終始溺れた。

    握った手のひらから確かに伝わる想い。

    決して愛だの恋だの一般的な枠にはめられたくない、言葉で理解してもらえない想いのせつなさに心は何度も収縮を繰り返した。

    お互いがすっぽりハマる場所。自由に心をのばせる場所。

    そんな大切な場所を世の中の色眼鏡の暴力に奪われるその苦しみさえもが波に姿を変えて心に襲いかかった。

    読了後、真っ先に浮かんだのは満月。
    どっしり堂々と輝く、二人の心で満たされた満月を願いたくなる。

    一気にこの世界にのみこまれた圧巻の作品。

  • はぁ、終わってしまった。もの凄く惹きつけられました。映画で言うと、アカデミー賞作品賞クラスの衝撃や余韻を感じます。よくこんな物語を考えてくれたなと作者に敬意を表したい。最初から最後まで首根っこを掴まれっぱなしでノンストップ一気読み。非常に心地よい読後感。思い返しても「あぁ」とため息が出てしまうようなストーリー。今年の本屋大賞は傑作揃いのようですが、この作品は、いやぁ参った。参りました!えっ、まだ読んでないんですか?それはもったいない!読書の充実感と心地よい疲れに酔いしれます。間違いなくお勧めしたい作品!!

  • 小学生の頃、家族と別れることになりおばの家に住むことになった更紗。更紗が遊ぶ公園でロリコンと噂されていたいつも読書している一人暮らしの大学生・文。おばの家での生活にたえきれなくなった更紗はある日、文の家に行くことにする。世間は誘拐事件として報道されてゆくが、事実と真実は違うものであった。大人になった更紗はフミと再会する。そこで二人が待ち受けるものも過去と同じであった。
    予想以上に入り込み、一気読みしてしまった。恋でもなく家族でもなく…しかし、二人互い互いに居場所があるという二人の関係。周りは非難するが、一緒にいたいという切実なる思い。こういった二人を今まで見たことがなかったかな…奇跡的な二人の出会い、あり方でした。孤独感、苦しさ、真実とか差別とか心に突き刺さったなあ。誰にも理解されない、思うままに生きれない、更紗と文。その様子、凄まじい筆力。程度はあるにせよ生きづらい世の中になっているのかな。孤独は嫌だとか、弱さである証拠としての一方的な暴力が多い世界。二人の苦しみは誰にでもふりかかるものかもしれない。圧倒的な一冊であった。今後もこの作家さんからは目が離せない。

  • 今年の本屋大賞もノミネートが発表されましたね。
    以下、ややネタバレあり、注意です。



    つい先日『神様のビオトープ』を読み終えたところで、「植物性ロミオ」を受け継いだお話なのかなと思いきや、文のスタンスはまた違っているように感じた。

    両親の元で幸せに暮らしていた更紗。
    けれど両親がいなくなり、居心地の悪い伯母の家で暮らしている中で、文という青年と出会う。
    伯母の家から逃げ出した更紗は、二ヶ月間、文と一緒に幸せな生活を取り戻すけれど、それは幼女誘拐事件と名がつき、二人を苦しめるのだった。

    結局、誰もがどこか〝普通ではない〟んじゃないかと思う。

    ただ、この話の中では更紗を傷付ける人間と、そうでない人間がはっきり分かれていて。
    その意味では、誰も彼女を攻撃する「資格」なんて持っていないはずなのに。
    正義は容易に「資格」を作り上げて、人を攻撃するから、怖い。

    でも、と思う。
    人を攻撃した人には攻撃してもいいような、そんな気持ちが自分に全くないとは言えない。
    私の中にも正義は潜んでいる。
    だから、自分のことも、怖いと思う時がある。

    ラストシーンが意外に穏やかで良かった。
    文という人も、更紗という人も、危なっかしいけれど、最後まで好きなままだった。

    • さんごさん
      はじめまして、こんにちは。
      凪良ゆうさんの本は最初ボーイズラブで知ったのですが(もしご存じなくて、不快な思いをさせてしまったらすみません)...
      はじめまして、こんにちは。
      凪良ゆうさんの本は最初ボーイズラブで知ったのですが(もしご存じなくて、不快な思いをさせてしまったらすみません)やわらかい文章の方だと思って、いいなと思っていました。
      早速読んでみます。レビューしてくださってありがとうございました。
      2020/01/31
    • mitsukiさん
      さんごさん
      コメントありがとうございます‼︎
      凪良ゆうさんのかつての著作を調べたことがあるので存じ上げております♪
      そして、さんごさん...
      さんごさん
      コメントありがとうございます‼︎
      凪良ゆうさんのかつての著作を調べたことがあるので存じ上げております♪
      そして、さんごさんの仰るやわらかさの意味合いも、よくわかりますー。
      拙いレビューですが、言葉をいただけてこちらこそありがとうございましたー!
      2020/01/31
  • 初めての作家さん。こんな強烈な人を知らなかった私はやはり視野が狭いなと思いました。

    ここで描かれているはいわゆる「愛」ではない。
    でも人と人のつながり、それも強いつながり、が描かれている。それも世間一般の人々からは反対されるもの。そんな禁断のつながりを求めることが許されるのか。
    途中読むのが辛いというか、主人公たちの行動に多少いらいらしながら読み進めた。途中でやめることができないほど物語の世界にとらわれてしまいました。
    読み終わって、ようやくほっとすると共に、自由とは何だろうと思いました。でも心は少しザワザワとしています。

  • 2人にしかわからないこと。他人、世間からは憶測や先入観という見方。2人の間にある真実と世間で作り上げられた事実。この2つの間にある大きな隔たり。表面だけを見れば自分だって大丈夫か?と思ってしまうだろうし危ないなって感じると思う。でも当事者にとっては自分たちの真実があってそこに安心がある。一生ついて回るかもしれないことを背負いながらも選んだこと。思い込みや偏見、そうに決まっているという断定の怖さを感じる。非常に濃い物語で価値観が揺さぶられるようなものでした。

  • 女児誘拐監禁事件。この文字面の暴力性たるや。全身の産毛が逆立つ。だけど、その加害者と被害者の間に何があったのか、なんて、2人にしかわからないものなのだ。ストックホルム症候群、なんて言葉で一面的に判断できるようなものだけではない。
    性的目的での「誘拐監禁事件」は弁解の余地もないほど、叩きのめしてよいと思う。加害者はGPSをつけるなり去勢するなりしてよしだ。
    だけどもしかすると、文と更紗のような関係も、あったのかもしれない…いや、これはそうであって欲しいという単なる願望か…

    正しいってなんだろう。正しく生きること。正しく生活すること。正しく人を愛すること。それって、誰が決めた事?
    文と更紗の関係は、決して正しいものではない。周りから見れば異常なのかもしれない、いや、異常だろう。でも2人がその関係をどうしても必要としていて、その関係でしかお互いに自由に生きていられなくて、その関係でかろうじてお互いを支えあっているとしたら、それを誰がどうして、非難できようか。

    2人の、名前のつけられない関係の、その歪さと純粋さにめまいがしそうだ。誰にもわかってもらえなくてもいい、理解も共感も必要ない。親切という騒音から解放された気高い関係をなぜ、だれもかれもが邪魔しようとするのか。お願いだ、2人をそっとしておいてくれ。何度もそう思いながらページをめくった。
    頭をよぎる最悪の展開におののきながら、祈るような気持ちでページをめくった。

    傷つきやすさのために鈍感になり、絶望から逃れるため冷徹になる。そうすることでようやく壊れずに、自分を守って生きてきた2人の今までの時間を思う。

    文と更紗の再会を神に感謝したい。たとえどこに流れていくとしても、2人で生きていくことができれば、それでいい。
    尊い。こんなに尊い関係を、私は知らない。

  • 本屋大賞候補作ということで購入。

    登場人物の視点によって、解釈が大きく変わる印象でした。
    主人公の更紗としては、この家から逃れたかったのに一つの行動が、一生消えることない烙印を押すことへと発展していきます。第三者から見れば、誘拐事件として取り扱ったために、悪い印象を与えています。
    他にも様々な人物の視点で見ると、一つの事実があるのに多数の解釈が生まれるので、色々と考えさせられました。
    恋愛小説でもあり、ヒューマンドラマとしても読めました。
    当事者にしかわからない真実、周りからの思い込みなどが次々と歪になっていき、正しいことの難しさが垣間見れました。複雑な心情が簡単に病気でくくられることに憤りもありましたし、第三者はこうも雑に事件に扱うことにも憤りがありました。結局、真実は当事者にしかわからないことにリアル感があるんですが、哀しくもありました。我々世間としては、そっとしてやることが正解かと思います。正義と思って、ネットにさらしたり、週刊誌に売ったりと安易に暴くようなことは、もう一度考え直したほうが良いかと思います。
    そういった点で考えると、色々考えさせられました。
    最後は冷酷だけれどもちょっと暖かい部分も垣間見れたので、良い方向へと迎えればと思います。

    凪良さんの小説は初めてでしたが、登場人物の心情が繊細でした。表面的には静かではあるものの、奥の方で沸々と湧き上がる思いが如実に表現されていました。BL作家としても活躍されているためか、世界観は現実的ではあるものの、オブラートを包んだような雰囲気を醸し出していました。
    ちょっとしかBL作品は読んだことがないのですが、どの作家も人物の丁寧な心情は、さすがだなと思いました。

  • とにかくこの本が持つ吸引力が凄すぎて、読んでる途中も読み終わった後も、しばらく現実ではなく小説の世界の中で生きているかのように気持ちの焦点が現実と合わなかった。
    こんなにも心がギリギリと引き裂かれる様な思いをしたのは久しぶりで、誰もが心の奥に抱える気づいて欲しい、助けて欲しい、でも怖い…
    と言う感情がとても鮮明に書かれている。
    今の世の中すぐにネットで何でも晒される。
    逃げるすべの無い『善意』と言う鎧を着た悪意に攻撃され、真実は当事者だけにしか分からないと言う事実は、赤の他人からしたらどうでもいい事なのだ。
    勝手に憶測をして楽しめる玩具であればそれでいい。
    もうどうか主人公の2人をそっとしてあげてと言う気持ちがある一方で、もし自分がこの話の中で赤の他人として登場した場合…きっと勝手に憶測をして2人のことを楽しむ玩具として扱うのだろう…と言う事を思ってしまった瞬間酷く心が冷たくなった。
    黒く残忍な心を自分も持っていると言う事実に打ちのめされながら、それでもこの2人の真実を知った今は、どうかどうかこの2人が、
    心安らかに過ごせますようにと縋りつくように祈らずにはいられなかった。

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著者プロフィール

凪良ゆう(なぎら ゆう)
小説「花丸」冬の号『恋するエゴイスト』(白泉社)でデビュー。『雨降りvega』(イラスト:麻々原 絵里依)、『365+1』(イラスト:湖水 きよ)などの作品を手がける。主にボーイズラブ系で活動。
作品多数。主な作品に、『積木の恋』『未完成』『美しい彼』『ショートケーキの苺にはさわらないで』『おやすみなさい、また明日』『2119 9 29』『雨降りvega』など。

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