うつくしが丘の不幸の家

著者 :
  • 東京創元社
4.01
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本棚登録 : 648
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (505ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028046

作品紹介・あらすじ

築21年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』だって呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われるまでは――。わたしが不幸かどうかを決めるのは、他人ではない。『不幸の家』で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族をふっくらと描く、傑作連作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館の予約待ちが随分と長かったので、「52ヘルツのクジラたち」より後に読んだのだが、こちらの方が好きだった。

    ちょっとマイナス思考に陥ると、人の噂なども容易く信じてしまう。
    少し冷静になって、違う角度から見ればかえって良いことだったりする。

    一軒の家を起点に、少しずつ過去に遡っていく物語。過去と現在が繋がる最後は良かった。
    「52ヘルツのクジラたち」の種になっているような話も散りばめられていた。

    2021.3.20

  • 緩やかに心に沁みてきた。

    「不幸の家」と噂される家を舞台に紡がれる五つの家族の物語。
    ずっと緩やかに丘へ向けて坂を登っていく感覚だった。随所に散りばめられた、心に沁みていく言葉をひとつひとつ丁寧に心に拾いあげながら…緩やかに。

    そしてどの家族も、人も、人生の坂を誰かの言葉や助けを借りながら登るのだと改めて感じた。

    たどりついた丘の上から眺める景色は物事を広く捉えられる瞬間かも。
    見方を変えれば世界が変わる、自分がブレなければいくらだって幸せが見えてくる。
    最後は丘の上から大きな虹を見た気がした。

    ホロリときた。

  • はたから見れば
    家を売るということは
    一家離散とか 家庭内不和
    のように思わるかもしれませんが
    実は 内から見れば
    新たな旅立ちだった 
    うつくしが丘の家には
    5組の家族の
    幸せへの道のりが
    歴史に刻まれたということです

  • 全ての章が繋がっていくのがすごいと思った。

    第3.5章は泣けた。
    小さい子供が絡んでくると泣けるんだよなぁ。

    エピローグは、よかったぁって気持ちに。

    タイトルは不幸の家だけど、最後は幸せな家でした。

  • 「あんたが買った家、いわく物件みたいよ」なんてショックなひと言。過去に住んだ家族が次から次へと引っ越すらしい、通称「不幸の家」。そんな不幸の家の住人たちを逆時系列で追っていく物語。気になってた作家さん、初そのこしてみたけど、速攻で好きになる。住人たちは不幸と思いきや不幸じゃなかった。悩み、とびっきり苦しんだかもしれないけど不幸じゃなかった。3章の『さなぎの家』が一番心に刺さる。全ての章に共通して、辛い出来事のなか前向きになれる人間ドラマが嘘くさくなくて良かった。「悩みなんて、見方を変えれば幸せに変わる」


  • 町田そのこ、最高かよ。

    もう何年も前から彼女の物語のファンだけど、本作でさらに慕う気持ちが膨らんだ。
    こんな「しあわせ」のかたちはどの物語にも見たことがないし、その一方で彼女らしいと納得もできる。
    しあわせは自分で決めるもの。言葉にしてみればありきたりだ。でもそれを魅力的な物語にできる?

    答え、町田そのこならできる。

    加えてこの構成力。
    普通なら時系列に進むでしょう。違うんだよ。そのこちゃんは違うんだ。
    遡ることで、際立つこの包容力。
    素晴らしい。

    毎日がうまくいかなくて、それこそ自分の幸せにはいつもミソがつく、と思っている人が近くにいたら是非ともこの本を贈りたい。
    気持ちが楽になる。あと1日だけがんばろうと思える。

    自分のしあわせについて、じっくり考えたくなる物語。

    ありきたりな常套句から稀有な物語を紡げるのが、わたしの大好きな町田そのこという作家です。



  • うつくしが丘に建つ家は何度も住人が入れ替わり
    「不幸の家だ」という人も・・
    その家に住んだ人々のお話。

    読み進めれば進めるほどに
    深く「家族」について「しあわせ」について考える。

    どの家族も一生懸命な人がそこにいた。

    後半に向けて読むペースが速くなる
    好きなタイプの構成だった。

    最後に「うわっ、ええやん!」って思って本を閉じた。

    まだ、三作目の作家さんだと思うと
    いろんな小説にチャレンジして
    楽しませてほしいと思った。

  • 『52ヘルツのクジラたち』『ぎょらん』以来3冊目の町田そのこさん。いやぁ〜〜〜、やっぱり町田そのこさん大好きです。今回また改めて実感しました。

    「ここが『不幸の家』だって呼ばれているのを知っていて買われたの?」

    海を見下ろす小高い丘に広がる住宅地「うつくしが丘」に建つ築25年の3階建て一軒家。夢としあわせの象徴だったはずなのに…。この家に住む五つの家族を描く連作短編集です。

    幸せ、不幸せは誰かが決める物ではない。

    最初はタイトルが、ちょっとホラーっぽくていまいちだなぁ…と思っていたんですが、読み終わってみると納得。

    『ぎょらん』の時も思ったんですが、この本もまた、エピローグまで含めてそれぞれの話のつながり方がめっちゃ好きです。間違いなくしあわせな気持ちで読み終われます。

  • 町田その子、面白いね~~~
    全体の文章構成、人の重なり、これぞ、その子節と言うべきか!
    町田その子の作品は、必ず何かベースとなる人や物が存在する。
    この作品では、それが家になる。この家をベースとして、それぞれの人や家族の人間模様が優しく暖かく描かれている。
    これまで読んだ作品全てに於いて、読後感は「良かった」とホッとしてしまう。

  • 読了後、ブクログの検索窓にタイトルを「しあわせの家」と思い込んで入れてしまいました…!タイトルを改めて確認してびっくり。
    それぞれの困難に立ち向かっていく姿を見守った大きな家が、歴史を重ねやがてしあわせの象徴となっていくのが良い。

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著者プロフィール

町田そのこ

1980年生まれ。福岡県在住。「カルメーンの青い魚」で、第十五回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュ。他に『ぎょらん』(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)がある。

「2020年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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