二十一時の渋谷で キネマトグラフィカ

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 532
感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028503

作品紹介・あらすじ

新元号が発表された日、宣伝部の砂原江見は岐路に立たされていた。長く勤めた老舗映画会社・銀都活劇が大手IT企業に買収されることが決まったのだ。社内には弛緩した雰囲気が漂い、退職者も続出していた。DVD宣伝を手がける江見の部署も、一癖ある部下たちも、この先どうなるかわからない。では銀活の名前が消えるまでに、自分は何がしたいのか。バブル、ロスジェネ、ゆとり、さとり、様々な世代から「働き方」を問いかける。

感想・レビュー・書評

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  • 1973年生まれの砂原江見は中途採用で銀都活劇という映画会社に勤めています。
    20代のとき一度結婚していますが、夫が子どもを欲しがったことからやむなく離婚をしています。

    そして銀都活劇は営業譲渡という形で売りに出されることが決まっています。
    平成も終わり令和の元号が決まった頃、江見は最後に「90年代トリビュート」という銀活の代表作を集めた上映会を企画し上映会が終わるまでの人間模様を描いた作品です。

    私は若い頃何度か身体を壊したりして仕事を辞め、あまりたくさん働いた経験はありませんが、仕事は仕事そのものも大変だけど、人間関係がいろいろ大変だったなあとつくづく思いました。

    この登場人物の中で誰が自分の立っていた位置に近いかといったらうぬぼれではないと思うのですが主人公の江見だと思います。他に感情移入できる人物はいなかったです。
    会社以外に自分の夢が他にあったところが同じだと思いました。それ故に会社では疎まれることもあったのかと思い至りました。

    江見は「いつか私はこれを書くのだろう」と言っていますが、私は夢は果たせなかったのですが、何かやれることはないか考えてみたいと思いました。

  • キネマトグラフィカの続編。
    こちらは令和が舞台になっている。
    バブル崩壊~就職氷河期を乗り越えてきた世代の江見が中心に描かれている。
    全作の平成元年組も登場して、今の様子がわかるのも面白い。
    時代の移り変わりを感じながら、懐かしい気持ちにもなった。
    そして、「自分のために働く」っていいなと思わせられる。

  • 映画の制作の話ですね。
    主人公の純粋さを感じます。
    自分に正直ですね。
    考えさせられます。

  • キネマトグラフィカの続編。様々な世代の仕事への思いが描き分けられている。「らんたん」でも取り上げられていたが、未だに女性を「産んでなんぼ」みたいに捉えている風潮が腹立たしい。

  • 古内一絵さん作品は読み終わった後頑張る力が自然と湧いてきます。
    前作と同じく女性の立場や気持ちが詳細に描かれていて自分と全く立場が違っていても共感して胸が熱くなります。
    このシリーズでは麗羅に憧れます。
    彼女のような人生を歩んでみたい!(*´꒳`*)

    • katz21さん
      すてきなメンバーに乾杯!ですね。
      2冊大急ぎの読了お疲れさま!!
      すてきなメンバーに乾杯!ですね。
      2冊大急ぎの読了お疲れさま!!
      2022/11/17
  • 先日読んだ「キネマトグラフィカ」の続編。働く人々の背中を押してくれる応援歌だ。今回は、それぞれが世の中の観念を超えて生きていく姿、”自分のために”働く姿勢がまぶしく映る。

    さまざまな登場人物を各章で主人公としている中、物語の核となるのは「銀都活劇」で働く砂原江見である。会社組織の中で翻弄されながらも自分の信念を貫き、企画を通し、成功させる。ミニシアターに通い詰めた時期があるので懐かしさでいっぱいである。

    登場人物の中には悪役的な描き方の人もいる。野下由紀子である。彼女の黒い心はよく理解できる。相手を落として自分を上げる、という、集団社会ではよくある処世術。好きなことがない、とう劣等感が見え隠れしていた。

    コロナ禍を予言するようなくだりも興味深い。続編があるなら読みたい。

  • 久しぶりに彼らと再会できてよかった!

    古内さんの作品のキャラクターって、男も女も全然好きになれないしまったく共感もしないのに(何ならこの人気持ち悪いとさえおもう)、不思議と最後まで読ませる。

    古内作品を読むと、共感だけが読書のゴールじゃないといつも教えられる。ありがたい。

    でもほんとうに、女が生きるのって会社でも家庭でもしんどいし、明確なゴールもなければ勝利もない。
    『うるせえ黙ってろ!』と毎日100回はおもう。

    それでもどこかで折り合いつけて、レイや咲やエミちゃんみたく、それぞれのアプローチで明日も生きてくしかないよね。

    そういえば、わたしも自分のためにしか仕事したことないわ。

  • 古内さんの文章は冒頭から引き込まれるし、上手いですね。
    面白かったです。

    ほんと、
    『星の数だけたくさんの人がいて、たくさんの働き方と生き方がある。そこには正解も不正解もない。それぞれが選んだ方法でいくしかない』

    他人に流されたり、惑わされたりすることなく自分の道は自分で決めて進め!!
    組織の中で働いてたら、時に折り合いもつけないといけないし中々難しいですけどね。。
    心の中にはブレない自分軸を持って生きていきたいです。

  • 90年代〜2000年前半、ミニシアター、ほんまよく行った!暗さはあったけど、若者のトガった感性もあって。世の中は働き方も変わって派遣も増えて、、、そして迎えた令和。暗黙の了解的な空気で、息苦しさもあったりする中、なんか楽しいこと興せる?

  • キネマトグラフィカの続編。平成から令和への時代が背景だが、そこかしこに表れる昭和~平成の時代の描写が懐かしい。会社が売却される時に新たな企画を立てる主人公とキネマトグラフィカの時の幾人かも登場し、時代ゆえの困難や難しい人間関係を乗り越えて成し遂げていく彼らの熱い想いにエールを送りたい。

    • ひろりんさん
      続編面白かったです!
      女性の心の揺れに共感しました。。
      そしてやっぱりお料理の描写が流石です✨

      少し遅れましたが無事に返しました!
      続編面白かったです!
      女性の心の揺れに共感しました。。
      そしてやっぱりお料理の描写が流石です✨

      少し遅れましたが無事に返しました!
      2022/11/16
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著者プロフィール

1966年、東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。『銀色のマーメイド』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年にデビュー。17年、『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、第6回JBBY賞(文学作品部門)受賞。他の著書に「マカン・マラン」シリーズ、「キネマトグラフィカ」シリーズ、『風の向こうへ駆け抜けろ』『蒼のファンファーレ』『鐘を鳴らす子供たち』『お誕生会クロニクル』『最高のアフタヌーンティーの作り方』『星影さやかに』などがある。

「2021年 『山亭ミアキス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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