ぼくらはアン

  • 東京創元社
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本棚登録 : 162
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028534

作品紹介・あらすじ

弁護士事務所で働く諒佑のもとに、幼馴染みの誠の捜索依頼がもたらされた。幼少期の経験から大切にしていた日――クリスマスを目前に、誠はなぜ失踪したのか。諒佑は誠たちと出会った十数年前の夏を回想する。無戸籍、ヤクザの家系、不法滞在者……さまざまな理由から世間から外れて生きていた5人の子供たち。学校には行けずとも、楽しく豊かだった彼らの生活は、ある事件を境に一変した。著者新境地たる書き下ろし長編。

感想・レビュー・書評

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  • 要素が盛沢山且つ、華の有るキャラクターも目白押しで、これだけのボリュームが有りながらもうちょっと長くてもいいような気がする位の内容でした。
    大人の都合で戸籍が無く苦労している双子、不法滞在の子供として強制送還を恐れる姉弟、やくざの組長の息子として学校でのけ者にされる少年。
    社会からつまはじきにされた子供たちが、片寄合って何とか生きて行こうとするいじらしい姿にまず胸打たれます。
    双子の母がほがらかに5人の子供と過ごす姿にほんわかさせられたり、山に暮らす孤独な老人に助けられ生きて行くテクニックを叩きこまれる所もグッときます。
    その後は・・・・。

    風呂敷はでかいですが、個人的にはしっかり畳んだと感じるし、切なさとハラハラとワクワクをしっかりくれた本だったと思います。
    第一章のホンワカした出会いと交流に心温められ、その後からの展開は目が離せず一気に読んでしまった。久しぶりに引き込まれるキャラ小説を読んだという感じ。

  • 「あるけど、ない。ないけど、ある」、その裏に存在する悲しい意味は…。

    無戸籍、不法滞在、ヤクザの息子…、
    さまざまな重荷を背負った子どもたち。

    重すぎて心が沈んでいきそうなテーマがてんこ盛りのクセして、
    暗さや、やるせなさをそれほど感じないでいられるのは、なぜなんだろう。

    子どもたちの絆、明るさが、テーマの重さを救っているのか。

    人は、親や環境を選んで生まれてくることはできない。
    今は、親ガチャとか、言うんだそうだけど。

    無戸籍の諒祐と美子は、それでも、
    母親の明るさ、そして全身全霊をもって注がれた愛、
    その中で二人は、たくましく育つ。

    そして、不法滞在のタイ人の姉弟、マヨンチットとククリンや、
    ヤクザの息子、誠との出会い。
    境遇は五人とも「不幸」なのだが、それを感じさせないほど、
    生き生きと生きている。

    そして、もう一つの大切な、「じいちゃん」との出会い。
    この「じいちゃん」が大きな傘のようになって、
    子どもたちを護っていく。

    人って、誰に出会うかが大切で、
    その誰かとの出会いがとぎれず、支えとなるなら、
    どんなに幸せなことだろうか。

    「じいちゃん」が何者かに殺され、そうして月日は流れ…。

    子どもたちは、若者となり、
    誠が失踪する…。

    「アン」の意味が、つらい。

  • 無戸籍や不法滞在など、日本で存在証明を持たない子供たち。未来は普通に待っているわけではなく、普通に生活するということそのものが試練である。考えさせられる重い内容。中盤から少し間延びしてしまった感はあるけれど面白かった。アン・アイデンティティ、「アン」ってそういうことか....悲しいな。

  • 僕らの大切な日を前に誠が失踪した。

    あの夏あの場所で僕らは出会った。
    無国籍、不法滞在で学校にいけない僕らと親がヤクザで学校に居場所のないあいつ。
    社会的にいないものとされている彼は。でも彼らは確かにそこにいる。
    必死にもがく少年少女たちの物語。
    ヒューマンドラマそしてミステリー。

  • うーん普通

  • 素人の文章。

  • 43大人が読める少年冒険物語でしたね。票にならない問題を地道に解決しようと取り組む人をしっかり探して清き一票を。タイトルはもう一捻りありかな。

  • 辛すぎる…
    母上、好きだなぁ。

  • 戸籍のない兄妹。学校に行かなくてもじぃちゃんからいろんなことを教わった。仲間もできた。悲しいこともたくさんあったけど幸せを祈る。

  • ククリンがクリリンと読めてしまうのは私だけではないはず。

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著者プロフィール

1978年東京都生まれ。上智大学法学部卒業。新聞社勤務などを経て、2013年に『見えざる網』で第33回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。2015年に『事故調』、2021年に「警視庁監察ファイル」シリーズの『密告はうたう』がドラマ化され話題に。本作は地方検察庁を舞台としたミステリ『地検のS』『地検のS Sが泣いた日』と続く「地検のS」シリーズの最終巻にあたる。他の著作に、『巨悪』『金庫番の娘』『事件持ち』『ぼくらはアン』『祈りも涙も忘れていた』などがある。

「2022年 『地検のS Sの幕引き』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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