金環日蝕

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 618
感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028787

作品紹介・あらすじ

知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったが――。《本の雑誌》が選ぶ2020年度文庫ベスト10第1位『パラ・スター』の著者が贈る、〈犯罪と私たち〉を描いた壮大なミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 阿部暁子『金環日蝕』サイン本ネット販売のお知らせ|お知らせ|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/news/2022/09/3692/

    会報2021年8月号 新入会員挨拶|日本推理作家協会
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    金環日蝕 - 阿部暁子|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488028787

  • 読み終えてまず大きく深呼吸した。善と悪のどちらにも振れどちらも持つ人の心の奥深くを覗いたような気分になった。

    物語はひったくりを目撃するところから始まる。大学生の春風は、自宅の斜向かいの老婦人から紙袋を奪って走り去る男を目撃する。男を追いかける春風を学生服を着た男子が横からすり抜けてきて一緒に追いかけることになるが、取り逃してしまう。しかし、犯人はある物を落としていった。その物には見覚えがあり、学生服を着た男子と共に犯人探しを始めることになる。

    読み進めていくと比較的早い段階で犯人に辿り着くので、その背後や過去のことなどが色々と物語に関わってくるのかなと思っていたが、もっともっと深い人の心が描かれていた。登場する全ての人物描写が繊細でとても自然に感じた。だからこそ、真相が明らかになった時に、登場する各人のことが頭に浮かびそれぞれの未来を案じてしまった。物語自体も何度も驚かされる展開でのめり込んで読み進めた。帯にある「あの男は触媒だ」の言葉が自由な未来に繋がるといいなと思う。

  • ひったくりを目撃した大学生の春風(はるか)と高校生の錬。犯人が落としていった物がきっかけで二人は事件を調べ始める。ひったくりの背後にあるものを知っていくうちにどんどん危険な方へ進んでいく調査。思いがけない展開と春風や錬それぞれの家族やその背景にあるもの。それぞれが抱えてるもの、犯罪に関わろうとするもの、止めようとするもの。簡単には答えを出せなくなってしまうような苦しさがあって読み応えがある。前作のスポーツ小説『パラ・スター』とは全然違う作品で驚くけれど今年読んだ作の中でも上位にくる面白さ。

  • 年寄りを狙ったひったくり。犯人を追う女子大生と男子高校生。
    でもその事件はこの物語の目次ですらなかったのだ。

    ひとつの犯罪が及ぼす影響。事件が終わっても続く、かかわった人たちの人生。
    人が人を騙すこと、人が人に騙される事。
    なぜ騙すのか、なぜ騙されるのか。信じたいと思う人と、騙すことに魅入られていく人。人間の愚かさと脆さが真実を覆い隠していく。
    読み進むたび、変わる景色。少しずつずれていく人の印象。それでも人は人を信じてまっすぐ生きていくことはできるのだろうか。

    何人もの人の人生が「罪」というものにゆがめられていく。それでもなお前に進もうとするその強さを阿部暁子は切り取っていく。
    闇に飲み込まれないように、守りたい、失くしたくない誰かのために、前に進んでいくのだ、私たちも、きっと。

  • 最初は単純な犯人探しかと思って読み進めていくとどんどん新しい展開が広がって途中でやめられない。初めての作家の本だったけど他の本も読んでみたくなりました。

  • これは面白い❗展開の上手さが秀逸。人間の性というか業というか…あますところなく感じられる。家族についても考えさせられる力作。

  • 2022/11/24

  • 久しぶりの傑作。これはすごい。
    何度も、えー!となる場面があり、グッと惹きつけられて、一気読み。
    人は他者に対してできることは限界がある。
    自分を追い詰める不合理な信念のことを、イレイショナル・ビリーフと呼ぶ。
    まるで、オセロのようだった。
    白と信じていたものが、次々とひっくり返り、見る間に黒く染まっていく。
    伏線は、初めから引いてあり、
    驚くことばかりだった。
    タクティカルペン。戦える。そんなものがあることを知らなかった。
    嘘をつきすぎたせいで、錬は人も嘘をついているのでは?と疑ってしまう自分にモヤモヤしている。
    ラストの身長を聞いた場面もゾクっとするが、爽やかな気持ちになれる。
    錬の母親は愛情の深い良い母だと思う。
    ふるさと納税、万歳。すき焼き食べたくなる。もつ鍋もいいね。

  • あなたという存在は知っているのに心の内は分からない。自分というものの確かさが分からない。そんな、人の多面性がえがかれた作品でした。

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著者プロフィール

岩手県生まれ。『陸の魚』で雑誌Cobalt短編小説新人賞に入選。『いつまでも』で2008年度ロマン大賞受賞。集英社オレンジ文庫に『鎌倉香房メモリーズ』シリーズ(全5冊)、『どこよりも遠い場所にいる君へ』コバルト文庫に『屋上ボーイズ』、ノベライズ『ストロボ・エッジ』『アオハライド』シリーズ、他の著書に『パラ・スター 〈Side 宝良〉』などがある。

「2022年 『読んで旅する鎌倉時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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