九人のレジェンドと愚か者が一人

  • 東京創元社 (2024年6月19日発売)
3.09
  • (4)
  • (8)
  • (24)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 107
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488029050

作品紹介・あらすじ

容疑者はスタメン9人

26年前の伝説の試合中、
ロッカールームで何が?
テレビ取材班が暴く衝撃の真実
企みに満ちた至極の犯人当てミステリ

26年前、パ・リーグのペナントレースを制した阪和バーバリアンズ。6回2死まで0封された後、満塁ホームラン3本が飛び出して9点差をひっくり返すという史上稀に見る逆転試合をきっかけに、リーグ優勝、そして日本一へと駆け上った。その後の低迷期を経てこの夏、来季の新監督に抜擢されたのは、当時4番を務めた夏川誠だ。大阪毎朝放送がレジェンドと呼ばれたメンバーたちのインタビューと再現試合で構成する特別番組を企画。取材を進める中で、10人目のレジェンドともいえるマネージャーの存在が浮かび上がる。ところが、あの試合中に盗難事件があり、疑われたマネージャーは退団、そののち非業の死を遂げたという……。チーム思いのマネージャーがなぜ盗難を行ったのか? 主要メンバー9人の中に、嘘をついた人物がいるのではないか? そして仲間を裏切った愚か者は誰なのか――。吉川英治文学新人賞作家が贈る、企みに満ちた長編ミステリ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • プロ野球小説といえば、本城雅人。
    野球をメインに副菜としてストーリーの色付けを楽しむのだが、今作は味も見た目もあまり好物じゃなかったかな〜。
    本城作品との出逢いは「球界消滅」という作品。ドキドキして読んだな~。
    次作を楽しみに・・・

  • 26年前、満塁弾3本が飛び出すまれに見る逆転劇でリーグ優勝したプロ野球チーム•阪和バーバリアンズ。
    当時スタメンだった九人のレジェンドメンバーのインタビューと再現試合を織り込んだ番組をTV局が企画する。取材する過程で、十人目のレジェンドとも言えるマネージャー•井坂静留の存在が浮かび上がる。しかし井坂は、逆転劇があった試合中に起きた窃盗事件の犯人であることを自供し退団、その後事故死していた。メンバーに慕われていたはずのマネージャーがなぜそのような事件を起こしたのか?ディレクターの平尾茂明は、レジェンドらにインタビューを進める…

    プロ野球を題材としたスポーツミステリ。
    作者は元スポーツ新聞記者で、本書の他にも野球を題材とした小説を書いている模様。
    プロ野球界で起きていたと疑われる不正行為や、プロとアマの関係性など、業界関係者ならではの裏事情は興味深く読んだ。

    一方ミステリ的には、某人物の正体は容易に想像がつくし、“愚か者”の正体含めて想定の範囲内で、カタルシスは得られず。インタビュー形式で進むプロットも単調で、ストーリーの起伏に欠ける。

  • 野球がテーマというので期待したけどラストは悲しいですね。
    全部が虚しく感じます。
    野球の試合だけをテーマにして欲しかったです。

  • Amazonの紹介より
    26年前、パ・リーグのペナントレースを制した阪和バーバリアンズ。6回2死まで0封された後、満塁ホームラン3本が飛び出して9点差をひっくり返すという史上稀に見る逆転試合をきっかけに、リーグ優勝、そして日本一へと駆け上った。その後の低迷期を経てこの夏、来季の新監督に抜擢されたのは、当時4番を務めた夏川誠だ。大阪毎朝放送がレジェンドと呼ばれたメンバーたちのインタビューと再現試合で構成する特別番組を企画。取材を進める中で、10人目のレジェンドともいえるマネージャーの存在が浮かび上がる。ところが、あの試合中に盗難事件があり、疑われたマネージャーは退団、そののち非業の死を遂げたという……。チーム思いのマネージャーがなぜ盗難を行ったのか? 主要メンバー9人の中に、嘘をついた人物がいるのではないか? そして仲間を裏切った愚か者は誰なのか――。吉川英治文学新人賞作家が贈る、企みに満ちた長編ミステリ。



    興味をそそる題名だったので読んでみました。
    9点差で負けていたのに、満塁ホームランが続いたりと大逆転というありえない試合の裏で起きた盗難事件。

    といっても、盗まれたのは1万円。犯人はマネージャー⁉でしたが、事故死によって事件の全容はあやふやなまま時間が過ぎました。

    ところが、今回当時いた選手が、監督に就任になったということで、テレビ局が、当時のメンバーを集めて同窓会スペシャルといった番組を立ち上げることになります。
    選手のインタビューから見えてくる事件の真実とは?テレビスタッフが推理していくという内容になっています。

    構成としては、各章の始めがそれぞれの選手のインタビュー形式となっていて、昔を振り返り、時たまマネージャーについての盗難事件にもふれています。その後はそれぞれの選手視点で昔を振り返ったり、テレビスタッフが推理するために行動を起こしたりしています。

    少しずつ、あの時の情報が繋ぎ合わさっていくので、先が気になるばかりでした。

    盗難事件の解明が事件の柱になっていて、大逆転劇には特に大きく影響されていないと思います。

    個人的にありえない大逆転劇で、その先は優勝へと導く展開だったので、何か裏があるのでは?と思うばかりでしたが、一部疑惑はあるものの、その辺りはそんなにこだわってはいない印象でした。

    むしろ、マネージャーについて、選手だった人達にスタッフがグイグイ迫っています。
    何で、そんなにグイグイ取材しているのか?ちょっと疑問はあったものの、その答えは後半で明らかになります。
    なんとなく、その理由はわかっていたものの、改めて書いていると、驚きました。

    一見、感動の再会の番組を作っていると思いきや、その裏ではドロドロの部分が垣間見えます。
    次々と明らかになる真実に、読者としては知りたくなかった印象でした。
    あの感動を返せ!とまではいきませんが、徐々に裏切りの要素が滲み出ていくので、なんだか切なくなってきました。

    あらすじを見る限り、こういう時はマネージャーが犯人ではないと思いながら、読んでみると・・なるほどそういうことかと驚きの真実がありました。

    といっても、今迄のインタビューをじっくり書かれていた分、最後での真実が明らかになる場面が、意外にあっさりしていたので、なんだか拍子抜けしてしまいました。
    前半が、事件にかかわる主要人物をインタビューしているのですが、段々と後半になると、単独ではなく、2人同時にインタビューしたり、過去の映像から抜粋したりと後半になるにつれて、無理やり片付けている印象がありました。

    さらに「え⁉ここで終わり⁉」と思うくらい、結末がプツっと終わるので、その先も気になりましたので、もう少しじっくり書いてほしかったなと思いました。

    テレビスタッフの強引な取材に隠された秘密や選手達の隠された真実など、興味をそそる内容で面白かったです。

  • 野球物を書かせたら、きっとホンマにあった話しや、と思えるくらいのストーリーテラーぶり。再現シーンは出来過ぎかもしれんけど、一本筋に通った筋書きに関心。冗長にならず引き締まった良い作品でした。

  • 26年前の伝説の試合の裏で、ロッカールームで起きたある事件。その事件の犯人とされたチームのマネージャーは退団し、数年後事故死した。
    彼は本当の犯人だったのか?
    テレビ局のディレクターが、ある企みを持って企画した再現試合のドキュメント。レジェンドたちへのインタビューから明らかになる真実とは。


    ミステリ好きだけど、野球ファンではない私にはすこぶる退屈な作品だった。
    レジェンドたちへのインタビューが冗長で、野球に偏りすぎて、ミステリはどうなったんだとイライラ。
    最後の最後になってやっと明らかになる事実も、それまでの退屈を覆すほどのインパクトはなく、謎のスケールの小ささにがっかり。

    時間を返してくれと言いたくなる読書は久しぶり。

  • 弱小プロ野球チームがある試合を切っ掛けに優勝チームとなる、その試合とその試合のウラであった事件を掘り起こす。野球だけの話であったなら山際淳司的であったがそれにプラスした話がいただけない。そんなちゃちい事件でと思い、夏川一家に腹が立つ。ちょっと無理じゃない?と思う部分としつこい描写も多く低評価になった。

  •  終わりがちょっとあっけなかったか。もう少し違う最後を期待していたんだが。

  • 野球がテーマなのは非常に良いがインタビュー部分が冗長でダレる。
    真相もショボかった。

  • プロ野球ペナントレース中に起きた26年前の伝説の逆転劇試合。その最中にロッカールームで起こった窃盗事件。犯人と疑われたマネージャーはその後退団し、数年後に亡くなっていた。

    過去に起きた事件をテレビの取材で明らかにしていくという割と好みのミステリ。ただ主人公である平尾が一体なににひっかかってこだわってるのか?最後まで語られず読者はちょっとおいてきぼり感。最後まで読めばわかるわけですが、推理するタイプのミステリではないのかな。窃盗事件の真相とかそのあたりのあれこれも推理するだけの材料はなかった・・・と思うんですけども。そのあたり気にせず読む自分としては結構楽しめたんですが、推理したい派の方からしたらアンフェアっぽさが気になるかもしれません。
    読後感はあんまりよくはないような・・・勧善懲悪的なものがなされてこれはこれでいいような・・・その後どうなったんだろうな?と想像したくなる終わり。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本城雅人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×