明智恭介の奔走

  • 東京創元社 (2024年6月28日発売)
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本 ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784488029067

作品紹介・あらすじ

シリーズ累計130万部突破!
読書メーター読みたい本ランキング第1位
集計期間:2024年4月13日~5月13日(単行本/月間)

探偵というものは、なかなかに難しい。
『屍人荘の殺人』以前――
神紅大学ミステリ愛好会・明智恭介が遭遇した事件。

神紅大学ミステリ愛好会会長・明智恭介。小説に登場する探偵に憧れ、事件を求めて名刺を配り歩く彼は、はたしてミステリ小説のような謎に出合えるのか――大学のサークル棟で起きた不可解な盗難騒ぎ、商店街で噂される日常の謎、夏休み直前に起きた試験問題漏洩事件など、書き下ろしを含む全五編を収録。『屍人荘の殺人』以前、助手であり唯一の会員・葉村譲とともに挑んだ知られざる事件を描く、待望の〈明智恭介〉シリーズ第一短編集!

■目次
「最初でも最後でもない事件」
「とある日常の謎について」
「泥酔肌着引き裂き事件」
「宗教学試験問題漏洩事件」
「手紙ばら撒きハイツ事件」

感想・レビュー・書評

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  • 超★5 明智と葉村のボケとツッコミが楽しすぎ『屍人荘の殺人』以前のエピソードゼロ #明智恭介の奔走

    ■きっと読みたくなるレビュー
    超★5 おもろい! 本当に今村先生は本格ミステリーファンの悦ぶ勘所がわかってらっしゃる。堪能させていただきました。

    本作は剣崎比留子シリーズ『屍人荘の殺人』以前のエピソード0、明智恭介を主人公にした短編集です。例によって葉村くんとの会話が面白く、まさにボケとツッコミ。特に葉村君のツッコミに切れ味があって好きですね。

    そして何と言っても明智の名探偵かぶれっぷりですよ。切れ者なんだけど、あまりにも痛々しい。でも愛せるですよね! ニコニコしながら読み切っちゃった本作、ミステリーファンにはたまらない一冊です。

    ●最初でも最後でもない事件【おススメ】
    ミステリ愛好会の二人が神紅大学のコスプレ部の建物で発生した侵入事件の謎に挑む。

    ひとつ目にふさわしい王道のミステリ短編。綿密でロジカル、キャラクターの人間性も良くわかる作品です。コスプレ部という新しさや特殊さも、本作の楽しさを引き上げてくれてますね。とにかく明智と葉村くんの会話と関係性が面白すぎて、ずっと読んでられます。

    ●とある日常の謎について【超おススメ】
    神紅大学の近くにある藤町商店街での出来事、廃ビルに近い建物を高額で買い取った人がいるらしい。不思議に思っている喫茶店を営む主人と明智が頭を捻るのだが…

    何処にでもいる壮年期の男性、素敵な友人、家族、お客さんに囲まれた日常描写に心温まる作品。

    これかーーーー! 全然気づかなかった。寂れた商店街の情緒あふれる話と思いきや、ヤラレました。真相が明かされる前にピンときたミステリファンはいるのかしら、悔しい! やっぱり本格を書く作家先生はこのネタやるんだな~ これ以上言うと楽しみを奪ってしまいますね、すみません。

    ●泥酔肌着引き裂き事件
    明智が酔いつぶれてしまった夜、玄関で肌着が引き裂かれた痕跡が残っていた。当人は覚えていないというのだが、何故こんなことが起きたのか…

    アホですか… 呆れて口がふさがんないわ。例によって二人の会話が完全に漫才でいちいち楽しい。そして終盤、そうか…と、懐かしい気持ちにさせてくれました。

    ●宗教学試験問題漏洩事件
    教授の部屋から試験問題のデータが入ったUSBメモリが盗難にあってしまった。現場にいた学生たちが怪しまれてしまい… ミステリ愛好会の二人が真相解明に挑む。

    素人がミステリ小説を書こうとしたときのあるあるネタなんか、めっちゃわかるわー。こういうところに先生のセンスを感じるんすよ。犯人自体は想像できたけど、また興味深いアンチテーゼでミステリファンの心をくすぐってきます。

    ●手紙ばら撒きハイツ事件【おススメ】
    探偵事務所でバイトしていた明智。ストーカーに悩まされるビル管理人の依頼を受け、事務所の所長と調査するのだが…

    まだ一回生、素直で可愛い明智が楽しめる作品。そんな彼に対して、プロの探偵事務所の面々が交流を深めていくところが読みどころですね。いい作品で締めてくれました。

    ■ぜっさん推しポイント
    最近は「推し」という文化があります。客観的にみると、自分の好きな人や物に時間を使って遊んでいるだけのようにも見える。またお布施とも言えるほど散財する人も多く、周りからは理解されないことが多いです。

    しかし本人にとっては「推し」は応援であり、感謝であり、それは自らに活力として帰ってくる。自己肯定感とも結びつき、優しくない現実にも向き合えるバイタリティになっていくんです。

    本作はそんなミステリー「推し」たちに向けた作品で、読者を応援してくれる気がするんですよ。ミステリーって楽しいよねって、もっと元気になっていいよって、話しかけてくれるような。

    お忙しいとは思いますが、先生には剣崎比留子シリーズの新作に期待しております。正座をしてお行儀よく待っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

    • autumn522akiさん
      @ひまわりめろんさん
      おもろいです、きっぱり。(たぶん どっちやねんw
      本格ミステリーファンにとっては垂涎ものですね

      @土瓶さん
      ...
      @ひまわりめろんさん
      おもろいです、きっぱり。(たぶん どっちやねんw
      本格ミステリーファンにとっては垂涎ものですね

      @土瓶さん
      ありがとうー
      あんまり新作新作ーと騒ぐと先生もプレッシャーかなと。
      なので正座でおとなしく待ってます
      2024/07/14
    • かなさん
      autumn522akiさん、
      今この作品、手元にあるんですよっ(*^^*)
      図書館から先日借りてきました♪
      読むのがますます楽しみに...
      autumn522akiさん、
      今この作品、手元にあるんですよっ(*^^*)
      図書館から先日借りてきました♪
      読むのがますます楽しみになりました。
      2024/07/15
    • autumn522akiさん
      かなさん
      やったね!おもいきり楽しんで~
      かなさん
      やったね!おもいきり楽しんで~
      2024/07/15
  • 本格推理の短編集。ちょっと苦手です。

    一番面白いと思ったのは
    「宗教学試験問題漏洩事件」
    明智恭介の推理が冴えます。
    「とある日常の謎について」
    「泥酔肌着引き裂き事件」
    は日常の謎。
    「手紙ばら撒きハイツ事件」
    はちょっとわかりにくい感じがしました。

    でも〇〇〇に〇〇された明智恭介さん、大活躍でよかったですね。



    「最初でも最後でもない事件」
    関西にある神紅大学のミステリ愛好会の部長の三回生明智恭介と葉村譲が活躍する一話目。
    大学内でコスプレ研究部で、窃盗事件が起き、泥棒が捕まりますが、泥棒はもう一人侵入してきた者に襲われた被害者でした。さて犯人は何のためにそんなことをしたのか…。

    「とある日常の謎について」
    藤町商店街で40年間喫茶店を営む加藤久夫は毎週土曜の夕方飲み屋に行きます。
    そこで明智恭介と出会います。
    加藤は商店街のボロビルと呼ばれるビルがなぜ2千万円で売れたのかと不思議に思っています。
    加藤は明智もその謎を解こうとしているのだと思い込み自分の謎に対する解答を話しますが、明智は全く違うことを言いだします。

    「泥酔肌着引き裂き事件」
    明智が泥酔して葉村に送られてマンションに帰った翌朝の事件。明智のパンツが脱ぎ捨てられ、ズボンは履いていたというのはなぜか。
    他に部屋に一緒に入ったのは葉村以外おらず、玄関にはドアガードがかけられていた。
    明智は「葉村君、君が犯人だったのだ」と言い出しますが…。

    「宗教学試験問題漏洩事件」
    期末試験の時期。
    明智は里中教授の猫のガウスを捜していました。(ここ大事なところです)
    そんな時、金庫が破られて期末試験の問題の入ったUSBが盗まれました。
    疑われたのは動機は見当たらないが犯行が可能だった女子学生久守みのりと、動機があるが犯行の不可能な男子学生寺松。
    さて、犯人は二人のうちどちらか?それとも犯人は別にいるのか…?

    「手紙ばら撒きハイツ事件」
    ハイツ徳呂というアパートの住人のうち数名に、ストーカーからと思われる手紙が投函されます。
    管理人の君瀬は、田沼探偵事務所に調査を頼みます。
    明智恭介がまだ大学の1回生だった頃田沼探偵事務所にアルバイトで雇われていた頃の話。

  • 『屍人荘の殺人』のスピンオフ的短編集
    なんの根拠もなく絶対おもんないと思ってて、読まないつもりだったんですが、秋さんが★5だったので読んでみました〜

    簡単に覆ります
    秋さん★5の前には簡単に覆ります

    推理作家の清く正しい短編集でした
    なんじゃそりゃ?うん、そうね、今ちょっと説明するから待って

    それにしても、どうなのみなんさん「明智恭介」ってキャラにそんなに思い入れあるのかな?『屍人荘の殺人』ではすぐ死んじゃうじゃん!この話しがネタバレにもならないくらいすぐ死んじゃうじゃん
    あれか?中村倫也か?映画で中村倫也が演じたからか?
    それにしても水卜アナとの結婚はびっくりしたよねー
    わいなんてどっちも好きだったから超びっくりしたけど、なんかちょっと嬉しかったなー

    おい!全然本の話ししないやないか!(お前な)

    『屍人荘の殺人』シリーズでこれをやるってのがちょっと「?」だったんよね
    特殊設定のイメージが強すぎてね
    それともこっちはこっちでシリーズ化するのかな?

    そうそう、清く正しい短編集の件ね

    いわゆるボールを使わないトレーニングね
    筋トレとかダッシュとか
    そういう基礎体力を上げるためのような短編集を出すのよ、本格ミステリー作家は
    本作も細かいテクニックがいわゆる日常のミステリーに散りばめられていて、長編の種になりそうな感じね
    ちょっと思いついたことをかたちにしてみて広がりそうな感じを見てそうな

    いわゆる本格推理小説を書く作家さんたちはそういうお試しというか、練習の短編集を出すのよ

    そういう意味で、なかなか質の高い内容だったので『屍人荘の殺人』シリーズの次作が楽しみになった短編集でした

    • kuma0504さん
      中村倫也と水卜さんの結婚は良かったですよね。
      水卜さんは番組のために朝食は抜いてきているんだろうけど、中村さんはどうなっているんだろ?といつ...
      中村倫也と水卜さんの結婚は良かったですよね。
      水卜さんは番組のために朝食は抜いてきているんだろうけど、中村さんはどうなっているんだろ?といつも思います。
      2024/08/05
    • ひまわりめろんさん
      マメムさん

      超あるあるですw

      そうなんですよねー
      せめて全編葉村君視点だったらまだ許せたんですけどね
      マメムさん

      超あるあるですw

      そうなんですよねー
      せめて全編葉村君視点だったらまだ許せたんですけどね
      2024/08/05
    • ひまわりめろんさん
      クマさん

      中村倫也さんは料理得意なんじゃなかったっけ?…今改めて調べたら料理本とか出してましたね

      クマさんが心配しなくても自分でちゃちゃ...
      クマさん

      中村倫也さんは料理得意なんじゃなかったっけ?…今改めて調べたら料理本とか出してましたね

      クマさんが心配しなくても自分でちゃちゃっと作って食べていくんじゃないですかね〜
      奥さんがいないと朝ごはんが…なんて時代じゃないんですよ!

      などと偉そうに言うてますが、わいは奥さんいないと何も出来ません!( ̄^ ̄)
      2024/08/05
  • 「屍人荘の殺人」で有名な剣崎シリーズのスピンオフである本作。本編では謎が多かった明智の探偵スキルが見られるうえ、葉村との関係性も深掘りされており、ファンにはたまらない作品なのかなと思います。

    本作の構成としては、短編集でジャンルとしては日常ミステリーものになります。部室への侵入者や、不可解なマンションの購入、不審な手紙のばら撒きなどの謎に探偵である明智が挑みます。

    私も本編である剣崎シリーズのファンでありまして、本編では見られない明智の活躍が見られたのは正直嬉しく思います。ただ、私はこのシリーズのSF設定とその中にあるロジカルな謎解きが好きなので、今作の日常ミステリーは少し好みからそれたところはありました。

    まだ本編である「屍人荘の殺人」を読んでないという方は、本作を読んでから「屍人荘の殺人」を読んだ方が時系列通りに読めて楽しめるのではないかなと思いました。

  •  楽しみにしていた「屍人荘の殺人」以前の、明智恭介が主人公となり数々の事件を解決していくというもので、助手は葉村譲…ふたりは、たったふたりの神紅大学ミステリー愛好会に属している。事件と言っても殺人事件のようなおおきな事件ではなく、大学内や地域で起きている日常の謎を解き明かすものです。

     その事件とは…
     「最初でも最後でもない事件」:
      神紅大学コスプレサークル内への建物侵入事件の謎解き。
     「とある日常の謎について」:
      地域の廃ビル買収に関しての謎解き。
     「泥酔肌着引き裂き事件」:
      明智恭介が泥酔した翌朝、玄関に自身の肌着が引き裂かれていた謎に迫るもの。
     「宗教学試験問題漏洩事件」:
      試験問題が何者かによって盗難に…疑われた学生は冤罪のなのか…。
     「手紙ばら撒きハイツ事件」
      明智恭介がバイトする探偵事務所に、不審な手紙がバラまかれているハイツからの依頼が入る…。

     明智恭介と葉村譲のコンビがまたいい味を出しています♪この事件名からして面白そうでいて、内容もいちいち面白いっ!!こちらの作品は『第一短編集』とのこと、第二、第三と続くといいなぁ~♪

     そうそう、表紙は遠田志帆さん、それぞれの短編の前に挿画も手がけてます!遠田志帆さんの挿画もすごくよかったです(*´▽`*)

  • 積読に屍人荘の殺人が控えいるのですが、図書館で予約していたこちらが先に来たので読んだ次第です。屍人荘の内容はまだわからないですが問題なく楽しめました。

    気にしなければそのまま過ぎていくであろう事に、良い意味でわざわざ首を突っ込んで謎解きをしていくのですが、内容は結構本格的です。
    明智さん・葉村くんの掛け合いが面白く、さらに地の文は明智さん意外の目線なので、余計に彼の言動がコミカルに伝わります。

    読んだらきっと明智恭介を好きになる一冊です。

  • 読書レベル 初級〜中級
    ボリューム 295頁
    ストーリー ★★★
    読みやすさ ★★★★★
    トリック  ★★★
    伏線・展開 ★★★★
    理解度   ★★★★★
    読後の余韻 ★★★

    第1章で明智さんの決め台詞「うまくいかないものだな」を目にした時、涙が滲み出てきました、、、「お帰り、明智さんっ!」
    短編集として5つの話がありますが、個人的にその中の一つ「泥酔肌着引き裂き事件」が好みのど真ん中でめちゃくちゃ好きでした(笑。

  •  明智恭介とは『屍人荘の殺人』の登場した、神紅大学ミステリ愛好会の会長である。そして、彼の助手であり唯一の会員が葉村譲である。葉村譲は屍人荘の事件以降は剣崎比留子の助手となる。本書は明智が、屍人荘以前に遭遇した事件を描くスピンオフ作品である。

     本書は前述の作品と違って、殺人事件など出てこない日常系推理小説となっている。五つの短編からなるのだが、『屍人荘の殺人』に名前だけ登場する「宗教学試験問題漏洩事件」や、明智が探偵事務所でアルバイト中に担当した事件などが描かれている。

     「屍人荘の殺人」から続くシリーズと異なるテイストで非常に面白い。

  • 大人気シリーズのスピンオフ作品。日常の謎をテーマにした短編集。
    明智さんが、ミステリと探偵に情熱を燃やしているのに、人間味溢れるキャラクターで、時には間違いもするけど、真っ直ぐに生きていて。。
    早く、剣崎シリーズの第四弾が読みたい!

  • 中高生にも人気の剣崎比留子シリーズ第一弾『屍人荘の殺人』に登場する明智恭介が主人公の連作短編集。シリーズのエピソード0って感じかな。

    殺人が起きない日常起こりうるミステリーだから、YA世代も十分楽しめる。

    猪突猛進の明智恭介とそのブレーキ役の葉村譲のコンビは最高。

    『屍人荘の殺人』を読んでからこの本を読むのと、この本を読んでから『屍人荘の殺人』を読むのでは、明智恭介に対する想いが違ってくると思う。

    面白かったけど、やっぱり剣崎比留子シリーズの長編が読みたい。斑目機関の謎、まだ解決してないと思うんだけど。

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著者プロフィール

1985年長崎県生まれ。岡山大学卒。2017年『屍人荘の殺人』で第27回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。同作は『このミステリーがすごい!』、〈週刊文春〉ミステリーベスト10、『本格ミステリ・ベスト10』で第1位を獲得し、第18回本格ミステリ大賞[小説部門]を受賞、第15回本屋大賞第3位に選出。映画化、コミカライズもされた。シリーズ第2弾『魔眼の匣の殺人』も各ミステリランキングベスト3に連続ランクイン。2021年、テレビドラマ『ネメシス』に脚本協力として参加。いま最も注目される期待の俊英。

「2021年 『兇人邸の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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