明智恭介の奔走

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488029067

感想・レビュー・書評

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  • 超★5 明智と葉村のボケとツッコミが楽しすぎ『屍人荘の殺人』以前のエピソードゼロ #明智恭介の奔走

    ■きっと読みたくなるレビュー
    超★5 おもろい! 本当に今村先生は本格ミステリーファンの悦ぶ勘所がわかってらっしゃる。堪能させていただきました。

    本作は剣崎比留子シリーズ『屍人荘の殺人』以前のエピソード0、明智恭介を主人公にした短編集です。例によって葉村くんとの会話が面白く、まさにボケとツッコミ。特に葉村君のツッコミに切れ味があって好きですね。

    そして何と言っても明智の名探偵かぶれっぷりですよ。切れ者なんだけど、あまりにも痛々しい。でも愛せるですよね! ニコニコしながら読み切っちゃった本作、ミステリーファンにはたまらない一冊です。

    ●最初でも最後でもない事件【おススメ】
    ミステリ愛好会の二人が神紅大学のコスプレ部の建物で発生した侵入事件の謎に挑む。

    ひとつ目にふさわしい王道のミステリ短編。綿密でロジカル、キャラクターの人間性も良くわかる作品です。コスプレ部という新しさや特殊さも、本作の楽しさを引き上げてくれてますね。とにかく明智と葉村くんの会話と関係性が面白すぎて、ずっと読んでられます。

    ●とある日常の謎について【超おススメ】
    神紅大学の近くにある藤町商店街での出来事、廃ビルに近い建物を高額で買い取った人がいるらしい。不思議に思っている喫茶店を営む主人と明智が頭を捻るのだが…

    何処にでもいる壮年期の男性、素敵な友人、家族、お客さんに囲まれた日常描写に心温まる作品。

    これかーーーー! 全然気づかなかった。寂れた商店街の情緒あふれる話と思いきや、ヤラレました。真相が明かされる前にピンときたミステリファンはいるのかしら、悔しい! やっぱり本格を書く作家先生はこのネタやるんだな~ これ以上言うと楽しみを奪ってしまいますね、すみません。

    ●泥酔肌着引き裂き事件
    明智が酔いつぶれてしまった夜、玄関で肌着が引き裂かれた痕跡が残っていた。当人は覚えていないというのだが、何故こんなことが起きたのか…

    アホですか… 呆れて口がふさがんないわ。例によって二人の会話が完全に漫才でいちいち楽しい。そして終盤、そうか…と、懐かしい気持ちにさせてくれました。

    ●宗教学試験問題漏洩事件
    教授の部屋から試験問題のデータが入ったUSBメモリが盗難にあってしまった。現場にいた学生たちが怪しまれてしまい… ミステリ愛好会の二人が真相解明に挑む。

    素人がミステリ小説を書こうとしたときのあるあるネタなんか、めっちゃわかるわー。こういうところに先生のセンスを感じるんすよ。犯人自体は想像できたけど、また興味深いアンチテーゼでミステリファンの心をくすぐってきます。

    ●手紙ばら撒きハイツ事件【おススメ】
    探偵事務所でバイトしていた明智。ストーカーに悩まされるビル管理人の依頼を受け、事務所の所長と調査するのだが…

    まだ一回生、素直で可愛い明智が楽しめる作品。そんな彼に対して、プロの探偵事務所の面々が交流を深めていくところが読みどころですね。いい作品で締めてくれました。

    ■ぜっさん推しポイント
    最近は「推し」という文化があります。客観的にみると、自分の好きな人や物に時間を使って遊んでいるだけのようにも見える。またお布施とも言えるほど散財する人も多く、周りからは理解されないことが多いです。

    しかし本人にとっては「推し」は応援であり、感謝であり、それは自らに活力として帰ってくる。自己肯定感とも結びつき、優しくない現実にも向き合えるバイタリティになっていくんです。

    本作はそんなミステリー「推し」たちに向けた作品で、読者を応援してくれる気がするんですよ。ミステリーって楽しいよねって、もっと元気になっていいよって、話しかけてくれるような。

    お忙しいとは思いますが、先生には剣崎比留子シリーズの新作に期待しております。正座をしてお行儀よく待っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

    • autumn522akiさん
      @ひまわりめろんさん
      おもろいです、きっぱり。(たぶん どっちやねんw
      本格ミステリーファンにとっては垂涎ものですね

      @土瓶さん
      ...
      @ひまわりめろんさん
      おもろいです、きっぱり。(たぶん どっちやねんw
      本格ミステリーファンにとっては垂涎ものですね

      @土瓶さん
      ありがとうー
      あんまり新作新作ーと騒ぐと先生もプレッシャーかなと。
      なので正座でおとなしく待ってます
      2024/07/14
    • かなさん
      autumn522akiさん、
      今この作品、手元にあるんですよっ(*^^*)
      図書館から先日借りてきました♪
      読むのがますます楽しみに...
      autumn522akiさん、
      今この作品、手元にあるんですよっ(*^^*)
      図書館から先日借りてきました♪
      読むのがますます楽しみになりました。
      2024/07/15
    • autumn522akiさん
      かなさん
      やったね!おもいきり楽しんで~
      かなさん
      やったね!おもいきり楽しんで~
      2024/07/15
  • 「屍人荘の殺人」で有名な剣崎シリーズのスピンオフである本作。本編では謎が多かった明智の探偵スキルが見られるうえ、葉村との関係性も深掘りされており、ファンにはたまらない作品なのかなと思います。

    本作の構成としては、短編集でジャンルとしては日常ミステリーものになります。部室への侵入者や、不可解なマンションの購入、不審な手紙のばら撒きなどの謎に探偵である明智が挑みます。

    私も本編である剣崎シリーズのファンでありまして、本編では見られない明智の活躍が見られたのは正直嬉しく思います。ただ、私はこのシリーズのSF設定とその中にあるロジカルな謎解きが好きなので、今作の日常ミステリーは少し好みからそれたところはありました。

    まだ本編である「屍人荘の殺人」を読んでないという方は、本作を読んでから「屍人荘の殺人」を読んだ方が時系列通りに読めて楽しめるのではないかなと思いました。

  • 短編集だが、1つ1つがしっかり本格ミステリとして成立していて読み応えがあった。くだらない日常の謎にも大真面目に立ち向かって推理する探偵の明智と、そんなやや強引で抜けてる彼に辛辣かつ的確なツッコミを入れる助手の葉村の関係がとても面白い。葉村目線は特にくだけた若者口調でツッコミが入りまくるので関西人のノリを感じる。屍人荘の殺人のスピンオフとして非常に意義のある作品。屍人荘前の明智と葉村、彼等の日常とその関係性が本格ミステリと共に丁寧に描写されている。

  • 【屍人荘の殺人】にも登場する明智恭介が主人公の短編小説です!

    今までの剣崎シリーズに比べたら日時の謎がメインなので読みやすいと思います。

    今作を先に読むか【屍人荘の殺人】を先に読むかで読み終わった時の気持ちが大きく変わる!?

  •  今回の葉村譲と行動を共にする名(迷?)探偵は剣崎比留子ではなく、ミステリ愛好会会長の明智恭介である部分が今回の重要な要素のひとつだと思った。剣崎比留子が類いまれなる推理力と洞察力を駆使して真相にたどり着くのに対し、明智恭介は何度も捜査に行き詰まったりトラブルを起こしたりしながらも真相に向かって奔走し事件を解決するところが剣崎比留子との違いでもあり魅力だと思った。また剣崎比留子が「過去に巻き込まれた事件から必要に迫られて謎解きをするようになった」という経緯であるのに対し明智恭介は「謎そのものが魅力でありそれを解くために動き回る」という探偵になるまでの道のりの違いもシリーズと比較してみても面白いと思った。

  • 剣崎比留子さんシリーズの前日譚。そちらのシリーズと比較すると見劣りするものの、ミステリを楽しく満喫できた。特に二章の日常の謎の話が好き。漏洩の話は普通なら社会問題になるくらい非現実感あって逆に好みではない。トリックは好きだけども。

    と好き嫌いは出てしまったが、結局のところこれは前日譚の明智さんの物語なんだよね。だからファン贔屓の得点。これ単体だと日常寄り過ぎて飽きちゃうかも。比留子さんシリーズを読んでるなら楽しめる作品。相変わらず葉村くんの心情表現は好きすぎる。

  • 『屍人荘の殺人』で読者に強烈な印象を残した探偵、明智恭介。誰もが望んだはず、彼のことをもっと知りたい!と。
    その、明智恭介の、あの事件の、数か月前のお話。
    ミステリ愛好会に入ってしまった葉村くんと、「名」探偵明智さんの、「名」コンビによる「名」推理。
    いや、それほんとに「名」なのか!?
    4つの事件、4つの日常の謎を、明智のひらめきと突進に葉村くんのブレーキの共演が解決していく。あぁ楽しい。
    明智さんのすっとこどっこいな推理にニヤニヤしつつも、あの事件の明智さんを思い、複雑な心境にもなる。
    いや、まだ数か月あるんだ。まだまだ楽しませてくれなきゃイヤです、今村さん!!
    個人的には誰も傷つかず、誰も被害に遭わなかった肌着切り裂き事件がツボ。そして、ラスト。お後がよろしいようで。

  • 剣崎比留子シリーズのスピンオフで、明智先輩が主人公の短編集。「屍人荘の殺人」冒頭にて、ミス研部長として推理を披露していた彼が、過去に関わってきた事件をまとめた作品。
    思えば、明智さんと葉村くんの過去は全く明かされておらず、彼らが神紅大学でどの様な謎に挑んできたのかはとても興味深い。「死屍荘」での彼の立ち回りも記憶に新しいので、改めて明智さんに注目されるのはシリーズファンとして嬉しい限りだ。

     最初でも最後でもない事件
     冒頭のやりとりは懐かしいさのあまり思わず微笑みながらよんでいた。葉村はシリーズ中でキャラクターが育ってきており、改めて明智とのやりとりを新鮮に見る事ができる。
     神紅大学に泥棒が侵入する騒ぎがあったが、泥棒が学校内で誰かに襲われたと自供する。警察は話半分だが、事件の当事者達は疑問に思い、ミステリー愛好会部長の明智に謎解きを依頼する。
     明智の推理も初々しいが、物語全体が少しコミカルで軽い印象。終盤、とあるきっかけを元にある程度深い話になっていくが、全体としてあっさり薄味の仕上がりに感じた。
     葉村の閃きにより事件は解決した様に見え、ある意味で明智はきっかけになっているのだが、今作のバックボーンが死屍荘にある為、空気感を変えすぎてしまった印象がある。ライトミステリーでよかったのだが、僕の彼に対する人物像が全く違っていたせいか、物凄く残念な着地だった。もう少し明智が尖っていてもよかったのになぁ、と淋しい気持ちだ。

    とある日常の謎について
    話の進行は面白く、とある商店街で余りにも古いビルが高値で売れた謎について、喫茶店の主人久夫は明智との会合により疑問を持ち、真相に迫る話。物語の真相究明にあたり、トリックなどは面白いアイデアだったのだが、最後のオチが物足りなく思った。明智が持っていた追っていた謎について、本当にそれが真相なのか、別解があるのではと疑ってしまい、モヤモヤした気持ちで結論が出てしまった。
     ここから轢き逃げ事件の真犯人が実は・・・とかだったら傑作だっだが。残念である。

    泥酔肌着切り裂き事件
    着眼点は面白く、このパターンのトリックは上手く活用すれば偉大な結果になるだろう。明智の普段の生活が垣間見れる貴重な作品だが、「謎を解いたところで誰が救われるわけでもなく、世の悪が滅びるわけでも無く、俺の休日が有意義になる訳でもない」作品だった。二人の関係性が思ったよりも深かったのだなぁと感心する事しかない。日常の謎としても少し浅い様に思ってしまった。

    宗教学試験問題漏洩事件
    教授の頼みで猫探しをしている明智と葉村。結局猫は見つからなかったが別の謎が二人の元に舞い込む。女子生徒が宗教学の教授の部屋で反省文を書いていた最中、彼女はトイレに立ち数分後に部屋に戻ると部屋が荒らされており、金庫が破られていた。金庫の中にはテスト問題を収めたUSBが保管されており、盗まれていた。一緒に反省文を書いていた男子生徒は先に帰っていたが、途中で教授と話し込んでおりアリバイがある。更には彼の置き忘れたスマホも現場から消えており、同時に紛失した謎になる。
    今作は、ようやく僕が思い描いてていた葉村と明智の姿であり、謎のミスリードや真相のバランスが丁度良い。
    ミステリーを読み慣れていると一連はお約束にも感じるが、このくらいが彼ら二人が経験してきた日常の「非日常的」な謎として素晴らしいと思う。

    手紙ばら撒きハイツ事件
    明智が葉村と出会う前の事件。彼がアルバイトしている探偵社の所長目線で描かれる。
    まだまだ未熟で初々しい明智の様子を見る事ができる。
     ミッシングリンクを匂わせながら、現実的に推移していく物語は、今作の中では唯一落ち着いた世界観になっている。
    明智にスポットライトを当てるのなら、このくらいの方がバランスが良く読みやすい。


    各短編の間隔があるので、少し人物像が変化しているのかなぁ。個人的にはもっとミステリチックの方が良かった。

  • 屍人荘の時点で明智さん好きだったけど、本作でもっと…いや、たまらなく好きになった!

    読みながら終始「明智さん頑張れ!」ってエールを送ってた。笑

    応援したくなる探偵No.1かもしれない

  • 明智さんファンとして読んでよかったです!明智さんと葉村くんの関係が思ったよりコミカルで最初びっくりしましたが、かえって2人の信頼関係を感じられてよかったです。短編なので色々な雰囲気が楽しめて、ミステリーとしては宗教学試験問題漏洩事件、キャラクター面では泥酔肌着引き裂き事件が好きでした。
    ただ、読み終わった後で剣崎比留子シリーズのことを思うとやはり物悲しいというか、もっと違う展開だったらと無い物ねだりせざるを得なかったです。

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著者プロフィール

1985年長崎県生まれ。岡山大学卒。2017年『屍人荘の殺人』で第27回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。同作は『このミステリーがすごい!』、〈週刊文春〉ミステリーベスト10、『本格ミステリ・ベスト10』で第1位を獲得し、第18回本格ミステリ大賞[小説部門]を受賞、第15回本屋大賞第3位に選出。映画化、コミカライズもされた。シリーズ第2弾『魔眼の匣の殺人』も各ミステリランキングベスト3に連続ランクイン。2021年、テレビドラマ『ネメシス』に脚本協力として参加。いま最も注目される期待の俊英。

「2021年 『兇人邸の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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