この恋だけは推理らない

  • 東京創元社 (2024年12月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784488029173

作品紹介・あらすじ

【東京創元社×カクヨム学園ミステリ大賞大賞受賞作】

私に小説のネタになりそうなコイバナを教えてください!

スランプに悩む恋愛小説家の少女は、
2年2組教室で『恋愛の神様』と呼ばれる少年と出会う
恋と推理と、ちょっとの不思議が織りなす学園ミステリ

上城北高校二年二組、窓際一番後ろの席には『恋愛の神様』がいる。「彼女いない歴=年齢」なのに『恋愛の神様』として様々な恋愛相談を受ける、岩永朝司、十七歳。放課後やってきた二年三組の小井塚咲那は、「私に小説のネタになりそうなコイバナを教えてください!」と真剣な眼差しで頼みこんできた。恋愛小説家だというのに恋を知らない咲那は、コイバナと交換に『神様』の助手となり、恋愛相談を二人で解決していくのだが……。爽やかな余韻も美しい「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • オタク脳な恋愛小説家の女の子、学友と交流を深めながらガチ恋を学ぶミステリ #この恋だけは推理らない

    ■あらすじ
    上城北高校二年の岩永朝司は、恋愛の神様として学友たちの恋愛相談の話を聞いていた。同級生の小井塚咲那は、恋愛小説家としてデビューしているくせにリアルな恋愛をした経験がない。そのため小説のネタに困っていた咲那は、朝司にコイバナの教えてもらう代わりに、様々な恋愛相談を解決していくことになるのだが…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    若さ溢れる恋愛ミステリーですね~。年齢を重ねてしまった私にとっては刺激が強い。好きです!というド直球なセリフから心の中でこねくり回した粘っこい感情まで、これでもかというくらい青臭い恋愛描写で埋め尽くされるんです。

    いまさら青い話なんて読めねぇなんて思ってませんか? なかなかどうして、ここまで深く綿密かつ力強く書かれた感情描写はお見事でした。特に本作は主に恋愛下手な恋愛小説家である咲那の目線でストーリーが展開するんです。彼女が様々な人間関係の中、真正面からぶつかっていくところが迫力満点なの。

    しかも頑張ってる姿がキュートなんすよ。彼女はいわゆるオタク脳なので、頭の中はいつも作り物の世界なんです。誰しもがカッコ良く、美しく映えるのが当たり前で、受け取り手に都合がいいことばかり。本で覚えた知識テクニックはあるんだけど、コミュニケーション力がないんすよね。

    朝司とやり取りを続けていくうちに、リアルな人間関係や感情の複雑さにぶつかり、少しずつガチ恋とはどういうものなのかを学んでいくんすよ。かわいい…

    そして他の登場人物たち、岩永朝司、岩永木葉、辰吉隆史、これまたみんな純粋な奴らなんすよ。あまりにも青春ど真ん中なんですが、それもまたいいじゃないですか。終盤に辛いシーンがあるんだけど、透明感がありすぎてもはや卑怯でしたね。

    さて本作、中盤あたりのある事実をきっかけに一気に物語が躍動してくる。これまでの淡いコイバナだったはずが、辛くやるせないお話になってくるんすよ… 若かりし頃に失恋した記憶がよみがえってきて、なんつーか胸が苦しくなりましたね。

    ■ぜっさん推しポイント
    若い未来世代が頑張っている物語を読むと、もう涙がとまらない。どんなに辛いことがあっても、自分なりのやり方でいいから、胸を張って立ち向かってほしいですね。咲那の成長が著しかった、特にラストシーンではしっかりと明るい未来を感じることができました。

  • 小説のネタのために行動する先にあるもの・・・
    想像していた内容ではなく驚きもあり感動的でした。

    恋人いない歴=年齢なのに「恋の神様」と謳われている。
    スランプで小説が描けなくなり、「恋の神様」の助手として小説のネタ(恋バナ)を教えてもらう・・・

    学園恋愛ミステリー小説でした。中盤の展開は想像を超える展開で、最後の第4話は想像を超えてきました。

    今までにない分野の小説だった気がします。
    たまに掘り出し物があるので色々な小説を読むのは楽しいですね。

  • 「恋愛の神様」の噂を持つ男子高校生・朝司と、女子高生作家・咲那のでこぼこコンビが、恋愛に絡む謎を解き明かす!
    という日常系ミステリ×ラブコメディかと思いきや、後半からは本格的なミステリになってきて、最後まで目が離せなかった。
    2人の関係と気持ちが、物語が進むにつれて変わっていく様が、見ていて切ない。
    最後のシーンは情景も美しく、夏の夜に読みたくなるお話しだった。

  • 主人公、咲那ちゃんが、朝司と出会い、木葉や田代さんとお話しするようになり、少しずつ硬い殻を解いていくようで、応援したくなった

    ミステリーとしても、途中からハラハラして、ラストまでスピードアップして読んでしまう

  • 上城北高校の2年2組の教室には、放課後恋愛の神様が恋愛相談をしてくれる。そこへ、高校生で小説が話題になったものの、スランプで次作が書けない咲那が小説のネタになりそうな話を聞きに来る。そんな設定で始まる学園もの…と思いきや!

    東京創元社も主催者として名を連ねる学園ミステリー大賞だというのに、陳腐だなぁと思いながら読んでいたのだが、後半になりだんだん様子が変わってくる。ちょっとサイコミステリー的なところもあるけど、ラストはちょっと泣けた。
    突っ込みたいところもあるけど、大賞らしい作品だった。

  • Amazonの紹介より
    私に小説のネタになりそうなコイバナを教えてください!
    スランプに悩む恋愛小説家の少女は、2年2組教室で『恋愛の神様』と呼ばれる少年と出会う恋と推理と、ちょっとの不思議が織りなす学園ミステリ
    上城北高校二年二組、窓際一番後ろの席には『恋愛の神様』がいる。「彼女いない歴=年齢」なのに『恋愛の神様』として様々な恋愛相談を受ける、岩永朝司、十七歳。放課後やってきた二年三組の小井塚咲那は、「私に小説のネタになりそうなコイバナを教えてください!」と真剣な眼差しで頼みこんできた。恋愛小説家だというのに恋を知らない咲那は、コイバナと交換に『神様』の助手となり、恋愛相談を二人で解決していくのだが……。


    「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」大賞受賞作。
    ラノベを彷彿させるような表紙で、読み始めてみると、恋バナを交えたミステリー要素のあるお悩み相談を解決していく話だと思っていました。

    ところが、話が進むにつれて、一つ一つ事実が明らかになるたびに空気がガラリと変わっていきます。
    ファンタジーになったり、サスペンスになったり、感動モノになったりとこうなるだろうと思っていた展開が次々と外れていくので驚きとともに予想外すぎました。
    良い意味で騙されました。

    ちょいちょい「何で、この書き方?」「こういう演出?」といった疑問が発生しつつもスルーしていたのですが、後に事実がわかるにつれて、「こういうことだったんだ」といった発見もあって、文章の構成も工夫されていて面白かったです。

    あらすじでは、恋の相談を解決していく展開しか書かれていないので、なかなかその先の感想が書きづらいですが、とにかく予想とは違う展開へ誘ってくれるかと思います。
    ちょっとの不思議どころではありません。次々と違う「色」を出してくれるので、面白かったです。

    咲那と朝司のコンビも良く、お互いの要素を補うかのように話がテンポよく進むのも魅力的でした。
    人見知りな咲那が、小説のネタを獲得しようと苦手な分野に挑戦していくのですが、自身の能力が覚醒されたのか、意外とコミュニケーションに長けていたり、推理を発揮したりとそのギャップは驚きでした。

    そして最後の展開は泣かせどころでした。それは題名の意味とリンクしていくのですが、恋バナから始まって、まさかここで着地するとは思っていなかったので、その意外さにジーンときてしまいました。
    表紙から想像する雰囲気とは違った景色が見れて楽しめました。

  • ☆3.7

    恋愛の相談が持ち込まれる「恋愛の神様」とスランプ中の「恋愛小説家」の二人が恋にまつわる謎を解くお話。
    これはだいぶ良い。好き。

    後半物語のギアがぐっと上がる瞬間があるので、是非読んでこの気持ちを共有してほしい。
    最後はね、ちょっと泣いちゃうよ。

  • この恋だけは推理らない、読了。
    予想以上に面白かった。最初はただの学園モノミステリかなと思っていたが、途中で、え?は?そう来ましたかと。そう思えば、結構伏線は貼ってあったのよね。まあ途中でこいつだろうなぁとカンタンにわかりましたが。でもなんか最後は切ないね。もう少しハッピーでも良かったかなと。

  • 日常系の学園ミステリ。えっと、あの方は幽霊……?と途中で明かされ、読み飛ばしたかと思ったけど、そこに至る描写では言及はされてないよね……?

  • 恋愛小説は得意ではないけれど、学園ミステリ大賞受賞作なら、と購入した。
    学園ミステリの中でも”恋愛”がテーマで、自由意思である好き嫌いを扱っているだけに、著者のご都合主義になったり、ドラマティックすぎて現実味がない内容だったりしたら最後まで読まないと思っていたが、そんなことはなく、心の動きも自然で正直だし、程よくミステリも楽しめた。

    余計な言葉がない、というか良い意味でシンプルで話が早いので、飽きがなく、勢い良く読めた。

    人が死ぬだけがミステリじゃない。重たいミステリで胃もたれしている方や、学園ミステリを探している方におすすめ。

  • 軽いミステリーなのでワクワクして読めた。
    そして普段使えそうな学びもあるのは最高すぎる。
    後半からホラー系が入ってきたのはびっくりしたけど、展開がとても興味を引くものですぐ読み終えてしまった。
    最後は涙でた。
    こういう話を読むとアニメの「青ブタ」とか思い出す。

  • 2025.3.6読了。

  • 青春×ミステリーですらすら読めちゃいました!
    咲那が朝司達と関わっていき、成長してゆく様子が良かったです!
    最後までドキドキしながら読んでました〜
    ラストは感動しました!咲那ちゃんの思いとか行動、木葉ちゃんの思い...泣きそうになります!

  • 913-T
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