記憶の対位法

  • 東京創元社 (2025年4月30日発売)
3.70
  • (21)
  • (30)
  • (29)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 447
感想 : 36
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784488029197

作品紹介・あらすじ

祖父が遺したのは大量の古書と、
二十あまりの黒檀の小箱

対独協力者として弾劾された教師が
晩年探し求めたものとは――
祖国、信仰、そして音楽の記憶を辿るべく
青年は歴史の迷宮に足を踏み入れる

〈図書館の魔女〉シリーズの俊英が贈る
知的探求の喜びに満ちた最新長編ミステリ

二〇一七年、フランス中部に位置する都市リモージュの新聞社に勤める事件記者ジャンゴ・レノールトは、亡き祖父マルセルの遺品整理のため、彼が晩年を暮らした寒村を訪れる。戦後、対独協力者として断罪された祖父は、一族から距離を置いてこの地に隠れ住んでいた。生前会うことがなかった祖父が遺したのは古書の山と、二十あまりの黒檀の小箱──そこに隠された意味とは何か? ジャンゴは西洋古典学を研究する大学院生ゾエ・ブノワの協力のもと、祖父が希求した真実を求め歴史の迷宮へと足を踏み入れる。〈図書館の魔女〉シリーズの俊英が満を持して贈る、知的探究の喜びに満ちた長編ミステリ。

みんなの感想まとめ

多様なテーマが織り交ぜられたこの作品は、「言葉」を中心に歴史や音楽、差別、テロ、ジャーナリズムといった深い問題を探求します。主人公ジャンゴが祖父の遺品を通じて真実を求める姿は、知的な喜びを与えつつも、...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「言葉」の乱射がエグい

    いやー面白かったねー
    そしてこれを面白いと思える自分なかなかのもんやでとひとり悦に入れる系ですな

    「言葉」と「歴史」
    「言葉」と「音楽」
    「言葉」と「差別」
    「言葉」と「テロ」
    「言葉」と「ジャーナリズム」

    「言葉」を中心に多彩なテーマを描いています

    強く思うのは、高田大介さんてめちゃくちゃ頭いいんだろうなーってこと
    もうがんがん難しいこと言ってくるんよ
    もう物語全編にわたってほぼ討論ですw
    しかも半分くらいはちんぷんかんぷんです

    超絶頭いい人がめちゃくちゃ分かりやすく教えてくれてるんだけど、いやそれはあなたのレベルで言う「分かりやすい」で、わいらからしたら十分難しいんですが?って経験誰でもあると思うんよね
    学術的なことに限らずそれこそスポーツとか仕事の業務とかさ
    「ね?こうやると簡単でしょ?」みたいな
    心の中で「いや簡単じゃねーよ!(ハリセンボン春菜)」っていうあれ

    でも、なんかそれが面白いんよ
    分かんないこと面白いんよ
    分かんないことが楽しいんよな〜
    ふっしぎ〜

    ただのドMやん!( ゚д゚ )クワッ!!

    • ひまわりめろんさん
      まきちゃ

      そりゃもういっぱいあるで!
      当たり前やん
      ちんぷんかんぷんがいっぱいあるから読書は楽しいんやで!
      まきちゃ

      そりゃもういっぱいあるで!
      当たり前やん
      ちんぷんかんぷんがいっぱいあるから読書は楽しいんやで!
      2025/05/29
    • 1Q84O1さん
      Qちゃん怒っちゃうかも(●`ε´●)
      もっと分かりやすく教えてくださいって怒っちゃうかも(●`ε´●)
      Qちゃん怒っちゃうかも(●`ε´●)
      もっと分かりやすく教えてくださいって怒っちゃうかも(●`ε´●)
      2025/05/29
    • ひまわりめろんさん
      一Qさん

      せやろなー
      ちみにはこの繊細な感じは分からんやろなー
      一Qさん

      せやろなー
      ちみにはこの繊細な感じは分からんやろなー
      2025/05/30
  • これはすごく読み応えがある本でした。今年の暫定ベストかな?

  • 話題の中心が飛び飛びになるのに、わかりやすく良かった。ラストも結局人を貶めるのも人だし、人を救うのも人なんだよなあ、とじんとくる。
    作者の頭の中をのぞいてみたいくらいの知識量。
    もちろん調べて書いたのだろうけれど、本当にすごい。
    時間と気持ちに余裕のある時、じっくりとむかいあいたい本だった。

  • フランスのリモージュが舞台。フランス語がたくさん出てくる。日本語の意味がわかるように、ルビの形になっているのだけれど、慣れない語彙に戸惑う。さらに扱っているテーマも、タイトルから察せられるように音楽史なのだが、それだけでなくフランスの現代史や移民、差別の問題など、重たい内容が盛りだくさん。こう書くととっつきにくいイメージがあるが、物語としては面白いし、それぞれのキャラクターも良い。解決していない問題も会ってモヤモヤしているので、続編を期待したい。

  • 舞台は2017年のフランス、リモージュ。435ページにみっちりと情報が詰まってます。小説ですけど、新書を5冊くらい斜め読みした気分です。「フランスにおける対ナチスの歴史;コラボラトゥルの始まりと弾劾」「フランスにおける移民と民族、テロの概念と取締」「紙の歴史、その原料や時代変遷」「楽譜の変遷、旋律と和音の響き、対位法とは?」「フランスと隣国の言葉と方言、ラテン語を基本に」他にもまだあったかも。とにかく、知識と言葉の密度が凄い。面白いけど脳の処理能力が追い付かなくて眠くなります。夜眠れない人は枕頭の友にこの本をどうぞ。内容のほうは、ギリギリ単位取って大学を出た北アフリカ系の血統を持つことが外見でも分かるジャンゴは移民街などで仲間外れのような扱いを受ける。それは彼がフランスでは王道のカトリック系新聞社に属するジャーナリストだから。彼の祖父は訳合って家族との縁を切り隠遁生活をしていた。そこは昔の生活を保存して見せる観光産業エリアとなっており、不在の兄に変わって封印されたかのような部屋をジャンゴが片付けることとなった。そこで見つけた20あまりの小箱からでてきたものから話は広がっていく。登場人物としては、ジャンゴの友人でまじめなアフメド、図書館の魔女のマツリカを思わせる大学生、ゾエ・ブノワと電話帳(日系人)、ジャンゴの上司でこれまた近代~現代の社会時事に詳しいレオンなど、とても魅力あふれる人たちでした。
    読めるなら小学生でも。通常は高校以上。

  • すごく難しい本でした。
    最初は 主人公ジャンゴのお祖父さんが第二次世界大戦後 ドイツへの協力者コラボと呼ばれて排斥されます。教師でした。
    この排斥がひどい!
    フランス革命の時の住民の怒りのようなものです。

    お祖父さんは 家族と離れて 逼塞します。
    そこで年下のヤスミナと結婚し ジャンゴの父が産まれる。
    ある日 兄から電話があって お祖父さんが亡くなり 遺品を預かってるから 持っていってくれ。

    その遺品の中に黒檀の小箱が何個もある。
    ラテン語や音楽にも強いゾエという女の子が
    興味を持って見てくれ 箱の内側から ラテン語で書かれた古い時代の聖歌の楽譜をみつける。

    記憶の対位法がテーマ
    それは ジャンゴの友だちのイスラム教の子が
    いきなり警察に引っ張られたり
    アルザスロレーヌ地方出身だった祖父が コラボだと言われたり
    そのあと出てくる 昔 キリストの13人目の弟子がいた。
    なんて話しが現れたりする。

    対位法って音楽用語らしい
    昔のグレゴリア聖歌より古いのか?
    対位法の音楽は ドーモを震わせ 人の心も打った。

    この話しは記憶の対位法がテーマ
    難しいな!やっぱり!

  • 始まりの、ゴチャゴチャと情報が溢れてくる感じも、もう『図書館の魔女』で慣れている。

    ここから、どんな世界が展開されるんだろう。

    読み進めていき、中盤にさしかかる。

    イスラム原理主義とテロリズム。
    そして、ナチスの協力者として、裏切り者と呼ばれたジャンゴの祖父の遺品。

    二つのエッセンスが、最初はそれぞれに輝き始める。
    事実と、バイアスと、差別。

    あるテーマが繰り返されながら、和音を形成し、曲と成る「対位法」。
    歴史にも、個人の記憶にも、時間が流れる中で、とあるテーマが何度も浮上する瞬間がある。

    そこで「記憶の対位法」というタイトルに、ハッとする。

    二つを繋ぐ、そして登場人物たちを繋ぐテーマ。
    小説なのだけど、問答のような、哲学のような、不思議な一冊だった。

  • フランスが舞台、登場人物もフランス人のお話。宗教や国、音楽等の歴史が関わってきて、少しとっつきにくく感じました。主人公の行動を通して、正しさとは何なのか、を考えさせられる作品です。ラストシーンが印象的で、何だかほっとした気持ちで読了する事が出来ました。

    しかし作者がフランス在住なだけあって、現地に詳しくない私でも現地の雰囲気をありありと思い浮かべる事ができました。読むのに少し気力が要りましたが、心に残る作品でした。

  •  お試し読みで、ジャンゴのやんちゃな雰囲気とアフメドとのコンビ感に惹かれたのと、古楽に興味あったので購入。
     舞台は2017年のフランス・リモージュ。新聞記者のジャンゴは祖父の遺品整理に訪れた村で、祖父の遺した20あまりの黒檀の箱を入手する。
     その箱の中で見つかった楽譜の紙片の謎を早く知りたかったわたしには、そこまでが中々に長かった〜

     フランスの戦争の傷、移民とテロ、表現の自由、歴史の捏造と対抗、など、今の日本の社会でこそ意識しなければならないテーマが、対話を通した知識の塊で書かれる。半端ない分量で。
     キャラクタはそれぞれ魅力的なんだけど、ひとつひとつのテーマについての語りがすこし冗長というか、講義を受けてるみたいで、正直数ページで眠くなって本を閉じてまた明日〜にした時もしばしばf^_^;
     
     古楽については、単旋律のグレゴリオ聖歌から複旋律へ。ハーモニーの発見、対位法の発展や、楽譜の重要性、ラテン語の聖歌から地方の言葉を使った歌への発展の話などもあって興味深かった。
     対位法は複数の旋律を同時に鳴らしても不快にならないようにひとつの音楽としてまとめる作曲手法。
     時間芸術である音楽を音楽たらしめる「記憶」と、歴史の記憶、個人の記憶が重なり合う様子を「記憶の対位法」だとタイトル回収するのがきれいだった。

  •  読んでいる途中から、ああこれ「まほり」なんだな、と気付いて、その印象はラストシーンを迎えても変わらなかった。もちろん、お話としては完全に別物で、単に舞台をフランスに変えたって話はもちろん違う。
     「人文ミステリ」というか、膨大かつ難解な学術領域そのものを舞台装置としたエンタメ、という、ちょっと類作が思い付かないような構成が共通してるな、と感じた。

     お話としてはそれほど難解ではなく、あらすじとエッセンスだけなら非常にシンプルだと思う。
     誰も死なないし、恋愛もない。銃撃戦やカーチェイスなどのバトルもないし、エンタメとしては致命的なまでに盛り上がる要素がない。
     なのに、ぐんぐん「物語」に引き込まれ、読後感は最高という、素晴らしいエンタメ作品に仕上がっている。

     現代フランスにおける「差別」の問題と、主人公が祖父の遺品である黒壇の箱から見つけた「紙片」の謎、そして、フランスという国家の歴史や、「対比法」という音楽の学術的な理論が同時並行で進んでいく。
     そのうえで、「まほり」同様に、がっつりと様々な領域の学術的な蘊蓄が展開されるので、読んでいるうちに、いま自分は何を読んでいるんだっけ、ってことになりかねない。これが「高田大介」の作品でなければ。
     高田大介が凄いのはここから。氏の作品は、こういった入り組んで分かりにくく為りかねない内容ですらも、流麗でリズムの良い文体で語られることによって、読むストレスを感じさせない、というレベルを超えて、「読む」という行為そのものが愉しくなっていく。これは本作だけの話ではなくて、高田大介作品すべてがそうなのだからとんでもない。
     もちろん、「雰囲気」として「読みやすい」だけでなく、本来なら難解で理解が難しい学術的な内容であっても、それを「作品」の舞台装置として最大限に活かし、素人である登場人物を介入させることで、素人である読者にも理解できるようになっていく。安易な例え話や省略に頼って「分かりやすさ」に逃げることをせず、真正面から正確に伝わるよう、難解なものを難解なまま、しかし理解するための補助線や導線をしっかりと整備しながら、「物語」の舞台装置として読者に染み込ませていく。これこそが、高田大介作品における最大の魅力だと自分は感じている。

     そして本書は、語られてきた全ての要素が、最終章で「記憶の対位法」というタイトルに収斂されていく。この流れが本当に美しくて、書かれた全てが、まったく無理のない自然な展開のなかで回収され、「記憶の対位法」という言葉へと姿を変えていく。
     そして迎えるラストシーン。自分ははっきりと映像で「見えた」。これまたとんでもない美しさだった。

     作品としての「美しさ」と、ラストシーンの映像としての「美しさ」。ダブルの美しさで完全KOされました。
     高田大介は名作しか書いていない。
     マジでとんでもない傑物だと思う。

  • 読むのに時間がかかったが、それだけの価値がある本だった。
    言語、音楽、歴史、宗教が混ざり合って、専門的なことがあれこれ出てきて全然追いついていけなかったが、こういう会話ができる彼らが羨ましかったり、そんな風に学び直したいと思ったり、内容よりもその姿に引きこまれた。

  • 題名の意味が最後にすっきりと氷解する。社会学のブルデュー、トッド等や移民政策などなじみがあるところはともかく、音楽史、オック語等は読むのが面倒なところも。
    2017年リモージュの新聞記者ジョンゴ(ワトソン)が大学院生ゾエ(ホームズ)と組んで、対独協力者として断罪された祖父の遺品から隠された謎を探求する。
    それと並行して、イスラム原理主義者のテロの冤罪として友人が巻き込まれる事件が起こる。
    背景として、衒学的に次の語りが入る。
    ①フランスの移民社会の課題、移民政策、社会の階層化、投票行動のマインドセット等社会学の分析がちりばめられる。ジャンゴも祖父はアルザス人で祖母はマグレブ、教師等を排出する家族であるのに、学校嫌いで新聞記者。
    ②リモージュで起こったとされる対位法など古楽の歴史。
    最後に「対位法」の題名がわかる。
    ③歴史修正主義に対するフランスの「記憶の法律」それ自体も歴史修正主義の側面も。
    最後に、祖父の遺品は、アデマール・デ・シャバンヌーリモージュの司教であり対位法の創設者と目され歴史の捏造者が糾弾し、冤名を受けた学僧に対する同情とアデマールに対する憤懣を自己に重ね、アデマールの対位法も剽窃だと論考するための資料収集と想定される。
    中世、戦後、現代を通じた「記憶の対位法」

  • 知っているようで理解してなかった歴史を知るっていいなぁ。ヨーロッパの移民問題もしかり。終始、易しい歴史書を読んでいるよう。あ、小説だったw でも、歴史も個人個人の積み重ねだから「その人」を背景に置くと、まるで彩色したように浮き上がってくるからね。
    しかし、音楽論は難しかったなぁ、BGMください、、

  • 自分が生まれる前に亡くなっている祖父の遺品整理
    大量の古書と黒壇の小箱
    "コラボ"、第二次世界大戦下のフランスででナチの協力者とみなされ隠れ住んでた棲家で見つけたものと
    事件取材で出会った学生、仲間とのやりとりで
    祖父の輪郭を辿る
    音と言葉と歴史と 緻密なお話です

  • 祖父の遺品の謎を起点として、音楽、宗教、政治といったとても大きなテーマがフランスの都市リモージュを舞台に繰り広げられる。翻訳小説のような文体も含めて労作だと思うし、場面場面で語られるそれぞれについての登場人物たちの考えも面白く読んだ。しかし一方でそれらは説明の為の説明の域を出ておらず、小説の機構としては上手く噛み合っていないように感じられる。

  • SL 2025.5.3-2025.5.7
    さすが高田大介というしかないほどの語彙量。フランスの移民問題、差別、ジャーナリズム、宗教、言語学、歴史、音楽理論。全てを理解するのは到底無理だけど、ジャンゴやゾエ、リュシアンたちの謎を解き明かすというより理解しようとさんざんこねくり回し考える姿勢が心を打つ。

  • 意図されていたかはともかく(していたとは思う)現下の世界情勢のなかで読むことに意味のある小説だ、という気がしたな。
    フィクションの物語としても楽しめたけれども。

  • 本屋で思わず手に取った高田大介の新作(と言っても2025年だけれど)。
    フランスのリモージュを舞台に、主人公ジャンゴのコラボ(対独協力者)?とされた亡き祖父マルセルの遺品整理をきっかけに、残された古書と20余りの黒檀の小箱から祖父が晩年探求したものは何かを辿る物語。
    ジャンゴは、西洋古典学を研究する大学院生のゾエや音楽史を専攻するパリ大学院生リュシアン、友人の電話帳の協力を得て、中世の教会音楽の世界へ足を踏み入れる。
    相変わらず著者の博覧強記に驚かせられる。
    今回のテーマが楽譜であるので、音楽史学や記譜法研究の話が中心だけれど、フランスの社会学やラテン語、フランスの近年のテロリズムの話など、お腹が溢れかえるように次から次へ、知識が披露される。
    途中上司のレオンと「本質主義」について延々議論がなされ、メディアのあるべき立ち位置は?的な話にもなる。どれだけ広げるの?
    『図書館の魔女』とは少し異なるが、本作の方が作者の知の広さ、深さにびっくりさせられた。
    ただ知識を見せつけられるだけではなく、根底には区別なのか、差別なのか、今の世界が抱えている構造的な差別の問題を扱っているように思う。哀しい性とも言える人が集団になった際に生まれる誰かを差別する心に、迫っているように感じた。
    400ページ以上のボリュームだがページ数以上に読後、ヘトヘトになった。

  • 事件記者のジャンゴ・レノートルは祖父の残した遺品整理に戸惑っていた。祖父は戦後、対独協力者だと思われて寒村に引きこもっていた。ジャンゴは祖父に会ったことはない。生まれる前に、既に亡くなっていたから。高校の歴史の教師をしていたとの話を聞いているぐらいだった。祖父の遺品に黒檀の小箱が何十と出てきた。その中には布が入っていた。そして本の山と。

  • 地方紙の記者・ジャンゴが、祖父の遺品、黒檀の小箱から出てきた紙片の謎を追う一作。
    2017年、第二次世界大戦後、果ては中世…「裏切り者」と指さされた者がいて、そうではないと心の中であるいは口にして、繰り返し繰り返し証明せんとしていた。

    冒頭のジャンゴにまつわる空気感、振り返る祖父マルセルのどうにもならなかった時代…いずれも当時の社会情勢が個人の事情に落とし込まれていく際の「どうにもできなかった」感覚、無力感が募っていく。

    少しずつ見えてくる紙片が表すもの。
    古楽が現代の音楽につながっていく様子。
    募る無力感と並行して、知らないジャンルに触れ知見が広がるワクワクが膨らんでいった。

    アフメドがジャンゴのこぼした言葉をずっと大事にしていたこと。
    最後のシーンでゾエがジャンゴに伝えたこと。
    この当たりの感動は、ジャンゴの“素朴”な感性がもたらした結果なのだとしんみりした。

    それにしても『まほり』の時も驚いたのですが、史料を作る手腕がすごいですね。

全33件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

2013年『図書館の魔女』(第一巻~第四巻)でデビュー。デビュー作が和製ファンタジーの傑作として話題となり、「図書館の魔女シリーズ」は累計32万部を記録。著書に『図書館の魔女 鳥の伝言』(上下)がある。『まほり』は著者初の民俗学ミステリ。

「2022年 『まほり 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高田大介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×