世界推理短編傑作集3【新版】 (創元推理文庫)

制作 : 江戸川 乱歩 
  • 東京創元社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488100094

作品紹介・あらすじ

珠玉の推理短編を年代順に集成し、1960年初版で以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』を全面リニューアル! 第3巻にはフィルポッツ「三死人」、クリスティ「夜鶯荘」、ワイルド「堕天使の冒険」、ユーステス「茶の葉」、ウイン「キプロスの蜂」、ロバーツ「イギリス製濾過器」、ヘミングウェイ「殺人者」、コール夫妻「窓のふくろう」、レドマン「完全犯罪」、バークリー「偶然の審判」の1920年代の作品10編を収録した。

感想・レビュー・書評

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  • 何十年かぶりに再読。1920年代の作品集。シンプルながらロジカルなフィルポッツ『三人死』、結末までの流れが見事なサスペンス、クリスティー『夜鶯荘』、バークリーの『偶然の審判』は『毒入りチョコレート事件』の短編ながら別解で楽しかった。

    • 111108さん
      たださん、返事のお返事ありがとうございます♪

      そうか、乱歩の年譜と照らし合わせると『心理試験』の頃になる‥その比べ方面白いですね!でも『心...
      たださん、返事のお返事ありがとうございます♪

      そうか、乱歩の年譜と照らし合わせると『心理試験』の頃になる‥その比べ方面白いですね!でも『心理試験』がどんな話だったか覚えてないですが‥(*´-`)

      私もこっちのシリーズとともに明智小五郎のほうも図書館で探してみます!
      2022/09/09
    • たださん
      111108さん、更なるお返事をありがとうございます♪

      ややこしいのですが、『心理試験』の、物語の中の年代が同じということで、その物語の明...
      111108さん、更なるお返事をありがとうございます♪

      ややこしいのですが、『心理試験』の、物語の中の年代が同じということで、その物語の明智がリアルタイムで読んでいたのかなって、妄想してました(^^;)
      2022/09/10
    • 111108さん
      たださん

      なるほど‥物語の中の登場人物が読んでるリアルタイムの物語‥合わせ鏡みたい。でも楽しい妄想ですね♪
      たださん

      なるほど‥物語の中の登場人物が読んでるリアルタイムの物語‥合わせ鏡みたい。でも楽しい妄想ですね♪
      2022/09/10
  • 高校生の時に読んだクリスティの「うぐいす荘」がえらく面白かった記憶があって、数十年の時を経て再読してみた。(本書では「夜鶯荘」)

    エンディングは忘れていたが、電話のオン・オフのシーンのドキドキ感がすばらしい。

    毒入りチョコレート事件の短篇版「偶然の審判」は切れ味最高。

  • ミステリアンソロジー。読んだことはないはずなのになんとなくネタだけ知っているものもあったので、やはり有名作品ばかりなのですね。
    お気に入りはアガサ・クリスティ「夜鶯荘」。ミステリではあるけれど、どちらかといえばサスペンスかなあ。疑惑に気づいてからの息詰まるようなドキドキ感がたまりませんでした。そしてこの結末。ぞくりとさせられつつもどこかしら爽快でもあります。アリクスの機転があまりに見事で素晴らしいです。
    ベン・レイ・レドマン「完全犯罪」も印象的な一作。まさかねえ、そういう展開になりますか。なるほど完全犯罪ではある……!

  •  第3集には,1920年代の作品が勢ぞろいしている。以下,まずは個々の短編の感想から。

    〇 三死人
     イーデン・フィルポッツの作品。イーデン・フィルポッツといえば,高校生の頃に高い評価を得ている作品ということで「赤毛のㇾドメイン家」を読んだことを覚えている。「赤毛のㇾドメイン家」は,ミステリを読みだした初期に読んだ作品で,恋愛が物語に絡みついた展開が珍しく,結構面白く読むことができた。
     「私」が西インド諸島にあるバルバドス島で起こった事件について調査した報告書を読んで,私立探偵のマイクル・デュヴィーンが3人の死の真相を推理するという話。
     ヘンリイ・スラニングが失恋をしたために,自殺をしようとする。その自殺の方法として,自身を崇拝する使用人のディッグルを利用した。スラニングがサトウキビ畑の泥棒の降りをして,ディッグルに射殺される。それを目撃したローソンという男がディッグルを射殺。ディッグルは自分がスラニングも殺害したと疑われると考え自殺したというもの。
     物語としてはそれなりに読ませるデキだし,報告書を見ただけで探偵役が死の真相を暴くという設定は面白い。とはいえ,トリックらしいトリックはなく,ミステリとしては平凡。ちょっとおまけの★3で。

    〇 堕天使の冒険
     カードゲームに印をつけるイカサマの話。トニイはテリスという男がいかさまをしていると考え,テリスを責めるが誤解だった。実際に印が付いているカード「エンゼル・パック」を作ったのはケンドリックという男だった。ヴェンナーという男がそのことに気付き,ケンドリックを脅迫する。ケンドリックは逃亡。ヴェンナーはいかさまを継ごうとするが,「エンゼル・パック」の在庫が尽きてきたこともあって,惨敗。破滅する。
     ビルはテリスから訴えられようとしていたトニイを救うためにイカサマの実態を暴く。
     これはなかなかに面白い短編。話も読みやすく,イカサマのやり方もしゃれている。話自体の展開も面白い。傑作といっていいできだと思う。★4で。

    〇 夜鷲荘
     ミステリの女王,アガサ・クリスティの作品。クリスティの作品も高校時代にかなり読んだが,短編はそれほど面白いとは思わなかった。世界推理短編傑作集に選ばれた作品は「夜鷲荘」という短編。ポワロもミス・マーブルも出てこないクライム・ストーリーである。
     アリクスという別段美しくはない女性が遺産を相続することで金持ちになる。そこにマーティンという男が求婚。結婚するが,マーティンはチャールズ・ルメートルう犯罪者だった。アリクスはマーティンに殺害されると思って,反撃に出る。マーティンに毒を飲ませたと誤信させ,心臓が弱いマーティンを殺した。
     さすがクリスティというべきで,短編としてもしっかり読ませるデキになっている。クライム・ストーリーであり,これといったトリックがあるような作品ではないが,及第点のデキだろう。★3で。

    〇 茶の葉
     密室の殺人,意外なトリック,女性探偵と道具立てがそろっている短編。ほとんどのアンソロジーに収録されている古典的名作短編の一つとして紹介されている。トリックはドライアイスの短刀を使った自殺。娘の婚約者を殺人犯にしたてようとした男の話である。
     ドライアイスの短刀による殺人というのは推理クイズでは鉄板のトリック。その初出の作品であれば,古典として読み継がれる作品になるだろう。
     物語としても読みやすい。このトリックを今読んでもあまり面白いとはいえないのが難点。古典的名作というところに敬意を表して★4としたい。

    〇 キプロスの蜂
     アナフィラキシ(アナフィラキシーショック)を利用した殺人を描いた作品。蜂に刺されれば死ぬように注射をして,蜂に刺させるという殺人を描いている。
     トリックは,今でもサスペンスで利用されるような鉄板トリック。しかし,物語としてやや読みにくい。茶の葉にくらべると物語としての完成度が低めに感じてしまう。★3で。

    〇 イギリス製濾過機
     これはバカミス。人間が絶対に出入りできない窓がある密室での毒殺。トリックは窓から濾過機に毒を投げ込むというもの。コッタボスという古い遊び,宴席で行う遊びで特殊な形のグラスで酒をこぼさないように宙を飛ばす遊びを利用した殺人を描いている。
     窓から毒を飛ばして密室に入れるというバカミスを真剣に書いているのが面白い作品。インパクトはある。今読んで面白い作品かというと微妙なのだが…。★3で。

    〇 殺人者
     紹介文書では「強烈なハードボイルドのスタイルが推理小説に影響をあたえたとするなら,この短編こそその最たるものといえよう。簡潔できびきびした迫力のある会話が,わずか数ページの小品をすばらしい文学作品にまで高めている。」と絶賛されているのだが…別段そう感じなかった。トリックがあるわけでもなければ,オチなく物語としてはさっぱり面白くない。★2で。

    〇 窓のふくろう
     改造電話を利用した殺人の話。犯人のバートンという医師は殺人をした直後に探偵役のウィルスンに見つかってしまう。
     探偵役は犯人がバートンだと見抜いて凶器などを探していたという展開だが,やや分かりにくい。古典だと考えると完成度は高いように思うが,今のミステリを読みなれているとどうしても見劣ってしまう。★3で。

    〇 完全犯罪
     トレヴァーという探偵が,自分が失敗したことを偶然に知ってしまったヘアという男を完全犯罪で抹殺する話。トレヴァーのいう完全犯罪とは死体を発見させないことだった。
     失敗をしないことを誇りにする探偵に対し,ひょんなことからその探偵が失敗したことを知って,そのことを教えてしまい,結果として殺害されてしまう。
     「完全犯罪」についての前半部分の議論がややたいくつ。しかし,それが伏線になっているのでやむを得ないところ。古典的なミステリとしては,なんとなく今に通じるものがある。とはいえ,今のミステリはこの程度のレベルには当然に達しているわけで…。ミステリの古典評価するのは難しい。★3で。

    〇 偶然の審判
     毒入りチョコレート事件の短編ヴァージョン。毒入り古レート事件の原型ともいえる作品。この短編でも同時代の作品の中では抜群の完成度だったという評価。偶然の審判の解決も多重解決の一つに落とし込んだ毒入りチョコレート事件がどれだけの傑作だったかが分かる。この作品は,単独で今読んでも十分に楽しめるデキ。★4で。

    という9作品。一番面白かったのは,堕天使の冒険。トータルでの評価は★3。当時としては傑作だったのだろうが,ミステリというのは先に発表された作品を踏まえて進化していくもの。こういった古典は,どうしても後の作品に影響を与える。。そして後の作品を先に読んだ者にとっては,今の作品より見劣って見えてしまう。ミステリの古典を評価するのは難しい。

  • 「ではひとつ、きみのために、ちょっとした理論的問題を提出しよう。完全な探偵が完全な犯人を捕まえにのりだしたら、そのときはいったいどんなことになるんだ? 絶対不動の物体と不可抗的な力との関係に、似てやしないかね。そっくりだと思うのだがね。もちろん、完全というわけにはいかないのが、玉にきずだが」

    2019/8/2読了
    ベン・レイ・レドマン『完全犯罪』(村上啓夫 訳)より。そんな完全な存在など有り得ず、完全探偵と完全犯人の対決は、決して辿り着けない、本格ミステリの極北であろう。

  • 『完全犯罪』には ガツン! と来た。

  • 新版。配列を年代順にして他の巻と入れ替えたり、新訳した作品もあるらしい。第3巻は1920年代の作品で、旧版から「密室の行者」、「ボーダー・ライン事件」、「二壜のソース」が抜けて、「殺人者」、「三死人」、「窓のふくろう」が入ったということか。旧版をかなり昔に読んだのでいちおう再読だが、覚えていたのは半分くらいだった。
    トリックは今となっては古典的なものが多いが、「イギリス製濾過器」なんかはやっぱり強烈だし、クリスティの「夜鶯荘」は物語的にたいへん印象深い。ヘミングウェイが入っていたのは驚いた。

  • さすがにどれも面白い。
    ベストは『堕天使の冒険』か『茶の葉』か

  • 新版の第3巻。
    フィルポッツはやっぱりいいなぁ……。収録作の中では一番好きだ。

  • 2019/01/03読了

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