世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

制作 : 江戸川 乱歩 
  • 東京創元社
3.62
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本棚登録 : 144
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488100100

作品紹介・あらすじ

珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年初版で以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』を全面リニューアル! 第四巻にはコッブ「信・望・愛」、ノックス「密室の行者」、バーク「オッターモール氏の手」、ハメット「スペードという男」、ダンセイニ「二壜のソース」、ウォルポール「銀の仮面」、セイヤーズ「疑惑」、クイーン「いかれたお茶会の冒険」、ベイリー「黄色いなめくじ」の一九三〇年代以降の名作九編を収録!

感想・レビュー・書評

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  • 奇妙な味やイヤミス系が多いのは時代のせい?再読のクイーン『いかれたお茶会の冒険』が一番爽やかで好き。強烈なラスト一行『二壜のソース』現実的で怖すぎる『銀の仮面』不味い物食べた感は『オッターモール氏の手』『疑惑』『黄色いなめくじ』。

    • 111108さん
      たださん、コメントありがとうございます。

      なかなか順調でしょう?見守ってくれる人がいると思うと、着々と読んでいけます〜ありがたいです(^^...
      たださん、コメントありがとうございます。

      なかなか順調でしょう?見守ってくれる人がいると思うと、着々と読んでいけます〜ありがたいです(^^)

      不味い物食べた感、自分でも何言ってるんだかって感じですみません。たださんの言う通り「思わず渋い表情を見せてしまう」ような結末とでも言いましょうか。
      あんまり詳しくは書けないですが、今は割とその手の話あると思うけれど、真相が‥という話です。決してつまらないって意味ではないですよ。
      2022/11/14
    • たださん
      111108さん、お返事ありがとうございます♪

      よくよく考えたら、ネタばれに絡むような答えづらい質問をしてしまい、すいませんでした(>_<...
      111108さん、お返事ありがとうございます♪

      よくよく考えたら、ネタばれに絡むような答えづらい質問をしてしまい、すいませんでした(>_<)

      でも、ニュアンス的に、なんとなく言いたいことが分かると思いましたので、私も読後感がどうなるのか、楽しみにしようと思います。

      が、その前に、まずは二巻を読まないといけませんがね(^^;)
      2022/11/15
    • 111108さん
      たださん、返事のお返事ありがとうございます♪

      いえいえ、レビュー短くしたくて自分で読み返してもよくわからない感想をしょっちゅう書いてます(...
      たださん、返事のお返事ありがとうございます♪

      いえいえ、レビュー短くしたくて自分で読み返してもよくわからない感想をしょっちゅう書いてます(-.-;)

      たださんのレビューもお待ちしてますよ〜!
      2022/11/15
  •  法律はそれをまもる人間がいるあいだしか力はない。警察は、それを恐れる人間がいるあいだしか能力は発揮できない。このたったひとりの男は、その二本の手でもって、全社会に、いままでになかったことをさせた。つまり、社会は考え、これほど明白な事実に呆然としたのである。

    2019/10/18読了
    トマス・バーク『オッターモール氏の手』(中村能三 訳)より。本巻は“奇妙な味”の傑作揃いだが、ダンセイニ『二壜のソース』やウォルポール『銀の仮面』などは、イヤミス状態で、個人的には好きにはなれなかった。

  • 後味の悪い、ぞーっとするような短編多し。
    だが、それが良い。

  • ミステリアンソロジー。今回は「奇妙な味」という感じの作品が多い印象です。そしてそういう作品がとっても好み。
    お気に入りは再読だけれどアーヴィン・S・コップ「信・望・愛」がやはり好き。あまりにシニカルでブラックな読み心地がたまりません。そういえば他で読んだのは恐怖小説集に収録されていたのだったけど。当人たちにしてみればとてつもない恐怖の物語なんですよね、これ。
    評判だけ聞いて知っていたトマス・バーク「オッターモール氏の手」、なかなか不気味で良いなあ。なんとなくネタだけ知っていたロード・ダンセイニ「二壜のソース」も、思ったよりもぞくっとさせられる読み心地でした。ダイジェストとかだけで読んだ気になっていてはいけません。そして一番怖いのはドロシー・L・セイヤーズ「疑惑」。じわじわと迫りくるサスペンス、そしてラストでがつんとやられました……。

  •  世界推理短編傑作集の第1集から第3集までを読んだ限りでは,翻訳モノの古典は読みにくいものが多く,最近の国内ミステリに比べると見劣ってしまうものが多い
    と感じていた。それでも古典となっているトリックが使われた作品を知るために読んでいるという感じだった。しかし,第4集は少しイメージが変わる。今読んでも傑作と感じる作品がちらほらあった。
     二壜のソースは,そのトリック・プロットがあまりにも有名な作品だが,文章としても秀逸。今読んでも傑作と感じる作品。ほかにも信・望・愛,密室の育者,銀の仮面は,傑作に分類してもよいと感じた。読んだことがない作品が多かったこともあるが,奇妙な味系のミステリはそれほど古草さを感じないというイメージ。あと,第4集は文章が読みやすく感じる作品が多かった。総合評価としては★4としたい。

    〇 オッターモール氏の手 ★★★☆☆
     1949年にイギリスで,12人の作家によって集計されたランキングで,ポーの盗まれた手紙やドイルの赤毛組合,チェスタートンの犬のお告げなどを差し置いて1位になった作品
     ロンドンの恐怖の絞殺事件。ロンドンで連続殺人が発生する。勤め人,子ども,警察官,ある家族…。動機は不明。衝撃的で残虐な事件が続く。
     ある新聞記者がひらめく。この衝撃的な連続殺人事件の真犯人は,オッターモール巡査部長だという。しかし,この作品はオッターモール巡査部長にその新聞記者が殺害される場面で終わる。
     この作品が書かれた当時は,このオチ,警察官が犯人というものはそれなりに衝撃だったのだと思う。しかし,今のミステリではよくあるオチとなっている。文章そのものも雰囲気はあるが,読みにくい。古典としての価値は認めるが,それまで。今,読んで傑作といえる作品とはいいがたいので★3で。

    〇 信・望・愛 ★★★★☆
     運命のいたずらで三人三様の死をとげる脱走囚人を描いた小説
     護送中に脱走したフランス人のラフィット,イタリア人のヴェルディ,スペイン人のガザは,それぞれ自分自身が一番恐れる方法で死んでいく。ラフィットはギロチンでの死刑を恐れていたが,脱走後,落ちてきたエレベーターで首を切断されて死ぬ。ヴェルディは無期朝敵で孤独に死んでいくことを恐れていたが,脱走後は谷の下に落ち,脱出できない状況にあることを悲観して銃で自殺。ガザはガロット(ゆっくりと首のカラーに締め付けられて死ぬ)を恐れていたが,逃亡中にメキシコ人になりすまそうとして縛られたふりをしようとするが,首を絞めていた牛の生皮に首を絞められる,正真正銘のガロットで死ぬ。
     ミステリというより,奇妙な味のミステリ。まさに,短編の見本と思えるような展開。サプライズもないし,裏を描くような展開は一切ないが,ある意味,予定調和。起承転結がしっかりしたよくできた物語となっている。今のミステリは,逆にこういったオーソドックスな物語が少ないので新鮮に思える。★4で。

    〇 密室の行者 ★★★★☆
     「ノックスの十戒」で有名なロナルド・A・ノックスの代表的な短編。このトリックも推理クイズなどで知っている,まさに古典というべきミステリ
     高所恐怖症の人物が,ベッドの横に食料があるのに餓死する。ポイントは屋根にあるまどと,ベッドが少しずれていたこと。4人の従者は,高所恐怖症の主人をベッドごと吊り上げて,餓死させた。
     これはあまりにも有名なトリック。このトリックをうまく物語の中に組み込んでいる。物語としてもそれなりに読みやすい。非常によくできた古典

    〇 スペードという男 ★★★☆☆
     ダシール・ハメットの作品。いかにもハードボイルドという文体の逸品だが,骨格はアリバイトリックものである。
     兄であるマックス・ブリスに刑務所に入れられていたセオドール・ブリスは,マックスを殺害してしまう。マックスが殺されたときに,自分が結婚式をしていたというアリバイを作るために,セオドールはスペードの探偵事務所に電話をする。スペードは,セオドールが用意した様々な工作を見抜く。
     翻訳モノっぽい読みにくさがある作品。トリックもさほど優れたものではない。容疑者が何人か出てきて,名探偵役のスペードが真相を見抜く。予定調和を楽しむ作品だろう。

    〇 二壜のソース ★★★★★
     これもあまりにも有名な奇妙な味の短編。死体の隠し場所がポイントとなるミステリ。
     死体の隠し場所を暗示するものは肉にかけるソース
    日開けて2壜買ったということと,食欲をつけるために木を切り倒していたという行為。これらが暗示することは…。
     古典だが,物語の描き方が秀逸。登場人物が「あなたがたもこの辺で本のページを閉じて,この先はお読みにならない方がよいかもしれませんよ。」と語りかける部分などメタ的な要素まである。
     今読んでも十分に面白い。古典の傑作。★5で。

    〇 銀の仮面 ★★★★☆
     ミス・ソニヤ・ヘリズという女性のところに男がやって来る。男はシガレット・ケースを盗む。その後,男は自分が書いた絵を売りにくる。そして妻と赤ん坊を連れてくる。妻が倒れたことからソニアの家に妻が看病をされることになり,エドワーズ夫妻という伯父と叔母もくる。ソニヤはどんどん自分の生活を男に侵食され,狭い屋根裏部屋で病気で寝込んでしまう。二度と部屋から出れないのではないか…。
     折原一の「仮面劇」はこの古典を下敷きに作っていたんだなというのが第一印象。ミステリというよりは奇妙話系の物語だが,異様な怖さがある。物語の語り口も淡々としているが読みやすい。強烈なインパクトを残す作品であり,傑作といっていいデキだと思う。★4で。

    〇 疑惑 ★★★☆☆
     ママリィ氏は,1か月前から体調が悪く,1か月前から雇っているサットン夫人が毒殺犯のアンドリューズではないかと疑う。友人に調べてもらうと,家に砒素があり,使用されている形跡があるのが分かった。妻のエセルが無事か不安に思っていたが,サットン夫人の口からアンドリューズが逮捕されたことを聞く。では砒素を用意していたのは誰だったのか。それは妻のエセルだった。
     ドロシーセイヤーズの作品を読んだのは初めてだが,さすがに短編の教科書のようによくできている作品だった。文章は読みやすく,起承転結がきっちりしている。どこかで見たような話しなのはこの作品の影響かもしれないのでなんともいえないところ。傑作とまではいえないがよくできている作品

    〇 いかれたお茶会の冒険 ★★★☆☆
    エラリィ・クイーンの作品。クイーン自身が自選短編集の中にも選んでいるという自信作らしいが,そこまでの作品とは思わなかった。昔から思っているのだが,エラリィ・クイーンの作品はあまり肌に合わない。
     エラリーがオゥエンの家を訪れると,翌日のジョナサンという少年の誕生パーティのためにアリスの「いかれたお茶会」を演じるリハーサルをしていた。
     翌日,帽子屋の仮装をしたオゥエンが行方不明になる。エラリーが捜査をし,真相を見抜く。犯人はガードナーという男。夫人がオゥエンの愛人だったことに気付き,オゥエンを殺害した。エラリーはオゥエンの死体を見付けた後,犯人を追い詰めるために,不思議の国のアリスとセイウチと大工の詩を思わせるモノを送付させていた。エラリーは,知り合いの役者にオゥエンの死体のふりをさせて,「俺が埋めた」というガードナーの自白を引き出した。
     サプライズ感もそれほどないし,エラリーの犯人を追い詰めるためにした工作もそれほど感心しなかった。詰らない作品とは思わないが,傑作とは思えず。
     
    〇 黄色いなめくじ ★★★☆☆
     レジ―・フォーチュンという探偵役が登場する短編ミステリの代表作。少年が妹を殺害し,自分も死のうとする。ワイヴン夫人という同居人の女性が殺害される。ワイヴン夫人は,少年の妹が盗みをしたと言った人物であり,結果として少年が妹を殺害して,自殺をしたきっかけになった。少年がワイヴン夫人を殺害したのか?
     真相は,ブライトマンという少年と妹の義父(少年と妹の母はブライトマンと再婚していた。)が犯人。ブライトマンワイヴン夫人の財産を奪い,ワイヴン夫人を殺害。子ども達の世話と教育が面倒になり追い詰めた。
     登場人物が少ないためにサプライズ感は少ないが読後感がかなり悪いイヤミス。真相に気付いたきっかけがタイトルの黄色いなめくじ。黄色きなめくじの習性から,死体が移動されられたことを見抜き,そこから本来の殺害場所を見抜いた。
     よくできた作品ではあるが突き抜けた部分がない。

  • 推理だけでなく心理恐怖的な物も多い。
    名作揃いなので昔読んでいた話も多く筋は忘れていてもトリックは覚えている話も多かった。

  • 『世界短編傑作集』完全リニューアル版第4巻。
    ダンセイニ『二壜のソース』、セイヤーズ『疑惑』、クイーン『いかれたお茶会の冒険』、ノックス『密室の行者』etc.と、短編の超有名作がズラリ。どれも良作ばかりで面白いこと間違いなしですが、今回初めて読んだ「信・望・愛」のストーリー性の素晴らしさと、ベイリーの『黄色いなめくじ』がある意味ベタな展開かもしれないんですが、そこが好みで良かったですね。

  • 2019/02/18読了

  • 第4巻。
    本書にはダンセイニ『二壜のソース』が収録されている! ダンセイニといえば幻想小説、ファンタジーでお馴染みだが、『奇妙な味』の代表作とも言えるこの短編には思い入れがある。食べられるものなら食べてみたい、ナムヌモ……。
    (しかし私が最初に読んだのはハヤカワなので、「二壜の〝調味料〟」の方が何となく落ち着く)

    その他、ノックス、ハメット、セイヤーズ、クイーン等々、黄金期探偵小説を象徴するような1冊だった。

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