- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488101190
作品紹介・あらすじ
自らの頭脳に見合う難事件のない日々の退屈を、コカインで紛らわせていたシャーロック・ホームズ。そんな彼のもとに、美貌の家庭教師メアリーが奇妙な依頼を持ちこんできた。父が失踪してしまった彼女へ、毎年真珠を送ってきていた謎の人物から呼び出されたという。不可解な怪死事件、謎の"四の符牒"、息詰まる追跡劇、そしてワトスンの恋…。忘れがたきシリーズ第2長編。
感想・レビュー・書評
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古典としての面白さはあるのかもしれないけど、小説としての面白さはあまり感じなかったというのが私の感想。共感があまりできなかったのが原因に思う。当時の宗教観や差別意識などを差し引いても、ワトスンの「ラブストーリー」がどうも理解できなかった……。そういうのを楽しむものじゃないんだろうなぁ。
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巻末の解題と解説までよんで、はじめて『四つの署名』でなく『4人の署名』とタイトルと訳されていることに気づく、観察力のないわたし。
以下はその巻末の解説を読んで思ったことなど。
以前『ドラキュラ』について書かれた何かの文章で、近代化されていく英国の都市に、よくわからない場所のよくわからない何かが侵略していく、という話の構造が当時の読者に興味や恐怖を喚起させた、的な文言を読んだ記憶があって、思えば本作も『緋色の研究』もその、ヴィクトリア朝後期のエンタメ小説のテンプレートに則っていると言えるなと。よくわからない場所から持ち込まれた厄介な事件がロンドンに持ち込まれて、科学と論理の権化的なホームズに解決されるわけで。なので前作も本作も、犯人の足取りに迫る(で、ホームズとワトソンが物語からフレームアウトする)後半部こそ、必要不可欠な描写だったのだろう。 -
ホームズがコカインきめて始まり、ホームズがコカインきめて終わるお話。
サブストーリー的に綴られるワトソンが魅力的。 -
この依頼主のメアリーって、ホームズの奥さんになる人?!かなあ。ワトソンか。
最初からコカインを皮下注射しているホームズ。当時は合法? だったのかしら。
退屈がとても耐えられない。 -
ストーリー、トリック的にはかなりシンプルだった。もう一捻りあると良かったなぁ。
今だったら問題になってそうな差別的発言?が結構あって良いか悪いかは置いておいて、時代を感じた…
注を読むと、矛盾してる部分があることが分かって、ドイルって結構大雑把だったのかなって思った(それとも校閲がちゃんとされてなかったってこと?)
ワトソンって色々な女の人に恋してるよね… -
自らの頭脳に見合う難事件のない無聊の日々を、コカインで紛らわせていたシャーロック・ホームズ。
唯一の私立探偵コンサルタントを自任する彼のもとを、美貌の家庭教師メアリーが訪れる。
彼女の語る事件は奇妙きわまりないものであった。
父が失踪してのち、毎年、高価な真珠を送ってきていた謎の人物から呼び出しの手紙がきたというのである。
ホームズとワトスンは彼女に同行するが、事態は急転直下の展開を見せる。
不可解な怪死事件、不気味な〈四の符牒〉、息を呑む追跡劇、そしてワトスンの恋・・・。
忘れがたき余韻を残すシリーズ第2長編。
解題 戸川安宣
解説 紀田順一郎 -
記録
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ワトスンが本を書いたところから、すっかり名探偵として世間に名を広めたホームズ。そんな彼のもとに、あるときメアリー・モースタンという若い女性がやってくる。インド駐留の将校だった彼女の父は、かつてロンドンに戻ってきたものの、彼女に会わずして今日まで行方不明に。
しかし、父の友人だった少佐が亡くなってからほどなく、彼女のもとに大粒の真珠が1年に1粒ずつ届けられるようになったというのだ。1通の手紙が届き、その人物から呼び出されたメアリーは、ホームズたちに同行を依頼するが……。
深町真理子さん訳のホームズ全集の2冊目。
子どもの頃だったら、現場に残された手がかりをもとに推理し、殺人犯を追い詰めるハラハラドキドキの物語だったかもしれないけれど(それは、それで楽しい)、改めて読むと、当時のインドの状況だとか、未開地の人への目線とか、興味深い一面も。ちょっと奥ゆかしいワトスンの恋の行方も楽しく読めました。