ソフィー (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 279
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488102029

感想・レビュー・書評

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  • サスペンス寄りミステリかなぁ。
    久々にぐっと来ました。
    シャーリィ・ジャクスンやホラー寄り恩田陸が好きな方にお勧めしたい。
    ルース・レンデル好きにも。
    子供時代の情景が綺麗すぎてセツナイ。綺麗なだけに現在の状況が辛い…。

    解説にも書かれているとおり、ガイ・バートは今のところ3冊しか小説を出されてないのかな?
    脚本家の方がメインになってるようですね。
    映画化された「体験のあと(穴)」も読んでみたいです…。
    もう1作も邦訳されると書いてあったけれど、今のところはまだ出てないようですね。そちらも待ち遠しいです。

  • 輝かしい少年時代パートと緊迫した現在パートが入り混じる幻惑的な語り口に隠された周到な仕掛けが見事。後の崩壊が予告されているがゆえ、余計に少年時代の”楽園”にノスタルジックな郷愁を掻き立てられる。如何様にも解釈が可能な物語がもたらす不思議な読後感が魅力的。

  • 時制の不一致の利用と意思伝達の倒錯。本書は「ソフィー」という姉を巡る一連の出来事を回顧する語り手の独白を、「ソフィー」に擬された「私」が聞かされながら、ビビリながら合いの手を入れるかたちで進行する。しかし、語り手の記憶が錯乱しているという設定なのか、事件の背景や前後関係についての記載がぼかされており(それが作家の狙いかもしれない)、読者に想像の翼を与える半面(母親と姉の確執、母親と語り手の不仲、父親の不在、庭師の途中からの不明など、ヒントは都度ちりばめられているように思う)、ある意味期待を裏切らない結末しか用意できないところが残念である。結局、「勘ぐることを楽しんでください」ということであれば成功した作品だろうとは思う。いまは脚本の仕事に軸足を移しているらしい作家のセンスが垣間見れるというところか。

  •  イギリスの田舎町で、少年は賢く大人びた姉を暮らしている。父はほとんど家には寄りつかず、母親は二人には全く関心を払わない。
     今、成長した二人は、過去を語りあう。

     執拗までに過去と現在が交錯する手法に、戸惑う。
     そして、読後にはその戸惑いが驚愕にかわる。

     不思議な物語だ。
     あくまで少年の視点なので、肝心なところがわからない。姉が本当は何を考え、何をしようとしていたのかとか、両親の存在感のなさの理由とか、そういうむしろ物語の核になる部分は、曖昧のままになっている。

     物語はすでに閉じている。
     だから、理由はもう必要はない。

     まるで、ドームにうつる星空のようだ。
     偽物の空。閉じられているのに、星は遠くまたたく。
     子供時代の郷愁は、多分、そんな風なものなのだろう。

  • 初訳が1998年。
    全く存在を知らなかった本です。翻訳ミステリー大賞シンジケートの『マストリード』で大変に気になり読んでみました。

    黒原先生が持ち込みで翻訳されたそうですが、(訳者あとがきで、連想する作品として『蠅の王』を挙げられています)

    ミステリいうよりなんだろう…と考えていたら裏表紙にピッタリの言葉がありました。
    魔術  ですね、これは。

    忘れられない一冊になりました。

    予備知識なしで読まれることをオススメします。

    でも読後は、「私の理解であってる?」と誰かに確認したくなると思います。


  • オチがあまり好きではなかったけど、そこに辿り着くまでの雰囲気が好き。マティーみたいな男、「クリミナルマインド」によく登場します。自然の描写が丁寧で、自分も姉弟の思い出に参加しているような気になる。特定の季節になると、ずっとこの本を思い出すような気になれる。味わったことないはずなのに、懐かしい感じがした。

  • サイコサスペンスイギリス風。誇大妄想気味の子供時代の追憶シーンが秀逸なのだけど、結局のところそれだけかも。なるほどね、と読み終わってから後書きを読んでまた混乱させられたけど、数日考えて、やっぱり最初に感じたとおりで良いのでは、という結論に達した。
    作者のガイ・バートはその後作家からシナリオライターに転身したらしいけど、多分それは正解でしょう。

  • むかし衝撃を受けたのを思い出した。
    もう一度読もうと思う。

    ↓読んだ

    いい感じに覚えていなかったので、
    普通にびっくりした。

    ガイ・バートは寡作夭折の作家と勝手に諦めていたが、
    映像の世界で活躍しているらしい。よかった。

  • マシューが姉ソフィーを縛り上げ、どこかに監禁している場面から幕を開ける。マシューは20年近く昔の、姉と二人の幸福な時代についてしゃべりはじめる。でも最初から父親は顔を思い出せないほど不在だし、母親も自室に閉じこもり、たまに話しても彼に冷たく当たる…という異常な家庭環境である。そんな狭い世界で姉ソフィーはマシューの全てになっていくが、成長し、ソフィーは家を出る日を迎え…
    思いのほか、まさかの結末でした(伏線はあった…かな?)。

  • ★3.5

    本編全体を覆う美しい空気と僅かに含まれる毒。解説や他の方のレビューにある通り、『ずっとお城で暮らしてる』を想起させるが、危うい雰囲気は自分的にはこちらの方が好み。少年時代の思い出は瑞々しく鮮明な情景を描くのに、何故か出来事は曖昧で常にヴェールを纏っている。起きたであろう出来事すらはっきりせず、読者に与えられる情報はかなり乏しい。とは言え、あまりにも論理的解明がなされても興醒めな話だろう。それなりに様々な解釈ができ、何度か読み直せば都度新しい発見ができそうで、想像力が豊かなタイプの方には楽しいのではないかと思う。

    それにしても、最終章こそどう捉えていいのか…かなりざらざらした後味が何とも印象的。
    『私』は結局『他のみんな』と同じなのでは?「マシューとソフィーがとてもよく似ている」と言う意味は?姉弟の子供時代の謎よりも遥かにぞっとする最後だった(深読みしすぎ?)。

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