僧正殺人事件 (創元推理文庫 103-4)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488103040

感想・レビュー・書評

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  • 巻頭の紹介文には「本書を読まずして推理小説を語ることはできないといっても過言ではない。」とある。まさに古典。そもヴァン・ダインといえば、本格ミステリ界隈では知らぬ者はない。有名な「ヴァン・ダインの二十則」の提唱者であり、他作品のなかで言及されることも何かと多い。中でも『僧正殺人事件』は彼の最高傑作とされる。
    ……それだけに、ちょっと期待しすぎてしまったような。

    『グリーン家殺人事件』に続いて二冊目の読了である。シリーズの勝手がだんだん分かってきた。ヴァンスのキャラクターは嫌いではないのだが、肝心の推理においてロジックより心理分析に重きを置く傾向があるため読後にどこか釈然としない感じが残る。そして衒学趣味バンザイ。

    無邪気な童謡と不気味な殺人という鬼気迫る取り合わせ!であるが、はっきり言って、現代の読者の視点から見るとさして目新しいところはないと思う。童謡殺人の嚆矢の一つである本作。やはりその先駆性に価値があったということだろう。
    とはいえ物語としてはそれなりに読ませる作品だ。終盤の畳み掛けるような展開やラストの落とし方(いいのか、あれ?)などはさすが。まあ、古典として押さえておいて損はないだろう。

    本筋とはあまり関係ないけれど、数学やら物理やらが好きなので、おなじみのペダントリについてはより一層楽しめた。教科書で読んだばかりのリーマン・クリストフェルのテンソルがばーんと出てきちゃうくだり、読みながらにやにやしてしまった。

  •  古典的な推理小説。設定が少し込み入っていて、あまり読み進めやすい小説ではなかったが、古典的名作ということで、読んでおいても良いと思う。

  • 久しぶりの再読。面白かった覚えがあったのだが…意外に読み難かった。もちろん訳が古すぎるせいもあるのだが、途中、展開が冗長すぎて中弛み。天才と名高い(はずの)ヴァンスがぎりぎりまで犯人の目星をつけられず、最後まで確かな物証を見つけられなかったのは少し期待はずれ。捜査も推理も割と雑な印象。しかもずいぶん乱暴な結末持ってきたなあ…。

  •  予想以上に楽しめた。マザーグースを題材とした殺人事件はアガサ・クリスティで読みなれた感があったが、アガサとは全く違う方向性であり、飽きる事無く読めた。

     探偵役であるヴァンスは余り見ない形の探偵であり、作者の頭がよほど高度でない限り書けない様な頭脳を持っているように感じた。途中ヴァンスの台詞で理解できない部分があったが知識をつけてから再読すれば更に楽しめるのかもしれない。犯人の動機解明シーンでは事件の特異性から犯人は数学者であると推理する部分は素直に作者を尊敬できるつくりである。事件の経過も本にのめり込めるほどで、ページが進むにつれて先がどういう風に展開していくのか全く予想できないほどで、章の終わりに来るたびに驚いた覚えがある。特に真犯人については最も驚いた。意外なところから意外な形であらわれたので、不意を突かれた感じがして最高の瞬間だった。

     難点があるなら、時間の経過が酷くゆっくりな事で50ページ読んでもそれほど作中で時間が経ってなく、時間の流れに混乱したことが何度もあった。それと完全犯罪で証拠もない事件の解決方法としてはありきたりなものであるという印象を受けてしまった。せめてヴァンスが鮮やかに証拠を犯人に提示する展開も見てみたかった気がする。
     しかし、それ以外では難点をつけられないほどの良作であり、此処までの作品なら何度でも読んでいいと思った。

  • ヴァン・ダインは名前だけ知っていたのだが、読むのは初めてだった。

    今ではありふれている見立て殺人モノだが、この僧正殺人事件が最初だったんだと知って、感慨深かった。
    そして誰もいなくなったとか、獄門島とか、これが元ネタなんだなあと思いながら読んだ。

    古い話だからもっと堅苦しいのかな、と思っていたが、一気に読めた。
    数学のところはよくわからなかった。
    根拠のないまま犯人だけは当てられたので、気分はいいけれど、ヴァインの最後の行動は腑に落ちない。

  • 見立て殺人
    マザーグースはあまり知らなかったのですが、童謡ってやっぱり歌詞をよく考えると不気味なところありますね。
    ラストは探偵のあり方をちょっと考えさせられる感じ。

  • 図書館にて借りる。語り手の影が薄いな…。

  • マザーグースの童謡になぞらえられて、次々と起こる殺人事件。古典ミステリの名作として、しばしば名前が挙げられる作品です。
    読んでいて、最初は取っ付きづらいかなと感じましたが、中盤からは、一気に引き込まれていきました。とはいえ、所々に組み込まれているヴァンスの学術的講釈部分は、ちょっと辛い部分もありました。
    全般的な流れとしては、少しづつ情報や証拠を集めて事件解決ではなく、物語の終盤で一気に加速する感じでした。
    結末は、人によって評価が分かれると思いますが、登場人物たちの職業・性格的な面から、理詰めで犯人を追い詰め、完璧な推理で犯人が自白という流れでも、個人的にはよかったのではないかと思います。

  • 楽しかった。極上のミステリーはいかに話がめんどくさくても楽しいのだと再確認。いや、話はめんどくさくないんだけど、ヴァンスの世間話が難解すぎて。世間話だから理解する必要ないんだけど。見立て殺人の古典なんで、トリックは別にって感じ。それでも緊張感の溢れる殺人事件の連続と、その順当な結果としての容疑者の減少の中でのラストのどんでん返し。見事なプロット。ヴァン・ダインは恥ずかしながら初読だったが、十分に楽しめた。

  • 今月の5冊目。今年の105冊目。

    初ヴァンダイン。古典として、勉強しながら読んでいきました。海外もの古典は、心理分析が多い。やはりそれがひっかかる。個人的には、犯罪の数だけ犯人がいるとすると、心理分析で犯人像を絞っていくことはできても、その事件が解決できるかどうかとは関係ないような気がしないでもない。また、冒頭からかなり、悪魔的事件であることが強調されているが、そこも微妙だった。

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