僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488103149

作品紹介・あらすじ

だあれが殺したコック・ロビン?「それは私」とスズメが言った-。四月のニューヨーク、この有名な童謡の一節を模した不気味な殺人事件が勃発した。マザー・グース見立て殺人を示唆する手紙を送りつけてくる"僧正"の正体とは?史上類を見ない陰惨で冷酷な連続殺人に、心理学的手法で挑むファイロ・ヴァンス。江戸川乱歩が称讃し、後世に多大な影響を与えた至高の一品。

感想・レビュー・書評

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  • アマチュア探偵ヴァンスの無限に湧き出る泉のような知識、教養のオンパレードで最初は圧倒されました。
    友人である語り手のヴァンが徹底した黒子役で全くといっていいほど存在感がなかったのが逆に新鮮でした。

    事件はヴァンスと検事のマーカムが、なんだかんだしてるうちに次々に起こってしまいます。
    なんてこった!このマーカムが融通が利かないというか、職務に忠実というかカッチカッチな頭なのでちょっとイライラ。その悶々とした行き詰まった感じが、ページ数が残り少なくなってから、うわぁーと盛り上がってそのままラストまでいっちゃいます。
    部長刑事のヒースが最後にカッコいいところを見せてくれました。そしてそしてまさかの犯人に対するヴァンスがとった行動にラスト驚愕しました。

  • やっぱフリークとしてはこの辺も押さえとくべきよね!(今更…)というわけで、新訳刊行に合わせて手に取りました、初・ヴァン・ダイン。ノックスの十戒と合わせて有名な二十則をまとめた作家としても有名ですね( ^ω^ )…何か、この辺の王道を押さえてないのにフリークって言うのも恥ずかしいな…ま、いっか←


    探偵役のファイロ・ヴァンスの迂遠な言い回しや、マザーグースに見たてて次々と死んでいく容疑者達、そしてこれでもかと言わんばかりの見取り図とタイムテーブルのオンパレード!そして、二転三転する真相追求!
    これぞ本格推理小説の真髄です。ちょーっとペダントリーが過ぎる気もしますが、そこはそれ、お約束ですよね(笑)。

    犯行を重ねるにつれ容疑者を限定していく犯人の行動に若干の違和感を感じつつ、「そんなん言ってたら孤島ものとか山荘ものは違和感ありまくりよね…」と言うわけで、様式美の前にあってはリアリティなんて何の意味も無いのよね!寧ろ邪魔!!←と改めてミステリの非日常に酔いしれました。

    …読み終わって結構経つせいか、あまり書けないな…



    【だあれが殺したコック・ロビン?
    「それは私」とスズメが言った
    「私の弓と矢でもって
    コック・ロビンを殺したの」】

    マザーグースの有名な童謡と酷似した状況で死体が発見された。新聞社に送り付けられた犯行声明文は「僧正(ビショップ)」を名乗っており、世間はあまりにセンセーショナルな犯行に騒然となる。そして、第二・第三の童謡に見たてた死体が発見された!

  •  古典的名作である。恥ずかしながら初読。なんだか悔しい。ヴァン・ダインは「ベンスン」「カナリア」「グリーン」と読んで、なぜか「グレイシー・アレン」や「ウインター」に飛んでしまった(ケンネルとカブトムシは読んだかな?)。で、その後期のつまらなさにあきれてしまって、時代遅れの作品群として脇に追いやってしまった印象がある。なぜ、シリーズの中でもっとも評価の高い作品の一つである「僧正」を抜かしているんだろう?

     きれいにまとまった古典的傑作である。マザーグースの歌のとおりに連続殺人が起きていく。もっと時代があとになるとそういう見立てそのものにひねりが利かせてあったりするのだけど、びっくりするほどストレートである。見立てをトリックとして使うのではないのが逆に新しく感じられる。端正な構成をしているだけに、見立てが醸し出すゆがんだ美意識のようなものが、次第に登場人物の心理を追いつめていくのが鮮やかで、作品世界そのものに緊張感があって楽しい。

     名探偵ファイロ・ヴァンスは、まさに古典的な雰囲気のアマチュア探偵である。物語の進行を無視してまでうんちくを語りたがる癖があるイメージがあるが、この作品ではそれが不快でなかった。数学やチェスの話がきちんと殺人事件と結びついていて、特にチェスについてはなかなかお見事。そのほか、博識であることをうまく利用した物語の展開が効果的で、特に最後の方は鮮やかである。雑談の部分にしても、ちょうど相対性理論が構築された頃なので、僕にとってはとても興味深かった。乃木将軍にちらりと言及されるあたりも、思わずニヤリとするところだった。

     とにかく、今まで読まないでいたことが悔やまれる傑作。新しいものを追い求めるよりも、定評ある古典を引っ張り出してみようかな、限りある命なのだから、と思うことしきりである。

  • ある雑誌で見かけた「別名S・Sヴァン・ダイン ファイロ・ヴァンスを創造した男」と言う本が堪らなく読みたくなって、
    でも一冊もヴァン・ダインの本を読んだことが無いと言うのは失礼か?
    と思い、ご挨拶代わりに読んだ。

    母から借りっぱなし(そして返す気の無い)ミステリーを読む際の参考書
    「東西のミステリーベスト100」では第9位!

    四月のニューヨーク、
    舞台は物理学の大教授の大きなお屋敷、
    マザー・グースに見立てた連続殺人に
    アマチュア探偵ファイロ・ヴァンスが挑む…

    登場人物は、大教授の姪の美しき令嬢、
    教授の養子で数学の天才学者、
    体の不自由な天才学者、その母親、
    チェスの名人、いわくありげな執事、料理人…

    いかにもな、いかにもなミステリーだ!

    今回は「誰が殺した…」ときこえてきて「パタリロ」のことを
    考えてニヤニヤしてはいけない。

    謎ときには「ハッ」あ、そうか!となったけど、

    ただ謎ときまでに時間がかかり過ぎる、
    上手い具合に色々あり過ぎる、と思うが、
    たまにはこう言った「実際には全くありえない話」を読むのも
    気分転換になってよかった。

    しゅっとした見た目、芸術方面その他の知識も豊富で…、
    と言うとどうしてもホームズと比べてしまってね。

    「ホームズに勝る探偵なし」と、ホームズに心酔している
    私の様なシャーロッキアン(のはしくれ)は
    「ホームズ先生ならもっと早く解決したよ」なんて思ってしまった。
    (時代も国は違うけど~)

    陳腐な、いかにもな、よくある…と思ってしまうけれど、
    これは後の人たちがこれに影響を受けて真似っ子しているから、
    ですかね。

  • これぞ推理小説といいたくなる1冊で、正統派の1冊かと。マザー・グースにのせて行われていく殺人がなんともいえない。童謡にのせて進む殺人といえばクリスティの「そして誰もいなくなった」だが、その10年も前の1929年に発表されたことを考えると、その先駆けはこの本であると言えよう。全体のボリュームも申し分なく、本当にミステリーのお手本とされるべき1冊。

  •  ヴァン・ダインという人は二十則といった推理小説の規則を設定したり、エラリー・クイーンに強い影響を与えたということから、論理的な謎解き推理小説を書く人なのだと勝手に思い込んでいましたが、数冊読んでイメージがだいぶ変わりました。

     僧正殺人事件では、マザー・グースの詩を模した殺人事件が次々に起こっていくのですが、証拠を残さない知的な犯罪者が相手とあって、事件解決の手掛がかりとなるような物証に乏しく、解決編を前に本を閉じて読者が犯人を指摘してみせる、などという事はたぶん無理なのではないかと思います。でも、それじゃあ本書が推理小説として全くつまらないかというと、これが結構面白い。たぶん、ヴァン・ダインは、証拠や手掛かりをパズルのピースのように組み合わせて解いていく論理的な推理小説を目指したのではなく、決定的な物証の乏しいなか、いかに知的推理だけで探偵が犯人にたどり着くか、その過程を面白く描くことを指向したのではないかという気がします。
     特に、ヴァン・ダインは登場人物に疑いの目を向けさせるのが本当にうまい。次から次へと別の人物に嫌疑がかかるような書き方をするものだから、最終的には主要登場人物全てが疑わしくて、物語の後半に容疑者が絞られていく段階になっても、誰が犯人でもおかしくないという状況を作り上げています。このことが最後に劇的な効果をあげる訳ですが、そこは読んでのお楽しみということで。

     ところで、一時期サイコキラーを扱った小説が流行って、「またか!」とうんざりしたこともあるのですが、本書は現在に続くサイコ・サスペンスものの嚆矢ともいえる作品なのだそうです。そんな犯人に対する探偵役ヴァンスの心理分析は正直ちょっと強引というか牽強付会な気がしなくもないのですが、当時、新しい知識が古い常識を脅かしつつある様子が伺い知れて面白く感じました。
     いつの時代でも異常殺人者というものは存在するのだと思いますが、より多くの人が、従来の価値観が新しい価値観に脅かされていると強く意識する時代に、こうした理解し難い犯人が小説などでもてはやされるのかもしれないと漠然と感じた次第です。

  • 読んでいてやはり現代とのズレは感じずにはいられないが、見立て殺人という発想はすごい。題名の真意を知ったとき愕然とせずにはいられない。

  • 学術的な話や芸術作品の話が合間にちょくちょく出てくるので難しく、最初は読み進めるのに苦労したけど後半は一気に読んでしまった。

    確かにこれはミステリを読む上で読んでおかないといけない一冊、という感じ。
    そして最後のダークな終わり方が後味良すぎなくてよい。
    なるほど乱歩が絶賛した理由も分かるかも。

    解説に後世のサイコ・サスペンスにも影響を与えていることが言及されていたけど、確かに映画のセブンとかも見立て殺人だもんね。ふむふむ。

    本作を読んでいて、読書をする上での自分の知識不足をとても感じた。
    注釈が書いてあっても全然分からない、、
    アリアドネは阿刀田さんの「ギリシア神話を知っていますか」を読んでいたのでかろうじて分かったけど、、
    あとはアベンジャーズからのロキ 笑。

    とりあえず欧米の作品を読むのに世界史とギリシア神話は知っておきたい。

  • 古典ミステリを読もう企画

    かなり面白かった。
    なんとなくヴァンダインは堅そうなイメージがあったが、キャラもコミカルで読みやすかった。

    見立て殺人の傑作として、マザーグースの詩になぞらえる不気味さとスリルが続きを読みたくさせる。

    警察陣と一緒に犯人はこいつか、いやこいつか…と最後まで振り回された。
    アーネッソン気に入ってたから良かった。

    古い本格にありがちな犯人自殺はあまり好きではないのだが、まぁ仕方ないね…自殺擁護の話をして納得させようとしてるのか…と思ってたらの結末!
    ヴァンス好きだなぁ。

    注訳も登場人物のヴァンが書いてる風なのもちょっと好き。

  • やっと読了。読み終えるまでにかなり時間がかかった。図版や注釈をいったりきたりしていて行きて戻りつを繰り返してしまった。
    最後の犯人との直接対決……からのどんでん返しが凄かった。かなり冗長な文(探偵の性格としてだけど)あってこその作品だなとおもう。
    いわゆる大掛かりな密室トリックなどは基本的に無くて、一番の着眼点は人の心理という系統のミステリ。好みとしては予想もしない遠くの窓から狙撃……なんだけど、こういう人の悪意を掘り下げていくミステリもいいなぁとおもった。この系統がいやミスとかに繋がっていくのかな?

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