Xの悲劇 (創元推理文庫) (創元推理文庫 104-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488104016

感想・レビュー・書評

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  • ついに手にした本格ミステリーの名作「Xの悲劇」、読み終えるのに少々時間を要しましたが、やはり名作、大満足の一冊でした(*^^*)

    読み終えた今、思い浮かんだのは最も衝撃的だった一冊、「殺戮にいたる病」(我孫子武丸著)。

    本書は最後の大どんでん返しって訳ではありませんが、全てのヒントがストーリーの中にきっちり入っているんです。

    即ち、エラリー・クイーンから読者への挑戦状。

    あなたは犯人わかりましたか?
    まぁ、未熟な読者である私には当然わかるはずもなく...

    故に見事。
    そうとしか言いようが無い。

    悲劇四部作の第一作である本書を読み終えてしまうと、当然の事ながら残り三作品も気になる訳で...

    別の出版社から発売された「Yの悲劇」は絶賛長期積読中ですが、残り二作品も買わなきゃダメみたいです┓(*´゚ω`)┏


    <あらすじ>
    エラリー・クイーンの『Xの悲劇』は、元舞台俳優の名探偵ドルリー・レーンが、ニューヨークで起こる連続殺人事件の真相を暴く推理小説です。

    満員の市電の中で、株式仲買人のロングストリートがニコチン液に浸した針で殺される。彼は多くの敵を持っており、容疑者は数多く現れるが、決め手に欠ける。

    サム警視とブルーノ地方検事は、レーンに協力を求める。レーンは犯人の目星をつけるが、それを明かさない。

    ロングストリート殺害の目撃者を名乗る者から、ブルーノ地方検事に密告状が届く。密告者との待ち合わせ場所で、市電の車掌ウッドがフェリーから海に落とされて死ぬ。

    ロングストリートの共同経営者ドウィットが逮捕されるが、レーンの協力で無罪になる。しかし、ドウィットは列車の中で射殺される。彼の左手の指はXの形を作っていた。

    レーンは、犯人はロングストリートの元妻の兄で、ウルグアイでロングストリートに殺されたと思われた男だと明かす。彼は変装や偽名を駆使して、復讐のためにロングストリートとその関係者を殺したのだ。

    Xの悲劇とは、犯人がロングストリートに対して抱いた憎しみと、レーンによって暴かれたことで終わった復讐劇のことだった。

    この作品は、エラリー・クイーンの「悲劇」四部作の第一作目で、日本では複数の訳本が出版されています。この作品は、論理的で巧妙なトリックや、シェイクスピアを引用するレーンのキャラクターなどで、高く評価されています。



    本の概要

    ニューヨークの電車の中で起きた奇怪な殺人事件。おそるべきニコチン毒をぬったコルク玉という新手の凶器が使われたのだ。この密室犯罪の容疑者は大勢いるが、聾者の探偵、かつての名優ドルリー・レーンの捜査は、着々とあざやかに進められる。“読者よ、すべての手がかりは与えられた。犯人は誰か?”と有名な挑戦をする、本格中の本格。

  • 派手なトリックを削ぎ落とし、論理だけで構成された本格ミステリー。

    まず、一つ目のロングストリート殺しでは、警察が注目していなかった「犯人は凶器のトゲトゲボールをどうやって持ち運んだか」という点に着目し、非常に"単純な"論理から犯人を推理している。
    この単純さが美しさの一因だと思う。

    そして二つ目のウッド殺しでは、「二年前の盲腸炎手術」「5年間皆勤」という矛盾をついた推理により、アンフェアになってしまうことが多い替え玉トリックがしっかりとフェアになされている。
    法廷でのデヴィッドの無罪証明は本書の中で一番興奮したシーンかもしれない。

    三つ目のデヴィッド殺しは、個人的には三つの殺人の中で最も推理が鮮やか。
    ポケットの場所の伏線、右手ではなく左手でのダイイングメッセージから「右手で回数券を掴んでいた」という状況を推理し、見事に犯人を特定。
    Xのダイイングメッセージも面白い。

    初のエラリークイーンだったが、期待以上であり、見事な論理に脱帽。

    やはり本格ミステリーは美しい。

  • シンプルなミステリーでスラスラ読めた。大ががりなトリックとかなくても楽しめた。構成がしっかりしていて違和感とか感じなかった。
    Xについては、最後まで想像がつかなかった。

  • 言われてみれば、という些細なことから謎解きの手掛かりとなるのは見事。
    ただ、探偵がかなり勿体ぶっていて、特に今回は自分から警察に手伝いを志願しているので、その態度が気になる。

  • さすが、ミステリーの名著。中弛みしかけたかと思えば、二転三転し、特に中盤からは一気読みしてしまった。読み終わった後の余韻が気持ちいい。

  • クイーンの初期作品であり、代表作にあげられる4作のうちの一冊。本格中の本格物で、“犯人当て”の醍醐味をこの小説で楽しまなきゃ他のどの本で楽しむんだ?と言いたい傑作。

  • 細部から論理を構成してゆくのが面白い。ミステリ史においてはポーかあり、ドイルがあり……といった中で、やはりこれだけの論理的な探偵小説を築いたというのは偉大なことだろう。

  • 綾辻行人を読むようになって、古典名作ミステリをもっと読みたくなって、手始めに『Xの悲劇』から『Zの悲劇』までの3作をまとめ買いしたけど…長くね?ドイルやクリスティはもっと読みやすいのに…。
    けど東野圭吾の『名探偵の掟』の中で出てきた「死の直前の比類のない神々しいような瞬間、人間の頭の飛躍には限界がなくなるのです」というセリフが、ここからだったのにビックリ。
    なんとダイイングメッセージを利用したミステリはこれからだったとは!その点だけでもべらぼうな価値がある作品だよなあ。

    ※後日追記※
    よくよく調べると、ダイイングメッセージを初めて取り上げたわけではないのかもしれない…。が、初期であるのは間違いなさそう。

  • Yよりもこちらが好き

  • ドルリー・レーンが登場人物たちの行動を想像し、考えられる可能性を一つ一つ潰して真相に辿り着くロジックが圧巻です。どうしてそこまで突き詰められるのか、と思わず舌を巻いてしまいます。
    ダイイング・メッセージは感心する程のものではありませんが、死ぬ間際の人間が残すサインと考えたらこの程度が限界で理解出来る内容だと思います。
    細かく見ると、成果を挙げられない捜査やデウィット犯人説に拘る警察の無能っぷり、登場人物リストに苦言を呈したくなる真犯人の正体など、やや腑に落ちない部分はありますが、パズラーとしては最高峰のクオリティーだと思います。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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