Zの悲劇 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488104030

感想・レビュー・書評

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  • ロングストリート事件や、ハッター家の事件から10年以上経ち、
    警察を引退したサム警部は、若く美しい娘・ペーシェンスとともに
    私立探偵事務所を開業していた。
    そこに、地方の実業家から持ち込まれた依頼を受け、
    あやしげな医者と上院議員の兄弟を調べているさなか、
    その上院議員が刺殺されるという事件が起こる。
    被害者の所有物の中から出てきた一通の手紙から、
    刑務所に服役している囚人と被害者との関係が浮かび上がる。
    犯行当日に出所していたその囚人は、
    有力な容疑者として逮捕され、起訴されるが、
    ドルリー・レーンやペーシェンスは彼を無実だと主張。
    その無実を証明するために奮闘することになるのだが――。

    クイーンが別名で発表した、ドルリー・レーン四部作の第三作。
    原題「The Tragedy of Z」。

    「X」や「Y」とは多少趣を異にしていて、
    本格ミステリ的な意外性といった点では
    上記の二作に若干劣るかもしれないが、
    それ以外の魅力が存分に盛り込まれており、
    総合的には上記二作に比肩しうると個人的には思う。

    まず、「Y」のハッター家の事件から10年以上経過して、
    いささか勢いを失っているドルリー・レーンだが、
    それを補うように、若さあふれるサムの娘・ペーシェンスが
    類まれな推理力を持つキャラクターとして登場し、
    また、彼女の視点によって物語が記述されることによって
    過去の二作とは異なった雰囲気を出すことに成功している。

    また、上にも書いたが、結末の意外性といった点では
    過去の二作には劣ってしまうものの
    (というより、過去の二作が、「結末の意外性」を
    極限まで追求したものであったため、
    その点で過去二作を上回ることは至難の業ではあるのだが)
    冤罪による死刑を防ぐため、死刑執行の期日までに
    何とかして真相を解明しなければならない、
    という極限の状況における緊迫感はあった。

    また、真相の開示の方法が非常にドラマチックであり、
    そのラストシーンの迫力も圧巻だったと思う。

    政治の話や死刑廃止論といったスパイスも効いており、
    派手ではないがとてもうまくまとまったミステリだった。

    余談だが、裏表紙に書かれているあらすじが
    作品の内容を正確に表していないと思うのだが…。

  • 3+

  • なんと前2作から10年も間があいているという、その意外な設定。ドルリー・レーンが元々おじいちゃんだったけど、病を患う完全な老人に…寂しいもんだ。
    そんな地味化した老人を救うべく(?)登場したのが、元警部サム氏の美しき娘・ペーシュンス。レーンとの共同作業で事件を解決していくと。
    しかし肝心の事件については、ビックリ感があまりなく。なーんか中弛みな感じもするし。
    まあ3作読んだ結論として、「私はエラリー・クイーンがあまり好きではない」と。

  • 全ての手掛かりを用いれば容疑者を次々と消去することが出来、最後に犯人だけが残る仕組みとなっています。「利き手」に関してはやや説得力に欠ける気がしますが、ドルリー・レーンの推理に概ね隙がなく、かなり完成度の高い作品だと思います。
    ただ、事件が小粒なのと、犯人のアリバイや動機がノータッチなのが残念で、前二作と比べるとやや落ちる印象です。

  • 2013年11月5日(火)、読了。

  • 読む前に調べた感触では、「X」や「Y」に比べ何枚か落ちる評判だった気がしたのですが、思いのほか楽しめました。レーン氏がミスった場面が印象的でした。

  • 今月の6冊目。今年の118冊目。

    久々のエラリー・クイーン。正直、海外物を読んでいて、総じて思うことは、こんなに頁数いらないんじゃないの?ということ。文章中の表現や言い回しがしばしば適切なのかどうか判断しかねる。まあ、それはもしかしたら訳者の問題なのかもしれないけど。Zの悲劇は、正直最後の詰め以外は、あまり面白いなーとは思いませんでしたね。もうちょっと、コンパクトだったら違っていたかも。

  • ドルリー・レーン4部作の3作目。

    前作までとは違い、ペーシェンスという若い女性探偵が語り手となっている。今までの重厚な雰囲気が薄れた代わりに読みやすくなっているが、これは賛否両論だろう。

    ニューヨークの田舎町で上院議員が刺殺され、政治的陰謀が渦巻く中、巨大な刑務所を主な舞台として事件と捜査が展開される。

    特色としては、囚人の処刑シーンが念入りに描写されているシーンがあり、クイーンの死刑廃止の主張を感じることができる。そういう意味では時代に先行した社会派ミステリーとも言える。

    本作でデビューしたペーシェンスだが、はっきり言ってあまり存在意義がなかった。前作から10年経っても未だ健在なレーン一人でほぼ全て解決できてしまうからだ。表題の「Z」の意味も無理やりなのは否めない。ということで、前作、前々作より一段落ちる評価。

    個人的な見所は、ブルーノ知事(元地方検事)の雄姿。残念ながら本作が最後の出番となってしまったが、刑務所に突入するシーンは本当に格好良かった。

  • 「ドルリー・レーン」シリーズ第三作。
    個人的に鮎川信夫氏の訳が肌に合わないため、その点で☆がひとつ下がる。それを理由にやや斜め読みになってしまったものと断ってのレビューとする。
    最後の謎解きのために微に入り細に入り綿密に線を入れていく周到なやり方は、やはり流石と言わざるをえない。
    堂々と「挑戦」を銘打たなくとも、これだけの密度の、読者参加型の解決はそうそう書けるものではない。
    それだけに、犯人があの人物となると、その証拠立ての必要性も薄れるのではないかという気がしてしまうのは勿体ないところだと思う。
    加えて、事件の動きが遅いのも気にかかった。人は死んでいるがミステリの匂いがしない。ひょっとすると、というミスリードもない。最後に一気に並べ立てて解決へ、となる。そこまで行って初めて、事件としての緊張感が顕れるような気がする。
    よほど構えたミステリ・ファンに向けての筋立てということになるかもしれないが、読むにあたってはなかなかの根気がいるのは否定出来ない。
    しかし、死刑執行のシーンは怖気を誘うホラー(とすると語弊を招くかもしれないが)である。そういうメッセージ性の強さ、異端さが当作品の突出した味かもしれない。

    世間的には「Y」が傑作とされているが、個人的にはこの「Z」の方が作品としての完成度は高いものと思う。「Y」の衝撃は、現代においてどうしてもいささかチープになる。
    逆に、本格ミステリというものに対して造詣の深い人にとっては、この作品は変化球に映るのかもしれない。

  • Zの悲劇読了。ほんとにこの悲劇シリーズはすごいなー!現代で読んでも遜色ないくらいドラマティックで波のあるストーリー!クライマックスにかけて読者を心底はらはらさせるのは、Yの悲劇でえげつないラスト踏まえてるから余計にですね。こちらは劇的な解決ですがやっぱり悲劇には違いなかった…

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著者プロフィール

フレデリック・ダネイ(1905-1982)、マンフレッド・ベニントン・リー(1905-1971)のいとこ同士のユニットのペンネーム。クイーン名義の処女作『ローマ帽子の謎』(1929年)以来本格探偵小説の旗手として多くの作品を発表。本作は「エラリー・クイーン・ジュニア」名義で発表された、少年探偵が主人公のシリーズ。

「2017年 『見習い探偵ジュナの冒険 黒い犬と逃げた銀行強盗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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