Zの悲劇 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
3.31
  • (22)
  • (48)
  • (126)
  • (20)
  • (2)
本棚登録 : 616
感想 : 45
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488104030

作品紹介・あらすじ

政界のボスとして著名な上院議員のまだ生温かい死体には、ナイフが柄まで刺さっていた。被害者のまわりには多くの政敵と怪しげな人物がひしめき、所有物の中から出てきた1通の手紙には、恐ろしい脅迫の言葉と、謎のZの文字が並べてあった。錯綜した2つの事件の渦中にとびこむのは、サム警部の美しい娘のパティと、ドルリー・レーンの名コンビ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この前『Xの悲劇』を面白かったのでYに行こうと思ったら図書館にZしかなかったので先に借りる。Xの時のような真犯人が明らかになった時の驚きはなかったが、最後あんな所で真相解明なんて劇的。けどちょっと引っ張りすぎかも。「若い娘」の描き方も何だか‥。

  • やはりクイーンは最高だ。

    小さな手がかりから見事な論理的推理で犯人の条件を絞り、容疑者が集う場所で消去法により犯人を特定していく。
    あの場面は本当に興奮した。

    死刑執行のシーンにも伏線を仕込むあたりはさすがとしか言いようがなく、そしてラストの"医者なら一大事なのだから念を入れて聴診器なども使ったはず"というあの推理には思わず声が出た。

    伏線を回収しながらの見事な論理に脱帽。
    次でドルリーレーンシリーズが最後と思うと少し悲しいが、シリーズものは4作ぐらいがちょうど良いのかなとも思う。

  • ロングストリート事件や、ハッター家の事件から10年以上経ち、
    警察を引退したサム警部は、若く美しい娘・ペーシェンスとともに
    私立探偵事務所を開業していた。
    そこに、地方の実業家から持ち込まれた依頼を受け、
    あやしげな医者と上院議員の兄弟を調べているさなか、
    その上院議員が刺殺されるという事件が起こる。
    被害者の所有物の中から出てきた一通の手紙から、
    刑務所に服役している囚人と被害者との関係が浮かび上がる。
    犯行当日に出所していたその囚人は、
    有力な容疑者として逮捕され、起訴されるが、
    ドルリー・レーンやペーシェンスは彼を無実だと主張。
    その無実を証明するために奮闘することになるのだが――。

    クイーンが別名で発表した、ドルリー・レーン四部作の第三作。
    原題「The Tragedy of Z」。

    「X」や「Y」とは多少趣を異にしていて、
    本格ミステリ的な意外性といった点では
    上記の二作に若干劣るかもしれないが、
    それ以外の魅力が存分に盛り込まれており、
    総合的には上記二作に比肩しうると個人的には思う。

    まず、「Y」のハッター家の事件から10年以上経過して、
    いささか勢いを失っているドルリー・レーンだが、
    それを補うように、若さあふれるサムの娘・ペーシェンスが
    類まれな推理力を持つキャラクターとして登場し、
    また、彼女の視点によって物語が記述されることによって
    過去の二作とは異なった雰囲気を出すことに成功している。

    また、上にも書いたが、結末の意外性といった点では
    過去の二作には劣ってしまうものの
    (というより、過去の二作が、「結末の意外性」を
    極限まで追求したものであったため、
    その点で過去二作を上回ることは至難の業ではあるのだが)
    冤罪による死刑を防ぐため、死刑執行の期日までに
    何とかして真相を解明しなければならない、
    という極限の状況における緊迫感はあった。

    また、真相の開示の方法が非常にドラマチックであり、
    そのラストシーンの迫力も圧巻だったと思う。

    政治の話や死刑廃止論といったスパイスも効いており、
    派手ではないがとてもうまくまとまったミステリだった。

    余談だが、裏表紙に書かれているあらすじが
    作品の内容を正確に表していないと思うのだが…。

  • 学生(らいすた)ミニコメント
    Zとは何を意味するのか?


    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1323565

  • XYZの3部作、さらに最後の事件の連作です。
    Zは印象が薄く、よく覚えてないです。

  • 「真犯人は別にいる」の根拠が利き手利き足って…どうなんだろうね。

  • トリックとロジックに関してはXやYよりも劣っている感は否めない。犯行手順や動機に新規性はないし、読者にとっての容疑者もさほど多くはない。

    しかし、ミステリドラマとしては非常に楽しめる。主人公が無鉄砲な若い女性というのも惹かれるものがあるし、物語の展開はドラマチックかつ映画チックで本を読む手が震えた。
    (ちょうど中盤で容疑者の裁判が行われることや、"全てを失う"パートで漂う緊張感がストーリーテリングとしてのおもしろさを高めていると思った)

    以上より、本格ミステリとしてはXやYより少し劣るかもしれないが、エンタメとして十二分に楽しめた点で高く評価したい。

  • Zの意味がわからない

  • 3+

  • なんと前2作から10年も間があいているという、その意外な設定。ドルリー・レーンが元々おじいちゃんだったけど、病を患う完全な老人に…寂しいもんだ。
    そんな地味化した老人を救うべく(?)登場したのが、元警部サム氏の美しき娘・ペーシュンス。レーンとの共同作業で事件を解決していくと。
    しかし肝心の事件については、ビックリ感があまりなく。なーんか中弛みな感じもするし。
    まあ3作読んだ結論として、「私はエラリー・クイーンがあまり好きではない」と。

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エラリー・クイーンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エラリー クイー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×