チャイナ橙の謎 (創元推理文庫 104-12)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488104122

感想・レビュー・書評

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  • 死体は服を前後反対に着ており、絨毯は裏表反対、本棚は壁の方を向いている。全てがあべこべになった犯行現場。この奇妙奇天烈な謎があれほど見事に解かれるとは!
    そこに関しては大満足。
    だが、正直そこ以外は期待はずれと言わざるを得ない。
    密室に関しては、あまり理解できてはいないのだが、絨毯を敷いた状態でドアが閉まるものなのだろうか。しかも糸が入る隙間があるのかといったドアに関する描写はほぼ0だ。

    あべこべの真相は本当に面白いだけに、もったいない作品だ。

  • マンダリン出版の経営者であり、宝石と切手の収集家としても有名なドナルド・カークのオフィスで、男の死体が発見される。彼は名前や用件を告げずにカークに会いたいと言い、家具が全てさかさまに移動された待合室で殺されていたのだった。関係者は誰も男のことを知らないと言い、被害者の身元不明で捜査は難航。エラリーは手がかりを求め、”さかさまの国”中国で育ったテンプル嬢に話を聞くが……。


    チェスタトン風の狂人の論理に挑んだ感のある作品。あべこべになった現場を見て関係者があべこべに心を囚われていくのは面白いが、女詐欺師との対決するサブプロットが微妙。作中で何度もハメットの名前がでてくるように、流行りに合わせて時代の要求にこたえたんだろうけど。
    サルマナザールの『フォルモサ』感あるふわっとした中国ウンチクに比べ、切手収集の業の深さはしっかり描きこまれている。オスボーンの動機も、カークのコレクションを整理しているうちに収集熱に憑りつかれたってことでいい気がするのだが。ディヴァシーが可哀想すぎるでしょ。でもああいうタイプの独身中年男性が、付き合い始めてもいないのに結婚のことを先に考えて破滅的な資金繰りに手をだすというのにはリアリズムがある(笑)。

  • この作品は以前から持っていましたが、何故か読まずに積読状態だったのです。読むきっかけとなったのは、法月綸太郎氏の『密閉教室』にこの作品が紹介されていたのでこの作品を選びました。
    (法月綸太郎氏は、エラリー・クイーンに影響を受けた作家さんです)
    ご存知の方もいらっしゃると思いますが、エラリー・クイーンの作品群は、国名シリーズから始まって多数の作品があります。気軽に読むつもりだったのに、大変な作家の作品に手を染めてしまいました(^_^;)
    (因みに、国名シリーズはヴァン・ダインの影響を受けているそうですよ)

     さて、この作品はご多分に漏れず傑作と称されるに値する作品だと思います。1934年(昭和9年)に発表され「読者への挑戦状」なるものが盛り込まれて独自の工夫もあり、手掛りの解釈に緻密さと大胆さを両立させ得た作風は、本格探偵小説として評価が高いそうです。

  • 服をあべこべに着せられて殺された被害者は、何もかもあべこべにされた部屋で発見された。
    あべこべのモノをとにかく追いかけてるうちに、宝石や切手、中国色んなモノのあべこべが発見されて、何が関係あるのか全然分からん!

  • 2022/12/15

  • 国名シリーズ第8弾。
    中国文化に触れられているのはおもしろかった。
    しかし、トリックが分かりづらい印象を受けた。登場人物もシリーズ前半より少ないので、絞り込みも比較的容易に出来る。
    作品自体、第二次世界大戦前の1934年という事もあって、中国へ侵攻した日本軍の動きに触れられているのも興味深い。

  • タンジール蜜柑。
    中国切手。
    あべこべ。
    装飾過多めで象徴的なワードの多い今作はバカミスの走りっぽい出来栄えで、トリックも大げさ、虚構向けである。

    殺された男は何故か身元の証は全て剥ぎ取られ
    身に付けた衣類、現場の家具も執拗に逆向きに配置されている。
    その理由は。

    誉れ高きエラリー・クイーンの国名シリーズ8作目。

  • これ、中学生の時読んだ際は「これぞクイーンの最高傑作!」と思ってたのだが、読み返すとそうでもないなあ。
    「なぜ全部あべこべなのか」の必然性がかなり弱い感じがする。
    あと、捜査が進むほど新たな謎が生まれる、という展開がないので、謎解きのカタルシスもそれほどでもなく。

    いや、クイーンなんだから、面白くなくないわけじゃないんだけどね。

  • おお、こういう方法で犯人を絞り込んだのか。終わってみれば「なるほど」だ。「ナポレオン・ソロ」で触れられていた記憶があったので「足の指はどこで出てくるんだろう」と思っていたら、記憶違いであった。

  • クイーンシリーズでも、1、2を争う気がする
    面白かった

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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