フランス白粉の謎 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 278
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488104375

感想・レビュー・書評

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  • エラリー・クイーン、国名シリーズ第2弾。
    原題「THE FRENCH POWDER MYSTERY」。

    なるほど国名シリーズと言っておきながら、ストーリーとその国とはほとんど関係ないのね。
    今回も登場人物の中にフランス出身とされる人物はいるものの、掛けられているのはそこではなく、原題のFRENCHはニューヨークは五番街でフレンチズ・デパートを経営するフレンチ家のこと。
    フレンチズ・デパートのショーウィンドー内の実演中に突如転がり出た女性の死体。
    女性の身元はオーナーのサイラスの妻、ウィニフレッドだった。
    なぜこんなところに死体が?ショーウィンドー内が殺害現場なのか、それとも。。。

    メタミステリ的な一つ俯瞰した視点から仰々しく語られる導入部分が好き。
    『ローマ帽子の謎』の解決に思ったほどスッキリ感を得られなかった記憶があって、あまり乗り気になれない中での読み始めだったが、導入部でぐっと引き寄せられて自分にしては比較的短い時間で一気読み。

    このシリーズにおいてはリチャード・クイーン警視と息子のエラリーがバディということになるのだろうけど、お互いが切磋琢磨する感じのバディかと思いきや(何しろ父は「警視」という警察組織の要職についてますからね)、リチャードは嗅ぎ煙草ばかりやってるだけで息子のエラリーに頼りっ切り。
    もしかしてその密かなポンコツっぷりを楽しむもの!?

    途中の手掛かりから論理を導く過程の一つ一つはふむふむなるほどな部分はあるのだけれど、全体像はちょっと納得感がないというかパズル要素に凝り過ぎたというか。
    理屈としては整合はしているけれども、解の前に他の要素が急にほったらかし、強引な結びつけな感じが。
    最後のページもねぇ。。。

    ※自分は自分の中でその本の評価が決まった段階くらいであとがきとか解説を読み始めてしまうのだが、その中に「解説ページの直前(最後のページ)をチラ見したりされませんように」とあるのだが、まさにもろに目に入ってしまったので「あぁ、、」となってしまった。まぁ、それはそれで別の読み方も出来ましたが。

    次は『オランダ靴の謎』。

    • ひまわりめろんさん
      クイーン警視のエラリーの溺愛っぷりを楽しむんですよ!w
      クイーン警視のエラリーの溺愛っぷりを楽しむんですよ!w
      2024/11/17
    • fukayanegiさん
      そうか、あれは愛情なのですね!
      息子は事件解決でその愛に応える、都合の良いアイノカタチ、、
      そうか、あれは愛情なのですね!
      息子は事件解決でその愛に応える、都合の良いアイノカタチ、、
      2024/11/17
  • この長ったらしく、まどろっこしく、かつ隙間のない論理がたまらない。

    容疑者を一同に介し、証拠品を机の上に並べ、そして一つずつ論理を組み立てていって犯人を追い詰めていく、という終盤は本当に興奮した。
    ・犯人は男
    ・単独犯
    ・デパート関係者
    ・6階のアパートメントに直近2週間入っていない
    といった条件を見事に導き出し、そしてついに最後の条件!!、と思いきや、何と最後が
    「指紋採取用の粉を持っていること、使うことが当然である人物」
    という何とも拍子抜けな条件。

    指紋採取用の粉が出てきたら警察関係者などを疑うのは正直当然。なのに全く疑わないから、まぁ誰でも手に入れらるから不思議ではないのかな、なんて思っていた。

    本当にそれ以外の論理は見事なのに、最後が本当にもったいない。
    いやー本当にもったいない。
    でも本当にそれ以外の論理は見事。

  • エラリー・クイーン著 『フランス白粉の謎』を読了しました。

    暫く仕事が忙しかったので、読書に費やす時間が少なくて読み終えるのに暇がかかりました。

    今から80年ぐらい前に書かれたミステリーであるけれども、全く色褪せしていないこの作品は秀逸だと思います。
    フレンチズデパートで、被害者フレンチ夫人は他殺体として壁寝台の中で見つかりました。 
    口紅・鍵・白粉・・・・
    状況証拠は、次々と明らかになってくるが中々犯人像が掴めない。
    勿論、犯人と動機は、見えない 何故殺害されたのか?
    思わぬどんでん返しに驚愕しますよwww
    ロジックが飛躍していないかと思わせるような展開だが、決してそうではありません。思い込みの落とし穴に、嵌ってしまいました。

  • これから今作を読もうと思ってて、本編読む前に後書き読んじゃう派の方にアドバイス(OvO)

    絶 対 に 本 編 の 最 後 の ペ ー ジ を 見 て は い け ま せ ん。

    後書き目指してパラパラしてたら、ネタバレしてしまう可能性があります(OvO)お気を付け下さい…


    国名シリーズは発刊順に創元推理文庫で読んだのですが、何故かフランスだけは未読だったんですよね〜何でだろう…

    そんなわけで、ようやくシリーズ制覇\(^o^)/何年越しやねん


    読者への挑戦状の後に一晩推理してみたのですが、今回は全然駄目でしたわ\(^o^)/かんぱーい

    一つ一つの痕跡を丹念に拾い上げて、くどいぐらいにじっくりコトコト検証するエラリーに途中もどかしさを覚えましたが、まあ通常運転ですよね(笑)。

    今回の死体は、真昼のショーウィンドウの中、イベント開催中に壁から突然死体が転がりでてくる、という非常にセンセーショナルな登場の仕方なのですが、その後の捜査はといえば…打って変わって地味〜(OvO)
    事件現場や被害者のアパートメントをホロホロ動き回っては、勿体ぶった言い回しでクィーンパパや警察陣をからかうエラリーったら、若いわあ…。

    種明かしでは、【喉を痛めて声が出ないクィーン警視の代理(笑)】として推理を披露するエラリーの論理が光ります。
    既に捜査陣の中では周知になっている事実を、容疑者候補達の前で説明する(つまり読者も既に知ってることを改めて説明されるっていう手間!)わけですが、この順序立てて推理を展開していく論理性が相変わらず見事です。
    二三、【被害者が取った行動としては蓋然性に乏しいと思われる点】も見られましたが(口紅の件とか死体移動のくだりとかね…)、これくらい許容範囲よね!と大らかに構える位には贔屓を自認してます←←←




    デパートのショーウィンドウに突然現れた死体。デパートの社長の妻の変わり果てた死体は、何故か口紅が塗り掛けの状態だった。
    犯人が残した(あるいは残さなかった)証拠をもとに、エラリーが犯人を指摘する!

  •  ミステリを普段から読んでいる訳ではないので推理小説とは本来どういうものなのか良くわかっていないのですが、ミステリを読んで真面目に推理した、というか、する気になった本というのは初めてかもしれません。

     前作で、探偵役のエラリーが「Q.E.D.(証明終了)」という言葉を使っていましたが、本作、『フランス白粉の謎』も数学の証明を聞いているような印象で、捜査の内容が丁寧に解説され、可能性が一つ一つ検証され、最後は消去法で犯人が指摘されるという、かっちりした構成の内容になっています。このへんは、人によっては堅苦しく感じるかもしれませんが、本当にフェアな推理小説を書こうとすると、こうした面倒な手続きは欠かせないものなのでしょう。
     個人的には、前半のあまり動きのないストーリーに若干味気なさを感じていたのですが、徐々に推理に引き込まれて、あっという間に読み切ってしまいました。
     探偵役のエラリーは要所要所で推理を披露し、問題の要点をわかり易くまとめてくれる、非常に読者に優しい探偵です。おかげで犯人はわりと簡単に絞り込むことが出来ます。(もっとも、私にはハッキリ誰とまでは指摘できませんでしたが) そいう意味では、最後にあかされる犯人は、特別「驚きの犯人」という訳ではないのですが、犯人を指摘する証明の内容に「あっ、そうか!」という小気味の良い驚きと、それに気付けなかった悔しさがあって、解決編を読んだあとのすっきり感というか爽快感は癖になりそうです。

     創元推理文庫からは、今後も新訳でこのシリーズが刊行されるようなので、期待して待っていようと思います。

  • ロジックをくどいほど重ねていった結果、犯人を名指しするラスト1行に痺れた。この1行のためにここまで読んできたんだな……と思わせる。惜しむらくは、厳密には「フランス白粉の謎」ではないことだろうか(笑)

  • 非常に読みやすかった。たった2日間の出来事なのにこの文庫の厚さ。でも余分な所はどこにもなく、必要な伏線・手がかりがちりばめられていて、かつ、話が進んでいく過程である程度まで読者にも判るレベルでエラリーの推理の断片が披露されてるのが良い。
    お馴染みの「読者への挑戦」の後、われらがエラリー・クイーンが展開する推理の過程は、一つ一つは弱いものの、たたみかけるように展開さる。
    読みながら、「ああ、確かにこんな感じに途中で推理を述べてたのに、気づかなかったわー」と楽しく論理の世界に遊ばせてもらいました。面白かった-。

  • 国名シリーズ第2弾!です
    本当に面白かったです。「ローマ帽子の謎」よりもずっと論証の数が多くて良いです。
     まず、登場人物に愛着が湧きます(笑)
    エラリーやクイーン警視は勿論、ヘイグストロームやヴェリーも好きです。本当にこの人たちの会話が面白くてにやけてしまいます。
     エラリーと警視の、論理的な思考と鋭い刑事的な感のバランスが良いです。目の前の事実を徹底的に分析することも天下一品ですが、その事実からの警察犬?的な感がおお!って思います。
     あと、最後に共犯が存在するかしないか、のところの推理が良いです。エラリーの他の作品にもそれがあって嬉しくなります。そこまで推論してこそ完璧という感じがします✨

  • クイーンの初期名作。
    これぞ本格ミステリーと言わんばかりの完璧なロジック。

  • 相変わらず美しい消去法推理。
    惜しむらくは決定な証拠はなく、犯人の出方次第だったこと。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エラリー・クイーンの作品

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