ポワロの事件簿 2 (創元推理文庫 105-7)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488105075

感想・レビュー・書評

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  • 私のクリスティブームは続く…

    今度は、私の本棚のミステリコーナーに
    何故かあった、『ポワロの事件簿 2』
    ポアロじゃなくってポワロだし、
    作者はクリスチィとある!
    (初版は1980年)

    「わたしはポワロと共同して、これまでに多くの怪事件を
    手がけてきたが、その中でも、数年の長きにわたって
    私の関心を持続させ、そしてついにはポワロのもとへ
    持ちこまれて最後の謎をとくにいたった、
    あの驚くべき一連の事件に匹敵するものはあるまいと思う。」

    これは、収録されている「呪われた相続」の
    ヘイスティングスが語る出だしね。
    やけに煽りますなあ!

    翻訳者の問題だけれど、
    「消えた鉱山」ではタクシーの運転手のことを
    ポワロが「運ちゃん」と言い続けるのには
    見逃し難いものを感じましたが、まあ良いでしょう!

    ある作品を読みながら、
    「そうだ、テレビシリーズでこんな感じのある人が
    実は…の面白い話があったなあ」
    と思ったらまさにその話だった!
    (未読の方の為、題名は内緒)

    何度も言っちゃうけれど、
    「こんなことは実際は絶対に無い、でも面白いお話!」

    イギリスでお茶したり、舞踏会とか、旅に出たり
    そんなのもとても読んでいて楽しい。

    クリスティは短編が得意なのかな?
    と今回は思った。

  • 「アガサ・クリスティ」のミステリ短篇集『ポワロの事件簿〈2〉(原題:Poirot's Early Cases)』を読みました。

    『ポワロの事件簿〈1〉』に続き「アガサ・クリスティ」作品です。

    -----story-------------
    「ホームズ」と「ワトスン博士」のように、「エルキュール・ポワロ」と「ヘイスティングズ大尉」の名コンビも、珠玉のような「クリスティ」の短編に活躍する。
    『戦勝舞踏会事件』を初め『チョコレートの箱』 『クラブのキング』 『潜水艦の設計図』等全11編を収録した。
    -----------------------

    1974年(昭和49年)に刊行された「アガサ・クリスティ」の短篇集… 過去の「エルキュール・ポワロ」モノの作品を再編集した短篇集のようです。

     ■戦勝舞踏会事件(原題:The Affair at the Victory Ball)
     ■料理女を探せ(原題:The Adventure of the Clapham Cook)
     ■マーキット・ベイジングの謎(原題:The Market Basing Mystery)
     ■呪われた相続(原題:The Lemesurier Inheritance)
     ■潜水艦の設計図(原題:The Submarine Plans)
     ■ヴェールをかけたレディ(原題:The Veiled Lady)
     ■プリマス急行(原題:The Plymouth Express)
     ■消えた鉱山(原題:The Lost Mine)
     ■チョコレートの箱(原題:The Chocolate Box)
     ■コーンウォールの謎(原題:The Cornish Mystery)
     ■クラブのキング(原題:The King of Clubs)
     ■訳者あとがき 厚木淳


    『戦勝舞踏会事件』は、戦勝祝賀舞踏会の夜、「クロンショー卿」が刺殺され、同じ晩、婚約者である人気女優「ココ・コートニー」が薬物中毒でベッドの中で死亡していたという事件を扱った物語、、、

    パーティ参加者によると当夜2人は何故か喧嘩していたと言う… 犯人が被害者になりすまし、死亡推定時刻の判断を誤らせることでアリバイを作っていたんですよねぇ、舞踏会で変装していたからこそ、成功しかけたトリックかな。

    映像化作品の『名探偵ポワロ「戦勝舞踏会事件」』も観たことがある作品でした。



    『料理女を探せ』は、「トッド夫人」に10年も仕えていた料理女「イライザ」が突然失踪、しかも彼女は翌日、自分の荷物を取りに使いをよこしたという事件を扱った物語、、、

    単なる料理女の失踪事件と思いきや、その裏には大きな事件が潜んでいたという展開が面白い… 興味を引く事件がなく憂鬱気味だった「ポワロ」は、小さな事件を渋々承諾するが、捜査を進めるうちに興味を引かれ、結果的に結果的に重大事件を解決するという展開も愉しめます。

    映像化作品の『名探偵ポワロ「コックを捜せ」』も観たことがある作品でした。



    『マーキット・ベイジングの謎』は、休暇を田舎で過ごしていた「ジャップ」や「ポア」ロ、「ヘイスティングズ」たちが、密室での自殺のようだが、他殺の疑いのあるという奇妙な事件に関わる物語、、、

    家政婦の「ミス・クレッグ」と暮していた「ウォルター・プロザロー」は密室状態の自室で、右手に銃を握り、後頭部から弾丸が入っている状態で亡くなっていた… 医師の「ジャイルズ」は、弾丸の入った位置から自殺は困難だと言い、事件前に「プロザロー」と言い争っていた宿泊客の「パーカー夫妻」に容疑がかかる。

    自殺を装った他殺と思わせる自殺だったという、ちょっと複雑な展開でした… でも、真相を知ると、自殺を他殺に見せかけた家政婦の「ミス・クレッグ」の気持ちもわかりますね、、、

    ハンカチと煙草の臭いが推理のヒントになっていました… 以前に読んだ短篇集『死人の鏡』に収録されていた『厩舎街の殺人(原題:Murder in the Mews)』の原型となった作品のようです。



    『呪われた相続』は、先祖の殺人によって代々の長男は短命で家を相続できないと云う曰く付きの一族「ルメジャラ家」の長男で8歳の「ロナルド」に迫る危機を扱った物語、、、

    いやぁ、ぞくっとする作品でしたね… 遺産を相続したいという強烈な欲望が犯罪を生み、そして、正気を失ってしまい、長男は死んでしまうという伝説に囚われてしまい、自らの息子を殺めようとするなんて。



    『潜水艦の設計図』は、現代の海戦に革命を起こすと言われていた、最新鋭の乙型潜水艦の設計図が盗まれ、次期首相とも目される国防大臣の「アロウェー卿」から「ポワロ」が調査を依頼される物語、、、

    「ポワロ」は盗難された設計図を見つけることができませんでしたが、事件の真相を知り、万事解決するという展開… 「ポワロ」と「アロウェー卿」のお互いにしか理解できないけど、キチンと心が通じている大人物同士ならではの解決方法は粋でしたね。

    まさか狂言アロウェー卿のとは… でも、これでイギリス海軍の秘密が守れたうえに、スパイを巧く騙せたんですから大成功ですね。

    以前に読んだ短篇集『死人の鏡』に収録されていた『謎の盗難事件(原題:The Incredible Theft)』の原型となった作品のようです。



    『ヴェールをかけたレディ』は、上流階級と思わしきヴェールをかけた美女「ミリセント・カースル・ヴォーン」から、かつて愛したある男性に送った手紙を得た男から脅迫を受けている事件について「ポワロ」が調査を依頼される物語、、、

    実はそのレディが悪党だったというどんでん返しでしたね… やはり、紳士や淑女のお洒落のポイントは靴ですよね。



    『プリマス急行』は、プリマス行きの一等席で、アメリカの鋼鉄王「イビニーザ・ハリデイ」の娘「フロッシー・キャリントン(旧姓:ハリデイ)」の死体が発見され、「ポワロ」が調査を依頼される物語、、、

    被害者に変装した犯人が新聞売りの少年にチップをたくさんやっていたことにより印象付けていたことや、小間使いが服装のことに固執した証言をしたことが、解決の糸口になりました… 腕利きの宝石泥棒二人組を逮捕できて「ジャップ警部」にとっては大手柄になりましたね。

    映像化作品の『名探偵ポワロ「プリマス行き急行列車」』も観たことがある作品でした。



    『消えた鉱山』は、ビルマの鉱山の権利を持っている中国人の鉱山王「ウー・リン」がテムズ川で死体で発見されたが、鉱山の書類は見つからず、書類の行方に関して調査を受けた事件について「ポワロ」が回想する物語、、、

    依頼人が犯人というどんでん返しでし… 『ヴェールをかけたレディ』と同じ展開でした。



    『チョコレートの箱』は、フランスの著名な代議士「ポール・デルラール」が急死し、自然死と思われたが… 「ポワロ」がベルギー警察の一員であった時に扱った事件(失敗談)を回想する物語、、、

    「ポワロ」の推理は外れ、真犯人は被害者の母親で、それが本人の証言により明らかになるという衝撃的な展開… チョコレートの箱と蓋の色が違っていたことから、視力の弱い人物に容疑を向けるべきだったんでしょうね。

    映像化作品の『名探偵ポワロ「チョコレートの箱」』も観たことがある作品でした。



    『コーンウォールの謎』は、歯科医の夫を持つ「ペンジェリー夫人」が夫に毒を盛られているらしいから調査して欲しいと「ポワロ」に訴える… 「ポワロ」は依頼を承諾し、翌日、彼女を訪れてみると、彼女は30分前に死んでいた、、、

    検視を担当した医者は死因は胃炎と述べるが、関係者の証言や、妻の死後に助手との婚約が発表されたこと等から、夫の「エドワード・ペンジェリー」に容疑が向けられる… 「ポワロ」の眼は欺けませんでしたね。

    姪の婚約者が遺産目当てに婦人を殺害し、夫を容疑者に仕立てるというのが真相でした、、、

    映像化作品の『名探偵ポワロ「コーンワルの毒殺事件」』も観たことがある作品でした。



    『クラブのキング』は、「オグランダー一家」がブリッジをやっている居間に突然、血だらけの女優「ヴァレリー・シンクレア」が飛び込んできた、彼女の話によると、自分は興行師「ヘンリー・リードバーン」の家を尋ねたが、彼は殺されており、自身も何者かに襲われ、何とか逃げたという… 「シンクレア」を妃候補と考えていた外国(モラニア)の皇太子「ポール殿下」は、「ポワロ」に調査を依頼するという物語、、、

    「シンクレア」に「ヘンリー・リードバーン」の殺害容疑がかかるが… 「ポワロ」は"クラブのキング"が使われずに残されていることからブリッジをやっていたというのが嘘だということに気付き、「オグランダー家」の家族写真等から、真相を解き明かしますが、動機や状況(今回は明確な殺人ではなく過失致死の可能性が大)から、真実は胸にしまっておく判断をします。

    映像化作品の『名探偵ポワロ「クラブのキング」』も観たことがある作品でした。

  • 【本の内容】
    <1>
    明察神の如き灰色の脳細胞の持ち主、小さなベルギー人エルキュール・ポワロの活躍する十一の本格短編を収める。

    「西洋の星の事件」「エジプト王の墳墓の事件」「誘された総理大臣」「ダヴンハイム氏の失踪」など、いずれの事件においても、相棒のヘイスティングズ大尉のいうように、いまいましいが、ポワロは常に正しかったのである!

    <2>
    ホームズとワトスン博士のように、エルキュール・ポワロとヘイスティングズ大尉の名コンビも、珠玉のようなクリスティの短編に活躍する。
    「戦勝舞踏会事件」を初め「チョコレートの箱」「クラブのキング」「潜水艦の設計図」「料理女を探せ」「ヴェールをかけたレディ」「マーキット・ベイジングの謎」「呪われた相続」等全十一編を収録した。

    [ 目次 ]
    <1>


    <2>


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ポワロの相棒のヘイスティングズの無能っぷりが楽しめれば職場も少し楽しくなるかもね。

  • 4
    全体的に「ポワロの事件簿1」より粒ぞろいな印象。

  • 短編11編収録

    おなじみ名探偵ポワロが活躍する短編集。
    アリバイトリック、密室等々ミステリと聞いて思い浮かぶものが網羅されているうえに、短編と言うことで読みやすい。

    ただ、古典のため、表現が難しい点、今では少し分かりにくい感情の動きなどがあることは留意する必要がある。
    当時の雰囲気を掴んで長編へのステップアップの一冊と考えると前集ともどもポワロ入門として面白い。

  • 4488105076 253p 1994・10・21 20版

  • 人生とは楽しいね!

  • クリスティが生んだ名探偵、ご存知ポワロの短編集。有名な長編もいいですが、短編の面白さもお薦めです。特に好きなのが「チョコレートの箱」。あの自信満々なポワロが語った失敗とは?と、それだけで興味深々!語るポワロとそれを聞くヘイスティングスがユーモアに溢れていて、数あるポワロ作品の中でもお気に入りのひとつです。このシリーズのカバーイラストを描かれているひらいたかこさん自身もクリスティファンで、それらの作品をテーマにした画集「クリスティ」があります。

  • ミステリの歴史上最も有名な探偵の一人、エルキュール・ポワロ、彼の名と彼の物語は僕にとっても子供の頃から親しみあるものだったが、彼の名が「Hercule Poirot」と綴るのことは初めて知った。小柄で小太りでお洒落な卵型の頭をしたこの男がヘラクレス(Hercule)とは!

    頻出するフランス語、自らを「天才」と称して憚らない自信過剰、それが嫌みにならないのは可愛げのある容姿、ちょこまかした立ち振る舞い、そして英語の間違いが中和を引き起こすからだろうか。

    それにしてもなぜズバ抜けた灰色の脳を持つこの男がベルギー人でなければならなかったのか? 昔、フランス語を学んでいるときに、フランスにはベルギージョークというものがあることを知った。フランス人は隣の小国の国民を小馬鹿にして笑う、というのだ。イギリスにもベルギージョークがあるんすかね? 

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著者プロフィール

1890年、英国、デボン州生まれ。本名アガサ・メアリ・クラリッサ・ミラー。別名メアリ・ウェストマコット、アガサ・クリスティ・マローワン。1920年、アガサ・クリスティ名義で書いたエルキュール・ポアロ物の第一作「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。以後、長編ミステリ66冊、短編ミステリ156本、戯曲15本、ノンフィクションなど4冊、メアリ・ウェストマコット名義の普通小説6冊を上梓し、幅広い分野で長きに亘って活躍した。76年死去。

「2018年 『十人の小さなインディアン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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