フレンチ警部最大の事件 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488106041

感想・レビュー・書評

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  • 1925年作、ロンドンの宝石商でおこったダイアモンド盗難事件を追うスコットランド・ヤードのフレンチ刑事が捜査で、オランダ(アムステルダム)、スイス(シャモニー)、スペイン(バルセローナ)、フランス(ル/アーブル)、ポルトガル(リスボン)などを旅する。とにかく、犯人に振り回されっぱなしで、解決できそうな捜査の糸が途切れることが多い。フレンチ警部は妻に相談したり、とにかく足をつかって捜査をし、とにかくまじめに犯人を追い詰めていく。名探偵のような閃きはない。だが、この謎の解明過程がとても面白いんである。探偵小説ではなく、地道な捜査小説といえる。フレンチには息子がいたが、戦死したらしい。

    作者のクロフツ(アイルランド 1879-1957)は17歳で土木技師見習いをし、50歳までベルファストの鉄道技師をしていた。処女作の『樽』(1920)は40歳の作らしい。本作は五作目。フレンチ警部の登場作である。

  • 宝石店の支配人が殺され、宝石やダイヤが盗まれる。怪しい人物はどんどん現れるのだが、絞れずに肩透かしを喰らう。
    それにしてもクロフツの描く刑事、穏やかで紳士的…これと言った特徴のないフレンチ警部には親近感を抱いてしまう。失敗しながらもコツコツと犯人に近づいていく姿に、一緒に歩いているような錯覚さえ覚える。期待通りの一冊。

  • 解説によると、著者の第五作でフレンチの初登場の作品。初版1925年。

    業後に誰もいなくなった宝石商の事務所で支配人が殺され、金庫から宝石が盗まれた事件を捜査するフレンチ。
    イギリスだけでなく、オランダ・スイス・フランス・ポルトガルなどを舞台に、
    入手することができないはずの金庫の鍵の合鍵をどうやって作ったのか?
    アムステルダム支店に勤めている従業員の失踪?
    盗まれた宝石の一部を売った謎の女?
    ヒロイン(?)とその婚約者の不審な言動?
    でたらめな証券取引表?
    といった、謎を解いていきます。

    不可解な謎や意外な犯人(やや意外性の演出が過剰かも(笑))といったミステリ要素も豊富で、
    「ひとつの謎を解くとその先で新しい謎に出くわす」といった構成も、
    名探偵による一気の解決ではなく、警察による事件の捜査という雰囲気を出していて、
    読み物としてよくできた作品だと思います。

    ただ、共犯者はスーパーマンすぎるかな・・・
    なお、被害者は事件の日に周囲の人間に「今夜これから重要な仕事がある」とだけしか言ってませんが、
    「今夜これから○○○○が来るので仕事がある」と言ってしまえば犯人の計画は水の泡です(笑)

  • 2018/10/18読了

  • 糸口が見つかったと思えば、ふつりと途切れてしまう。
    ひとつひとつの手がかりやミスディレクションが魅力的で、最後まで引き込まれる。
    夫人に相談するとひらめきがある、というほほえましい一面も。
    交通も通信も、今より不便なところなど時代を感じるが、内容は時代を超えた面白さ。

  • 1925年発表
    原題:Inspector French's Greatest Case

  • 宝石商の支配人が殺され、ダイヤが盗まれた。金庫の鍵は1つは銀行の金庫の中、もうひとつは社長が肌身離さず持っている。
    さて、犯人はどうやって鍵を手に入れたのか?

    トリック暴きを主においた本格もの。
    決して頭のいい法ではないというフレンチ警部が足を使い人を使い、地道に捜査を進めていく。
    捜査というのは結局迷路の間違った道を塗りつぶしていく作業なんだなと思わせる作品。先は行き止まりになっていて犯人に行き着くという意味では徒労に終わるのだけど、その過程を追うことで読んでいる側も捜査を追体験できる。
    途中、一人の女が捜査線上に浮かび上がり、その正体を追うあたりから俄然物語に動きが出てくる。
    暗号解読あり、追跡劇ありでそれまでと雰囲気が一変する。そこもまた面白い。
    ありがちだけど、共犯者が意外かな。面白かった。

  • 小さな事件に思えたのに、確かに「最大」の事件に展開していく。行き詰まりながらも、しらみ潰しに一歩ずつ前進していくテンポが特に後半に入ってから良かった。

  • フレンチ警部シリーズ

    殺害された宝石商ゲシング。盗まれた宝石と紙幣。
    使用された紙幣から男デューク・アンド・ピーボディ社の外交員ファンデルアイクを追ったフレンチ。バルセロナでの捜査の行き詰まり。ファンデルアイクに渡された紙幣はゲシングが渡した物。
    新たに詐欺に使われた宝石。ルート夫人を名乗る謎のX夫人。本物のルート夫人と同じ船だやってきた女。数年前に引退し消えた女優・シシー・ウィンター。自殺したデューク・アンド・ピーボディ社の支配人デューク。ヴァエイン夫人を名乗るX夫人。残された暗号の謎。

    市川図書館

     2009年2月23日再読

     2010年12月12日購入

     2011年1月11日読了

  • フレンチ警部もの。事件としては、普通のやつなので、なんとなく犯人はわかるのですが、実際わかるのは警部が謎解きをしてから。本格ファンには少し物足りないかも。それでも、本格ファンじゃなかったら、犯人が現れたときには、びっくりするかも。決して悪いとはいえないし、よいともいえないと思う作品でした。

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著者プロフィール

フリーマン・ウィルス・クロフツ(Freeman Wills Crofts)
1879年6月1日 - 1957年4月11日
アイルランド生まれ、イギリスの推理作家。アルスター地方で育ち鉄道技師となったが、40歳で病を患い入院。療養しながら記した『樽』を出版社に送ったところ採用、1920年刊行。名声を博し、推理作家デビューとなる。50歳まで本業の技師を続けながら兼業作家を続けていたが、体調悪化で退職して作家専業に。その後、英国芸術学士院の会員にまで上り詰める。
本格推理作家として、S・S・ヴァン・ダイン、アガサ・クリスティー、エラリー・クイーン、ディクスン・カーと並んで極めて高い評価を受けている一人。代表作に前述の『樽』『ポンスン事件』、フレンチ警部シリーズ『フレンチ警部最大の事件』『スターヴェルの悲劇』『マギル卿最後の旅』『クロイドン発12時30分』 など。

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