二つの密室 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488106102

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  • ある時、都筑先生の本で読んだ。
    『本格ミステリ』の本格とは?
    いわゆる『本格』であればあるほど現実的では無くなる。
    舞台を密室にすればするほど、「殺人」を示唆してしまう。
    この世の完全犯罪はみな、事故か病気に見せかけているのだ、と
    まあ、そんな風なこと。

    今は「そりゃそうだ」と思いますが、
    ホームズが探偵の中で一番偉いと心酔していた(というか今でも、の)
    私は、これを初めて読んだとき、
    「ほんとだ!!」とびっくりしてひっくり返ったっけ!

    このお話の主人公は両親亡き後つましく身をたてていたアン、
    お金持ちの家の家政婦という素晴らしい職を得るが
    家庭内に漂う冷たい雰囲気に気付く。
    そしていよいよ殺人事件が…

    そんな中、フレンチ警部さんが登場だ!
    なんて言ったって題名は「二つの密室」だもの。
    嬉しくなりますねえ。

    一つは心理的、一つは物理的なトリックだって!フフフ

    私ももちろんしっかりと推理させていただきました。
    最初からあの方は怪しいな?と思いました。
    そのあと少し、あの人のことを不審に感じました。

    で、「ん?まさかあの人?」なんて疑ったあと、
    「は!もしかして一つ目の事件と二つ目の事件の犯人は…!」
    なんて考えも浮かんできました。
    (ま、出てくる人誰かが犯人よね)

    そんなわけで一応、推理は当たりました。
    (これだけ疑えば当たるでしょ)

    …ケンダルはフレンチのミックスたばこをパイプにつめて、
    如才なくそのかおりをほめあげた。
    「ええ、悪くないでしょう」とフレンチもうれしそうに、
    「チェアリング・クロスに近い小さな店ですが、そこの主人が
    特別に混合してくれるんです。」(p.162)
    って、必要かい?このトーク。
    面白いから良いけど…

    今回も嫌な人、意地悪な人は一切出てこなかった。
    そしてまた最後に、「樽」の時と同じように
    読者が思い入れがある(だろうと思われる)人物の
    嬉しい消息を聞かせてくれた。

    今まで読んだ傾向から言うと、犯人には常にある特徴がある。
    (ネタばれになるので内緒ね)

    クロフツさんは
    「いたずらに悪いことをする人はいない、
    恐ろしいことをするには必ず訳がある」という
    考えをお持ちなのだな。

  • 第Ⅰ部は、家政婦として赴任したアンの視点で語られている。グリンズミード家の不穏な空気は、物語として読み応えがあった。
    第Ⅱ部以降は捜査に乗り出したフレンチ警部の視点で、2つの自殺を装った殺人事件の捜査の過程や推理の内容が描かれている。
    題名のとおり、2つの密室殺人が出てくるが、1つ目は複雑な仕掛けの機械トリック、2つ目は文庫本の前書きで心理的トリックと書かれているものだが前例のあるものであり、どちらも大したものではない。
    フレンチ警部はどちらの事件でもいったん自殺と判断し、その後に誤りに気づいているわけだが、その気づいた内容がわかりにくかったり、説明不足に感じられた。2つ目の事件でアリバイ調査を絡めているところはクロフツらしい。

  • 両親亡き後つましく身を立てていたアン・デイは、願ってもない職を得てグリンズミード家に入った。夫人の意向を尊重しつつ家政を切り回しながら、夫婦間の微妙な空気を感じるアン。やがてグリンズミード氏の裏切りを目撃して大いに動揺し、夫人の身を案じるが時すでに遅く……。アンの態度に不審を抱いた検死官がフレンチ警部の出馬を促すこととなり、事件は新たな展開を迎える。

    クロフツは安定した読後感がある。凡人型の天才フレンチ警部の地道な捜査。着実に真相に近づく過程がやはり魅力だ。ホームズを例に出して推理したり、古めかしいトリックの応用だったり、ほっこりなラストといい、大満足。

    退屈というのは誉め言葉な気がしてきた。地味ながらも徐々に解き明かしていき予想範疇のトリックでもいいじゃないか。おもしろけりゃいいんだ。

    それにしても結局わからないフレンチ可愛い(いや、まじでどうやったんだよ…

    オススメマラソンその⑫
    弦さんから紹介してもらいました。

  • いったん自殺とされた二つの密室の謎が最後に意外な形で解明する。天才的な閃きによる鮮やかな解決もよいが、フレンチ警部のように地道な捜査を積み重ねによる解決も自分が一緒に考えているようで面白い。
    ラストでアンの今後が示されて、ほっとできる。

  • 2016/10/19読了

  • グリンズミード家に家政婦として雇われたアンが不穏な空気を感じながらも女主人と友情を深めていく前半パートはわくわくしながら読んだけど、後半の捜査パートとなると、やはり幾分地味に感じてしまうな。

  • フレンチ警部シリーズ

    グリンズミード家に家政婦として雇われたアン・デイ。夫人から感じる敵意。グリンズミードとホトライジング夫人との不倫。グリンズミードに殺されることをおびえるグリンズミード夫人。ガス漏れで死亡したグリンズミード夫人。自殺として検死審問で結論が出たがフレンチ警部の指紋の発見から密室殺人へと。疑いをかけられたグリンズミード。不安に陥るアン・デイと家庭教師エディス・チーム。密室で死亡したグリンズミード。自殺と判断されたが・・・・。

     2011年6月23日読了

  • アンが家政婦として雇われた家庭には影があった。
    病弱で何者にも頑なな妻、愛人を持つ夫。緊迫した家庭でやがて起こる密室殺人。

    という訳でこの作品には密室が2つ出てくる。前書きにひとつは物理的、ひとつは心理的とあったのだけど、謎解きの部分でなるほどと頷けるものだった。
    犯人の心情が吐露される場面は、それほど筆を尽くしている訳ではないのだけど非常に恐ろしいものに仕上がっている。
    これが心理的な密室を作り上げた犯人の狂気を際立たせていて、怖いし切ない作品になっている。
    クロフツの作品は最後にちょっとした救いがあって、こんな重い作品にもそれがあって、そこが好きだ。

  • クロフツとしては珍しく、密室を扱った作品。
    しかも二つ。
    それゆえ最初はどちらも自殺と判断されるのだけど、フレンチ警部の調査によって判明するほんの些細なことから殺人であることが明らかになる辺りが面白い。
    また、フレンチが試行錯誤を繰り返して真相にたどり着こうとする過程も楽しめる。

    密室トリック自体はまあまあ。
    よくあるパターンと言えばそうなんだけど、当時としてはどの程度目新しいものだったのかな。
    機械的なトリックの方は、図解を見てよく考えてもイマイチ理解しにくい。

    ただ、ストーリーの起伏はいつもどおりとても上手く付いているので、飽きずに読みとおせるのは確か。

  • 小説を読んでいくといかにもシバラスが犯人らしく思え、 シバラスが殺害されたところで犯人が誰なのかまったく 分からなくなる。登場人物のうち○○が犯人らしいのに 気が付くが、動機が分からない。しかし、全て読み終わって犯人が分かると、 犯人の会話にヒントがあったような気がする。密室事件であるが、密室の謎は結構あっさり解かれてしまう。 ただ、2つの事件とも指紋の位置だけで殺人と見抜いたことは 論理も通っていて、すっきりしていて良かった。

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著者プロフィール

フリーマン・ウィルス・クロフツ(Freeman Wills Crofts)
1879年6月1日 - 1957年4月11日
アイルランド生まれ、イギリスの推理作家。アルスター地方で育ち鉄道技師となったが、40歳で病を患い入院。療養しながら記した『樽』を出版社に送ったところ採用、1920年刊行。名声を博し、推理作家デビューとなる。50歳まで本業の技師を続けながら兼業作家を続けていたが、体調悪化で退職して作家専業に。その後、英国芸術学士院の会員にまで上り詰める。
本格推理作家として、S・S・ヴァン・ダイン、アガサ・クリスティー、エラリー・クイーン、ディクスン・カーと並んで極めて高い評価を受けている一人。代表作に前述の『樽』『ポンスン事件』、フレンチ警部シリーズ『フレンチ警部最大の事件』『スターヴェルの悲劇』『マギル卿最後の旅』『クロイドン発12時30分』 など。

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