クロイドン発12時30分【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 130
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488106348

作品紹介・あらすじ

チャールズは切羽詰まっていた。父から受け継いだ会社は不況のあおりで左前、恋しいユナは落ちぶれた男など相手にしてくれない。叔父アンドルーに援助を乞うも、駄目な甥の烙印を押されるばかり。チャールズは考えた。叔父の命、または自分と従業員全員の命、どちらを選ぶのか。身の安全を図りつつ遺産を受け取るべく、計画を練り殺害を実行に移すチャールズ。快哉を叫んだのも束の間、フレンチ警部という名の暗雲が漂い始める。『樽』と並ぶクロフツの代表作、新訳決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 本作は倒叙ミステリ(物語前半に犯行が描かれ、後半で探偵がそれを推理していく形式のミステリ)であるので、前半と後半について述べる。

    前半は犯人の様子や心情が細かく描写されていて、とても楽しく読めた。犯行を決意するまでの心情の変化は同情を覚えるほどだったし、犯行の瞬間などは動悸が抑えられなかった。テンポも良くてスリリングだった。

    一方後半は、探偵がどのように犯人を突き止めたのかを説明しているのだが、これがイマイチ盛り上がらない。捜査は(当然なのだが)地道で、あっと驚くような証拠もない。ひたすらに可能性を潰していくプロシージャになっている。

    まとめると、前半は楽しく読めたものの後半は退屈に感じる時間が多かった。
    本格ミステリの謎解きが好きな人や、探偵の鮮やかな手腕にカタルシスを感じる人にはお勧めできない。

  • 【ミステリーの古典名作を今さら読む】
    このところ連続で観ている刑事コロンボ、コロンボといえば倒叙物…犯人が初めから分かっており、犯人がいかに追い込まれていき、犯行を見破られるか…という形式のミステリー。
    そして、倒叙物の古典名作といえば、こちら、クロフツの『クロイドン発12時30分』ということは知っていましたが、絶版で入手困難なこともあり未読でした。最近、新訳が出ていることを知り入手。
    いやー、まさに「倒叙物」の典型的フレームで話が進み、大いに楽しめました。主人公が犯行に踏み込むまでややダレますが、そこから先はかなり怒涛の展開。もちろん、今読むと「ありがち」の展開なのですが、それはある意味こちらが元祖というか「原型」なのですから当然です。
    名作は色褪せませんね。

  • 長かった。チャールズの犯罪を犯すまでの状況や、犯罪を隠す為に次の犯罪を犯すまでのストーリー。
    自分勝手はさることながら、心の動きが面白い。

  • 面白いか、面白くないか、と聞かれたら、面白いと答えるし、確かに、無駄のない感じなど名作なのだろうと思う。初めから犯人が分かっている倒叙ものとして、上がったり下がったりの犯人の心理描写と、いつの間にか有罪になっているさま。どこでミスったんだろかと、犯人に感情移入。最後の推理プロセスお披露目も、なるほどねと、すんなり。フレンチ警部の、ノロマと思われたでしょうが、、、とか、よくもまあべらべらと、というくだりも、くすっと。これが、もっと当時に読んでたら、こんなパターンもありなのかと、すごく驚きもあったかも。ハウファインディットかい、みたいな。いかんせん、いろいろ読んでるし、コロンボなど倒叙モノを見てるので、スタイルの新鮮味はない。あっと驚くというわけでもない。
    あと、短い章立になっているのも、読もうという気になるね。バンダインのビショップマーダーみたいな。

  • 倒叙ミステリの三大名作のひとつとも言われている作品。

    不況のさなか、資金繰りに窮した工場主の男。
    遺産を狙って叔父を殺そうとした男は、
    叔父が食後に常飲する市販の錠剤の瓶を、
    青酸カリ入りの錠剤をひとつだけ混入した瓶に
    すりかえる。
    その後、男はアリバイつくりのために
    地中海クルーズの旅行へと出発し、
    やがて叔父は青酸カリ入りの錠剤を飲んで死ぬ。
    ただ、叔父が死んだのは、男が想定していたように
    叔父の自宅ではなく、ロンドンからパリに向かう
    飛行機の機内であった。

    経済的に窮した焦り、殺人へのためらいと正当化、
    瓶を摩り替えた後から結末まで男の心を交互に支配する
    不安と安心。
    これらの心理が十分に描かれていて、サスペンスを
    盛り上げます。
    やや長めの作品で、慣れてない人には冗長に感じる部分も
    あるかもしれませんが、なるほど名作と言われるだけはあると
    思いました。

    ところで、実は男が瓶をすりかえる場面を叔父の執事が目撃しており、
    物語の途中で執事に強請られた男は執事を殺してしまうのですが、
    これって、やっぱり「お約束」の展開ですよね(笑)

  • 2019/03/06読了

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著者プロフィール

フリーマン・ウィルス・クロフツ(Freeman Wills Crofts)
1879年6月1日 - 1957年4月11日
アイルランド生まれ、イギリスの推理作家。アルスター地方で育ち鉄道技師となったが、40歳で病を患い入院。療養しながら記した『樽』を出版社に送ったところ採用、1920年刊行。名声を博し、推理作家デビューとなる。50歳まで本業の技師を続けながら兼業作家を続けていたが、体調悪化で退職して作家専業に。その後、英国芸術学士院の会員にまで上り詰める。
本格推理作家として、S・S・ヴァン・ダイン、アガサ・クリスティー、エラリー・クイーン、ディクスン・カーと並んで極めて高い評価を受けている一人。代表作に前述の『樽』『ポンスン事件』、フレンチ警部シリーズ『フレンチ警部最大の事件』『スターヴェルの悲劇』『マギル卿最後の旅』『クロイドン発12時30分』 など。

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