黒衣婦人の香り (創元推理文庫 108-2)

  • 東京創元社
3.15
  • (3)
  • (5)
  • (12)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 101
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488108021

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「黄色い部屋の謎」の続編。マチルドとダルザック教授は結婚したが、新婚旅行の旅先でラルサンの影を見る。ルルビターユの出生の秘密も冒頭で語られる。

    恋愛小説か?と思わせるような雰囲気も。しかし1909年の小説なんだなあ、という時代感も。いくら変装したとはいえ、見破られないものなのか。直訳っぽい文体がちょっと読みずらい。また説明も過剰な感じで、100ページ位まではちゃんと読んでいたが、以後は飛ばし、最後の種明かしを読んでしまった。



    1909発表 フランス
    1976.3.19初版 1977.9.23第3版 図書館

  • 前作『黄色い部屋の謎』で “黒衣婦人の香り” が謎のまま残されたが、前作の登場人物(死んだはずの犯人までも)を丸ごと引き継いだこの続編で、大驚愕の秘密が明かされる。〝こんなの有りか!〟の〝まさか、まさか!〟の真相解明編。これを知るだけでも読む価値が有るかも。フランスの誇る大メロドラマの情念を投影した本作は、前世紀初頭に大好評を得たようだが、今日では好事家のみが興味を示す読み物と言うのも頷ける。

  • 『黄色い部屋の謎』の続編です。前作で謎のまま残っていた『黒衣婦人の香り』が気になったため、読みました。

    本作では、死んだと思われていた悪党ラルサンが、マルチドたちの周りに再び現れます。そして、彼らが滞在していたヘラクレス砦で、≪余分な肉体の袋≫というおそろしい悲劇が起こってしまいます。ラルサンは誰なのか、袋に入っていた人物は誰なのか、謎をまたルールタビーユが解決します。

    前作と比べると、謎解きミステリの要素だけでなく、登場人物たちの繋がりや感情の動きについて書かれている部分が多いように感じました。ルールタビーユの過去に関わる『黒衣婦人の香り』も明らかにされています。

  • 愛すべき少年探偵の驚くべき過去を解き明かす続編!


    『黄色い部屋』の惨劇から2年。石のような冷たさだったあのマティルド(マチルド)は、優しく愛らしい女性へと驚くべきキャラ変更! 結婚までしちゃうのです。
     しかし、彼女は再び恐怖に見舞われます。亡霊のようにちらつくのは、前作で死んだはずのバルメイエの影――

     彼女を助けるため立ち上がったルールタビーユは、「黒衣婦人の香り」に激しく心乱され、以前のように明晰な推理はできず★ サンクレールが「また、わが愉快なルールタビーユを見出した」と言うまでには、結末まで待たなければなりません。
     かわって、まるでお芝居のように美しい場面が続き、ルールタビーユの苦悩が甘美に描き出されます。もはや推理小説ではありません。美文調に素直に酔いしれるしかないでしょう。海辺の宿で少年が闇を抱擁するシーンなど、まったく耽美の世界です★

    「その香り」の章は、優しいノスタルジーにひたひたにひたされます。「死んだような小さな町」を音立て走る馬車が、広場に静かに「固定」し、少年はかつて自分が生きた世界を再び歩く。ブリオッシュの思い出もせつない。そう、聡明なルールタビーユにも子ども時代があったのです。

     リリカルな表現の連続の後、ついに角塔で黒衣婦人は彼に腕をのべ、その芳香で包みこみます。
    「彼らは抱き合って、失われた時を取り戻さねばならなかった!」
     夢中で「黒衣婦人の香り」を胸いっぱい吸いこむルールタビーユ。妖しくも美しい光景。彼の理性は、美しき乱気流に巻きこまれてしまったようです。

    『黄色い部屋の部屋』ばかり有名ですが、続編の出来はちょっと……というのは否めないにせよ、2冊併せて親しんでこそ見えてくる、めくるめく愛の劇場にひたったのでした☆

    (ところで、堀江敏幸著『おぱらばん』で、「そう読めるか」という新しい視点を授かりました。『おぱらばん』読後にルルーの小説に戻ると、興趣の深さが増すこと請け合い)

  • 新聞記者ルールタビーユものの第2作。
    前作『黄色い部屋の謎』を前提にストーリーが進むので、読む順番を間違えると一体何がなんだか……になってしまうのが欠点か。また、『黄色い部屋の謎』に比べると、論理性よりも情緒的な比重が大きく、続編でありながら作品の雰囲気がかなり異なっている。
    どうも長らく品切れのようだが(但し古本屋では割と見かける)、やっぱりテイストの違いが理由だったりするのだろうか?

  •  一応の読了・・・・・・というのは、話の筋道をつかんだだけだからです。

     まず、この本は、同氏の「黄色い部屋の謎(http://booklog.jp/item/1/4488108032)」という作品で残された謎から始まる物語です。ですから、前作を読まないとなにがなんだかわからないことは間違いありません。

     ルールタビーユとバルメイエ、そしてルールタビーユの思い出に刻まれた黒衣婦人、この三者の因縁はどこへたどり着くのか。


    ・・・ 以下は自分用メモ ・・・


    ○前作との関係でこの本をとらえると、こちらは前作よりもかなり感情的で、人間の物語というべき内容になっています。末尾にある広告欄をみても、前作のジャンルは「本格」なのに、この作品は「スリラー」になっています。

    ○ルールタビーユの理性全開の推理のみを期待する方にとっては、感情的な描写は冗長そのもの、うんざりされるかもしれません。

     例えば、前作では無駄のない立ち回りをみせていたルールタビーユも、自分の存在にまつわる大問題のなかで極めて感情的で迷いのある人物になっていますし、前作でも語り部だったサンクレールも、今作では猪突猛進というか、はっきりいって愚直な一面をみせています。

    ○とはいえ、ミステリーもしっかりあります。とりわけ大きな謎は、物語全体をつらぬく「バルメイエはどこにいるのか」という謎と、もう一つは「余分な死体」という謎。

    ○ルールタビーユの考え方は面白いです。僕などは、はじめから「こいつ怪しいな!」と思いながら読んでいたので(その勘は当たっていました!)、ルールタビーユに叱られることは間違いありません。彼にとっては、正しい理性がもたらす論理が物的証拠の存在を説明するのであって、物的証拠の存在から論理を導くべきではないし(これは前作のラルサンのやり方ですね)、まして経験的な判断(”こいつ怪しい!”という判断)から出発してそれを論理的に正当化するような方法は決して認めないでしょう。

     というわけで、ルールタビーユさんごめんなさい。あなたの論理的世界には全くついていけませんでした。とほほ。

    ○ちなみに、続編として"Rouletabille Chez le Tzar"、そして"Le Chateau Noir"、"Les Etranges Noces de Rouletabille"の二部作、さらに"Rouletabille Chez Krupp"など八篇のルールタビーユものがあるとのこと。ところが、これらの作品は解説いわく「顧みられていない」とのことで、残念ですね。

  • 変装した犯人の招待は面白かったけど、ベルニエおやじの死の真相はずっこけた( ̄◇ ̄;)えーーと、これでこのシリーズって終わりなのかな?

  • 北村薫さんの「ミステリ十二か月」にあった黄色い部屋の謎つながりで読みました。が、途中で…

    私にとっては、学生の時みたいな情熱というか、集中力が必要な作品でした涙

  • オペラ座の怪人は、最初は音楽で、次に映画で、最後に原作を読みました。

    映画の印象が強いので、原作をしっかり消化できたように思えなかったので、
    ルルーの他の著作を読もうと思って、次に「黄色い部屋の謎」を読みました。
    その後、この本を手に取りました。

    ミステリーがすごく好きという訳ではありませんが、
    オペラ座の怪人よりは、容易に読み進むことができました。

    黄色い部屋の謎よりも、低い評価をされる方が多いようですが、
    買って損したということはありませんでした。

    ps.
    オペラ座の怪人は、内容をうまく読み取れなかったので、
    3種類の翻訳を読みました。

  • 前作「黄色い部屋の謎」にあった、黒衣婦人の香りというキーワードがあり、それが気になり、この作品に。
    古い本なので読むづらかったが、黒衣婦人の秘密の判明し、すっきりした。
    どんでん返し的な展開だがこの時代なら、ありえるのかな。

全16件中 1 - 10件を表示

ルルーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
コナン・ドイル
コナン ドイル
エラリー・クイー...
エラリー クイー...
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×