黄色い部屋の謎 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2008年1月31日発売)
3.33
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感想 : 61
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  • 本 ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488108038

感想・レビュー・書評

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  • 2024.3.20 読了
    古き良き時代の雰囲気が好きで、それだけでのめり込んでしまう。文章が古臭いのも味だし、今とは全然違うスピード感(馬車や船、郵便物)もいい。
    それでも、それぞれの消失トリックは秀逸だし色褪せない。力技感もあるけど、その後に書かれたいろんなトリックを読んできたから言えるのであって、当時の人はどのように読んだのだろう?なんてことを考えながら読むのも楽しかった。
    被害者が加害者を庇うような言動が、ルールタビーユの解説の章に至るまでうまく隠されていて、そのあたりが作家の達意を感じる。
    時代背景も含め、一遍のオペラのような読後感が心地よい。

  • 2016/12 古典的ミステリー 今 ラストに近い部分を読んでいます(´∀`*)途中用が出来て進まず、何となく 犯人の目星がついてきたところですが、昔のお城や森のような映像の中に出てくる人物を追って見てるかのようで…面白いです

  • 小学生のとき、
    図書室に並んだ高学年向け翻訳海外探偵小説シリーズ的な
    ラインナップが凄まじい人気で、
    順番待ちして借りた中に『黄色い部屋のひみつ』があった。
    確かそんな邦題だったと記憶しているが、違ったかも(汗)。
    で、ともかく読んだことは読んだはずの本の
    標準オトナ翻訳を今般。

    ……こんな話でしたっけ?

    部屋はそんなに黄色くないし(笑)
    あれぇ?と思いつつ読了。
    一応、概要を述べると、
    科学者親子の娘の方が
    自邸で何者かに襲われて重傷を負い、
    若手新聞記者が友人の弁護士と共に乗り込んでいって
    推理――という話。
    但し、解説によると
    謎の完全な解明が続編に持ち越されているそうで、
    なるほど何となくモヤッとするのは、そのせいかと。
    本作だけ切り取ってみるならば、
    被害者の名誉・プライバシーを守るため、
    敢えて全容を公けにしないことの是非が問われる物語、
    といったところ。

    読了後、
    座右の書である『別冊幻想文学「中井英夫スペシャルⅡ」』
    「虚無への供物幻学百科事典」(幻想文学編集部=編)を繙く。
    「黄色の部屋」「ルルウ、ガストン」「ルレタビーユ」
    ――いずれもネタバレなしのサクッとした解説であった。

  • キリナさんに勧められた本。やっと読めた。
    栞をはさまず読んでいて、どこからだったかなとパラパラめくっていたら、犯人は〇〇です!という文字が目に飛び込んで来た。
    ミステリではよく聞くけど、ネタバレされてガックリくるっていうの、初めてかも笑
    はじめ、ドイルをディスってるのショックだったけど、解説を読むと作者はドイルファンのよう。
    好きなものは貶したい派か、、、
    ルールタビーユはけっこう鼻につくけど、物語は面白かった。
    トリックなかった系密室ミステリ。
    相方が弁護士である意味はあまりない気がする。ちょっと影薄いかな。
    続編を匂わせているのであるなら読みたい。
    屍人荘のときも思ったけど、ミステリってある意味SFより無茶苦茶だよね。
    古典なら尚更だけど、むしろそういうところがすき。
    ドイルなんかは、ないないないない!ってツッコミながらもホームズかっこいい!ってなるからすごい笑

  • 没後90年を迎へたガストン・ルルー。良く知られてゐる作品といへば、『オペラ座の怪人』、そしてこの『黄色い部屋の謎』でせうか。邦訳によつては『黄色い部屋の秘密』となつてゐるものもあるやうです。
    冒頭の紹介文では―

    通称ぶな屋敷と呼ばれるスタンガースン博士邸の「黄色い部屋」で、奇々怪々な事件が突発した。内部から完全に密閉された部屋の中から令嬢の悲鳴が聞こえ、救援にかけつけた一同がドアをこわしてとび込んだ時、血の海の中には令嬢が倒れているだけ―犯人は空中に消えてしまったのか、その姿はどこにも見あたらなかった。この驚くべき密室の秘密ととりくむのは、若冠(ママ)十八歳の新聞記者ルールタビーユ。密室犯罪と意外なる犯人に二大トリックを有する本編は、フランス本格派を代表する傑作として、世界ベスト・テンの上位に選ばれる名作中の名作。

    となつてゐます。いやあ、面白さうだ。

    語り手はサンクレールなる弁護士。彼の若き友人で《エポック》紙の記者・ルールタビーユの活躍を我々に報告してくれます。若さゆゑの自信過剰、生意気さも持ち合はせ、人間臭い面も表現されてゐます。しかし相棒の筈のサンクレールを少々莫迦扱ひしてゐるフシもあります。
    彼と対峙する関係になるのが、パリ警視庁の敏腕探偵、フレデリック・ラルサン。大フレッドなどと称され、押しも押されもせぬ名探偵との誉れが高い。この二人の推理合戦の様相も見せ、読者の興味を引張ります。

    密室トリックの古典的・記念碑的作品と言はれるだけあつて、黄色い部屋の謎の提示から展開、そしてアッと言はせるトリックと真犯人は中中のものであります。
    ところで現代ミステリに慣れた人達が「大したことはない」「現在の眼で見たら噴飯もの」などと評する事がございます。それは当然でせう。もし今でも「スゴイ!」が通用する内容なら、その後のミステリ作家たちは一体何をしてゐたのか、といふ事になります。

    そもそも今から50年以上前の1965年に書かれた中島河太郎氏の解説で、すでに「やや古色蒼然たる感じがするかもしれない」と指摘されてをります。ここではむしろ、その大時代的な、大仰な言ひ廻しを含めた「古色蒼然」さを愉しむのが正解ではないでせうか。
    「ウルトラマン」は今観ても楽しい。今ではありふれたテーマだつたりチヤチな特撮だつたりを丸ごと楽しめるのであります。片岡千恵蔵の「多羅尾伴内」は今でもわくわくする。最後の「七つの顔の男ぢやよ......」「正義と真実の使徒、藤村大造だッ」は、まるで法廷でルールタビーユが勿体ぶつて謎解きをする場面ではありませんか。

    ただし謎が謎のまま終つた点は感心しませんな。ルールタビーユが「黒衣婦人の香水」の話を引張るのは、次回作の宣伝と取られても仕方ありません。実際、読んでみたいと思つてしまふではありませんか。
    さういふ、罪な点も含めて、古典好きは一読するとよろしい。期待外れでも責任は持ちませんが。

    デハまた。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-721.html

  • 探偵といえば、アニメの「名探偵コナン」にしたって自力で解くことのできた試しのない僕です。

    あらすじは感想ではないので省略するとして、なんといってもはじめに気になるのは「数人の人間が扉を破ろうと必死になっている完全な密室の向こうで何が起きていたのか」「扉を破ったあとに犯人はどこへ逃げたのか」というもの。

    主人公のルールタビーユと、名探偵として知られるラルサン(大フレッド)の考え方の違いが面白いと思いました。一言でいえば、理性や論理を重視するルールタビーユ、経験や観察を重視するラルサン。彼らは対決するわけですが・・・・・・。

    他にもいくつかの不思議な事件が起こります。四方から追いつめたはずの犯人が消滅したり、射殺したと思った犯人と思しき人間が刺殺されていたり。それらは、表面的な証拠ばかりを集めているようでは解決できない、もしくはまんまと”ミスリード”に嵌められてしまう類いのものでしたね!

    しかしまあ、犯人がいきなり消えるなどということはないと”考えるならば”、なんとなく目星はつくのかもしれませんね。

  • 『オペラ座の怪人』の作者でも有名なガストン・ルルーの古典ミステリ。

    フランスの有数の科学者、スタンガースン博士の城の離れで、娘が襲撃されます。隣りの部屋で悲鳴を聞きつけた父と使用人は娘の寝室に駆けつけますが、部屋には閂がかかっています。窓にも鉄格子が嵌められた密室にもかかわらず、博士たちが扉を打ち破ると中には昏倒した娘だけしかおらず、犯人の姿は消えてしまっています。犯人は誰にも見つからずに脱出不可能な状況で、どのように消えてしまったのか?

    なによりも密室からの犯人消失というトリックが興味をそそります。探偵役の記者ルール・タビーユが勝手に調査した材料で推理を進める部分もありますが、主題となっている犯罪については、謎解きまでの描写で十分に推理可能です。いまや本格ミステリで密室ものというと、ポピュラーなジャンルとなっていますが、この作品はその流れを決定づける記念碑的な作品でしょう(たぶん・・・)。

    もう一人の探偵役であるラルサンとの推理対決、犯人を四方から追い詰めるものの消え失せてしまう『不可思議な廊下の謎』など、飽きさせない工夫を凝らしてあり、ミステリの醍醐味をたっぷり味わえる作品でした。

  • 最近、こういうレビューが多いけど…
    最初に期待したハードルを越えられなかった、それだけにとどまらず大残念作でした。

    事件の謎は魅力的やったんやけど、探偵のキャラも今ひとつ、後出しと思わせぶりが必要以上に多過ぎ(と個人的には思え)て興ざめする、最後に語られる真相(の一部)が強引すぎて納得いかない、等々。
    まあ、最後の部分はそれ自体はこの事件の本筋とは直接関係ないし、ただ作者としては最後のビックリを狙ったのかも知れんけど、「それはないやろ〜」って感じでした。

    作中で探偵役のルールタビーユがやたらと気にする「黒衣夫人の香り」
    「そんなタイトルの小説あったなぁ」と思ってたら、解説で戸川安宣さんが「"黒衣夫人の香り"が本作の第二部とも呼ぶべき正統な続編で、放ったらかしにされてた謎もすべて回収される」みたいなこと書いておられたんで、読まねばと思ったら現在絶版で踏んだり蹴ったり…というオチまでつきました。

    まあ個人的には酷評に近いですが、かの江戸川(大)乱歩を始め、ミステリ界の中では傑作と絶賛する声も高い本作、お読みになられて損はないと思います(笑)

  • (解説より)
    「現代推理小説を読みなれた読者にとっては、やや古色蒼然たる感じがするかもしれない。だがここに盛られた幾つかの独創的なトリックは、本格推理小説の最高水準を示すもので世界的な古典傑作として愛好家必読の作品といわねばならない」

     この著書は1908年1月上梓され、100年以上の時を超え未だに版を重ねているという、独創的なトリックは色褪せない。
     事件の真相は難解を極めている。普通物語を読みすすめると、なんとなく手がかりが見えてくるものだが、逆に読み進めるうちに、事件の手掛かりを解く鍵が否定されていくようだ。
     得体のしれない誰か?についてルールタビーユの問答が続く。
    読了後、う~んと呻りました。こんな終り方があるのかと。
     まあ、なるほど犯人が×××なら、説明が付きます。そして黄色い部屋の事件も×××が犯人なのですね。納得しました。

  • 『まだらの紐』『モルグ街』に並んで有名な密室トリックの古典
    分類するとネタを割るのでミステリファンのひとは大変だ
    ミステリファンでないひと的にはなるほどクラシックで面白かった

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