黄色い部屋の謎 新訳版 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2020年6月30日発売)
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  • 本 ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488108045

作品紹介・あらすじ

フランスを代表する科学者スタンガルソン教授父娘が暮らすグランディエ城の離れの一室で起きた不可解な事件。内部から完全に密閉されたこの〈黄色い部屋〉から響いた女性の悲鳴。ドアを壊して室内に足を踏み入れた者たちが見出したのは、血の海に倒れる博士の令嬢マティルドだった。犯人はどこに? この怪事件に挑むのは18歳の新聞記者ルルタビーユ。密室ミステリの古典を、ジャン・コクトーによる序文を収録した新訳決定版で贈ります。

感想・レビュー・書評

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  • 『十角館』フェアのアガサ→ポウ→カー→エラリイ→ヴァンに続いて、6人目「ルルウ」こと、ガストン・ルルー初読み。

    『オペラ座の怪人』で有名なガストン・ルルー。
    移動手段は馬車の時代。1908年と年代が古いので読みにくいかと心配だったけど、さすが新訳版!読みやすくスラスラ読める。

    内側から施錠された完全な密室で令嬢が襲われた。犯人は一体どこに消えたのか…

    謎に挑むのは、弱冠18歳の新聞記者ルルタビーユとパリ警視庁警部ラルサン。

    犯人がわかってもなかなか明かさずに、かなり焦らされる。
    でも全てがわかった時に、密室トリックの謎と、なぜ焦らされたのかに「なるほど〜!」とすごい納得できた。
    キーワードのような伏線回収も面白かった。

    ・古典が好き
    ・空間が狭ければ狭いほど好き
    ・心理的要素が絡んでいるのが好き
    という自分の好みにピッタリだった。

    最後まで読んで、もう一度最初からザーッと読んでしまったくらい面白かった。
    何度も読みたいのでこの本は購入しよう(^o^) 
    (※私の好みはだいぶ偏ってるのでオススメはしません)

    解説によると、この作品は密室を扱った最古典の長編ミステリとのこと。
    この時代にもうこんなに完璧な密室殺人の小説が出来上がっていたとは。
    ディクスン・カー『三つの棺』の密室講義の中でもフェル博士が史上最高だと言ってたな。

    作中で『モルグ街の殺人』と『まだらの紐』のがっつりネタバレしてた。
    この作品を読む人は当然読んでいるから問題ないんだろうけど、私も先に2作品を読んでて良かった。

    そして、続編を匂わす言葉を残して終わったと思ったら、この作品には『黒衣婦人の香り』という続編があるとのこと。でも新訳版が出てない(;_;)

    『十角館』フェアも残すは1人だけ!
    「オルツィ」ことバロネス・オルツィ。

    オルツィは作品数が少なくて、『紅はこべ』か『隅の老人』のほぼ2択。
    2択はさすがに選択肢少なすぎる。。。(T_T)
    『紅はこべ』は歴史小説で無理だし、『隅の老人』は新訳版が出てないので読みづらそう…。

    でも綾辻さんが選んだ7人だから、きっとオルツィも読んだら何か感じるんだろうな。
    いつかオルツィにもチャレンジしよう(*´∀`)

    『十角館の殺人』を読んだ時には、アガサしかよくわからなくて、ルルウは男性か女性かすらわからなかった。
    そのルルウがこんなに面白かったとは!
    読んでみて良かった。嬉しい驚きだった。
    ★10

  • 『ミステリの傑作』×『密室』という文字に誘われて。
    オペラ座の怪人と同じ著者。

    100年以上前の1907年にフランスの週刊新聞に
    連載されていたミステリー。
    今でこそ定着したクローズドサークルも
    当時は画期的だったことが窺える。

    序盤は面白かったものの場面展開も少なく
    ダラダラ続く犯人探しに心が折れそうになった。
    (図書館で借りた本なら辞退していたと思う)
    最後まで読んでよかったと思える結末ではあった。

    『黒衣夫人の香り』という続編も気になるが
    ここでごちそうさま。

  • たぶん中学生の頃から知っていた題名。図書室で背表紙や表紙を何度となく見ていたがやっと読んだ。1907年(明治40年)発表という大古典なのだが、2020年の新訳では、訳者が現在の読者にも読みやすいようにテンポのいい訳文をこころがけた、というだけあってけっこうなページだったが、すらすら読めた。

    発見された時は密室だったが、殺人の行われた時はどうだったのか? ネタバレしてます? 先日読んだディクスン・カーの「夜歩く」も密室もので、謎解きは同じだった。でも密室で殺されかかった令嬢が死ななかったのでよかったなあ。父とともに化学の実験にいそしみ幾多の求婚もはねつけてきた35歳になろうとするマティルド。最後に、みごと謎解きをした、新聞記者の弱冠18歳のルルタビーユがちょいちょいと理由を述べる。ほー、人はみかけによらないし、部屋だけでなく、人間にも秘密はあるんだねえ、となり終幕。

    ミステリーを読む時、トリックよりは人間関係や殺人の理由に興味がある。この点から言うと、やはり1907年時点の令嬢をとりまく世情だったかなあ、という時代感もする。が、最後に、新たな事実の提示も示され、解説によると、「黒衣婦人の香り」という続編があり、そこでは謎解きをしたルルビターユの出生の秘密を明らかにしているという。

    マティルダ父子はフランスの城を買い、実験をするのに離れを作った。その実験室に隣り合う部屋が「黄色い部屋」と呼ばれる部屋。ゴッホの絵のような全部真っ黄色の部屋をイメージしていたのだがそうではなく、黄色い敷物があった、と文中にあった気がするのだが、あとでその箇所が見つからなかった。そうでしたよねえ?

    1907発表 フランス
    2020.6.30初版 図書館

  • 1907年の作品で密室ミステリの名作と評判の一冊。
    緻密に練り込まれたトリック、物語の構成力、そしてキャラクターの色の濃さ、
    どれをとっても時代を超えてワクワクとさせてくれる一冊でした。
    その頃の推理小説がどのようなものだったのかを知らないが、あっと驚かせたのは間違いないだろう。
    情報自体は全てが揃っている訳ではないものの、犯人を理論的に導き出す為の事柄は出揃っていたので、
    謎解きを楽しめるようになっている作り。
    古典ミステリといえど、素晴らしい作品はいつまでも素晴らしい。
    ミステリの歴史をどんどん散策したい。

  • GW中に海外の古典ミステリーを読み直そうって思って。高校生のころに読んだ時は70年ほど前の作品だったけど、今や120年ほど前の作品になってしまいました。新訳になったので新たな気持ちで。

    作品は「オペラ座の怪人」の原作者として有名なガストン・ルルー。この作品の探偵役は、18歳の記者ルルタビーユ。探偵として読む分にはいいけど、どうも好きになれないタイプ(大概の海外ミステリーの探偵は、大げさと言うほど思わせぶりで、自信満々で、他人を小ばかにするから嫌い)

    トリックもすっかり忘れていて新鮮な気持ちで読めました。120年ほど前の世界、科学捜査もない時代だから論理だけが優先される感じ。科捜研の女に捜査してもらったらすぐに解明されちゃうかも

  • 密室ミステリーの古典的なお話。

    ルールタビーユが犯人をなかなか言わないところにじらされてしまったが、それも、マチルダ嬢を守るため。紳士だと思った。

    たまに古典ミステリーを読むのもおもしろい。

  • 粗はあるかもしれないけれど、この功績は偉大すぎる。物理的にも心理的にも上手すぎる。

  • 古典小説&元はフランス語?なのもあってちょっと読みにくかった(特に登場人部の名称がコロコロ変わったりするところとか)けど、最後の謎解き部分はなるほどーっと楽しく読めました。騙されたー!あとルルタビーユめちゃめちゃもったいぶるじゃん。

  • 「密室」で起こる事件、どれほど多くの探偵や刑事達が数知れないほどの物語の中で、その解明に挑戦しているか……。

    「黄色い部屋の謎」は、そんな「密室」ミステリーの古典中の古典。

    作者は「オペラ座の怪人」の原作者として有名なガストン・ルルー。
    巻末の「訳者覚書」にもあるように、日本で発表されるやいなや江戸川乱歩が本作を絶賛している。

    海外の「古典」と称される「名作」は、日本語への新訳がなされるたびに、新たなファンが生まれ、いく世代にも渡りファンに読み継がれるのも楽しみの一つ。

    また、どんなミステリー作家がどんな「密室」をうみ、どんな解決で物語るのか……読者の楽しみは尽きない。

    それだけでも、この作品が世に出た価値は唯一無二。

    ありがとう!

  • 小学生の頃、図書館で(多分子ども向けにリライトされたものを)借りた事はあったが、読み通した記憶が無いので、実質初読。創元推理文庫で新訳が出たので、この‘古典’を入手した。
    密室の謎も犯人も解明されたが、スタンガルソン嬢にまつわる謎は残ったまま。これが、『黒衣婦人の香り』で明かされるのか? 

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著者プロフィール

Gaston Leroux(1868-1927)
パリ生まれ。「最後の連載小説家」と称されるベル・エポック期の人気作家。大学卒業後弁護士となるが、まもなくジャーナリストに転身。1894年、《ル・マタン》紙に入社し司法記者となり、のちにこの日刊紙の名物記者となる。評判を呼んだ『黄色い部屋の謎』(1907年)を発表した年にル・マタン社を辞し、小説家として独り立ちする。〈ルールタビーユ〉〈シェリ=ビビ〉シリーズの他、『オペラ座の怪人』(1910年)、『バラオー』(1911年)等のヒット作がある。その作品の多くは、演劇、映画、ミュージカル、BDなど、多岐にわたって翻案されている。

「2022年 『シェリ=ビビの最初の冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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