ブラウン神父の秘密 (創元推理文庫)

制作 : 中村 保男 
  • 東京創元社
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本棚登録 : 190
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488110048

感想・レビュー・書評

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  • ◆ブラウン神父シリーズの4作目で、わたしがこのシリーズを読むのは「童心」に続いて2作目です。この『秘密』では、「ブラウン神父というカトリックの司祭が、なぜ殺人事件をすらすらと解決できるのか」という問題がクローズアップされています。なぜ、殺人と最も縁遠いであろう神父が、殺人者の行動を推理したり感情的に追体験できるのでしょうか。本書で描かれるそのテーマのなかにこそ、ブラウン神父の神髄を見た気がします。◆「あなたがたが犯罪を恐ろしいと思うのは、自分にはとてもそんなことができないと思うからでしょう。わたしが犯罪を恐ろしいと思うのは、自分もそれをやりかねないと思うからなのです (p. 277)」。誰よりも罪の身近さを理解しながら、誰よりもそれを御する力をもつブラウン神父。今作も脱帽です。

    * ひとことメモ *
    分からない程度に書きますが、勘の鋭い方は見ない方がいいです。(”ネタバレ”は見づらいので、極力使いたくありません^^;)

    「大法律家の鏡」
    俗物。

    「顎ひげの二つある男」
    神父は、ムーンシャインの生き方にこそ、罪に対する償いの形を見ていたのだと思う。法による裁きを強いず、犯人を逃がしている理由がはっきりわかった話。

    「飛び魚の歌」
    念頭にない男によるしたたかな犯行を神父が見抜けたのは、念頭にない女による思わぬ行動のおかげだったという話。

    「俳優とアリバイ」
    多くの人を欺いた、頭のいい、俗物。

    「ヴォードリーの失踪」
    2度殺人を犯した男。けれど彼は人一倍その罪を悔いている。それよりもはるかに罪深いのは、あの男だった。

    「世の中で一番重い罪」
    世の中で一番重い罪をおこないながら、彼は神父に対して嬉々としてその罪を告白する。なぜなら、彼が告白していたのは、神に対してではなく悪魔に対してだったからだ。

    「メルーの赤い月」
    多くの人は宝石の金銭的な価値に魅入られるだろうけれど、そこに価値を見出さない人間にとっては石のクズに過ぎない。行動原理のまったく異なる人間というものを象徴的に描いていると思う。最後の一言が分からなかった。

    「マーン城の城主」
    ここにも、ブラウン神父の「償い」に対する姿勢がはっきり見てとれる。「あなたがたが人を許すのは、許すほどのことが何もないからなのだ (p. 266)」という神父の言葉は、本当の罪を知った人たちがたやすく手のひらを返すことに対する強烈な一撃だと思う。

  • 短編集です。なかなか重い話が多いですが、好きな巻です。
    特に「マーン城の喪主」が好きです。初めて読んだのは何年前か…忘れられない話です。
    読むたびに、許しということの意味を、許す側と、許される側とから考えさせられます。
    最後の「フランボウの秘密」も好き。ちょっとしみじみします。

  •  短編集。「ブラウン神父の秘密」「大法律家の鏡」「顎ひげの二つある男」「飛び魚の歌」「俳優とアリバイ」「ヴォードリーの失踪」「世の中で一番重い罪」「メルーの赤い月」「マーン城の喪主」「フランボウの秘密」の十編を収録。

     実はブラウン神父もの苦手だったのです。というよりか、チェスタトンの文章が苦手というか、そういう印象がこれまでの作品を読んでいてあったのですが、今回読んでみてそんなことないと思いました。むしろ、シーンがはっきりしていて読みやすかったです。もっとも、わからない部分も多々ありましたが……。
     特に各最後の神父の発言は、宗教上のものだからなのだと思うのですが、少々理解できない箇所があって、余韻がいまいちでした。もっと煎じ詰めればいいのかもしれませんが。
     作品の内容としても、ブラウン神父らしい作品ばかりでした。そのあたり解説に書いてあったのですが、ああなるほどと思いました。早業だったり、その人間の行動だったり、着眼点が鋭い。
     ブラウン神父が好きになる作品集でした。

  • シリーズ中一番好きな巻です。

  • チェスタトンのブラウン神父もの、第4編。なぜか第3編をすっ飛ばしてしまいました。

    前に『ブラウン神父の童心』や『ブラウン神父の知恵』の書評でも書いたかもしれないけど、ブラウン神父ものは「注意深く読んでりゃトリックが分かる」といったジャンルではありません。もちろん解けるトリックもあるんだけど、原典が出版された1900年代初頭のイギリス文化や、その当時に常識とされていた風俗が理解できないと、そもそもヒントさえ掴めないような作品も多くあります。

    ということで、チェスタトンの頭脳に挑戦しようと考えるより、推理小説の古典の一つとして娯楽として読む、というのが正解かと個人的には思います。

  • ブラウン神父シリーズの中で一番好きかも。
    本書の構成はただの短編集ではなく、最初に「ブラウン神父の秘密」、最後に「フランボウの秘密」とありましてそれぞれが序章と終章的位置づけで、その間に入っている8編の短編がブラウン神父が過去に活躍した事件譚、という形になってて面白い。
    盗難事件から殺人事件までなんでも解決する坊さんですな。

  • ミステリとしての出来は『童心』が一番だけど、《好き》ということならこの作品。「マーン城の喪主」「フランボウの秘密」の2編は自分の宝物。

  • 古典ミステリの名作のひとつですね。ブラウン神父。<br />犯人の逃亡率が高くて笑ってしまいました。<br />おもしろかったです。

  • The Secret of Father Brown(1927年、英)
    ブラウン神父シリーズ。随所に皮肉を効かせておきながら、最後はとびきり性善説的なエピソードで締める、その演出の妙に★4つ。

  • 対談に出ていた本。この本の「大法律家の鏡」が「遠まわりする雛」のご先祖様。らしい。

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