- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488112042
感想・レビュー・書評
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何だかサスペンス映画にぴったりの趣きと思いました。
プロットが吟味されたストーリーで、最後は見事にピースが埋まったと思ってしまいました。
ただあまりにも技巧に走り過ぎているからか、現在と過去の場面の往復も唐突感があり自分はとまどってばかりいたのと、過去の事件がそのときどきでフラッシュバック的に描写されるので、過去の事件の全貌を把握できたのが割と後半になってしまい、全体像がなかなか掴めず物語に同調しづらかったです。また、登場人物もそれほど多くないのですが、平板な性格描写なため、なかなか名前を覚えられなくて後半になってさえ登場人物一覧を見直していたほどです。相棒のジャンはとても魅力的で良かったのですが、何故ヒロインになれたんだっけ?という思いも最後までつきまとってしまいました。(笑)ラストの謎解き以外は自分には少し消化不良気味だったかな。
客観的に考えて、プロットの醍醐味を楽しみたい方には良いかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イギリスの作家「ジル・マゴーン」の長篇ミステリ作品『騙し絵の檻(原題:The stalking horse)』を読みました。
「ジム・ケリー」、「ジョアンナ・ハインズ」、「ベリンダ・バウアー」に続き、イギリスの作家の作品です。
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無実だとの叫びもむなしく、「ビル・ホルト」は冷酷な殺人犯として投獄された。
それから十六年後、仮釈放された彼は真犯人を捜し始める。
自分を罠に嵌めたのは、誰だったのか?
次々に浮かび上がる疑惑と仮説。
そして、終幕で明らかにされる驚愕の真相!
現代本格ミステリの旗手が、底知れぬ実力を世に知らしめた衝撃の出世作。
解説=「法月綸太郎」
*第1位『2011本格ミステリ・ベスト10』“ゼロ年代”2000-2009海外本格ミステリ オールベスト・ランキング
*第2位「2002 本格ミステリ・ベスト10」海外本格ミステリ編
*第5位「週刊文春」2001年傑作ミステリーベスト10/海外部門
*第7位「このミステリーがすごい! 2002年版」海外編ベスト10
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1987年(昭和62年)に発表された作品で、「ジル・マゴーン」の第4作目にあたる長篇作品です。
イギリスの大企業グレイストーン社の元「ラルフ・グレイ」の娘で、現会長「ボブ・ブライアント」の妻となった幼なじみの「アリソン・ブライアント」に誘惑され、一度限りの過ちを犯してしまった「ビル・ホルト」… しかし、「ホルト」が「アリソン」の前から立ち去ってすぐ、彼女は何者かに殺害されたのだ、、、
さらにその二週間後、「アリソン」を監視していた私立探偵「マイケル・オールソップ」が殺される事件が発生… そして「ホルト」は、二人を殺した疑いで逮捕され、無実だとの叫びもむなしく冷酷な殺人犯として終身刑を命じられ投獄された。
16年後、仮釈放された彼は、真犯人を捜し始める… 事件当時の記録を手がかりに、女性新聞記者「ジャン・ウェントワース」の助けを借り、真犯人を捜し始める、、、
容疑者はかつての「ホルト」の仕事仲間であり、家族だったグレイストーン社の5人の役員たち―― 自分を罠に嵌めたのは誰だったのか? 次々に浮かび上がる疑惑と仮説……。
過去の殺人(1970年)と現在の再捜査(1986年)が、交互に描かれていくカット・バックの構成で物語が展開するのですが… 何だか分かりにくかったですよねー
冤罪で逮捕された主人公が真犯人を探す… 容疑者がことごとく消去され、犯人たり得る人物が一人もいなくなるという事態に陥り、そこからの反転して真相が明るみに… という展開は好みなのですが、、、
登場人物の書き分けが上手くできていないのか… 登場人物の把握が難しかったので、事件の全体像が掴みにくかった感じです。
私の読解力不足かも… もう少し優しく描いてもらえると嬉しいな。
以下、主な登場人物です。
「ビル・ホルト」
主人公
「ジャン・ウェントワース」
新聞記者
「アリソン・ブライアント」
ビルの幼なじみ
「ボブ・ブライアント」
<グレイストーン>会長
「ラルフ・グレイ」
<グレイストーン>元会長。アリソンの父
「ジェフ・スペンサー」
<グレイストーン>役員
「チャールズ・カートライト」
<グレイストーン>役員
「キャシー・ストーン」
<グレイストーン>役員。ビルのいとこ
「ウェンディ」
<グレイストーン>役員。ビルの別れた妻
「セルマ・ウォリック」
ジェフの妻
「ロジャー・ウォリック」
セルマの息子
「マイケル・オールソップ」
私立探偵 -
照合し、評価し、比較する。そして、殺す。「パーフェクト・マッチ」が面白かったので、世評も高い本書を読む。殺人犯として16年間刑務所に収監された主人公が仮釈放され、自分を陥れた真犯人を探す、という話。主人公を支える女性記者のキャラクターは魅力的であり、推理すればするほど容疑者がいなくなるという展開も面白かったが、女性記者以外の登場人物が特徴に乏しいため、過去と現在の行き来が頻繁なこともあり物語が頭に入りづらく、真相も-犯人の性格を考慮に入れたとしても-その段階で人を殺す説得力に乏しいように感じた。
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ミステリー好きの会社の方が、これ面白いからと言って貸していたいただいたミステリー。帯には戦後の本格ミステリーのベストスリーに入る傑作との文字が。殺人の冤罪で16年の刑期を終え、出所した主人公が、真犯人を探すため、関係者を調べるというストーリー。誰もが怪しい一方で、誰もがアリバイなどから真犯人とは思えない中で、ストーリーが進行。訳がいまいちなのか、すごく分かりにくく、おそらく再読すればまた違うのでしょうが、個人的には残念な小説でした。
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無実の訴えを認められず殺人犯として投獄されたビルホルト。16年の刑期を経て釈放される。怒りに燃えたビルは真犯人を捜し始める。ビルを罠にはめたのは誰か?本格謎解きにいきなり引き込まれ、次々と起こる疑惑にあたふたしてるうちに、衝撃のラスト。呆気に取られた。この本、凄い。
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フリーメイソンに媚を売るミステリが多いなかで、このミステリははっきりアンチフリーメイソン
悪いやつが最後に裁かれるのは痛快
本格ミステリとしても「おっ」と思う仕掛けがしてあり、なかなかうまい
ガラッと物の見方が変わり、そのとたん真実が分かる仕組みになってる
ま、なにより、アンチフリーメイソンなのがいい! おすすめ -
身に覚えのない二件の殺人罪で終身刑を宣告された主人公(ビル・ホルト)は、16年後に模範囚として仮釈放が認められた。出所した彼は、無実の罪を晴らすべく真犯人に復讐を誓うのだった。カットバック手法で事件当時の状況や裁判の情景が徐々に再現されていくが、登場人物の中にいる真犯人の追究に至る最終章まで、読者の忍耐力が大いに試される英国ミステリである。孤独と絶望に喘ぐビルを支える精神的介護者であり、事件解明の最大の功労者となった女性ジャーナリスト(ジャン)の存在は忘れ難い。
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昔話をする人たちの記憶力は正直うらやましい。嘘つきは誰か?矛盾のない話は全員が辻褄を合わせたのか?