アラビアンナイトの殺人 (創元推理文庫 118-6)

  • 東京創元社
3.10
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本棚登録 : 60
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (518ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118068

感想・レビュー・書評

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  • フェル博士もの。ウェイド博物館前にアラビアンナイトに登場するような人物が登場した。遭遇した巡査はその男を気絶させたが、少し目を離した隙にいなくなるという奇怪な事件に出くわす。そのさなか、博物館の中ではさらに奇怪な殺人事件が起こっていた。捜査関係者三人の陳述で構成されており、投げられてはいないが挑戦状が投げられていると思われる作品でした。そんな構成だからか、重要なのだけれど重複が多く、少々退屈な展開でした。ただ、事件自体はなかなか興味深くそういった意味では面白かったですね。犯人的には推察できるだろうけど、完全な解答を出すのは難しかったかな、と。あと、問題が9で解答が1の割り合いなのでなんか物足りないところがあったかなあ。

  • 無駄に長い…
    その正で後半はへとへとになってしまいます。

    事件背景が面白いので
    かろうじて星3相当ですが、
    苦手な人にとっては星1以下でしょうね。
    やはり人間の残酷さが垣間見える
    表現が目立ちます…

    そしてラストは、
    人によっちゃあ本踏みつぶしでしょうね…

  • フェル博士シリーズです。
    風変わりな老人の経営する博物館で死体が発見された事件を警察当局の3人、カラザーズ警部、アームストロング副総監、ハドリー警視がそれぞれ語ってフェル博士に聞かせます。
    観察力と捜査法を駆使したそれぞれの見解が喋り方も違えば考え方も違っていておもしろいです。
    警部と副総監の陳述は同一の事柄に触れながらも様相を異にしていて、それは事件を表と裏から見たようです。
    カラザーズ警部の話だけでは何が起こったかさえも分からない混沌とした状態だったのが、副総監の話で段々と状況が明かされていくのは読み応えがありました。
    最後にハドリー警視が事件を纏めて謎を解明しています。
    それぞれの語りは長いですが、物語はその長さを感じさせないおもしろさです。

  • フェル博士シリーズの7冊目▲ロンドンの博物館前、警官の鼻先で怪人物が消失、中では殺人事件が起きていた。フェル博士が安楽椅子探偵ぶりを披露する▼図書館でポケミス版を借りて見取り図を参照、館ものには必要だよね。警察関係者の語りを順番に聴くうちに〈何が起きているのか〉が明かされる趣向。お国も立場も異なる語りはとても重層的で盛り上がります。ハドリー警視が見事解決し、フェル博士は金持ちの横暴への仕返し方法を提案してくれれば良いだけだったのに。一夜語りにしてはメッチャ厚かったし、博士は動いてなんぼだよな(1936年)

  • 数あるカーの作品の中でもとりわけ分厚いのがこの作品。調べてみると500ページ以上あり、カーの他の作品でこのくらいの厚さの物は、『ビロードの悪魔』以外思いつかない。しかし『ビロード~』が厚さに比して内容も充実しているのに対し、本作は単に厚いだけと云わざるを得ない。しかしこの作品はどうしてもこの厚さになってしまう。それについては後で話そう。

    本作の概要は以下のような物である。
    古代アラビアの遺物を陳列する博物館でパトロール中の警官が白い付け髭をつけた不審者に襲われる。その警官はその男を倒し、応援を呼びにいこうと歩みだして、振り返るとその男は姿は消していた。事件の匂いを嗅ぎつけた警官は管理人と共に博物館内を捜査すると案の定、展示品の馬車の中に死体を発見する。なんとそれは警官を襲ったその男であったが、付け髭はなぜか白から黒へ変わっていた。しかもその死体は料理の本を携えていた。
    そこへ無人の博物館に招待されたという博物館の主の娘の婚約者が現れる。警官たちは娘ミリアムを探そうとするが、この奇妙な事件はさらに様相を複雑化する。

    さてなぜ本作がカーでも随一の大作であるかといえば、本作でカーが試みた趣向とは同一事件を複数の人間がそれぞれの視点で解き明かすことを主眼にしているからだ。恐らくこの趣向は先に書かれた『剣の八』を翻案としているように思われる。『剣の八』では探偵たちがいっぱい出ることで逆に事件がかき回されることを狙っていたが、本作では逆に探偵役を3人出すこと―フェル博士も含めると4人―で、それぞれの主観による錯覚を利用し、事件の意外な側面をその都度浮き彫りにしていくことを狙ったようだ。そしてそれを聞き手のフェル博士が全ての情報を統合して唯一の真実を導き出す。確かに面白い趣向であることに間違いなく、実際アントニー・バークリーの『毒入りチョコレート事件』はこの形式のミステリで傑作として今でも評価が高い。ちなみに『毒入り~』が書かれたのが1929年、本作は1936年の作品であり、カーとバークリーは交流もあったので、カーはその作品が念頭にあったに違いない。

    しかし、この作品は同じ趣向を用いながらもなんとも退屈。何度も同じ事件が繰り返し語られるようになり、それがまた面白ければよいのだが、事件に派手さがないため、かなり苦痛を強いられる。しかも物語の大半を関係者の聞き込みに費やしており、さらにそれぞれの犯行が起きる時系列が入り組んでいるので、事件の大要を理解するのもかなりの熟読を要する。この辺は作者が一通りどこかで纏めてくれれば非常に助かるのだが。
    やりたいことはわかるがどうにも冗長さを感じざるを得なく、カー作品全作読破を目指す人のみお勧めする作品だ。

  • フェル博士シリーズ

    博物館の壁を越えようとしていた男を捕まえた警官。警官を人殺し呼ばわりする男。警官に一発殴られ気を失った男。警官が目を離した一瞬で消えた男。博物館の入り口で騒ぐグレゴリイ・マグナス。警官が博物館の中で発見した遺体。遺体の身元はジゴロのレイモンド・ペンテル。博物館に集まっていた人々にかかる容疑。博物館の持ち主ジェフリイ・ウェイドの娘ミリアム、ミリアムの友人サムとホームズ、バトラー。アームストロング卿に事件当夜に博物館に誘われたイングリワース博士。仮装してグレゴリイを騙そうとするミリアムのゆうじんたち。カラザース警部、アームストロング卿、ハドリー警視の話から事件を推理するフェル博士。

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