猫と鼠の殺人 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118181

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  • フェル博士もの。友人とまでは行かないが知り合いのフェル博士とともにチェスをする敏腕判事。そのチェスの際、判事は「自分が犯罪をするならはかりにかける」という。その翌日、判事は自らに殺人容疑がかけられる事件に遭遇する。事件は判事の家でおき、状況証拠は判事をさしているがはたして犯人は判事なのか――。
     カーの作品にしては読みやすかった。カーの作品はトリックに趣向を凝らしているから、少々わかりにくい表現があったりするのだけれど、この作品はそういうわかりにくい場面があまりない。というのも、この作品の事件は、嫌疑をかけられた判事は、本当に犯人なのか、犯人でないかが主題となっているから。ただ、そのわかりやすいテーマが内容的には少々退屈なものでもあったかなと思いますが。
     内容だけに犯人の意外性があるかと思いきや、そうでもなかった。それにいたる根拠はいいのですが、内容がとっぴ過ぎる気がします。いや、内容ではなくその根拠の一部が、ですが。カーもこの辺になると少々ネタが切れてきた気がしますね。
     カーとしては読みやすい作品ですが、少々の不満の残る作品でした。

  • 急いで読んだせいか殺人のとき何が起きたのか良く分からない。
    この犯人は何がしたかったのか。
    でも面白い。

  • カーによる当時アメリカで人気を博していたアニメ『トムとジェリー』を主人公にしたミステリのノヴェライズ版・・・ではもちろんない。妙な題名だがれっきとしたフェル博士シリーズである(ちなみにWikipediaで調べてみると、『トムとジェリー』はなんと1940年に既に放映開始されており、本作の発表が1942年だから符合はする)。

    事件はアイアトン判事という被疑者に容赦なく死刑を判決する判事が娘の婚約者を殺したかどで自身が被疑者になるという、なかなかドラマチックな内容である。

    題名の話に戻るが早川書房のポケミス版では英国版の原題を忠実に訳した『嘲るものの座』となっている。意味は解りにくいものの、まだましだ。本書の題名は文中にある容疑者となる判事が「猫が鼠をいたぶるように」被疑者を追い詰めるという表現から来ている。しかしもう少し何とかならなかったものだろうか。全く読む気をそそらない題名である。

    で、本書のメインは殺人現場にいたのが判事と被害者のみという状況の中、フェル博士は本当に判事が殺ったのか否か、解き明かせるかという至極シンプルな問題だ。ここで注目したいのがあくまで容疑者の冤罪を証明するのが誰からも嫌われている人物だというところだろう。こういう趣向の作品では往々にして価値観の逆転が起こるもので、ドラマとしては読み応えがあるのだが、ここで敢えて云えば、その期待は裏切られる。カーが以前より作品に盛り込んでいた人間の予期せぬ行為が不可能・不可解状況を生むという趣向はありはするが、作品にプラスアルファに働いているかといえば、そうでもない。

    後々気づくのだが、本作でカーがやりたかったのは『ユダの窓』の別ヴァージョンではないだろうか。敢えてこのような結末を取ったのはカーとしてはその作品があってこそのひねりだったと思い、自身はほくそ笑んでいたのかもしれない。が、作品としては凡作にすぎず、最後に読み終わった率直な感想は、ちょっと際どい表現になるが単純な事件を単にこねくり回して遠回りさせられただけだという感慨でしかない。恐らく読み終わった時、全ての読者が私と同じ表情をするのではないだろうか。その光景だけが目に浮かぶ。

  • フェル博士シリーズ

    猫がネズミをなぶるように冷酷に判決を下すホーレス・アイアトン判事。アイアトンの娘コニーの婚約者アントニー・モレルの過去。女性をめぐるスキャンダル。娘から手をひくことを条件に3000ポンドを渡そうと持ちかけるアイアトン。取引の日射殺されたアントニー・モレル。事件直前にかけられた救いを求める電話の謎。壊れた受話器。事件現場の砂の山の謎。コニーの友人フレッド・バーロウが轢きかけた酔っ払い。砂浜に寝かせたが消えてしまった酔っ払い。

     2009年7月16日購入

     2009年11月22日読了

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