- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488118198
感想・レビュー・書評
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題名からスポーツミステリのような雰囲気があるが、そこはカー、いわゆる一般的なスポーツミステリではなく、雨上がりのテニスコートの真ん中で発見された死体の謎を扱っている。
雨上がりのテニスコートに横たわる死体には発見者の婚約者の足跡しか残されていないという「開かれた密室」を扱っている。
この事件に加えもう1つ事件が起きるが、本書のメインはやはりこの事件のトリックにあると云えよう。この「開かれた密室」物もしくは「足跡トリック」物ではすでにカーは『曲った蝶番』や『白い僧院の殺人』という傑作を物にしており、既読であればその先入観から、本作も斯くやとばかり期待が膨らむに違いない。
しかしこのトリックは、なんというか、噴飯物である。私はこのトリックの真相を読んだ時に浮かんだのはキン肉マンの超人がリング場で繰り広げる荒唐無稽な必殺技である。特に浮かんだのはザ・ニンジャの技(マニアックですみません)。そのくらい現実味がないトリックだと思った。多分実行は不可能ではないだろうか?そしてまたこれがテニスコートの中央で殺すことになんの意味をもたらしていないのが痛い。こんな危ない橋を渡るならばもっと簡単に毒殺なり直接的に手を下すなりした方がまだ無難である。まさにトリックのために作られた作品だ。
犯人はかなり意外だが、トリックがアレなので、これも意外性を狙いすぎたと穿った見方になっていまうのはしょうがないところだろう。
しかし一方、島田荘司の豪腕トリックには逆に狂喜する私がいることも白状しなければならない。では本作のトリックと島田氏のそれとは何が違うのかと問われれば、なんと答えたらよいか解らないところではあるのだが。自分自身でもよく解らないこの心情、なんとも不思議なことである。 -
二階堂黎人『吸血の家』から。
テニスコートでの殺人。足跡の謎。
なかなか大胆なトリック。これはこれでアリか。
登場人物が魅力的に感じる。キティさんとかね。
後記は微笑ましい。いい終わり方でした。 -
フェル博士もの。テニスコートの中央で死体が発見される。雨でぬかるんだコートには足跡が残っていたがそれは被害者のものだけだったーーはずがブレンダは被害者に近づき足跡をつけてしまい、有力な容疑者になってしまう。ハウダニットだが話のフォーカスが全体的にずれてた気がする。どちらかというとローランドとブレンダの恋愛メインで全体の印象がフラットでした。トリックに関してもインパクトがあまりなかったですし、面白かったかというとなんとも言えないかな。ただ、個人的にテニスコートという殺害現場が珍しいのと興味を惹いたので面白かったりもしたのですが……!
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フェル博士シリーズです。
本書は足跡のない殺人がテーマです。
雨上がりのテニスコートで殺人が発生するのですが、足跡は被害者と死体発見者のものしかついていないのです。
犯人が死体発見者でない限り、これは奇蹟的殺人になります。
この足跡のない殺人のトリックは物理的トリックを用いていて、本格ファンにとってはとても魅力的なものです。
第2の殺人も不可能興味はとびきりで魅力があります。
ヒューとブレンダの恋愛要素も楽しいですし、犯人の凶悪ぶりも本書の見所の1つだと思います。 -
凶悪犯罪者にご注意。
そんな言葉がぴったりの作品です。
この犯人は他人に罪をおっかぶせておいて
自分はさも平然としていること。
その凶悪さは犯人を
フェル博士が指摘したときも同様。
非常にふてぶてしいやからなのです。
犯人がでしゃばる作品はかなり珍しいかな。
ただしその分、
そんなに意外性はないのです。
なぜならば人物が少ないからね。
この作品は。
最後にこの犯人の鬼畜さは
前面に出てきます。
本当に、手がつけられないわ。 -
2009/6/10購入
2012/3/23購入